井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

1/7

蕪・かぶ・すずな・お味噌汁

かぶは七草で言う「すずな」です。江戸時代には葉を主に食していた野菜で、葉は実際に栄養価も高い。かぶは根菜類に入りますが、普段私たちが食べている白い部分は茎(胚軸)で、その下の方のチョロリと細い部分が根です。
菊花かぶは歯ざわりが良く、疲れがとれます。皮をむいたかぶの両端を挟むように箸を置きます(下まで切れないように)。縦横に切り込みを細かく入れて(ケンザンのように)30分ほど塩水に浸します。小口切りにした唐辛子、昆布一切れを入れたかぶるくらいの甘酢に、水気を絞ったかぶをつけて1時間以上冷蔵庫で寝かせます。最近、私はこの甘酢にターメリック少々を加えてほんのり黄色に仕上げて、肝機能も上げています。
癖の無いみずみずしい食感のかぶは最も漬物に向き。また、火を入れた時の柔らかいとろみも醍醐味です。甘みが立って柔らかく煮えた熱々のお味噌汁は格別なので、我が家の朝の定番です。かぶは消化不良にも良いとされ、ビタミンC、カルシウムなどが豊富です。

1/6

薩摩芋(さつまいも)・安納芋(あんのういも)

最近人気の甘味が強い安納芋は種子島の特産品です。カットするとオレンジ色が特徴で、免疫力を向上させるβーカロテンやビタミンC、食物繊維が豊富なので風邪予防や美肌効果も抜群。安納芋には安納こがねや安納べになどの種類があり、焼くと糖度が40度前後まで上がります。一般的なさつま芋よりショ糖が多く含まれています。収穫されてから3週間前後たってから、美味しくなるのも特徴です。濡らしたキッキンペーパーに包んで、アルミホイルでしっかり包んで炭火やオーブンでじっくりゆっくり焼くとこれ以上ない甘さ。安納芋でお菓子を作る時は砂糖いらず。焼き芋の皮を除いてマッシュしてデザートグラスに盛り、ホイップクリームをのせるだけで、絶品デザートのさつま芋シャンテリーに。

1/5

豆腐・とうふ・湯豆腐

DSC08839

身体の余分な熱をとる豆腐。つるんと滑らかなお豆腐は、喉越しよく消化に良いですね。
豆腐には体の余分な熱をとる作用があるので、熱がある時にもお勧めです。柔らかく茹でた野菜を白和えにしたり、おかゆに加えるなどすると、身体が落ち着きます。良質なたんぱく質を含む豆腐は、コレストロール値を下げる効果があり、女性ホルモンに似た働きをするイソフランボンを含みます。
さて冬に美味しい湯豆腐のお話し。私は大人になって湯豆腐の奥深さを知りました。土鍋に水2カップと5cmの昆布を浸しておきます。タレは手作りのポン酢がお勧め。小鍋にみりん大さじ2、醤油60cc、酢100ccを加えて5、6分煮切り、好みの柑橘を適宜搾る。小皿に鰹節やおろし生姜、三つ葉、ねぎの小口切りなど薬味をたっぷり用意し、味の邪魔にならない程度の野菜も好みで準備します。昆布出しに豆腐を入れたらユラッとするくらいの火加減で煮て、熱々をいただきます。木綿豆腐はカルシウムが絹ごしより多いのが特徴、絹ごしは木綿よりビタミン類が、より多く含まれています。

1/4

葱(ねぎ)・葱白(そうはく)・冷え

長葱・冷え・井澤由美子・食養生・おしゃれレシピ・簡単レシピ・薬膳・素敵な50代・冷え改善・健康レシピ

ねぎが美味しい季節ですね、ねぎの白い部分は葱白(そうはく)という生薬で、体を温める薬効が高く、咳や痰、喉や関節の痛みなどの症状にも有効です。炎症をおさえて痛みや熱を取りのぞく効果があるとされ、焼いて喉に巻くなどの民間療法が昔から日本に伝わっていますね。
ねぎは辛味のある野菜ですが、加熱調理をすると柔らかくなり、甘みが出て食べやすくなります。寒邪(かんじゃ)から身を守理、風邪の特効薬でもあるので、寒い日に沢山いただきたいですね。肩こりがひどい時は、ねぎに血のめぐりをさらに良くするビタミンB1を含む食材を合わせて相乗効果を狙いましょう。ビタミンb1を含む食材は、豚肉やラムなど。

1/3

冬の(蜂蜜)はちみつ・はちみつレモン

井澤由美子・喉の痛み・薬膳・美容・便秘・食養生・ハチミツ・はちみつ・蜂蜜・咳止め・養生

深いオレンジ色の美しく濃厚なはちみつを鳥取の農家さんに頂きました。熊に蜂箱が襲われる年もあるそうで、貴重なはちみつを大事に口にしています。
古代から美容と健康によく、その高い殺菌効果から薬としても活用されてきたはちみつは自然治癒力を高める天然の食材です。保湿効果もあるのでリップクリーム代わりに、唇に塗るなど食べる以外の肌ケアにも◎。今の時期は喉の痛みや咳止めとしての出番も多いですね。効果を期待するならばやはり天然のはちみつがお勧めです(天然でない商品もあり注意)非加熱や低温で加熱したものを選びましょう。天然のはちみつは温度が低いと固まる事があります。そんな時は50〜60度の湯煎にかけて優しく溶かして下さい。いくつか食しているうちに好みがわかってきますよ。専門店に出向くと色や香りのc違い、産地や花の種類等を教えてくれます。
少しだけクセがありますが、マヌカハニーも大変優れた生薬ですね。ビタミンCたっぷりの国産のレモンをはちみつで漬けた(はちみつレモン)は栄養価と風味が抜群。お湯で割れば、今の季節にぴったりのホットドリンクに。(1歳未満のお子さんには、蜂蜜を与えないで下さい)

12/28

数の子(かずのこ)・祝い肴 おせち

写真 4

にしんの魚卵で、二親(にしん)から多くの子供が生まれるので、二親健在、子孫繁栄の縁起物のとして食べられてきました。近年ではにしん量が減りましたが、江戸時代にはみじかな食材で値段ももっと手頃でしたので(正月は貧富の差なく同じものを食して祝う」ことを願った八代目将軍徳川吉宗によって祝い肴(さかな)の一つに加えられらとか。作り方です=容器に塩かずのこ6、7本を入れ、かぶるくらいの水と、塩小さじ半を入れ馴染ませる。2、回塩水を変えて5時間ほどつけて塩抜きする。白いうす皮をキッチンペーパーなどで剥き、水で洗って水気をふく。小鍋で濃いめの出汁を2カップ半とり、酒50cc,薄口しょうゆ(醤油でも)大さじ1をひと煮立ちさせ冷まして、数の子を浸す。鰹節を厚手のキッチンペーパーやガーゼで包み、数の子の上に置いて半日以上浸す。食べやすく切って器に盛り、好みで糸かつおを散らす。簡単なのにきちんと作れる「おせち料理」(成美堂出版)p18より

12/22

韮(にら)・ニラ玉あんかけ・肩こり・血行不良

寒くなると肩がこりますね、ほぐしたいので今日は適度なストレッチと改善ごはんにします。腸の掃除機とまで言われるニラは体を温める作用も高い。合わせて腸内環境をよくしつつ、血液循環を高めます。血行がよくなるので、冷えによる肩こり、腰痛や血行不良による目の下のクマ改善も期待できます。ささっと出来るニラ玉2人分です、ニラは洗って4㎝幅に切る、卵4個、めんつゆ大さじ2を混ぜる。フライパンを中火にかけ熱くなったらごま油大さじ1をなじませ、卵液を一気に流しいれ箸30秒おいて大きく混ぜてふんわり焼き、器に盛る。小鍋に出汁1カップ、醤油、みりん各大さじ1、酢、おろし生姜の絞り汁各小さじ1を煮立て、葛か片栗粉を水で溶いたものを加えてとろみをつける。生姜を加えたあんかけでさらに温まります、たっぷりかけていただいて下さい。

12/17

きな粉・大豆・葛餅

DSC09500

きな粉を見かけると買わずにはいられません。和三盆やきび砂糖と粗塩を少し混ぜてふるふるの練りたて葛餅やわらび餅などに山盛りにかける、考え出された方天才です。葛粉大さじ5(片栗粉)、きび砂糖大さじ1に水大さじ2を馴染ませる。中弱火にかけて水1カップを入れ木べらで混ぜながら透明感が出るまでよく混ぜる。水の代わりに豆乳で練ると、また違う風味を楽しめます。きなこは、もとが大豆ですからイソフラボンがたっぷり。女性ホルモンと似た働きをする効能があり、更年期障害にも良いですね。そしてカルシウムも豊富なのでイライラを抑え、骨粗しょう予防にも。水溶性と不溶性の食物繊維は便通作用を促進するのでお料理、飲みもの、お菓子類に多用しています。最近のナンバー1きなこは、鳥取県は智頭町にある素晴らしく素敵な山里の山菜料理屋「みたき園」で出会ったきなこ。手作業で音と感触をたよりに、丁寧にうすでひかれたきな粉は少し粒が残っています。しっとりした香ばしい風味がとても豊かで印象的、飛び切りのきな粉でした。こんにゃくもお豆腐もすべて手作り、お庭の風情もとても素敵です。

12/16

黒豆(くろまめ)・老化防止・薬膳茶

DSC03267

中医学では、腎の働きを良くすると言われる黒豆。血を補う効能もあるナツメと水から一緒に煮出したお茶を最近よくいただきます。自家製ナツメは空気の綺麗な里山の、日当たりの良い所で育つ大木をセレクトしています。赤く実ったら直ぐに手摘みし、蒸してからセミドライに乾燥させて冷凍保存しています。黒豆と合わせると、香ばしい香りとナチュラルな甘みにホッとします。
黒豆は甘煮以外に、フライパンで乾煎りした炒り豆も小腹が空いた時によいし、その後酢漬けにしても良いですね。ブラジルのフィジョアーダのようにお肉とコトコト煮込んでも美味しものです、新豆が出る頃は柔らかく調理も楽。足腰の弱り、老化防止、エイジングケアにもお勧めの黒豆、日常的にいただいて下さい。

12/12

牡蠣(かき)・カキフライの作り方・味覚障害

牡蠣が美味しい季節ですね。腎の働きを高める牡蠣は亜鉛を多く含み、肌や爪、髪の艶をよくしエイジングケアにも有効とされ、味覚を改善する手助けをします。今日は、はがれにくい洋食屋さんのサクサク衣のテクニックのご紹介。ひと手間でグンとパン粉が落ちにくくなって、サクサクに揚がります。衣を作り方です・ボウルに卵L玉1個、小麦粉大さじ1、水を大さじ1を加えてよく混ぜる(料理用語でこの衣をバッター液と言います。粉と卵、水やミルクを混ぜた混合物の意味です)。後は、具材の水分をキッチンペーなどでしっかりとって塩、こしょうをふり、小麦粉を全体に軽く叩いたあと、衣にくぐらせてパン粉をしっかり押し付ける。揚げると、ツノが立つような生パン粉がサクサクして私は好きですが、お好みで乾燥パン粉でも。