井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

11/10

豚肉・茹で豚

バラ肉で柔らかい茹で豚を作り、キムチや白菜漬で巻いて食べると美味しいですね。作り方も簡単です。厚手の鍋に酒50cc、山椒の実の塩漬け、皮付き生姜スライス、あればタマネギやネギのはしきれをいれます、山椒の実塩漬けは胡椒のホールでもよいでしょう。かたまり肉に塩麹か粗塩をもみ込んだもの300gと、かぶるくらいの水を入れ、厚手のキッチンペーパーをかぶせて沸騰したらコトコトと30〜40分ほど火にかけてそのまま冷ますだけです。6,7mm薄の薄切りにして、叩いた梅肉に蜂蜜を少し加えまぜたものや(マヨネーズを入れるとお子さんも好きな味)、韓国味噌、酢橘と粗塩、辛子と醤油、ごま油と粗塩などお好みで。豚肉に含まれるビタミンB群は、中々取れない疲れをサポートしてくれますし、皮膚の粘膜もケアします。めっきり寒くなった今日この頃、発酵食と合わせて免疫力も上げましょう。

11/8

小鍋・鍋・なべ・主婦の友社

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沢山のいろいろな種類の具材が入ったお鍋も美味しいですが、単純シンプルな(野菜とたんぱく質が1対1くらいの)常夜鍋などは素材が生きて味が濁らず、お互いを引き立てるのでそれぞれを深く味わえる醍醐味があります。甘みと香りのつよいちぢれほうれん草をさっと茹で、豚しゃぶと合わせてポン酢でいただく、塩麹をもみ込んだ手羽とトロリと甘く煮える蕪、あさりと薄切り大根は塩こぶと、酒粕とタラと里芋もはオツ、炙りうなぎとごぼうを甘辛出汁で煮た小鍋も最高、砂肝鍋は全てお酒だけで炊き、唐辛子と煮て最後にさっと芹と合わせる(次の日にはプルンプルンの煮凝りができており、これまた美味しいのです!)大人ならではの楽しみがいっぱいの小鍋仕立て、一人鍋もぜひ楽しんで下さい。「爆ラク!小鍋」主婦の友社よりポケットサイズに、ギュッと色々詰まってます!

11/5

ドライカレー・キーマカレー

キーマカレーのキーマはひき肉の意味。インドでは宗教上の理由から豚や牛ではなく、マトンや鶏が主流。水分が多少多目で、日本のドライカレーの原型とされています。ドライカレーは明治時代に日本人のコックさんがヨーロッパ航路の客船で考案したそうです。炒め煮なのでルーは使わず、カレー粉と家にあるスパイスで短時間で調理できますね。玉ねぎをラップに包んで600wで約5分加熱し、ざっくり刻んでフライパンに入れる。ここにカレースパイス類を入れて馴染ませるように炒める。脂溶性のスパイスは油で炒めると良い香りが立って食材にからみます。後はひき肉や刻んだ旬野菜を加えて炒めるだけ。
スパイスの調合はお好みですが、クミン、チリパウダー、コリアンダー、ターメリック、シナモン等はおすすめです。スパイスは胃腸の調子を整え、代謝をよくして免疫力を高めます。上手に食卓に取り入れて風邪予防になどに役立て下さい。

10/28

白菜サラダ・ジャム・スープ

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冬野菜の白菜は大根・豆腐と並んで「養生三宝・ようじょうさんぽう」の一つ、冬の風邪予防や免疫力向上に効果的なので特に食べたい野菜です。95%以上が水分ですが、バランスよくビタミンやミネラル類を含み食物繊維が豊富。疲れた胃をケアし、美肌効果もあります。
本日「NHKあさイチ」さんでご紹介した我が家の「ジャムで作る、みずみずしい白菜の浅漬けサラダ」。ジャムは甘みをつけるのではなく、旨味とまるみをつける為です、フルーツのフレーバーもほんのり香る。ジャムは柑橘系がよく合います、番組では手に入りやすいマーマレードでしたが、日向夏のマーマレードもよく合いますし、白菜が美味しい季節に実るりんご、みかん、柚子はお勧めです。私は季節のジャムやコンポートを作るので、組み合わせが特に楽しく、手作りされている方はぜひ。春のキャベツとグレープフルーツ、夏のキュウリとレモンなど季節のメドレーでサラダをたっぷりいただきます。寒い頃にはスープがお勧めです、漬け汁は旨味があるのでスープに加えるとグッと美味しくなります。朝のスープは目覚めをよくし、昼のスープはリラックスし、夜のスープは滋養がとれると良いことづくめ。汁物は簡単で、栄養素を効率よく吸収できます。

10/26

メヒカリ・目光・魚

メヒカリ・目光

初めて食べたのは港近くの定食屋さん、近所の市場でも沢山売られていました。フライで頂きましたが、身が柔らかで骨まで食べられる白身が美味。傷みやすいという事で、当時は東京ではあまり見かけませんでしたが、今ではスーパーでも見かけるようになりました。サイズも小ぶりで10cm前後、下処理もあまり無いので調理もしやすい。先日も、市場でふくよかなメヒカリを見つけたからと、わざわざ一夜干しにし、天麩羅にしてくれた友人がいました。庭の酢橘をもいできて、さっと搾る。粗塩で熱々をいただくと白身の香りもたって美味、柔らかな身がホロリとほどけます。脂がのっているので干物にしたら炙るだけで美味しい、カルシウムたっぷりです。本名はアオメエソ。あだ名の由来は、緑色の目がキラリと光るから目光。

10/25

新じゃが・じゃが芋・ポテト

新じゃが・じゃが芋・ポテト

じゃが芋は、とても生命力が強く保存もきくので世界中で栽培されています。豊富なビタミンCは、デンプンに守られているので比較的熱に強く、クセがないのでどんなジャンルもすんなり受け入れてくれる頼もしい野菜。
胃腸を活性化し便秘改善などの薬効もあり、ドイツではじゃが芋をすりおろした汁やスープは胃腸症に良いとされる民間療法です。余分な水分や塩分を排出してくれるカリウムが多く、むくみ改善にも有効です。
じゃが芋の芽を見つけたら取り除きます、ソラニンと言う有害物質なのでそこだけ気をつけて。茹でる時は3つまみの塩を加え、皮ごと水から低温でゆっくり火を入れると酵素が働いて甘くて美味しい。
北海道で始めてインカのめざめを口にした時は、その栗のような色とほっこりした甘みにじゃが芋の観念が変わったのでした。固めに下茹でし、皮ごと太めのくし切りにして片栗粉をまぶしてカラリと揚げると最高です。
栄養もあり、お腹を満たすアレンジ自在なじゃが芋、フランスでは「大地のりんご」と呼ばれています

10/16

牛蒡・ごぼう・牛蒡子・便秘改善

中医学では牛蒡(ごぼう)は生薬で、種は(牛蒡子)ごぼうしと呼ばれ、主にのどの治療薬です、平安時代に中国から薬草として渡来しました。ごぼうを食用とするのは日本や韓国などの一部だそう。ごぼうの食物繊維は水に溶けにくい繊維と、水に溶ける性質の食物繊維を含むので、腸内環境を良くして便通をしっかり促します、柔らかく香り良い旬のごぼうで作るごぼうのサラダは水々しくて気持ちまでスっとします。皮に香りや栄養分があります、下処理は包丁の背で軽くそぐかタワシでこする程度に。サラダや揚げ物、醤油麹と赤唐辛子のキンピラもお勧めですが、厚手の鍋に梅干し、昆布、丸ままのごぼうを入れ酒と少量の水でじっくり炊いた柔らかな(ごぼうの梅煮)は、ごぼうの土の香りに梅が合って、シンプルながら絶妙です。

10/16

 芹・せり・ 貧血・便秘

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芹の由来は競い合うように成長するので「せり」の名前がついたとか。ビタミン、カルシュウム、鉄分、食物繊維を含み、便秘、貧血などに効能があり免疫力を高めます。芹は根の部分をよくあらい4cm幅に切り、めんつゆ程度の味付けで煮て、多めの卵でとじると美味。根の部分は秋田県ではきりたんぽ鍋などには欠かせないそうで、栄養価も高いようです。香りのもとになっている精油成分には発汗作用があり冷え性にも有効、肌も保湿します。干したものを刻んで布袋などに入れ、入浴剤にすると体が温まるので神経痛や肩こりにきく民間療法は有名です。

10/14

じゃが芋・肉じゃが

肌寒さを感じるようになると、ほっこりした甘辛い肉じゃがが脳裏をよぎります。じゃが芋4個は4、5等分に切って水に5分放してザルに上げる。玉ねぎ1個は1㎝幅のくし切り、生姜半かけは細切り、鍋を中火にかけごま油大さじ1で生姜と牛細肉250gを炒めて取り出す。同じ鍋で切った野菜をよく炒め、水1カップ、きび砂糖大さじ2、醤油大さじ1を入れて厚手のキッチンペーパーをかぶせフタをして10分煮る。煮汁が半量になったら醤油大さじ2、肉を戻し入れまぜ、時々鍋を揺すりながら10分煮て出来上がり。
じゃが芋のビタミンCはデンプンに守られているので、熱に強く調理に向いています。カリウムも豊富、塩分が気になる方は特におすすめの野菜です。じゃがいもの芽のソラニンは有毒なので、しっかり取り除きましょう。

10/13

スーパーフード・ビーツ・血管力・くま・シミ

ビーツはスーパーフード野菜。名を聞くとロシア料理のボルシチ(シチュー)が真っ先に頭に浮かびますが、酸味が合うので酢漬けなどにも。古くから食され、ローマ時代には発熱や便秘に効く野菜とされていました。葉の部分にも高い栄養価が含まれていますよ、血液の流れを良くし、血管自体をしなやかに拡張させるので脳卒中や心筋梗塞に有効。抗酸化作用も豊富で、クマやシミをなくす効果もあるそうです。りんごやレモンと合わせるとさらに美肌効果が上がります。じゃが芋とビーツを柔らかく茹で、生クリームか牛乳、粗塩、胡椒少々を加えて水分をとばす。ほんのり甘く、舌触りのよいピュレにした濃厚ソースは、ポークやチキンソテーの付け合わせ、茹で野菜のディップとしてもにピッタリ。眼を見張る鮮やかな色合い、お米を炊く時や茹でる時、それからパスタに加えてみるとサプライズに!
その昔、フランスでは砂糖不足に対処すべく、皇帝がシュガービートを栽培する者達に土地を与えたそう。ビーツには天然のオリゴ糖が多く含まれています。