井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

7/7

素麺(そうめん)・索餅・一夜酒・七夕

七夕素麺・素麺・そうめん・甘酒・一夜酒

お素麺はもともと中国の索餅(さくべい・小麦粉などを練って縄状にした揚げ菓子)が由来。「索餅を備えると流行り病にならない」という中国の故事から、無病息災を祈って七夕にいただく風習が広まりました。

暑い日や、蒸し蒸しする日には食欲も落ち込みますが、冷たい素麺はスルスルと喉を通りやすい。甘辛く煮付けたおあげや蒸し鶏は殊の外よく合いますし、さっとゆでた豚肉、野菜のお浸し、薄焼き卵等を細切りにしたものなどを彩りよくトッピングするとバランスも良くなり食をそそります。その他に、梅干しを漬けた方は梅酢を梅雨に加えてみて下さい、さっぱりとして疲労を回復し食欲を促します。

今年の井澤家の七夕そうめんは、野菜たっぷりの緑の麺つゆにしてみました。ベランダ菜園で育ったしそ、きゅうり、オクラ、梅酢、白醤油をミキサーで混ぜて、酸味がある涼やかな大人向けのめんっゆに。最後に梅肉をあしらいます。
一夜酒(ひとよざけ)と合わせて風情も愉しみます。一夜酒とは一晩で仕込めるからなのか、甘酒のことを示します。
薬味は薬の味と書きますね。みょうが、にんにく、しょうが、しそ、三つ葉、ごまなどそれぞれ薬効があるのでたっぷり添えると、免疫力を上げる手助けをしてくれます。

7/6

スパイス・薬味・生薬・夏の不調

免疫力・薬味・スパイス・生薬・香辛料・井澤由美子・美肌・腸活・料理家・ハーブ

スパイスは植物(果実、根っこ、樹皮、種)から採取して作られ、料理やお茶などに複雑な香りや辛味、色味をつけ、臭みなどを取る為に使います。薬味や生薬など、国や地域で呼び名は違えど、世界中で古くから人々のカラダや心の不調を治してきました。何より食欲増進・消化促進効果が高いもの、、食品を傷みから守る抗菌作用や防腐効果にも優れたものなどもあり、料理以外の用途にも役立っています。旬に出回る身近なスパイスや薬味の薬効を感じながら見直してみると楽しいですね。
雨季や夏の不調を防ぐスパイスと薬味。スパイスを効かせたお料理をいただくと体が活性化するのがわかります。ぜひ日々の食卓に大いに活用して下さい。
これからは桃の季節になりますね。スパイスはデザートにも欠かせません。つやつやの桃のコンポートにほんの少しカルダモンを入れて微かに香らせると、実にエレガントでうっとりします。マガジンハウス「クロワッサン」の薬味とスパイスの特集では、沢山のスパイスをご紹介しています。

7/5

葡萄・ぶどう・美容サラダ

葡萄・ぶどう・ブドウ・眼精疲労・貧血・井澤由美子

世界中でみると約80%の葡萄の生産量はワイン原料になりますが、日本で栽培される葡萄の約90%は食用です。大きく分けると黒、赤、緑の3種、形や大きさ、色など様々です。最近では種無しで皮ごと食べられる葡萄の品種改良が盛んです。葡萄の皮には栄養があり、強い甘みは皮と実の間にあるので丸ごと口に出来るのは嬉しい限りですね。葡萄糖の名からも解るように体内でエネルギーに素早く変換されるので疲労回復に効き、脳も活性化し集中力を高めます。よく洗って冷やした葡萄のみずみずしさはパソコン作業の合間のおやつにもピッタリ、リフレッシュします。薬膳では、赤い皮の葡萄に貧血改善の効果があると言われていますよ。ポリフェノールの一種、アントシアニンには活性酵素を除去し、眼精疲労を改善するなど様々な効能が期待できます。ボウルの上で皮ごと食べられる葡萄を手で割き、酢橘やレモンの果汁、粗塩、オリーブオイル、葉野菜やトマトを混ぜたサラダは美しく体を潤してくれます。

7/4

ハーブ・パセリ・ハーブバター

J-wave・ミントミルクティー・穀雨の雨・立夏・中医学・栄養学。食養生・食薬・ミント・井澤由美子・自然治癒力・整える・ハーブ・パセリ・ミント・香り

庭の菜園でグングン伸びるハーブは、切っても切っても後から伸びて頼もしい生命力。摘みたてのミントは心や脳内の疲れを優しく癒しててくれるような香りがしますね。お湯で煮出していただくと、神経がゆっくり安らいでゆくのがわかります。お風呂に入れて浮かべても良いですね。
柔らかい若緑色の日常的に楽しめるハーブです、口に含むとその若々しい息吹に細胞が活性化されていくように感じます。パセリはカロテンやビタミン類が豊富。消化を促進し、魚や肉の臭みを消す効果もあります。
彩りも美しいパセリバターです。バターを室温に戻し、刻んだパセリを加え混ぜます。オーブンペーパーなどで筒状に形を整え、そのままク冷蔵庫で保存します。(冷凍保存も可能)。パンを始め、肉や魚のソテー使うとコクと香りが楽しめますよ。

7/2

モロッコ料理・スパイス・ナツメグ・薬味・胃腸薬

フランス旅・井澤由美子・市場・モロッコ料理

写真はフランスマルシェ内にあったモロッコ料理店で食した想い出の一皿です。
羊肉のミートボール、皮付きピーナッツ、ドライフルーツ、カリフラワー、にんじん、玉ねぎ、にんにく、じゃが芋、トマト、ナスなどの野菜と複雑なスパイスが織り成す香りは、旅先で疲れた胃袋を刺戟する。スパイスは少量でも食材の臭みをおさえ、料理の味を引き立て、胃腸薬のような役割を担います。トマトベースの絶妙な味付けの柔らかい煮込み料理と、添えられた品のよいクスクスが馴染んでサラサラと胃に治まる。ツブツブ感の残る手作りのアリッサ(唐辛子ペースト)をつけながらいただきます。ナツメグがたっぷり使われていて、いい香り。私はスパイスのなかでも日頃からナツメグをよく使うのでこの香りに癒されます。
削りたてのナツメグは、パンチのあるスパイシーさの中に調和した甘い香りが素晴らしく、ストレスも軽減します。ナツメグは若返りのスパイスとしても有名ですよ。ぜひ料理に取り入れてみてください。

6/30

玉蜀黍・とうもろこし・とうきび・とうもろこしの冷たい昆布スープ

トウモロコシ・とうもろこし・玉蜀黍・モロコシ

とうもろこしは米、麦に並ぶ世界3大穀物。糖分が高いので、エネルギーの補給源にもなります。ひげ根が茶色くなってボリュームがあるもの、全体的に重くしまっているものを選び、鮮度が落ちやすいため購入したら直ぐに調理します。

毎年、生のトウモロコシを炊き込みごはんやかき揚げにするのが楽しみ。甘みを生かした和風スープにするのもいいものです。作り方は昆布を水につけておき、ここに実を削いだ後のとうもろこしの芯と新玉ねぎを入れて弱火にかけてフタをし、20分ほどゆっくり煮ます。芯からは旨味や風味が出るので出汁として他のお料理にもぜひ加えて下さい。とうもろこしの実を入れ、好みの加減に煮たらハンドミキサーで撹拌し、白みそを溶き入れれば出来上がり。温かくても美味、冷たく冷やすとさらに喉越しのよい冷製コーンスープになります。

とうもろこしには血液をサラサラにするリノール酸を含み、便秘改善に役立つ食物繊維が豊富です。ひげをお茶にして(コーン茶)飲む習慣が韓国にはありますが日本でも人気です。香ばしい中にほんのりとした甘みがあってノンカフェイン。美容に良く利尿作用があります。雨季になると体や頭が重くなりがちな(湿邪・水分や老廃物が溜まる)方には、特にお勧めの野菜です。

 

6/28

どくだみ・ドクダミ・漁腥草・十薬・虫刺され

井澤由美子・食薬・食養生・ドクダミ・どくだみ・十薬・魚腥草

ドクダミは、ドクダメからドクダミの名になったそうで乾燥させたものは「十薬」という生薬名がつくほど多くの薬効があります。
便秘、肌荒れ、高血圧の予防、利尿作用、アレルギー症状の緩和などに効能があるとされています、生命力のとても強い湿地を好む薬草です。
独特の苦味と香りがありますが、身体の老廃物を排出させるデトックス効果があります。
虫刺されにも効きますよ。ブヨに刺されて腫れた時にドクダミをホイルに包んでしばらく焼いてから、よく揉んだ葉を患部にこすりつけるとかゆみと腫れが治まります。どくだみの花を焼酎に漬けたドクダミチンキも効くそうで、これらは昔ながらの民間療法です。
薬効を気気軽に取り入れられるドクダミ茶の作り方です。ドクダミは開花時期(6〜8月)に、茎の部分から刈り取ってよく洗います。これを束ねて逆さにし、風通しの良いところでしっかり乾燥させます。3、4cmにカットし、保存容器に乾燥剤(お菓子や海苔などについているものでOK)と共に入れて保存します。湿気が気になるようなら極弱火で数分間乾煎りしてから容器へ。飲む時はホウロウのコナンべや土瓶に入れて水から弱火でゆっくり煎じていただきます。

6/26

ピンクペッパー・人気スパイス・spice

ピンクペッパーは赤いコショウの実で、完熟後に収穫して外皮を剥いていないもの。ピンクペッパーはコショウボクの実で、南アメリカが原産地のウルシ科サンショウモドキ属、コショウボクの赤い実を乾燥させたものです。辛味は少ないですが、香りがよく指でスッとつぶれる柔らかさ、サラダはもちろん料理のトッピングに彩りよく使用されることが多い。初心者にも扱いやすく、おしゃれなチョコレートやお菓子にも多様されていますね。似たものに、西洋ナナカマドの実がありますが、此方の原産地はヨーロッパからシベリア、主に肉料理などに使用されているそうです。どれにしてもひと瓶あると、お皿の上がパッと華やぐので重宝します

6/25

赤しそ・ゆかり・抗酸化作用

DSC05550

抗酸化作用が高いアントシアニンが豊富な赤しそ。お弁当のごはんなどによくふってある風味のよいしそのふりかけ(ゆかり風)は、手作りできます。梅干しを漬ける工程で、本干しするときにいっしょに漬けてあった赤しそも広げて干します。カラカラに乾いたら、そのまま保存瓶や缶に乾燥剤(お菓子や海苔についているものでOK)とともに入れて保存してください。食べる時に手でもんで細かくほぐして使います。気分でごまや青のりと合わせても良いですね。ふりかけにする以外に、塩もみしたきゅうりやキャベツと和えるなど、使い勝手がよいですよ。
赤しそは胃液の分泌をよくし、食欲増進させてくれます。しょうがを漬けるときに使ってもキレイに発色します。

6/24

杏・あんず・杏仁・薬膳デザート・漢方

杏・杏仁・あんず・食養生・薬膳・食薬ごはん・漢方

ほんのり甘い香りに気づいて見上げると、杏の実がたわわ。杏のやわらかな色合いを目にすると幸せな気分が生まれます。完熟の杏は香りがよく、果肉も食べやすいですね。旬が短いので、見かけるたびについ買ってしまいます。子供の頃によく食べたクレープは、生クリームやチョコバナナではなく、甘酸っぱいあんずジャムを薄く塗ったものでした。感じる温かいジャムは杏の香りが際立って、子供心に本当に美味しく感じたものでした。
杏は、ドライフルーツなら手軽に料理に使えますよ(私は食品乾燥機でセミドライにしています)。微かにレモンの香りのする黄色いパプリカとオリーブオイル、白ワインで蒸し煮にして冷ませば、ナチュラルな甘酸っぱさで、食べやすい鮮やかな冷静サラダになります。
杏はカロテンが非常に豊富で、粘膜をうるおす効能があり、種の中心部にある(仁・じん)は漢方薬の原料となる杏仁(きょうにん)。杏仁豆腐の素として有名ですね(種は生では食べられない、粉状にして利用されることが多い)。
薬膳では、白きくらげは肺を潤す食材と言われています。咳や痰を抑えるデザートをご紹介します。小鍋に白木耳と水、氷砂糖とを入れてトロトロになるまで一時間半ほどゆっくり煮て、杏仁の粉を加える。冷たくしても温かくしてもおすすめです。気分でレモンスライスを加えてさっぱりさせたり、生クリームで滑らかなコクを出したりと、アレンジしても美味しいので毎回悩ましいのです。