井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

7/20

ターメリック・スパイス・ウコン

ウコン・ターメリック・ターメリックライス・スパイス

ターメリックはインド原産の生姜の仲間で、別名ウコン。肝機能を回復させたり、ボケ防止にも良いと言われています。鮮やかな黄色が特徴のスパイスで、色素成分のクルクミンは実はポリフェノールの一種。カレーの色付けに使用する重要なスパイスですね。体を温める作用があるので、風邪のひき始めにもお勧めです。ゴールデンミルク(ターメリックラテ)を作る時は、少量のミルクにターメリック(から炒りしても)とメープルシロップをよく混ぜてから、残りのミルクと合わせます。温かくても冷たくても美味しく頂けますよ。ターメリックはピクルスを作る時に加えると野菜が鮮やかになり、抗菌効果もあるので日持ちもします。
エスニックなカレーを作る時には、ご飯を炊く時に叩いたパクチーの根の部分を加えて香りを付けます。お米にターメリックパウダー、粗塩をひと混ぜしから、パクチーの根、オリーブオイル、好みで唐辛子、クローブ、カルダモンなどのスパイスと一緒に炊き込む。鶏ガラスープの素などを加えて味付けしても。カレーの他、お弁当にもいいでですね。

7/19

鬼灯・ほおずき・食用ほおずき・ゴールデンベリー・スーパーフード

鬼灯・ほおずき

浅草など、あちらこちらで開かれているほおずき市は、江戸時代から続く日本の夏の風物詩。季節になると母が必ず買ってくるほおずきを見ると、赤い身の中から種だけを取り出す遊びに挑戦し、苦味をこらえて膨らませていた幼少の頃を懐かしく思い出します。ある日の晩、ほおずきの赤い外袋に何気なく夕食のお惣菜をそっと入れて、食卓に出してくれた母を素敵だなあと思った記憶があります。
17〜8年ほど前に、海外の黄色い西洋食用ほおずき(ゴールデンベリー)を初めて口にした時は、そのココナッツの風味がする美味しさにびっくりしたものです。今日ではスーパーフードとして知られ、ドライフルーツも手軽に購入できるようになりました。国産の食用ほおずきに北海道で出逢った時の感動も忘れられません。色とりどりの紙風船のような優しい色合いが美しく、嬉しくなってお土産にたくさん持ち帰りました。これから秋にかけてが旬なので、ご興味のある方是非。

7/17

李・すもも・プラム・かき氷

井澤由美子・かき氷・すもも・季・プラム・プルーン

すももは、古来に中国から伝わった日本すもも「プラム」と、ジュースやジャム、ドライフルーツなどに加工されることが多いヨーロッパ原産の西洋すもも「プルーン」の2つに分類されます。日本すももはもぎたては酸味が強く、酸っぱい桃と言う意味合いから「すもも」と呼ばれるようになったそうです。
みずみずしいという言葉がぴったりな甘酸っぱい果肉は、ありそうで他の果物にはなかなかないもの。旬が短いので完熟の実を思いっきり堪能します。保存用には、皮ごと氷砂糖と優しく煮てシロップを仕込みます。ほんのりした淡いピンク色も可愛らしい。
私がかき氷屋さんに率先して足を運ぶのは、限定のすもものシロップがある時期だけ。柏にある三日月さんでは、氷の温度や削り方にもこだわっているので口どけのよいエアリーなかき氷が楽しめます。甘酸っぱいすもものシロップの組み合わせは香り豊かでナチュラル仕上がり、互いを繊細に引き立てます。
すもものクエン酸は肝機能を高め、中医学では血の巡りを良くし精神安定にもよいとされています。

7/15

旅先・お弁当・駅弁・湖北のおはなし・駅弁の日

駅弁・お弁当・旅先・駅弁の日

唐草模様の包みをほどき、竹スダレで覆われた木箱のお弁当箱を開けてみると、その温もり感に思わず笑みがこぼれる。
お献立もちゃんと付いていて、お嫁さんや孫の為におばあちゃんがお弁当を作って持たせてくれたストーリーまで書いてありました、お弁当の名前は「湖北のおはなし」。中身はこんな風です。鴨の粒こしょうロースト、ごまをまぶしたかしわのすき焼き、永源寺の修行僧には欠かせないと言うこんにゃくの田舎煮、大豆と川えびの煮物、卵焼き、ねぎと揚げのぬた、十五夜の小芋、梅干し、山ごぼう、赤かぶの漬物。もっちりした山菜ごはんの下には本物の桜葉が敷いてあり、ほんのりと香ります。サイコロの箱に入ったお口直しの飴まで優しい。
東京から福井出張の折、乗り換えの米原駅のホーム真ん中で井筒屋さんの売店を見つけました。聞けば100年を超える老舗だそう。滋賀県と旧近江国北東部の湖北地方の名産品を詰めた温もりのあるお弁当は、車窓から見える雪景色とリンクしてなんとも風情があり、良い旅になりました。次は「琵琶湖の鮎氷魚と一夜干し」弁当を楽しみたい。ちなみに明日は駅弁の日です

7/14

小豆(あずき)・あずき茶・薬膳・デトックス

あずき・小豆・小豆茶・薬膳

あんまり甘いものが得意じゃない私でも、小豆たっぷりの豆大福などをいただくとホッとして気持ちが穏やかになります。甘みや舌触りもさることながら、身体にたまった余分な湿(水滞・すいたい)を取る小豆を心地よく感じるのかもしれません。湿気が多いこの季節は、特に体内に水分が溜まりやすく、体が重い、頭痛がする、膝などの関節が痛い、睡眠が浅いなどの症状が出やすくなります。
昔から日本で食されている小豆は、湿をとり解毒作用があると言われています。利尿作用も高いのでむくみ解消に有効で、理にかなっていますね。ハトムギやとうもろこしなどもお勧めです。
最近では、食べやすい蒸し小豆なども販売されているので、そのままつまんでおやつにしてもよし、シチューやスープ、サラダに加えても。私はむくみが気になる時は、洗ったあずきをゆっくりから炒りし、煮出したあずき茶を飲用します。

7/10

ズッキーニ・夏野菜・冷凍

北海道・まいにち食薬養生帖・ズッキーニ・夏野菜・農家さん

ズッキーニはきゅうりに似ていますが、西洋南瓜の一種。豊富なカロテンやビタミンCは肌に潤いを与え、体の余分な塩分を排出するカリウムも含んでいます。広大な畑ですくすく育つズッキー二畑にお邪魔しました。バナナのような元気な黄色のズッキーニがたわわです。皮が柔らかく滑らかな肉質なのでそのまま薄切りにし、摘みたてのバジルを加えたビネガードレッシングと和える。体にカロテンとオイルの組み合わせで栄養素を摂取しやすいシンプルレシピです。少し厚めに切って薄い衣にくぐらせて揚げたフリットもお勧め。ライトな仕上がりになるコーン油か米油で揚げて下さい。
畑では他にも、かぼちょやとうもろこし、おくらなどが元気に育っている様子。農家さんの野菜の保存方法は多様で、ザブンと水にくぐらせ、できるだけ空気を抜いて冷凍するそうです。作り手から教わる何気ないけれど真似したくなる野菜の扱い方は、まだまだたくさんあります。

7/9

赤紫蘇ふりかけ・赤しそ・赤しそジュース・蘇陽

紫蘇葉・赤紫蘇・赤潮ジュース・赤しそ・赤紫蘇ふりかけ・ゆかり

すっきりとして、色あざやかな赤しそジュースを毎年仕込みます(レシピは6月12日)。
残った赤しそも活用できます。絞った後のしそは、粗塩、酢各大さじ2を馴染ませて水気をしぼってザルに広げて乾かせば、赤しそのふりかけになります。
漢方では赤しそは蘇陽(そよう)と呼ばれる生薬で咳止めや解熱剤、アレルギー症状の緩和などに使用されます。
赤しそは夏の疲れを癒やし、目の疲れ、視力向上に効果があるとされています。また、赤しそのアントシアニンには美肌効果が、香り成分が胃液の分泌をよくして消化を助けるなどの働きが期待できます。ハッとするほど美しいこの時期だけのジュース、濃縮にして保存すれば長く楽しめます

7/7

素麺(そうめん)・索餅・一夜酒・七夕

七夕素麺・素麺・そうめん・甘酒・一夜酒

お素麺はもともと中国の索餅(さくべい・小麦粉などを練って縄状にした揚げ菓子)が由来。「索餅を備えると流行り病にならない」という中国の故事から、無病息災を祈って七夕にいただく風習が広まりました。

暑い日や、蒸し蒸しする日には食欲も落ち込みますが、冷たい素麺はスルスルと喉を通りやすい。甘辛く煮付けたおあげや蒸し鶏は殊の外よく合いますし、さっとゆでた豚肉、野菜のお浸し、薄焼き卵等を細切りにしたものなどを彩りよくトッピングするとバランスも良くなり食をそそります。その他に、梅干しを漬けた方は梅酢を梅雨に加えてみて下さい、さっぱりとして疲労を回復し食欲を促します。

今年の井澤家の七夕そうめんは、野菜たっぷりの緑の麺つゆにしてみました。ベランダ菜園で育ったしそ、きゅうり、オクラ、梅酢、白醤油をミキサーで混ぜて、酸味がある涼やかな大人向けのめんっゆに。最後に梅肉をあしらいます。
一夜酒(ひとよざけ)と合わせて風情も愉しみます。一夜酒とは一晩で仕込めるからなのか、甘酒のことを示します。
薬味は薬の味と書きますね。みょうが、にんにく、しょうが、しそ、三つ葉、ごまなどそれぞれ薬効があるのでたっぷり添えると、免疫力を上げる手助けをしてくれます。

7/6

スパイス・薬味・生薬・夏の不調

免疫力・薬味・スパイス・生薬・香辛料・井澤由美子・美肌・腸活・料理家・ハーブ

スパイスは植物(果実、根っこ、樹皮、種)から採取して作られ、料理やお茶などに複雑な香りや辛味、色味をつけ、臭みなどを取る為に使います。薬味や生薬など、国や地域で呼び名は違えど、世界中で古くから人々のカラダや心の不調を治してきました。何より食欲増進・消化促進効果が高いもの、、食品を傷みから守る抗菌作用や防腐効果にも優れたものなどもあり、料理以外の用途にも役立っています。旬に出回る身近なスパイスや薬味の薬効を感じながら見直してみると楽しいですね。
雨季や夏の不調を防ぐスパイスと薬味。スパイスを効かせたお料理をいただくと体が活性化するのがわかります。ぜひ日々の食卓に大いに活用して下さい。
これからは桃の季節になりますね。スパイスはデザートにも欠かせません。つやつやの桃のコンポートにほんの少しカルダモンを入れて微かに香らせると、実にエレガントでうっとりします。マガジンハウス「クロワッサン」の薬味とスパイスの特集では、沢山のスパイスをご紹介しています。

7/5

葡萄・ぶどう・美容サラダ

葡萄・ぶどう・ブドウ・眼精疲労・貧血・井澤由美子

世界中でみると約80%の葡萄の生産量はワイン原料になりますが、日本で栽培される葡萄の約90%は食用です。大きく分けると黒、赤、緑の3種、形や大きさ、色など様々です。最近では種無しで皮ごと食べられる葡萄の品種改良が盛んです。葡萄の皮には栄養があり、強い甘みは皮と実の間にあるので丸ごと口に出来るのは嬉しい限りですね。葡萄糖の名からも解るように体内でエネルギーに素早く変換されるので疲労回復に効き、脳も活性化し集中力を高めます。よく洗って冷やした葡萄のみずみずしさはパソコン作業の合間のおやつにもピッタリ、リフレッシュします。薬膳では、赤い皮の葡萄に貧血改善の効果があると言われていますよ。ポリフェノールの一種、アントシアニンには活性酵素を除去し、眼精疲労を改善するなど様々な効能が期待できます。ボウルの上で皮ごと食べられる葡萄を手で割き、酢橘やレモンの果汁、粗塩、オリーブオイル、葉野菜やトマトを混ぜたサラダは美しく体を潤してくれます。