井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

8/29

糠漬け・ぬか漬け・免疫力・植物性乳酸菌・発酵食

ぬか漬け・発酵食・冷やしスープ・夏野菜・ギャバ・漬物・糠漬け

暑い時こそぬか漬け。
あせをかくのでぬか漬けの塩分が美味しく感じます。酸味も心地よく、ひんやり冷えた漬物は格別ですね。
腸には免疫細胞の6〜7割が集中しています。免疫力向上には腸内環境を整えることが大事だとされています。日本の伝統食のぬか漬けは胃酸にも強い植物性乳酸菌がたっぷりで腸に良い食材です。また糠漬けに含まれるギャバには、神経の興奮を抑える効果が期待できるので、夕食時にいただくと安眠出来ると言われています。
ギャバは発芽玄米、納豆、トマト、きのこなどに多く含まれています。
写真は、お手軽水キムチです。発酵が進んで酸味が出たうまみのあるぬか漬けを利用して作ります。昆布だし(濃縮タイプ)を水で薄め、切ったぬか漬け(きゅうりやかぶ、パプリカ)を入れ、好みの調味料で味をととのえると、涼を呼ぶおいしいスープに。腸内環境を改善し、体を元気にしてくれますよ。
腸内の健康状態は体の軸。ヒポクラテス(古代ギリシャの医師)も「すべての病気は腸から始まる」と言っています。腸内環境はアトピーや湿疹などのアレルギー、自己免疫力疾患、感染症、慢性消化器疾患、うつ病、認知症にも関連すると考えられており、第2の脳とも言われます。

8/27

豚肉(ぶたにく)・疲労回復・酢豚

豚肉・酢豚・疲労回復・黒酢

疲れた時や暑い季節は豚肉に限ります。豚肉のビタミンB1は体に効率よく摂取でき、にんにくや玉ねぎなどと組み合わせると疲労回復効果がさらに高まります。調味に酢を使った料理も、クエン酸が疲労回復をサポートするので、夏に食べたくなりますね。特に、パイナップル入りの酢豚は優秀メニュー。豚肉、玉ねぎ、酢を使い、疲労回復が期待できるからだけではありません。ポイントはパイナップル! パイナップルに含まれるたんぱく質を分解する酵素の働きで、豚肉からポークペプチドという物質が作られます。このポークペプチドには、血液中のコレステロールを下げ、脂肪を燃焼する効果があります。酢豚にパイナップルは理にかなっているのです。生のパイナップルが手に入らないときは、ジュースでもOK!(パパイアやキウイにも同様の酵素が含まれます)
酢豚のタレのレシピ(2人分)です。水1カップ、鶏がらスープの素大さじ1、きび砂糖大さじ2、黒酢大さじ3、片栗粉大さじ2、醤油大さじ2、オイスターソース大さじ1半を混ぜながら加熱し、とろみをつける。おろし生姜と醤油で下味をつけて揚げ焼きにした豚肉と旬の野菜、パイナップルを合わせるだけです。

8/26

酢橘・すだち・スダチ・疲労回復・気の巡り

酢橘・すだち・疲労回復・気の巡り・柑橘

青いみかん、青りんご、無花果、オリーブの実など、実りものが生ると嬉しくなります。葉付きの野菜や果物は、飾るだけでもとてもいい雰囲気を演出してくれます。今の時期は庭の酢橘がたわわです。脳がよい香りと爽やかな酸味を想像するのか、その形を見るだけでリフレッシュするような気がします。特に小粒の酢橘は、柑橘の中でもビタミンCの富含有量が多く、クエン酸が疲れをとり、香り成分のリモネンがストレスを軽減してくれます。
今朝は炊きたてのごはんに塩をパラリとふりかけ、もぎたての酢橘をギュッと絞った「酢橘飯」にしました。朝から爽快です。しらすやたらこ、すりごま、しそ、海苔をのせたのっけ小丼、添えた椀ものにも酢橘をひとたらし。皮も削って散らします。
ちなみに、酢橘の名の由来は、食酢として使われていたことからだそう。キリリとしまるその酸味と香りを旬の食材にさっと絞るだけで格別な料理となります。私は、これから出回る秋刀魚の塩焼き、白身のお刺身、土瓶蒸し、梨や柿の他、蕎麦やうどんにもたくさん搾ります。

8/24

レモングラス・ハーブ・Herb

lemon grass・レモングラス・Herb

レモングラスを育てています。レモングラスは虫よけにもなるんですよ。アロマテラピーやアーユルヴェーダ(インド伝承医学)にも使用され、アジアのお料理(スープやカレー、炒め物、煮物等)に欠かせません。レモンに似た香り成分のシトラールはリフレッシュ効果がとても高く、元気ややる気、集中力を高める効能があり、胃腸の調子を整える働きも。私はレモングラスの葉の部分はお茶や入浴剤にしますね。夏の大人BBQ会では清涼感のあるレモングラスの根を軸にしたつくねはどうでしょう(根は叩いて潰して香りを出す。お肉が焼けたらレモングラスを引き抜いて、くるりと葉野菜で巻いて、甘酸っぱいタレをつけて豪快にかぶりつくのです。根の部分は専門店やデパート、ネットなどで購入できます。

8/21

発酵食・甘酒・甘酒ドレッシング

井澤由美子・発酵食・薬膳・漢方・秘湯回復・甘酒・あま酒・あまざけ・発酵食・夏バテ

夏の季語の甘酒。麴甘酒の甘みは、でんぷんが麹菌によって消化しやすいブドウ糖に分解して生まれたもの。体内で素早くエネルギーに変換されるので、夏バテ予防にぴったりです。すだちやレモン、ハーブの香りを加えても飲みやすいですよ。
甘酒が余るときは、私はドレッシングにアレンジします。生姜を皮ごとすりおろし、オリーブオイル、昆布酢、粗塩、甘酒を空き瓶に合わせてシェイクすれば完成。私にとって、ナチュラルな甘みととろみの甘酒は、まるでドレッシングの為にあるような存在。
ミニトマトやフルーツを甘酒ドレッシングであえて、冷やしていただくとスッと疲れがとれますよ。

8/20

素麺・冷麦・そうめん・素麵つゆ

そうめん・素麺・酢橘素麺・

原料は同じ小麦粉の素麺と冷麦、麺の太さで呼び名が変わります。1、3mm以下が素麺、1、3〜1、7mmまでが冷麦、それを超えるとうどんとなりますが、手作業の手延べ素麺は1、7mm未満なら素麺あるいは冷麦とどちらで呼んでよいそうです。もともと素麺は練った生地を手で伸ばして作られたのが(手延べそうめん)、冷麦は練った生地を薄く伸ばして包丁で切った(手打麺)でしたので製法が違いました。いつしか機械製麺されるようになり、区別しにくくなったのでJASの規定が定められました。クイックですが本格的なそうめんつゆの作り方です・小鍋に水2カップ、昆布1切れ、かつをぶし一掴みを入れる。沸騰直前で中弱火にし、醤油50cc、本みりん大さじ2半を入れコトコト10分ほど弱火で煮る。ボウルにこし、底を氷に当てて冷ませば出来上がり。素麺を表示通りに茹でたら、素早くザルに入れ流水で洗い、氷水をはったボウルでぬめりをとるようにしっかりもみ洗いをする。キリッと冷たい手延べ素麺、鰹節香るたっぷりの出汁に削った青ゆずの皮や山椒の実を散らす。心身共に清々し、暑さと日々の疲れを癒してくれます。

8/19

与論島・オクラ・島オクラ

オクラ・おくら・夏野菜・井澤由美子・料理家・発酵食・健康ごはん

以前旅した与論島の農家のお母さんに、オクラは生で刻んで食すと聞いてびっくりしました。よく見ると産毛が無くてツルリとしています。一般に関東に出回るオクラより、この時期に沖縄、鹿児島に出回るオクラは大きいのに柔らかく、生食にも向いているようです。よく見る5角形のオクラに加えて、丸いタイプや赤オクラも収穫できるそう。オクラは塩で少しもんで、熱湯で(中の種が出ないくらい)茹でると、強い粘りと甘みが引き出されて美味しい。塩茹でしただけのシンプル調理ですが、島の粗塩とおろした生姜やわさび(これは持参)で堪能。島ではオクラばかり食べていました。オクラはカロテンやカルシウムなど食物繊維を多く含み、疲労回復効果も期待できるので夏バテ予防にも良いですね。粘り気のある野菜はそのまま炭火やグリルで香ばしく焼くのもお勧め。
そういえば、島根県の道の駅で買った黄色いオクラの花を酢の物にし、角寿司(島根県の郷土料理)を作った事を思い出しました。オクラの黄色花にも粘りがありますよ。

8/18

茗荷・みょうが・薬味・ピクルス

茗荷・みょうが・薬味・夏野菜

夏の薬味に欠かせない茗荷。香り成分には発汗作用があるので血行を良くし、消化をよくする効能も期待できます。色も美しいので、何かとお料理のアクセントになりますね。3〜4月頃が旬の茗荷竹は若い頃の茎で、天麩羅に美味しいですよ。7月ごろの早(わせ)茗荷は比較的小ぶりで、八月に入ると赤く丸みを帯びて秋茗荷となります。冷奴、そうめん、刺身のツマなどに添えると清々しさが演出できます。みょうがは刻み方で香りや食感の表情が変わります。刺身のツマにする時は、横薄切りにして水に5分ほどさらします。繊維を断ち切ると香りが立ちやすくなるのです。
縦に切るとしゃきしゃきとした歯ざわりが楽しめるので、生でサラダや和え物などで。縦半分切ってさっと茹で、熱い内に甘酢に漬ければ鮮やかに発色し、日持ちするピクルスになります。これを刻んでご飯に混ぜれば即席のお寿司がすぐに作れます。茗荷をつけた甘酢に焼き鮭やじゃこをくぐらせてご飯に混ぜると、さっぱりとした旨味が加理、食欲がない日にも箸が進みます。

8/17

にんにく・黒にんにく・免疫力・発酵食

井澤由美子・発酵食・黒にんにく・免疫力・黒にんいくの作り方

黒にんにくは、普通のにんにくを熟成発酵させたもの。抗酸化作用が高くなり、もともと様々な健康効果が期待できるにんにくがさらにパワーアップ。特有の強いにんにく臭が抜け、プルーンのように甘く、優しい風味で微かな酸味で食べやすくなります。皮をむいてそのままいただきますが、スプーンで簡単にペースト状になるくらい柔らかいので、マヨネーズやマスタード、バターとまぜてパンにぬったり、ソテーした肉のソース、焼肉の下味つけ、醤油を使った煮物に加えても。
体調管理は先手必勝で、免疫力を上げるには黒にんにくが大活躍。夏バテや体調をすぐれないとき、風邪の予兆で喉の痛みを感じる時など直ぐに食べてケアします。
実は作り方も簡単。普段使わない炊飯器などを活用します。内釜に直接あたらないようににんにくを皮付きのままオーブンペーパーなどで包んで入れます。炊飯器を保温に設定し、10〜15日間入れておくだけです(加熱するとにんにく臭が立ち込めるので、置き場所はよく健闘を)。

8/17

にんにく・黒にんにく・免疫力

井澤由美子・発酵食・黒にんにく・免疫力・黒にんいくの作り方

黒にんにくは、白いにんにくを熟成発酵させたもの。抗酸化作用が高くなり、もともとパワーが強いにんにくが更に高い効能に。特有の強いニンニク臭が抜け、プルーンのように甘く、優しい風味で微かな酸味がとても食べやすい。皮をむいてそのままいただきますが、スプーンでも簡単にペースト状になるくらい柔らかいので、マヨネーズやマスタード、バターとまぜてパンにぬったり、お肉などのソース、焼肉の下味つけ、醤油を使った煮物にポンと加えても。
夏バテや体調を崩しそうになったり、喉に痛みを覚えた時など直ぐに口に入れてケアします。
作り方も簡単、普段使わない炊飯器などがあれば保温に設定し、皮付きにんにくを入れ、釜にあたらにように耐熱紙などをかぶせて10〜15日間入れておくだけです(過熱するとニンニク臭がするので、倉庫や物置きなどだとよいですね)。体調管理は先手必勝、免疫力を上げておきます。