井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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蒟蒻(こんにゃく)・腸整作用・温活

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サトイモ科の蒟蒻芋は中国から伝わりました。ゴツゴツした芋で、収穫されてからしばらく貯蔵されてから初めて調理工程に移ります。精進料理など日本でも古くから調理されており、僧侶の大切な栄養源でもありました。
お腹の掃除機と言われるほど腸整作用が高いこんにゃくは、グルコマンナン(食物繊維)が豊富、コレストロールも下げるので生活習慣病予防に有効です。薬膳では利尿作用があるとされており、泌尿器科系の治療に使用されます。数年前に生芋(こんにゃく芋)からこんにゃくを作るお手伝いをさせて頂きました。ご自分の畑でも作られる美味しい芋の見分け方や、蒟蒻作りでも芋によって微妙に配合を変える感覚などを教わりましたが、1度や2度では習得できません。出来上がったこんにゃくは、うっすらとした桃色、もっちりとしているけれど歯切れがよい食感が絶品、蒟蒻好きにはこたえられません。
昔ながらの民間療法の温活方です。蒟蒻を20分ほどしっかり茹でて、やけどしない程度に布で包みます。胃腸周りや、首、肩、腰などの痛みが気になる部分にゆっくり湿布すると、じんわり温まりコリや痛みが軽減します。

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茶碗蒸し(ちゃわんむし)・梅干し茶碗蒸し

今日は東京でも雪が降る予報です。こんな時に特に美味しい熱々のふるふる茶碗蒸しの作り方をご紹介します。ここぞとばかり沢山の鰹ぶしを使って濃いめの出汁を360ccとります。粗塩3つまみ、みりん小さじ1、醤油小さじ1〜2をよくといた卵L2個分に加え混ぜ、耐熱の器に入れる。いつものように切り身魚やきのこなどお好みの具材でもよいのですが、究極シンプル大粒梅干し1、2個だけを入れてみて下さい、梅干しの塩気がほんのり全体に広がり実に慈悲深いお味、胃を休めたい時や、風邪気味時などにもお勧め。鍋に湯を沸かし器を入れ、布を巻いたふたをして雫が落ちないようにし、固まるまで弱火でゆっくり蒸します。胃にやさしくとても温まりますよ、出汁は味わい深いだけでなく、肌を綺麗にします。

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鏡開き(かがみびらき)・鏡持ち・お餅

今日は、年神さまに長寿や開運を願ってお供えした鏡餅を下げ、感謝して食す日。刃物は縁起が悪いので叩いて細かくしますが「切る、割る」言葉は縁起が悪いので「開く」とされています。綿棒などで割ったお餅を、水につけてふやかしておくと調理しやすくなります。カビをみかけたらその部分を削りましょう。お雑煮にする、ご飯を炊く時に少し加える、お正月の余った黒豆でお汁粉にするなど温かい料理でいただきます。細かく割れた部分は、カリカリに乾燥しているので、水に戻さず揚げてあられにします。塩や青海苔、七味を振ってそのままつまんでも美味しいですが、つゆを張ったお椀に浮かべるのも粋な楽しみ方です

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白木耳(シロキクラゲ)・美容食・美肌・薬膳

薬膳デザート・白木耳・しろきくラゲ・美肌・美容食・漢方

白キクラゲは肌を潤す効果が高いので薬膳では貴婦人の美容食と呼ばれています。滋養強壮作用も高く、食物繊維もとても豊富です。日本では乾燥ものが一般的ですが、生の白キクラゲ(ヒダのあるもの、耳を大きくしたような形の銀耳)も栽培されていて、ネットなどで購入できます。スーパーで見かける白キクラゲを購入する時は、出来れば大ぶりのものを選びましょう。一般的にはさっと茹でて中華のデザートなどに多く見られる白キクラゲですが、サラダや酢の物にも良いものです。効能があり美味しい食べ方ですが、たっぷりの水で1時間半くらいコトコトゆっくり煮て充分なとろみが出るまで下茹でします。肌を潤したい時は、手羽先、セロリ、生姜薄切り、黒胡椒を加えて更に煮込み、じゃが芋やカリフラワーなどと合わせてさらなる美肌スープに。デザートには、杏仁粉と氷砂糖、ミルク(好みで生クリームを加える)と合わせて、咳止めを担った美味しいデザートにしても。写真はたっぷりの柑橘シロップと柿を合わせた体が潤うデザートです。

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ひじき

ひじき、にんじん、レバーを煮たお惣菜は貧血気味や抜け毛が気になる方、骨粗症予防に特にお勧めです(年頃の女子たちにも)いつも常備しておくと良いですね。玉ねぎとひじきを合わせたサラダを、酢で和えるとカルシウムを身体に吸収しやすくなります(おまけに血液をサラサにする効果も高まる)。ひじきはカルシウム、食物繊維、鉄分、マグネシウム、亜鉛、ビタミンなどを含む栄養価の高い食材、手軽に戻せるので卵焼きやお味噌汁に入れるなどこまめに加えます。中医学では黒い食材は腎機能を高めると言われており、老化防止・エイジングケアに有効です。
昔の乾燥ひじきは鉄釜で炊いていたので、より多く鉄分が含まれていたようですが、どちらにしてもその他の栄養素が高いのと美味しいので私のお惣菜登場率は高く、とても重宝しています

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アカモク・海藻

アカモク・海藻・ギンバ・フコイダン

1月中旬から2月をピークに採集されるアカモク。以前取材に行った、福井県の漁師さんに採れたての海藻を今年も送っていただきます。めかぶ付きのワカメとアカモクがどっさり。アカモクはよく水で洗って、手でしごくようにして硬い軸は取り、熱茹で湯で、ザルに上げて冷水ですすいで、ザルに30分置いて下処理します。アカモクは地域によって呼び名が変わり、新潟県ではナガモ、ギバサは秋田県特有の呼び名、島根沖の離島ではしじゅっぴろ、と呼ばれています。茹でると強い粘りがでるので、海の納豆とも呼ばれていますよ、実際細に細かく叩いて納豆と和えていただくと栄養価が高くなり、美味しくいただけます。
じゃこと合わせて酢の物にすると鉄分とカルシウムが効率よく摂取できます。栄養素は粘り気のフコイダン始め、ミネラル等が豊富。免疫力を活発にし、花粉症予防にも有効な海藻だそう。旬は短し、堪能します。


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七草粥・(ななくさがゆ)・お粥の炊き方・食養生

食養生・薬膳・お粥・七草粥・七草粥の作り方。食養生・無尿息災。土鍋

七草粥は無病息災や健康長寿を願っていただくお粥です。元は中国の「人日の節句」で「七種菜羹」とい言う温かい汁物を食べる風習が伝わり、日本の「若菜摘み」と結びついたと言われています。
春の七草(スズナ(蕪)・スズシロ(大根)・セリ、ナズナ(ペンペン草)・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ)で七草入りの粥を「朝」作ります。スズナやスズシロは叩き(切っても)、葉ものも食べやすく切ります。今日はお粥の粒先がひらくような食感のよい作り方をご紹介します=米半合は洗って、できればザルにひろげて30分ほど乾かします。鍋にお米の10倍量の湯を沸騰させて米を入れ、ひと混ぜだけする。再度煮立ったら米油か菜種油を小さじ半ほど加えフタをして弱火でゆっくり25分ほど炊き、切った七草を入れ5分煮て5分蒸らします。最後に粗塩2つまみを加えると塩梅よく、みずみずしい仕上がりになります。
七草粥はお正月のご馳走や祝い酒などで疲れた胃を休めることも目的です。朝粥は普段の朝食にもお勧めです、胃にもたれず元気がでるので1日のスタートにもふさわしい食事と言えますね。

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大根(だいこん)・胃もたれ・食養生

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昨日は小寒でしたね、寒さが厳しくなります。こんな季節は、熱々の厚切り大根の煮物やおでんなどが染み入りますね。少し厚めに皮を剥いて、下茹でしてから煮ると余分なアクや雑味が消えます。煮物に適しているのは真ん中の部分、柔らかく旨味があります。上の方はビタミンが多くシャキシャキしているのでサラダなどに良いですね、下の方は酵素が特に多く辛味があるのでおろしに向いています。大根おろしは胃もたれによいものですが、薬膳的には興奮状態を押さえたり、ストレスを感じだ時に気持ちを落ち着かせる効果も期待できます。葉にはビタミンC、カリウムがたっぷり、よく洗ってみじん切りにして塩もみしていただきます。胡麻油やオリーブオイルで炒めると、抗酸化作用のカロテンの吸収率がアップ。沢庵などを漬けるとき、葉付きのまま干しますが、乾いた葉っぱは食べる以外にも活用できます。大根葉(干葉・ひば)を、お風呂に入れ体を温める民間療法がありますね。

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白菜(はくさい)・オレンジ白菜・冬野菜

井澤由美子・シチュー・白菜・養生三宝・薬膳・畑仕事・冬野菜・ハクサイ

白菜は水分が多く低カロリー。ビタミンC、マグネシウム、カルシウム等を含み、食物繊維たっぷりの冬の代表野菜です。胃腸に優しく二日酔いにも酔いそう、たっぷりいただきましょう。フライパンを中火にかけてごま油大さじ1をなじませ、豚バラ肉100gを炒めて一度とり出します。生姜みじん切り大さじ1、ネギ薄切り5cm分、豆板醤と甜麺醤各小さじ1を入れ香りがでるまで炒めたら、白菜2枚分をざく切りにし、芯の部分から炒めます。脂がまわったら豚肉を戻して酒。醤油、きび砂糖少々で味を整える。熱を加えると芯の部分はとろりとして甘さも増しますね。
写真は千葉の畑から採取して来た小ぶりのオレンジ白菜、栄養価もちょっぴり高くサラダなど生食にも向いています。下茹でして重ね、クルクルと海苔巻きのように丸めて輪切りにしてからお鍋や煮物に入れると、一手間ですが鍋中が華やかになり、いつも歓声が上がります。

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葱(ねぎ)・葱白(そうはく)・冷え・風邪予防

ねぎの美味しい季節です、しっとりと煮えた下仁田ねぎなど甘みが最上でこたえられません。
ね。ぎの白い部分は葱白(そうはく)という生薬でもあり、体を温める薬効が高いのです。咳や痰、喉や関節の痛みなどの症状にも有効で、炎症をおさえて痛みや熱を取りのぞく効果があり、焼いて喉に巻くなどの民間療法も昔から日本には伝わっています。
ねぎは辛味のある野菜ですが、加熱調理をすると柔らかくなり甘みが出て食べやすくなります。寒邪(かんじゃ)から身を守る風邪の特効薬でもあるので寒い日に沢山いただきたいですね。冷えが大敵な風邪のひき始めや肩こりがひどい時は、血のめぐりをさらに良くする食材と合わせて相乗効果を狙います。ねぎとビタミンb1を含む豚肉やラムなどを、油を使って炒めたり蒸したりする調理法は体に効率よく吸収できるので、特におすすめです。