井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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春キャベツ・乳酸キャベツ・快腸美肌・発酵食

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柔らかな春キャベツが出回っています。
乳酸キャベツは、シュークルートやザワークラウトと同じ発酵キャベツの漬物で、井澤家の呼び名です。
基本材料はキャベツ、粗塩、きび砂糖の3つ。細切りキャベツ(1個)1Kg、塩小さじ4〜5、きび砂糖小さじ2を馴染ませ、重石をして常温で2、3日たったら清潔な保存容器に入れて冷蔵庫へ。お好みで唐辛子や粒こしょう、カルダモン、キャラウエイやクミンなどのスパイスなどを加えてもよいですね。
発酵食は単体で口にするより食物繊維を足すことにより、腸を整えやすくなります。乳酸キャベツは発酵食でありながら、食物繊維、ビタミン類なども豊富。一つでまかなえる優れたお漬け物で、一番シンプルな発酵食だと思います。簡単なのでぜひ手作りしてみて下さい。毎日食べると、自分の体が変わるのが実感できます。

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新じゃが芋・じゃが芋・美肌

水分量が多くみずみずしい新じゃが芋。栄養は皮の近くに有ります。新じゃが芋は皮も薄く柔らかいので、炒め物や煮物などぜひまるごと調理してください。一番のお勧めの食べ方は、シンプルな粉ふき芋。皮をタワシで擦り洗いしたじゃが芋を、水から入れて低めの温度(60度)でゆっくり塩茹でします。じゃがい芋の澱粉が酵素によって分解され、甘みが増します。火が通ったら余分な湯を捨てて水分を飛ばし、皮がパンと弾けるように粉ふき状態にすると、じゃが芋のホクホクとした食感を味わえます。
もう一つお勧めの食べ方です。新じゃが芋をごくごく細切りにして水に放し、さっと茹でて冷水で〆るとシャキシャキ食感に。薄い麺つゆ程度の浸地につけたりや酢の物にしていただく和風の食べ方もいいですし、オリーブオイルと柑橘のドレッシングや、中華風の辛味ダレなど気分で楽しみます。
新じゃが芋は、普通のジャガ芋よりビタミンCが豊富です。ビタミンcはコラーゲンの生成にかかわるのでコラーゲンと多い食材と一緒に調理すると美肌効果がアップします

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玉蜀黍・トウモロコシ・コーン

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トウモロコシは世界三大穀物の一つ。日本では夏が旬ですが、地域によって多少異なります。
暑い沖縄では、今が旬のトウモロコシ。糖度が高くて生でも食べられ、みずみずしく口に含めばその甘さにビックリします。
剥きたて削ぎたてをサラダ、天ぷら、ピクルスにと、下処理なしで堪能したほうが醍醐味を味わえます。トウモロコシや枝豆は鮮度が命。手元に来たら直ぐに調理して、この美味しさを損なわないようにします。茹でる時は、ひげ根と一緒に加熱しましょう。煮物やスープ、炊き込みごはんにする時は、芯も加えて調理すると更に美味しさが増します。
トウモロコシは繊維が豊富で腸整作用も抜群。葉酸やカリウムを含むみ利尿作用があるのでむくみにも有効です。韓国にはトウモロコシのひげ茶がありますね。ほんのり甘くてノンカフェインで、美容にもよいそうです。
美味しいトウモロコシの見極めポイントを農家さんに伺いました。持った時に重めで、ひげにボリュームがあって茶色くなっているものは熟していて、粒もぎっしり詰まっている長です。購入時の目安にして下さい。

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大蒜(にんにく)・新にんにく・薬味

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新にんにくが出まわる頃になりました。中医学ではにんにくは、脳と五臓の機能を活性化し、腫れ物や解毒の改善、血の巡りをよくする食材とされています。風邪のひき始めで、白い鼻水が出る時は体が冷えています。そんな時は、体を温めるにんにくを食べるのがお勧めです。免疫力を高めたり、体力を回復する効果も期待できますよ。
この時期のにんにくは、香りの薬味や香辛料というより、野菜として調理したくなります。たっぷりの新にんにくを薄切りにして、小松菜や空芯菜とごま油でサッとソテーすると、シャッキリした歯触りを堪能出来ます。
にんにくを酢やオリーブオイル、にんにく、みそに丸のまま漬けると美味しく、また保存がきいて重宝します。
大蒜の字の蒜(ひる)は食用になるにんにく、ノビル、ねぎなどの古名です。ノビルと区別するために、にんにくを(おおひる)と称し、生薬名は(たいさん)。ちなみに無臭にんにくやジャンボにんにくは、本当はポロねぎ(リーキ)の仲間だそうです。

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しらす・ちりめんじゃこ・小魚

しらす・じゃこ・小魚・カルシウム

カルシウムたっぷりのしらす。カルシウムの吸収を助けるビタミンDも含んでているので、骨の強化にうってつけの食材です。また、脳の神経細胞を活性化するとされるDHAも豊富です。
しらすとは、イカナゴ、ウナギ、アユ、ニシン、マイワシ、ウルメイワシなど、白や透明無色の稚魚です。マイワシやウルメイワシも流通していますが、いわゆるしらすのほとんどは、かたくちいわしの稚魚(アンチョビや煮干しなどもかたくちいわし)。しらすは釜茹でされたもの、しらす干しを更に乾燥させたものがちりめんじゃこですが、地方によって呼び名は多少異なるようです。通年出回りますが、春と秋が産卵のピーク。新鮮な生しらすが手に入ったらぜひ試していただきたいレシピがあります。バケットに、にんにくの切り口をこすりつけて、塩とオイルをふってカリカリにトーストする。生しらすをたっぷりのせ、オイルをふってほうばって下さい、ヨーロッパ風の食べ方です。
生しらすは自分で塩茹でするとふんわりと優しい口当たり。たっぷりの釜揚げしらすを具にして、炊きたてのご飯でおむすびにも最高です。しらすや小魚は、酢と合わせるとカルシウムの吸収がよくなるので、酢の物にも適しています。

5/12

新生姜・しんしょうが・ガリ・甘酢漬け

色白でみずみずしい新生姜を甘酢漬けにしておくと便利。瓶などで保存するとほんのりしたピンク色が美しい。
ガリを口にすると口中がスッキリし、食欲が湧きます。つけ汁と共に胡麻とごはんに混ぜれば簡単ちらし寿司などが直ぐにできます。抗菌作用があり、防腐効果もグンと上がるので、蒸し暑くなるこれからの季節やお弁当にもオススメです。疲労回復効果もありますよ。
新生姜の甘酢漬けの作り方です。新生姜280gは皮付きのまま使います。汚れがあればスプーンの背などで皮をこすり取ってごく薄く切ります。熱湯にさっとくぐらせてしっかり水気を絞り、甘酢(酢100cc、きび砂糖大さじ4、粗塩大さじ半強)に漬ける。消毒した密封容器に入れ、冷蔵庫で3ヶ月はゆうに持ちます。
毎年大量の新生姜の甘酢漬けを作りますが、この甘酢漬け以外に私は砂糖を入れない酢漬けも作り置きします。こちらは新生姜を少し厚めにスライスするのがポイントです。

5/10

桜海老・桜えび・カルシウム

カルシウム・桜海老・桜えび・アスタキサンチン

静岡県駿河湾の桜えびを毎年楽しみにしていますが、今年は不作だそうで残念です。海の宝石とも言われる桜えびは、透き通ったルビー色でとても美しい。6月上旬までが旬だそう(秋の漁もある)。茹でた桜えびはカルシウムは牛乳の6倍あり、抗酸化作用があるアスタキサンチンも豊富で、美肌効果も期待できます。
素干しや釜揚げなどに加工品も便利ですが、生を生姜醤油やレモン醤油でストレートにいただいくのもオツ。余った分は、卵とじや汁物、フリットで楽しみます。一番好きな食べ方に、桜えびおこわがあります。桜えびは水気をしっかりとふき、ごくごく薄く片栗粉を振ってカラリと揚げ、塩をふる。ゆかり、刻んだカリカリ梅、山椒の葉、すりたてのごま少々と桜えびをたっぷりと混ぜたおこわは、彩りもよく香ばしくて絶品、時間が経っても美味しいのでお弁当にも。

5/9

玉葱・たまねぎ・玉ねぎ・新玉葱・オニオン

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玉ねぎの旬は春と秋の2回。玉ねぎは血流を良くし体を温める作用があります。また、玉ねぎとにんにくに含まれる辛味成分の硫化アリルは、ビタミンB1の吸収を助けるので、豚肉などと合わせるポークシチューや生姜焼きは理想的なおかずです。玉ねぎに含まれる硫化アリルは血栓をできにくくし、動脈硬化や高血圧を予防する効果が期待できます。また、中医学では、胃の働きを助けるので胃もたれの改善にも役立ちます。
オニオンスライスなど、玉ねぎを生で食べる時に水に放しますが、3分以内にして硫化アリルの流出を防ぎます(新玉ねぎは水にさらさずそのまま食すとよい)。鰹節をふるだけで美味しさが増します。ぜひフライパンで鰹節をサクサクに乾煎りして、たっぷりふって下さい。香りがたって食感のコントラストなどが楽しめます。
玉葱は火を入れると甘みが増しますが、時短技を知っていると便利。シチューやカレーに入れる時は、皮を剥いた玉ねぎを丸ごとをラップに包んで6〜8分ほどレンジ加熱して加えると、煮込み時間の短縮になります。

5/8

発酵調味料・酢・ビネガー・薬膳酢

食養生・薬膳・ビネガー・酢・薬膳酢・発酵調味料・クコ

今日は身体の疲れをとり、心も癒すお酢のお話です。
酢は世界最古の発酵調味料と言われており、万葉集にも登場します。みそ、醤油と並ぶ日本の食文化を支えてきた伝統的な発酵調味料。いろいろな国で、その土地に根付いたお酒から酢が作られており、名前の由来も判りやすい。例えば日本の酢は酒から作られるので、酒偏で酢。フランスの ビネガーはvin(ワイン)、イギリスのモルトビネガーのモルトは麦芽からできているというように。
果物や野菜から作られる酢もあり、その原料はみかんや玉ねぎ、紅芋など多様です。例えばりんご酢は日本に限らず世界中にあります。私は基本的に米だけで作られている米酢を愛用していますが、酒粕を原料とした赤酢や葡萄から作られるバルサミコ酢など、日々料理やドリンクに使い分けて楽しんでいます。
酢には血行をよくする効果や、内臓脂肪を燃焼、疲労を回復などの効能が期待できます。また酢にはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。
カルシウムを含む昆布を酢に漬けた昆布酢はお勧めですよ。さらに私はそれにクコ(コジベリー)を加えた薬膳酢を愛用しています。
クコからナチュラルな甘みがでて使いやすい。クコはスーパーフードで、酢と組み合わせると肝の働きをケアしてくれるという嬉しい効果も。
ちなみにクコは目にも良いです。

5/7

筍・竹の子・たけのこ

井澤由美子・食養生・山菜・春野菜・筍・たけの子・竹の子・山菜

この時期だけは茹でたての筍を売っているスーパーや八百屋さんなどでもあります。筍を香ばしく醤油風味に焼いて木の芽と合わせるともうたまりませんね。日本では昔から食つずけている旬の味ですから、DNAも手伝うのか、この時期は無性に食べたくなります。
筍はなんと言っても繊維が豊富。食物繊維は体の老廃物を排出し、コレステロールの吸収を抑え腸内環境を整えます。茹でた時に断面に現れる白いものはチロシンといい、脳を活性化させる効果が期待できます。竹皮には防腐効果や殺菌作用があるので、昔はおむすびを包んで腐敗を防いでいました。
掘り立ての筍はお刺身もお勧めです。旬の息吹を感じられ、食べてもアクをあまり感じません。収穫から時間が経った筍は、アク抜きが必要になります。購入したら直ぐに下処理しましょう。筍の皮を数枚むき、穂先を斜めに4、5cm落とし、剥きやすいように縦に浅く切り込みを入れます。大きめの鍋に筍とたっぷりの水を入れ、米ぬか1カップ(または重曹大さじ1、あるいは水の代わりに米のとぎ汁を使う)。赤唐辛子2本を加えて、落し蓋や厚手のキッチンペーパーをかぶせて煮立ったら中弱火にして(大きさによる)1〜2時間程下茹でします。火を止めてそのまま冷ます。
成長の早い筍。この時期はそのパワーを色々な調理法で楽しみながらいただきます。