井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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大蒜(にんにく)・新にんにく・薬味

井澤由美子・食養生・健やかな食卓・発酵食・まいにち食薬養生帖・にんにく・新にんにく・薬味・たいさん・薬膳

新にんにくが出まわる頃になりました。中医学ではにんにくは、脳と五臓の機能を活性化し、腫れ物や解毒の改善、血の巡りをよくする食材とされています。風邪のひき始めで、白い鼻水が出る時は体が冷えています。そんな時は、体を温めるにんにくを食べるのがお勧めです。免疫力を高めたり、体力を回復する効果も期待できますよ。
この時期のにんにくは、香りの薬味や香辛料というより、野菜として調理したくなります。たっぷりの新にんにくを薄切りにして、小松菜や空芯菜とごま油でサッとソテーすると、シャッキリした歯触りを堪能出来ます。
にんにくを酢やオリーブオイル、にんにく、みそに丸のまま漬けると美味しく、また保存がきいて重宝します。
大蒜の字の蒜(ひる)は食用になるにんにく、ノビル、ねぎなどの古名です。ノビルと区別するために、にんにくを(おおひる)と称し、生薬名は(たいさん)。ちなみに無臭にんにくやジャンボにんにくは、本当はポロねぎ(リーキ)の仲間だそうです。

5/13

しらす・ちりめんじゃこ・小魚

しらす・じゃこ・小魚・カルシウム

カルシウムたっぷりのしらす。カルシウムの吸収を助けるビタミンDも含んでているので、骨の強化にうってつけの食材です。また、脳の神経細胞を活性化するとされるDHAも豊富です。
しらすとは、イカナゴ、ウナギ、アユ、ニシン、マイワシ、ウルメイワシなど、白や透明無色の稚魚です。マイワシやウルメイワシも流通していますが、いわゆるしらすのほとんどは、かたくちいわしの稚魚(アンチョビや煮干しなどもかたくちいわし)。しらすは釜茹でされたもの、しらす干しを更に乾燥させたものがちりめんじゃこですが、地方によって呼び名は多少異なるようです。通年出回りますが、春と秋が産卵のピーク。新鮮な生しらすが手に入ったらぜひ試していただきたいレシピがあります。バケットに、にんにくの切り口をこすりつけて、塩とオイルをふってカリカリにトーストする。生しらすをたっぷりのせ、オイルをふってほうばって下さい、ヨーロッパ風の食べ方です。
生しらすは自分で塩茹でするとふんわりと優しい口当たり。たっぷりの釜揚げしらすを具にして、炊きたてのご飯でおむすびにも最高です。しらすや小魚は、酢と合わせるとカルシウムの吸収がよくなるので、酢の物にも適しています。

5/12

新生姜・しんしょうが・ガリ・甘酢漬け

色白でみずみずしい新生姜を甘酢漬けにしておくと便利。瓶などで保存するとほんのりしたピンク色が美しい。
ガリを口にすると口中がスッキリし、食欲が湧きます。つけ汁と共に胡麻とごはんに混ぜれば簡単ちらし寿司などが直ぐにできます。抗菌作用があり、防腐効果もグンと上がるので、蒸し暑くなるこれからの季節やお弁当にもオススメです。疲労回復効果もありますよ。
新生姜の甘酢漬けの作り方です。新生姜280gは皮付きのまま使います。汚れがあればスプーンの背などで皮をこすり取ってごく薄く切ります。熱湯にさっとくぐらせてしっかり水気を絞り、甘酢(酢100cc、きび砂糖大さじ4、粗塩大さじ半強)に漬ける。消毒した密封容器に入れ、冷蔵庫で3ヶ月はゆうに持ちます。
毎年大量の新生姜の甘酢漬けを作りますが、この甘酢漬け以外に私は砂糖を入れない酢漬けも作り置きします。こちらは新生姜を少し厚めにスライスするのがポイントです。

5/10

桜海老・桜えび・カルシウム

カルシウム・桜海老・桜えび・アスタキサンチン

静岡県駿河湾の桜えびを毎年楽しみにしていますが、今年は不作だそうで残念です。海の宝石とも言われる桜えびは、透き通ったルビー色でとても美しい。6月上旬までが旬だそう(秋の漁もある)。茹でた桜えびはカルシウムは牛乳の6倍あり、抗酸化作用があるアスタキサンチンも豊富で、美肌効果も期待できます。
素干しや釜揚げなどに加工品も便利ですが、生を生姜醤油やレモン醤油でストレートにいただいくのもオツ。余った分は、卵とじや汁物、フリットで楽しみます。一番好きな食べ方に、桜えびおこわがあります。桜えびは水気をしっかりとふき、ごくごく薄く片栗粉を振ってカラリと揚げ、塩をふる。ゆかり、刻んだカリカリ梅、山椒の葉、すりたてのごま少々と桜えびをたっぷりと混ぜたおこわは、彩りもよく香ばしくて絶品、時間が経っても美味しいのでお弁当にも。

5/9

玉葱・たまねぎ・玉ねぎ・新玉葱・オニオン

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玉ねぎの旬は春と秋の2回。玉ねぎは血流を良くし体を温める作用があります。また、玉ねぎとにんにくに含まれる辛味成分の硫化アリルは、ビタミンB1の吸収を助けるので、豚肉などと合わせるポークシチューや生姜焼きは理想的なおかずです。玉ねぎに含まれる硫化アリルは血栓をできにくくし、動脈硬化や高血圧を予防する効果が期待できます。また、中医学では、胃の働きを助けるので胃もたれの改善にも役立ちます。
オニオンスライスなど、玉ねぎを生で食べる時に水に放しますが、3分以内にして硫化アリルの流出を防ぎます(新玉ねぎは水にさらさずそのまま食すとよい)。鰹節をふるだけで美味しさが増します。ぜひフライパンで鰹節をサクサクに乾煎りして、たっぷりふって下さい。香りがたって食感のコントラストなどが楽しめます。
玉葱は火を入れると甘みが増しますが、時短技を知っていると便利。シチューやカレーに入れる時は、皮を剥いた玉ねぎを丸ごとをラップに包んで6〜8分ほどレンジ加熱して加えると、煮込み時間の短縮になります。

5/8

発酵調味料・酢・ビネガー・薬膳酢

食養生・薬膳・ビネガー・酢・薬膳酢・発酵調味料・クコ

今日は身体の疲れをとり、心も癒すお酢のお話です。
酢は世界最古の発酵調味料と言われており、万葉集にも登場します。みそ、醤油と並ぶ日本の食文化を支えてきた伝統的な発酵調味料。いろいろな国で、その土地に根付いたお酒から酢が作られており、名前の由来も判りやすい。例えば日本の酢は酒から作られるので、酒偏で酢。フランスの ビネガーはvin(ワイン)、イギリスのモルトビネガーのモルトは麦芽からできているというように。
果物や野菜から作られる酢もあり、その原料はみかんや玉ねぎ、紅芋など多様です。例えばりんご酢は日本に限らず世界中にあります。私は基本的に米だけで作られている米酢を愛用していますが、酒粕を原料とした赤酢や葡萄から作られるバルサミコ酢など、日々料理やドリンクに使い分けて楽しんでいます。
酢には血行をよくする効果や、内臓脂肪を燃焼、疲労を回復などの効能が期待できます。また酢にはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。
カルシウムを含む昆布を酢に漬けた昆布酢はお勧めですよ。さらに私はそれにクコ(コジベリー)を加えた薬膳酢を愛用しています。
クコからナチュラルな甘みがでて使いやすい。クコはスーパーフードで、酢と組み合わせると肝の働きをケアしてくれるという嬉しい効果も。
ちなみにクコは目にも良いです。

5/7

筍・竹の子・たけのこ

井澤由美子・食養生・山菜・春野菜・筍・たけの子・竹の子・山菜

この時期だけは茹でたての筍を売っているスーパーや八百屋さんなどでもあります。筍を香ばしく醤油風味に焼いて木の芽と合わせるともうたまりませんね。日本では昔から食つずけている旬の味ですから、DNAも手伝うのか、この時期は無性に食べたくなります。
筍はなんと言っても繊維が豊富。食物繊維は体の老廃物を排出し、コレステロールの吸収を抑え腸内環境を整えます。茹でた時に断面に現れる白いものはチロシンといい、脳を活性化させる効果が期待できます。竹皮には防腐効果や殺菌作用があるので、昔はおむすびを包んで腐敗を防いでいました。
掘り立ての筍はお刺身もお勧めです。旬の息吹を感じられ、食べてもアクをあまり感じません。収穫から時間が経った筍は、アク抜きが必要になります。購入したら直ぐに下処理しましょう。筍の皮を数枚むき、穂先を斜めに4、5cm落とし、剥きやすいように縦に浅く切り込みを入れます。大きめの鍋に筍とたっぷりの水を入れ、米ぬか1カップ(または重曹大さじ1、あるいは水の代わりに米のとぎ汁を使う)。赤唐辛子2本を加えて、落し蓋や厚手のキッチンペーパーをかぶせて煮立ったら中弱火にして(大きさによる)1〜2時間程下茹でします。火を止めてそのまま冷ます。
成長の早い筍。この時期はそのパワーを色々な調理法で楽しみながらいただきます。
 

5/5

柏餅・かしわもち・子供の日

柏餅・節句・子供の日・まいにち食薬養生帖・食養生・二十四節気

5月5日は子供の日。端午の節供、菖蒲の日とも呼ばれます。菖蒲やよもぎを湯に入れて、その香気で邪気を払い無病息災を願う。薬湯につかる風習がありますね、私も子供の頃に1度だけ入った記憶があって、独特な香りをよく覚えています。菖蒲は尚武にかけており、勇ましく健やかな男の子の成長を祈願。同じく単語の節供を願う武者人形や気持ちよさそうに風にそよぐ鯉のぼりを観ると、素敵な風習だなと感じます。
柏餅をいただく由来は、柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないので「家系が絶えない・子孫繁栄」という縁起をかついで広まりました。
店先には柏餅と中国から伝えられたちまきも肩を並べていますが、地域によって包む葉や呼び名が違う事もあるようです。
みそあんの柏餅を家族へのお土産に買いました。大人ばかりなので、お赤飯や魚のカブト焼きを食卓に並べましょうか。

5/4

新茶・緑茶・お茶・グリーンティー・八十八夜

薬膳・食養生・緑茶・新茶・お茶・カテキン・清熱。グリーンティー

八十八夜のお茶のお話
雑節の一つで、立春から数えて88日目にあたる日が八十八夜で、今年は5月1日でした。明日の5日から立夏になります。昔から季節の変わりめの目安として、八十八夜は夏への準備を知らせる縁起のよい日とされてきました。朝、手摘みされた新茶は上質で不老長寿の縁起物ともされています。実際にこの季節の新茶は清々しく、旨み成分をたっぷり含み、渋みや苦みも少ないのが特徴。緑茶は虫歯予防、口臭予防効果もあるので、食事時にいただくのは理にかなっています。ビタミンCも豊富で、身体の余分な熱をとって頭をスッキリさせる効果も。
毎年、夏も近づく八十八夜〜(茶摘みの歌)。と頭の中で口ずさみながら、まずは新茶を楽しみます。少し汗ばむこの時期には、茶葉の上に大きめの氷をいくつかのせて自然に溶けるのをまって、極上の氷茶を愉しみます。一晩冷蔵庫に入れておくのも手。この方法だと味の違いがよく分かり、カフェインも少なく胃にも優しいのです

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新生姜(しんしょうが)・生姜・ginger ・生薬・ジンジャーエール

ジンジャーエール・新生姜・生姜・スパイス・ジンジャーエール・ginger

新生姜を薄切りにして甘酢に漬けたガリは、薄紅色できれい。身体もシャキッとする味です。刻んでごまとご飯に混ぜるだけで防腐効果が上がるので、お弁当などにも最適。疲れもとれます。スライスして甘酢に漬けることが多いのですが、皮つきの丸ごと生姜を、みそやたまり醤油、梅酢につけたものもお勧め。よく漬かったものはみじん切りにして納豆に入れたり、お吸い物、炒め物の味付けに使うとそれだけで下味がつき、コリコリと食感のよいアクセントになります。
生姜に甜菜糖やはちみつとスパイスを加えた煮詰めた生姜のシロップ(ジンジャーエールの素)は、、疲れた時に炭酸や水、お湯で割って飲むと元気が出ます。シロップを作る時に丁子(クローブ)を加えるとしゃっくりが止まると言われていますよ。免疫力が大事な時、生薬でもある生姜は、胃腸の冷えをとる薬でもあります。