井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

6/20

糠漬け・発酵食・腸活

井澤由美子・雨季の食養生・発酵食・漬物・糠つけ・青梅・実山椒・梅雨の食養生・食薬ごはん・井澤由美子・薬膳・漢方

糠漬け作りは発酵しやすいこの季節の気温がおすすめです。梅干しやラッキョウ、山椒仕事で忙しい作業中ではありますが、酸味のあるさっぱりとした胡瓜の糠漬けなどをパリパリと頬張ると、グラつきがちな天候も気にならなくなります。

できれば精米したての生糠(ぬか)500gを用意します。鍋に水2カップ強の水と粗塩60〜70gを入れ溶かし冷ます、ホーローなどの密封容器にぬかを入れ、冷ました塩水を少ずつ柔らかく(ぬかどこらしく)なるまで加えてよく手で馴染ませる。赤唐辛子2本、角切り昆布3㎝角2枚、生姜、粉辛子、干し椎茸などを適宜好みで加え混ぜる。捨て漬け野菜を毎日変えて5、6日して熟れたらきゅうり等、軽く塩もみしてから本漬けします。朝晩かき混ぜるのが理想ですが、最低でも1日1回は混ぜる、容器のフチについたぬかはキレイにふきとり、表面は平らにならして保存するとカビが生えにくくなります。

そして、旬の生実山椒と青梅をポンと加えるのがこの時期ならではの醍醐味。風味が良くなって防腐作用が上がりますよ、ぜひお試し下さい。管理が難しい時は発酵してから冷蔵庫保存します。乳酸菌やギャバがたっぷりの糠漬け、免疫力を上げイライラも防ぐ効果も期待できます。

6/12

荏胡麻・エゴマ・ジュウネン

ジュウネン・健康ごはん・食薬ごはん・井澤由美子・料理家・薬味・健康ごはん・野菜料理・美しい人・初夏の野菜・香味野菜・韓国料理

農家さんから、茎がしっかりとしたエゴマの葉が送られてきました。エゴマはシソの葉が大きくなったような香味野菜、シソ科の一年草。絞ったエゴマ油は近年特に人気ですね、大変な手作業に加え、デリケートな油なので値段は少々しますが、それだけ高い効能があります。

豊富に含まれるオメガ3脂肪酸、aリノレン酸が体や脳、肌を健康に保つ効果が期待できます。上質なものを購入し、かける和えるなどの調理法でシンプルにいただいて下さい、加熱しないのがポイントです。

荏胡麻の簡単麺つゆ漬けの作り方です。荏胡麻の葉30〜40枚は、5分水に離して裏面をよく洗い、重ねる。1分塩茹でし、氷水にさらして水気を絞る。浸るくらいの3倍濃縮麺つゆに、おろしにんにく、ごま油、すりゴマ、唐辛子各少々を混ぜたものに茹でた荏胡麻を馴染ませ、一晩冷蔵庫で寝かせれば、ごはん泥棒の出来上がりです。

荏胡麻は防腐効果もあるので、採取される産地では、昔から郷土料理や民間療法などに多様されて来ました。10年長く生きられる意味合いから、ジュウネンと呼ぶ地域もあるほどです。食以外にも、荏胡麻油は乾性油なので防水性、昔は油髪や番傘に使われていたそうです

6/9

パッションフルーツ・リリコイ・果物時計草・美肌

井澤由美子・与論島・美肌・美容・パッションフルーツ・果物時計草・リリコイ

果物時計草はパッションフルーツの別名。コケティッシュな花が時計草に似ているからだそうで、ハワイではリリコイと呼ばれる定番のフルーツ。台湾では百香果(パイシャンコウ)百の香りの果物といい、素敵な意味の名がついています。爽やかで甘酸っぱく、奥底に魅惑的な香りがひそんでいて、化粧品やアロマテラピーなどにも用いられています。切った時のビジュアルもとてもフォトジェニックです。

農家さんがパッションフルーツの話をしながら、両手で挟むように圧をかけてパンッと器用に割って中を見せてくれました。中身が飛び散らないか少し不安になりますが、私も真似してみたら割と上手くいきました。内側の皮を寄せて引っ張りだすと中身を上手に出すことも出来ます。

パッションフルーツには、肝機能を高める効能の他、美白効果や新陳代謝を活発にする働きが期待できます。ピークは6月〜8月頃、果肉はすっぱいイメージがありますが、皮にしわが寄ってしっかり完熟したものは酸味が抑えられて食べやすい。逆に表面にシワの寄らない若いものは酸味が少し立つように感じ、ソースやドレッシングにするのがお勧めです。生クリームとの相性もよく、他のフルーツでは作れない魅惑的な味わいが生まれます。

写真は与論島のパッションフルーツ農園にて。まだ青く、実垂れ下がる感じがカーテンみたいで可愛い。撮影で、沢山のフルーツティーを作っていますが、リリコイを加えると他の果物より衝撃的に美味しくなりますよ。

6/8

小鮎・鮎

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先日、お土産にいただいた琵琶湖の小鮎の串刺しは、小さな鮎を調理したもの。香ばしく炙ってあり、辛子酢味噌が添えられていました。小鮎は世界で唯一、琵琶湖だけで獲れる特別な魚で地元では自慢の味覚。小鮎は鮎の稚魚では無く、小さいですが成魚です。

鮎が成魚になる前の小さい鮎の稚鮎も初夏の醍醐味。骨が柔らかいので、唐揚げやフリットにしたり丸ごと甘露煮にするなど楽しめます。小さいですが、ちゃんと内臓のほろ苦さが有ります。

赤味噌に甘みを加えて滑らかく練ったものに、鮎の新鮮な鮎のウルカ(内臓)を合わせたものは、独特の苦味が生きています。揚げなすとの相性が抜群で、新炊きたてのご飯と合わせると最高ですよ。鮎は生きているうちならお刺身にも出来ます。氷をはった器に青紅葉をあしらい、美しく盛られた鮎は涼やかで風流、初夏の醍醐味です。

鮎は川によって、香りや苦味が違うように思います。ビタミンAやビタミン12を非常に多く含む鮎、老化予防にも効果が期待できそうです。

6/5

ホワイトアスパラガス

井澤由美子・ホワイトアスパラガス・アスパラ・食養生・アスパラの茹で方・フレンチ・シャンパーニュ

口中に広がるほろ苦さと、みずみずしい甘さを兼ね添えたジューシーな野菜はホワイトアスパラガスしか無いように思います。
ヨーロッパには、桜前線ならぬアスパラガス前線があります。まっすぐに伸びた太めのアスパラガスを手に入れたら、剥いた皮と粗塩を入れた70度くらいの湯で、ゆっくりとアスパラを茹でます。晒しやガーゼを伏せてだいたい17〜20分ほどです。氷水にさっと落とし、表面だけの粗熱を取るのですが、口にする時はまだ温かい状態でなければなりません。さっぱりとしたオランデーズソースと削りたての岩塩がお約束です。この茹で方は三田にある私が一番好きなフレンチの名店のシェフに教わったもの、丁度今はフランスから北上してドイツ産になりました。

グリーンアスパラに多く含まれる抗酸化作用のルチンやカロテン、ビタミン類などの含有量には劣りますが、何よりもその食感や旨味、そこはかとなく感じる大人っぽい苦味とジューシーさが美味しい。この風味に熱狂するヨーロッパ人のファン心理に同感します。初夏を感じる爽やかな休日の午後に冷えたシャンパーニュや白ワインをお供に堪能してみて下さい。

 

6/3

すもも・季・酢桃・スモモ

井澤由美子・かき氷・すもも・季・プラム・プルーン

美味しそうなすももが出回っています。
すももは、中国原産の生食用とする日本すもも「プラム」と、ジュースやジャム、ドライフルーツなどの加工用が多いヨーロッパ原産の西洋すもも「プルーン」の2つに分類されることが多いようです。日本すもものもぎたては、酸味が強く、酸っぱい桃と言う意味合いから「すもも」と呼ばれるようになったそうです。

みずみずしいという言葉がぴったりな果肉と程よい甘酸っぱさと溢れる水分を含む果実は、ありそうで他の果物にはなかなかないものです。旬も短いので完熟フレッシュを思いっきり堪能します。保存用には、皮ごと氷砂糖と優しく煮たシロップを仕込みます、ほんのりした淡いピンク色も可愛らしい。私がかき氷屋さんに率先して足を運ぶのは、限定すもものシロップがある時期だけ、氷の温度にこだわったエアリーなかき氷を繊細に引き立てるから、天然氷をちゃんと楽しめます。

すもものクエン酸は肝機能を高め、中医学では血の巡りを良くし精神安定にもよいとされています。あまりに香りが良いので、枕元に置いて楽しむことも。季は体を整える果物として珍重されて来た食養生の五果の内のひとつです。

5/26

緑茶・新茶・更年期障害

井澤由美子・薬膳・薬食同源・緑茶・新茶・グリーンティー・カテキン・水出し茶

日中は、日差しが強く汗ばむ陽気になってきました。新茶にはテアニンが豊富、爽やかで清々しい香りと甘みが堪能できます、一番茶をぜひ楽しんで下さい。緑茶は頭をすっきりととさせ、身体の余分な熱をとる効能があるので更年期障害、ホットフラッシュやほてり感のある方にもお勧めです。

日本茶は昔から消化促進、虫歯、口臭予防などにもよいとされ、ビタミンCも豊富です。市場に行くと必ず立ち寄っていたお茶屋さんは、丁寧に1杯のお茶を入れて下さる。時間がなくてもこのひと時を持つことで、頭の中が整理整頓されるので、お茶の時間はとても有意義だと思います。

好きな飲み方があります、器に茶葉を入れ氷を多めにのせて一晩冷蔵庫におきます、翌朝にはカフェインの少ない旨味が凝縮したアイスティーが出来上がっています。お茶を飲むと胃に来る、不眠になるという方にもお勧めの飲み方です。玉露などの高級茶葉は、出汁に漬けてお浸しにしてもオツ。

5/17

そら豆・天豆・5月の野菜

井澤由美子・食養生・食養生・そら豆・空豆・天豆・おたふく豆・蚕豆

千葉に畑を借りていろいろな野菜を栽培しています。5月からはそら豆が最盛期。見ためはお店で販売されているような美しさはないのですが、剥くと青々としてぷっくりとした大きな実が飛び出して、豆の香りがフン鼻をかすめます。採りたてのそら豆を熱湯に入れ、塩梅よく茹でますが、皮が柔らかいのでそのまま食べた方が美味しい。下ごしらえの皮の切り込みさえ入れなくていい程です。

そら豆ってこんなに美味しいものだったのかとつくづく思いながら、皮ごとの酒蒸しや、グリル焼きもシンプルに楽しんでいます。新にんにくも出回っているので、合わせた炊き込みおこわもお進めですよ。

そら豆にはビタミン、たんぱく質、カリウムが豊富で、豆の中でも栄養価が高く、疲労回復効果があります。
フジTVの「四季彩キッチン」でもご紹介したそら豆の素揚げは、皮に切り込みを入れて、中温から揚げるのがポイント。温度が適切だと、油の中で皮から実が勝手に取れるので手間いらず。鮮やかになって浮いてきた実から先に取り出し、皮は茶色く揚がったら引き上げます、、全体に軽く粗塩をふってどうぞ。皮もカリカリして実に良いつまみになります。お酒を提供するお店ではそら豆を(天豆)と書いてある事があります。心意気も粋なようで嬉しくなり、ついつい注文してしまいます。

5/12

5月の梅仕事・手仕事12ヶ月・カリカリ梅・青梅シロップ

健やかな食・50代美人・モデル・青梅・井澤由美子・梅シロップ・食養生・薬膳・漢方・美容・美容と健康・体に優しい・体を潤す・井澤由美子まいにち食薬養生帳・疲労回復

雨が降ると、庭の青々とした梅が小雨を受けて気持ちよさそうです。ちょうど500円玉弱くらいの大きさに育って、今年も梅仕事の始まりです。

手始めに、硬さが決め手のカリカリ梅を作ります。卵1個の内殻を剥がしてザルに広げてよく干します(600wレンジ1分半から2分でも・乾いたら出汁袋やお茶パックに入れ砕く)。500gの梅はよく洗って、水に3時間ほど漬けてアク抜きし、竹串などでなり口を取る。ポリ袋などに入れ、塩大さじ2を全体によく馴染ませて30分置く。ざっと洗って、梅の筋に沿って一周切り込みを入れ、なり口を上にしておき、ヘラなどを使って体重をかけて半分に割る(種は捨てる)。

後は、清潔な容器に割った梅、卵の殻、400〜500gの氷砂糖を順に入れる(玉に瓶ごと揺すってください)。水分が上がってきたら出来上がり、卵の殻を取り除いて下さい(卵の殻のカルシウム、梅のペクチンと冷温で梅がカリカリに仕上がります)カリカリ梅や、梅シロップには様々な作り方がありますが、今日は一番簡単な作り方のご紹介です。

熱がある時などは喉の渇きを速やかに押さえ、青々とした爽やかな香りが気の巡りも整えるので養生になります。薬膳での氷砂糖は肺を潤す効果が期待でき、梅は唾液の分泌を活発にしたり疲労回復を助ける働きがあります。

 

5/6

新にんにく・大蒜・食養生

井澤由美子・食養生・健やかな食卓・発酵食・まいにち食薬養生帖・にんにく・新にんにく・薬味・たいさん・薬膳

新にんにくが出回る頃は、そら豆の旬でもあります。山椒の実や梅、らっきょう、新生姜も出始めて、手仕事が大忙しの5月。
新にんにくは生ごと醤油や味噌、オイルに漬けたり、中国風に酢漬けにしたりとひねとは違う軽やかなにんにくの風味を楽しみます。
この時期のにんにくは、香りの薬味や香辛料と言うより、しっかり野菜として調理したくなります。たっぷり薄切りにして、小松菜や空芯菜とごま油でサッとソテーすると、新にんにくのシャッキリした歯触りを堪能出来ます。
中医学でにんにくは、脳や五臓の働きを活発にし、解毒効果や活血作用(血の巡りをよくする)がある食材とされていますよ。身体を温めるので、冷えて白い鼻水が出る時などの風邪のひき始めや、免疫力を高めたい時、体力を取り戻したい時などに効果が期待できます。

大蒜の字の蒜(ひる)は食用になるにんにく、ノビル、ネギなどの古名です。ノビルと区別するために、にんにくを(おおひる)と称し、生薬名は(たいさん)。ちなみに無臭にんにくやジャンボにんにくは、本当はポロ葱(リーキ)の仲間だそうです。