井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

9/9

9月9日 五節句 重腸の節句

菊の節句・重陽・井澤由美子・大人のひな祭り・食養生・日本の行事・慣わし

昔から季節の境目を節句としていますが、今日は奇数節句の5節句の一つ「重陽の節句」(ちょうようのせっく)です。雛祭りや端午の節句子供の日より、目立たぬ節句ですが、邪気を払うと言われており、菊の節句でもあります。菊の時期と少しずれているので廃れてしまったようですが、大人の雛祭りとも呼ばれ、菊の着せ綿で肌を磨くと若返りに良いとされたり、健康長寿を願って菊酒や菊茶を楽しむ風習も有ります。菊は汚れを払う花とされていることからも頷けますね。薬膳での菊は眼精疲労をケアする生薬とされ、クコを加えた菊茶は飲む目薬とも言われ、ドライアイにも有効です。

重陽の節句には菊の他に、栗のお菓子や栗ご飯などもいただくようで、少し早いですが此方も一緒に楽しみたいと思います。

9/3

イカ・イカ刺し・鳥賊骨

イカ・烏賊・お刺身・薬膳・疲労回復・美人・かわいい・

お刺身、パスタ、煮物、フライなど幅広く調理出来る食べやすいイカ。日本人は世界でも有数のイカ好きです。漢方では烏賊の甲は鳥賊骨(うぞくこつ)と言う生薬で、月経異常や胃腸薬などにも使用されます。低エネルギーでたんぱく質を多く含み、豊富なタウリンは、中性脂肪や血中コレステロールの増加を抑えます。タウリンを効果的に摂取したい場合は、生食かさっと火を通す程度にします。

先日の出張で、イカ刺しを堪能しました。鮮度の良いイカを朝食べる風習があるようで細切りになったイカがホテルの朝食や定食屋さんで気軽に食べる事ができます。夜に行った居酒屋さんでは、生きているイカをさばいてくれます。コリコリとした身や新鮮な内臓、足などはまだ動いていましたがフライにして下さいました。そのほかにウニや貝類、北海道ならではの魚や珍味はどれも厳選素材、お酒が進む一夜となりました。

イカや白身の刺身には醤油を使わずに美味しい粗塩をパラリとふって、甘みを引き出す食べ方も私は好きです。9月に入り、庭の酢橘がちょうど良い大きさになってきました。キュッと絞って酸味と香りをまとった塩イカは絶品です。もしもイカの足が余ったら刻んでハンバーグに入れてみて下さい、食感よく美味しくなります。もしもスーパーなどで肉厚のイカを見かけたら、餅米を詰めてふっくらもっちりのイカ飯をぜひ!

 

9/2

オクラ・島オクラ

オクラ・おくら・夏野菜・井澤由美子・料理家・発酵食・健康ごはん

以前旅した与論島の農家のお母さんに、オクラは生で刻んで食すと教えていただいて以来、オクラの表情を見て調理法を変えています。島のオクラをよく見ると産毛が無くてツルリとしています。一般に関東に出回るオクラより、旬に出回る沖縄、鹿児島のオクラは大きいのに柔らかく、生食にも向いているようです。角オクラ、丸オクラ、八丈オクラ、白オクラ、赤オクラ、ヘルシエなど、形や色の違いなど様々。平城グリーンや島の唄・ダビテ・レディーフィンガーなど、特徴を表した名前も楽しげです。オクラは塩でもんで、熱湯で(中の種が出ないくらい)少し長めに茹でると、強い粘りと甘みが引き出されて美味です。塩茹でしただけのシンプル調理がベスト、粗塩とオリーブオイルやおろし生姜、わさび醤油などでシンプルに堪能します。

オクラはカロテンやカルシウム、食物繊維を多く含み、疲労回復・滋養強壮も期待できるので夏の疲れが重なるこの時期に特に良いですね。粘り気のある野菜はそのまま炭火やグリルで香ばしく焼くのもお勧めです。そういえば、島根県の道の駅で買った黄色いオクラの花を酢の物にし、角寿司(島根県の郷土料理)を作った事を思い出しました。オクラの黄色い花にも粘りがありました。。

8/26

スパイス・生薬・食欲増進

免疫力・薬味・スパイス・生薬・香辛料・井澤由美子・美肌・腸活・料理家・ハーブ

スパイスとは大概が、木の根っこ、樹皮、花、種、果実などの植物から採取されています。料理やお茶などに折り重なる複雑な風味や辛味、色合いをつけ、肉や魚の臭みなども消臭します。薬味・生薬・スパイスなど、国や地域で呼び名は変わりますが、古来より世界中の人々のカラダや心の不調を治してきた薬です。食欲増進・消化促進効果が高いもの、食品を傷みから守る抗菌作用や防腐効果にも優れたものなども多様です。

料理以外の用途では、例えば中国の楊貴妃は口臭予防に噛んでいましたし、ネパールでは歯痛止めに、ヨーロッパではオレンジに刺してポプリに、日本ではタンスに入れて虫除け剤として活躍していました。このような事も含め、身近なスパイスや薬味の薬効を感じながら日常的に見直してみると楽しいですね。

スパイスはお茶やデザートにも是非活用して下さい。桃の美味しい時期ですが、桃のコンポートにほんの少しカルダモンを忍ばせると、桃との好相性に驚かされます。マガジンハウス「クロワッサン」の薬味とスパイスの特集では、沢山のスパイスをご紹介しています

7/25

フレッシュハーブティー・自然療法

J-wave・ミントミルクティー・穀雨の雨・立夏・中医学・栄養学。食養生・食薬・ミント・井澤由美子・自然治癒力・整える・ハーブ・パセリ・ミント・香り

ローズマリー、ゼラニウム、ホーリーバジル、レモンバーベナなどのハーブ達が元気に育っています。スクスクと育つ丈夫なハーブはベランダ菜園でも気軽です、中でもローズマリーは特に元気に育ちやすい。古来から脳の活性化や血液循環も促進させる効能が期待でき、料理にも使いやすいので重宝しています。切ったジャガ芋と一緒に揚げるだけで、よそいきのポテトフライに。

フレッシュな香りを楽しめるハーブティーは簡単なストレスケアになります。つみたてを洗ってティーポットにたっぷりと入れ、熱湯を注いだら出来上がり。5分ほどそのまま蒸らせば、清々しい豊かな香りがフワリと立ち上がります。この蒸気はハーブの成分や効能も吸い込めるので心身からリフレッシュできますね。この出がらしのハーブを足湯に入れてもさっぱりとします。ハーブを詰む前に香りを嗅いで、今日の気分のハーブを多めに詰んで楽しみます。

ブレンドのハーブティーはそれぞれの効能プラス、胃腸を整える効果が期待できるので、消化機能の低下が気になる時にもお勧めですよ。

7/19

うめ・梅干し・梅仕事・夏の養生

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日本では「梅はその日の何のがれ」と昔からの言い伝えがありますね。梅干しを食べると、その日1日の災難から逃れられると言う意味合いですが、薬のなかった時代に下痢や便秘、疲労回復、生物などの殺菌効果や、旅先での病よけなどの意味合いも含まれていたと思います。子供の頃、高熱が出ると母におでこに梅干しを貼られるのが嫌で逃げ回っていましたが、翌朝目を覚ますと梅干しは私の熱を吸ってカラカラに乾いておでこからポロリとはがれていたものでした。「食・水・血」の三毒を断つとも言われる梅干し、色々な効果効能があることを昔の人々は感覚的によく知っていたのですね。

7月に地方に行くと、農家さんの庭先にずらっと並んだ梅干しを見かけます。夏の風物詩でもある梅の土用干しの景観はそれは壮観、もっとも日本らしい風景です。7月30日は梅干しの日だそうで、梅で有名な和歌山県みなべ町の農園さんが設定されました、7(なん)が30(去る)の語呂合わせだと伺いました。

汗で塩分が排出されていくので、暑い日の塩梅の良い梅干しは美味しく感じます。合わせてクエン酸で疲労もしっかり回復。白米や玄米、バターを加えた夏野菜のピラフなどを炊く時にも梅干しを、ポトンと一粒落とします。出汁をとる時に種ごと加えるのもこの時期の防腐効果や養生になります。

お酒に鰹節と梅干しを加えて煮詰めた煎り酒は、醤油が出来る前の江戸調味料でした。旨味とさっぱりとした酸味と塩味が心地よく夏の食材によくあいます。

7/17

ほうずき・ゴールデンベリー・スーパーフード・美容食

井澤由美子・美人モデル・シニアモデル・美容・食用ほうずき・ほうずき・ゴールデンベリー・インカベリー

浅草など、あちらこちらで開かれるほおずき市は、江戸時代から続く日本の夏の風物詩。季節になると母が必ず買ってくるほおずきを見ると、赤い身の中から種だけを取り出す遊びに挑戦し、苦味をこらえて膨らませていた幼少の頃を懐かしく思い出します。ある日の晩、ほおずきの赤い外袋に何気なく夕食のお惣菜をそっと入れて、食卓に出してくれた母を素敵だなあと思った記憶もあります。

17〜8年ほど前に、海外の黄色い西洋食用ほおずき(ゴールデンベリー)を初めて口にした時は、ココナッツ風味がする美味しさにびっくりしたものです。今日ではスーパーフードとして知られ、ドライフルーツも手軽に購入できるようになりました。人気の秘密は美容と健康に役立つ栄養素が多く、ビタミンA、B、C、ミネラル、繊維などが豊富だからです。

国産の食用ほおずきに北海道で出逢った時の感動も忘れられません。色とりどりの紙風船のような優しい色合いが美しく、嬉しくなってお土産にたくさん持ち帰りました。これから秋にかけてが旬なので、ご興味のある方は是非。

7/10

桜桃・さくらんぼう・さくらんぼ

さくらんぼう・桜桃・井澤由美子・食養生・美人・美しい人・大人のおしゃれ手帳・まいにち食薬養生帖・癒やす・整える

今年もそろそろ終わりのさくらんぼう。大きくて真っ赤です、とにかく果肉が多くて甘いのですが、酸味とのバランスがよく、やっぱりさくらんぼは国産にかぎます。

ビタミンCや鉄分、アントシアニンが豊富、抗酸化作用が高い果物で、中医学では体を温め、余分な湿を取るとされるスーパーフルーツ。雨季にぴったりの効能ですね。焼きたての甘酸っぱいさくらんぼクラフティーも本当に美味しいのですが、どうしても生食したくなり、毎シーズン焼かずに終わってしまうのです。写真は佐藤錦を親に持つ、山形県で配合された糖度のとても高い紅秀峰(べにしゅうほう)。

 

7/3

うめ・梅干し・梅仕事・夏の養生

初夏の手仕事・梅仕事・食養生・東京食薬Labo・井澤由美子・三毒を消す・ume・梅干し・梅料理・井澤由美子・食養生・食薬・まいにち食薬養生帖・健康・美容・和食

日本では「梅はその日の何のがれ」と昔からの言い伝えがありますね。梅干しを食べると、その日1日の災難から逃れられると言う意味合いですが、薬のなかった時代に下痢や便秘、疲労回復、生物などの殺菌効果や、旅先での病よけなどの意味合いも含まれていたと思います。子供の頃、高熱が出ると母におでこに梅干しを貼られるのが嫌で逃げ回っていましたが、翌朝目を覚ますと梅干しは私の熱を吸ってカラカラに乾いておでこからポロリとはがれていたものでした。「食・水・血」の三毒を断つとも言われる梅干し、色々な効果効能があることを昔の人々は感覚的によく知っていたのですね。

7月に地方に行くと、農家さんの庭先にずらっと並んだ梅干しを見かけます。夏の風物詩でもある梅の土用干しの景観はそれは壮観、もっとも日本らしい風景です。7月30日は梅干しの日だそうで、梅で有名な和歌山県みなべ町の東農園さんが設定されました、7(なん)が30(去る)の語呂合わせだと伺いました。

汗で塩分が排出されていくので、暑い日の塩梅の良い梅干しは美味しく感じます。白米や玄米、バターを加えた夏野菜のピラフなどを炊く時に梅干しを、ポトンと一粒落とします。出汁をとる時に加えるのもこの時期の防腐効果や養生になります。

6/25

らっきょう・韮白・甘酢漬け

井澤由美子・食養生・まいにち食薬養生帖・疲労回復・らっきょう・ラッキョウ・甘酢漬け・漬物・きび酢

らっきょうは中国原産で中薬学では韮白(がいはく)と言う名の生薬、日本では畑の薬と言われるほど豊かな効能を持っています。行気薬(気の巡りをよくする)でもあり、野菜の中でもトップクラスの水溶性食物繊維を含みます。腸内の便を吸収するので、便秘解消に薬効があります。
ネギ類なので匂いがありますが(硫化アリル)、血行を良くし、血液をサラサラにします。購入時は丸みを帯び、あまり芽が出ていない新しいものを選んで下さい。

甘酢漬けの作り方です。らっきょう1㎏は茎と根元ギリギリの部分を切り、ボールに入れて流水で薄皮を取るようにこすり洗いする(剥きにくい時は、包丁で切った部分から引っ張るようにします、傷んでいるものがあれば除くか、包丁で剥く)塩大さじ2でもんで20分ほど置き、ざっと水で流す。熱湯で8〜10秒茹でてそのままザルに広げて冷まし、消毒した保存容器に入れ、種を取った赤唐辛子2本と昆布一切れを加えます。小鍋に水160cc、グラニュー糖か氷砂糖(ハチミツやきび砂糖でも)250g入れて溶かし、酢350ccをまぜて冷ましてらっきょうの入った瓶に注ぐ、2週間後から食べられます(好みで粗塩少々を加えても)。
大事なのは芽が成長するので購入したらその日に仕込むこと、後は時間が美味しくしてくれます。