井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

9/16

天然舞茸・秋の味覚・免疫力

秋の味覚・きのこ・天麩羅・農家・食養生・免疫力

立派な舞茸が届きました、食べると舌が舞うようなので舞茸です。箱の中の新聞紙の包みを開けただけで、キッチン中に舞茸の香りが広がりました。まずは鮮度が良いうちに、この香りと凝縮した美味しさを一番楽しめる天麩羅で楽しもうと思います。美味しい粗塩をパラリとふって、もいできたばかりの酢橘を一絞り!ビールも必須です。

まいたけは、きのこの中でも抗がん作用が群をぬいて高く、疲労回復や美容にも良いという優れもの。免疫力を上げるビタミンDやβ-グルカンが豊富です。

購入する時は、かさがピンと張り、軸がかたくしまっているものを選んで下さい。金気を嫌うので、下ごしらえする時は、包丁で切らず、手でほぐしましょう。汁物や煮物に入れると、黒っぽくなることを覚えておくといいですね。ちなみに舞茸には、お肉が柔らかくする効果があるので、肉と一緒に調理するのもお勧めです

9/15

免疫力・天然なめこ・食養生

きのこ・なめこ・ナメコ・食養生・天然なめこ・井澤由美子・免疫力

数年前に鳥取県のきのこ名人に天然のなめこ摘みを体験させて頂きました。なめこは菌床栽培とブナ・トチなどの広葉樹の倒れ木などで育てられる原木栽培があります。ゼラチンがまとわりついているようなぬめり感を持ち、一つ一つがプックリとして魅力的。旨味が強いので出汁が充分にでますし、天然物の力強さでしばらく煮てもしぼみません。名人になめことイノシシ肉の炒め物をご馳走になりました。塩、胡椒炒めのとてもシンプルな調理ですが、旨味と滑りが上手に絡まってインパクトが有り、なめこも炒め物に出来るのだとこのとき初めて知りました。私がよく作るなめこ料理に、なめこの卵とじがあります。なめこと卵を甘辛味にふんわりと煮て丼にする、滋養が高いのはもちろんですが、滑らかな舌触りがクセになります。

なめこは胃壁を保護するので二日酔いの朝などのお味噌汁にも最適です。きのこの中でも水溶性植物繊維が豊富なので、便通を促し、腸内環境を整える効果が高いのも利点。Bグルカンも豊富で、免疫力を強化する作用を高めます。

 

9/14

烏賊・朝イカ・函館

井澤由美子・烏賊・イカ・食養生・いか漬・井澤由美子・薬膳・旬食材

お刺身、パスタ、煮物、フライなど幅広く調理出来る食べやすいイカ。日本人は世界でも有数のイカ好きです。漢方では烏賊の甲は鳥賊骨(うぞくこつ)と言う生薬で、月経異常や胃腸薬などにも使用されます。低エネルギーでたんぱく質を多く含み、豊富なタウリンは、中性脂肪や血中コレステロールの増加を抑えます。タウリンを効果的に摂取したい場合は、生食かさっと火を通す程度にします。

先日の函館出張で、イカ刺しを堪能しました。鮮度の良いイカを朝食べる風習があるようで細切りになったイカがホテルの朝食や定食屋さんで気軽に食べる事ができます。夜に行った専門店の「いか漬」さんでは、生きているイカをさばいてお皿に乗せてくれます。コリコリとした身や新鮮な内臓、足などはまだ動いていましたがフライにして下さいました。そのほかにウニや貝類、北海道ならではの魚や珍味はどれも厳選素材、お酒が進む一夜となりました。

イカや白身の刺身には醤油を使わずに美味しい粗塩をパラリとふって、甘みを引き出す食べ方も私は好きです。9月に入り、庭の酢橘がちょうど良い大きさになってきました。キュッと絞って酸味と香りをまとった塩イカは絶品です。もしもイカの足が余ったら刻んでハンバーグに入れてみて下さい、食感よく美味しくなります。

 

9/10

お月見・十五夜・お団子の作り方

井澤由美子・月見だんごの作り方・食養生・日本の伝統・お月見・お団子・団子の作り方・みたらし

毎年変わる中秋の名月、2022は9月10日の今夜です。明日の十六夜(いざよい)でも天候が良ければ余韻を楽しめそうですね。昔のお月見は空を見上げるより、船に乗って詩歌や楽器を風流に奏で、水面に映った月を楽しんでいたそうです。

今日はおだんごの作り方2種類のご紹介です。まずは一般的な作り方です。ボウルにだんご粉か上新粉(うるち米)170g、ぬるま湯150ccを入れて箸で混ぜてから、手で「耳たぶくらい」のなめらかさになるまでよくこねます(水分が足りないようなら様子をみて少しずつ足す)。棒状にのばし、食べやすい大きさに切って丸めます。

もう一つはお豆腐を入れた滑らかなおだんごです。白玉粉(もち米)100gに絹ごし豆腐100gを混ぜてよくこねて、成形は上記と同じです。どちらも沸騰した湯に入れ、だんごが浮いてきたら取り出して冷水でしめ、水気をとって好みの味付けにします。みたらしあんは、小鍋に本みりん適宜を注ぎ、色つく程度の醤油を加え、とろみが出るまで煮詰めるだけ。溶いた葛や片栗粉を少々加えるとからみやすくなります。

中秋の名月には収穫をお供えする風習もあり、月に見立てた里芋の煮物を作る地方もあります。秋の収穫に感謝しながらいただくのでしょうね。今年はご家族で、お月見だんごとお酒などいただきながらゆるりと月を愛でてみてはいかがでしょう。

9/8

白露・菊の節句・菊花茶

食用菊・菊花・眼精疲労・きく

夏の名残がほんの少し残る中、秋の気配がしっかりと感じる頃になりました。この時期の9月8日以降は、白露(はくろ)と呼ばれ、空気が冷え、草葉に白露・白い玉が見受けられるようになる。朝夕は涼しく、夜は鈴虫が鳴き、店先では秋食材が並び始めています。

明日の9日は重陽、五節句の一つ。菊の節句とも呼ばれ縁起がよく、延寿の力があるそうです。食用菊を見かけたら料理に使ってみます。生菊花の下処理をする時は、熱湯に酢を少々加えてサッと湯がき、冷水に入れて色止めします。水気をしっかり絞って、甘酢に漬けると保存がきき、鮮やかな色味が添え物など何かと重宝します。刺身のツマにも添えられる菊は抗菌、解毒作用が期待でき、ビタミンCなども豊富。山形の延命楽は八重の美しい紫色、香り高くシャキシャキとした食感が魅力的ですし、青森で見かけた菊の乾燥シートは海苔のように巻物などに使用でき、美しい仕上がりに。

食用菊とは別のお茶に加える菊花は、生薬であり眼精疲労に効果的です。主に抗菊、甘菊、除菊(白菊)の三種があり、ビタミンAなど眼に良い成分が豊富。クコを加えると甘みもでて飲みやすくなりますし、この組み合わせは飲む目薬と呼ばれるほどの薬膳茶。乾燥も気になる季節、リラックスタイムに華やかな菊茶はいかがでしょう。

9/6

椎茸・きのこ・免疫力・秋の味覚

井澤由美子・食養生・毎日食薬養生帖・お日様きのこ・干しきのこ・きのこ・キノコ・干し野菜

これから益々美味しくなるきのこ類。それぞれに異なる効能がありますが、共通して含まれる成分には食物繊維の一種、βーグルカンが有ります。このβーグルカンは、免疫力をアップさせる作用が知られています。

しいたけは、干すと骨を強化するビタミンDの含有量が増えます(日光にあたるとエルゴステリンがビタミンDに変わる)。お天気の良い時に30分以上干すだけ。金気を嫌うのと味しみが良くなるので、出来るだけ手でさいて干してください。コリコリとして旨味が凝縮、多めに作って冷凍保存しておくと便利です(旨味もuP)。

ちなみに椎茸は水で洗わなくて大丈夫です、石づきだけを落として、汚れがあったら優しく拭き取るだけで充分です。生の椎茸を炭火やグリルでシンプルに焼く時は、軸を上にして焼くと旨味を逃しません。塩を振って焼き、笠の中に水分が出てきたら、焼けてきた合図です。マッシュルームなどは窪みにたっぷりと水分がたまり、グツグツとして見るからに美味しそうです。中医学では特に一本足の野菜は滋養が高いと言われていますよ、アスパラやブロッコリーなどもそうですね。

きのこは数種類合わせるとそれぞれの旨味や食感が重なりあって、美味しさが増します。香りや歯ごたえを損なわない為に、なるべく短時間で調理して香りや歯ごたえも楽しんで下さい。

9/4

みょうが・茗荷・秋みょうが・天ぷら

みょうが・茗荷・秋茗荷・天ぷら・香野菜

秋みょうが美味しいですね。小ぶりのサイズを目にしたら、早々天つゆや香り塩を仕込みます。薄く衣をつけた揚げたてのみょうがを一口でほうばると、香りが鼻を抜け、しゃきしゃきした食感が何とも心地よい。初秋の醍醐味ですね。暑い日ならそうめんの付け合せにも最適です。

みょうがの香り成分には発汗作用があるので血行を良くし、消化をよくする効能も期待できます。色も美しいので、何かとお料理のアクセントになりますね。3〜4月頃が旬の茗荷竹は若い頃の茎で、天麩羅に美味しいですよ。7月ごろの早(わせ)茗荷は比較的小ぶりで、八月に入ると赤く丸みを帯びて秋茗荷となります。

みょうがをさっと茹で、熱い内に甘酢に漬ければ鮮やかに発色し、日持ちするピクルスになります。これを刻んでご飯に混ぜれば即席のお寿司がすぐに作れます。茗荷をつけた甘酢に焼き鮭やじゃこをくぐらせてご飯に混ぜると、さっぱりとした旨味で、食欲がない日にも箸が進みます。

9/2

アンチエイジング・キレイを作る・抗酸化力

ブロッコリー・抗酸化力・アンチエイジング・エイジングケア・食養生

エイジングケア力を含むものには、高い抗酸化力があります。よく知られているのは、アサイー、ラズベリー、りんご、プラムなどの果物。その他に黒豆、レンズ豆、大豆などの豆類やナッツ類、ブロッコリーや紫玉ねぎ、ほうれん草、さつま芋などの野菜、飲みのもならお茶や赤ワイン、スパイスならクローブ、ウコン、シナモン等です。これらを意識して摂取すると体のサビを止める働きが期待できるようです。

内容を見ると、アントシアニン、イソフラボン、カテキン、スパイスなどが良さそうですね。これらは米国農務省と国立老化研究所より開発された抗酸化力による新しい指標のORAC値、米国では認知度があるそうです。

中医学薬膳や日本の栄養学から見ても、体の錆止めに効く食材として、黒豆や緑黄色野菜、ナッツ類、ポリフェノール類などは同じですし、体に良い影響があるものばかりです。日々の養生にもなりそうです、キレイや若々しい体を目指して取り入れてみても良いかも知れませんね。

9/1

葡萄・ぶどう・食養生

葡萄・ぶどう・ブドウ・眼精疲労・貧血・井澤由美子

スーパーに行くと桃やプラム、スイカも辛うじて有りますが、美味しそうな梨や葡萄を見かけるようになりました。残暑の中、秋の気配を感じます。

葡萄は、世界中でみると約80%の生産量がワイン原料。日本で栽培される葡萄は、約90%が食用です。ざっくり大きく分けると黒、赤、緑の3種で、形や大きさ、色など様々です。

近年、種無しで皮ごと食べられる葡萄の品種改良が年々進んでとても人気です。葡萄の皮には栄養があり、強い甘みは皮と実の間にあるので丸ごと口に出来るのは嬉しい限りですね。よく洗って冷やした葡萄のみずみずしさはパソコン作業の合間のおやつにもピッタリ、疲労を回復します。

薬膳では、赤い皮の葡萄に貧血改善の効果があると言われていますよ。ポリフェノールの一種、アントシアニンには活性酵素を除去し、体のサビ止めや、眼精疲労を改善するなど様々な効能が期待できます。

8/30

鮑・アワビ・食養生

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国産のアワビは主に4種有ります。クロアワビ・エゾアワビ・アカアワビ(メガイアワビ)・マダカアワビ、穴が多く小さめのもはトコブシです(エゾアワビは北で獲れ、旬は冬)。今が旬の大きく柔いマダカアワビは、遠浅だが岩場が入り組んでいる浜の千葉県産のものが多い。やわらかで、甘みがあるので蒸したり焼いたりしても美味、地元の子供達はバター焼きで食べるそう贅沢ですね。

アワビは滋養強壮や老化防止によく、皇帝の食べ物としても珍重されてきました。茹でて干された干しアワビは値が張りますが、旨味や食感が値段に比例します。アワビは海藻を食べて育ちます、上質なミネラルを含みタウリンもあるので眼精疲労や体力低下にも有効です。

アワビの外し方ですが、塩をこすりつけて流水で流しながらタワシでこすり洗いする。アワビの口に塩を多めにのせて3分ほど立てかけておくと外しやすくなります。殻の低い方から貝殻に沿って、貝柱を離すようにスプーンやナイフを入れて外します。肝を傷つけないようにし、ヒダと固い口を除き、汚れやぬめりがあれば中身もタワシでこすります。耐熱容器にたっぷりの酒と大根の切れ端を入れて蒸し器にかけるとやわらか、厚めに切って山葵をつけていただきます。それから、生のアワビをすりおろしたアワビとろろも旬ならではの楽しみ方です