井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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おから・おからのサクサクグラノーラ

畑のお肉と言われる大豆。おからは大豆を茹でて豆腐を作る時に豆乳を絞った後に残るもので、大豆由来の栄養価(タンパク質、ビタミン、カルシウム、イソフラボン、レシチン、サポニン)を多く含んでいます。何より繊維が豊富、近所のお豆腐屋さんの豆乳はトロリ濃厚で、お豆腐が美味しいんですね。必然的におからも美味しいので、卯の花やきらずはもちろん、ポテトサラダやコロッケ、ハンバーグを作る時に混ぜたりましす。乾煎りにしてサクサクにし、グラタンなどお勧めです。クッキー、ドーナッツ、パウンドケーキなどお菓子の粉の一部をおからに変えるとカロリーダウンになり、食物繊維量もアップします。私のお気に入りはおからを天板に広げ、メープルを回しかけてオーブンでカラカラになるまで焼き、刻んだナッツやドライフルーツと合わせると(おからグラノーラ)美肌効果も高まります。
便通効果が改善し、美肌効果が高まります。

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せり・芹・白根草・せりごはん

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桜が咲く季節には、せりを沢山入れたせりご飯を作ります。せりの半量をごま油で炒めて(アクを取る意味もあります)ご飯と混ぜる。油とよく合うので、お揚げや牛肉を加えてもいいものです。残り半量は刻んで加え全体をサックリと混ぜ、仕上げにゆかりとすりごまをふる。お花見で桜を見上げながらいただく毎年楽しみなお弁当。
せりは多年草で、きれいな小川や水辺、田んぼなどに生える香りがよい春の七草の一つ、古来から食養生にも使われてきました。 病気を防ぐ という意味合いで、七草粥にも入っていますね。せりには血流を正常に保ち、貧血の予防効果があり、特有のよい香りがストレス緩和に役立ちます。

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さより・針魚・細魚・春告魚

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さっぱりした白身で淡白な美味しさのさより。室町時代に書かれた「大草家庭料理」に生さよりは吉とありますが、鮮度が良い旬のさよりはお刺身でいただくのが一番です。
皮に独特の風味があるので塩焼き、干物などもお勧め。
それからそれからステキな料理がありますよ、ピカピカのさよりを酢でしめ、少し甘い細かいおぼろをのせると何とも美しい! 食べると口の中が春の嵐のようで、心がザワザワします。
淡白なのに、かみしめると味が濃厚なさよりですが、白ワインとも合わせたくて、控えめな甘さで、セミドライのみりん干しを作ってみたら大正解でした。
その土地土地によって収穫時期も呼び名も多様ですが、細身で銀色に光る美しいさよりが瀬戸内の海面に跳ね始めるのは3月〜5月、春の訪れを告げる魚でもあります。さよりが稚魚の頃は(えんぴつ)と、可愛らしい名で呼ばれていますよ。
購入するときは、全体に張りがあって銀色に輝き、あごの先が鮮やかな朱色をしているものが鮮度のよい証です。

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コラーゲン・牛すじ・ゼラチン・美肌

フカヒレやうなぎなどにも多いコラーゲン。私は肌の乾燥が気になる時、牛すじに根菜類と生姜をたっぷり入れてコトコト煮たものを食します。牛すじを買ってきたら2度ほど下茹でし、水と酒(焼酎)、赤唐辛子1、2本、ゴロゴロに切った根野菜、ぶつ切りにした長ネギ、薄切り生姜(皮付き)などを入れてフタをし、牛すじが柔らかくなるまで煮込みます。きび砂糖、醤油を加えて好みの味に仕上げれば出来上がり、気分で味噌やオイスターソース、生薬(スパイス)を加えることもあります。牛すじをコトコト煮込む人が中人は、水で溶いたゼラチンをさっと煮物やスープなどの料理に加えると手軽に摂取できますよ。コラーゲンの合成に必要なたんぱく質やビタミンCと一緒に摂取することも大事。また、コラーゲンは夜にいただくと良いとも言われています。

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味醂・みりん・伝統調味料・発酵調味料

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疲れたなぁと思った時に、みりんをいただく事があります。甘酒も良いですが、甘露なみりんがスッと心地よく喉を通るので、寝酒に少し。
もち米を9割、うるち米を1割の割合で作った、熟成した味醂はそのまま飲んでもとても美味しいものです。
みりんは、甘酒と同様に、飲む点滴とも言われるほど滋養が高いのです。みりんは昔は砂糖より入手しやすく甘口の高価なお酒として飲まれていました。実は、お正月にいただくお屠蘇(おとそ)は、みりんや日本酒に数種の薬草をブレンドした屠蘇散(とそさん)を漬けたものです。
「密醂」「美醂」とも書かれるみりんは、時代を経ていつしかコクのある調味料になり、お料理に使われることに。上質なみりんはさっと煮詰めるだけで、品のよいシロップにもなります。手間暇かけて丁寧に作られる日本の伝統調味料は技の巧み、身体にも優しいので使わないのはもったいないですね。卵焼きに加えればふんわり仕上がり、肉や魚にみりんベースのタレを煮からめれば、つやつやの照りが出て、なんとも食をそそります。

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セロリ・アンチョビセロリ

セロリ食べ方で私のお気に入りは、アンチョビセロリ。
作り方は簡単! セロリの根元をポキッと折り、ゆっくり引っ張り、スジを取ります。5、6cm長さに切り、更にアンチョビを乗せやすい大きさに縦に切り分け、砕いた氷の上にのせて冷やしておきます。後はアンチョビフィレをのせ、たっぷりのレモン果汁をしぼり、挽きたての黒こしょうをふる。ケイパー入りのアンチョビもありますが、その場合は刻んで一緒にのせるとよいですね。このフィンガーサラダを出しておけば、次のお料理が出てくるまでに多少時間がかかっても皆さんおとなしく待っていてくれますよ。もともと薬草だったセロリには、春先は環境が変わることでストレスを感じたり、寒暖の差で自律神経が乱れやすい時期。もともと薬草だったセロリにはトレスを軽減する効果が期待できます。葉も栄養価が高いので刻んで調理してくださいね。

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玄米(げんまい)・お粥

胃腸を休ませる為に週末はお粥にすることが多いのですが、今日は玄米のお粥にします。まず、ホウロウなどで玄米を焦がさないように炒ります(私は多めに炒って密封保存し、毎日お茶などに少し加えて香ばしさを堪能しています)。その後、たっぷりの水でゆっくりと中弱火でコトコト2〜3時間ほどかけて煮ますが、塩加減で美味しさが左右されますから、味をみながら最後に整えます。玄米は白米より滋養が高いので、疲れた時に時に良いものです。病気の方や玄米を食べなれない方は、玄米は消化しにくいのでお勧めしませんが、お粥ならいいでしょう。お粥なら胃への負担が軽いですよ。

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蕎麦(そば)・春蕎麦  動脈硬化予防

海外から帰った後はお蕎麦屋さんに直行です。コシのあるキリッと〆た蕎麦を多めのわさびで食す。秋の新蕎麦は香りが高くて人気、収穫後の蕎麦の実は低温保管されます。数ヶ月間おいて熟成された春の蕎麦の旨味と香りはまた違って、奥行きがあります。

身体の上部に気や熱が上がりやすくなるこの季節、高血圧や動脈硬化予防に有効なお蕎麦はお勧めです。(栄養が溶け出た蕎麦湯も忘れず栄養価が含まれる蕎麦湯もしっかりいただいてください)。
春の陽気に誘われてお散歩などに出かけたら、チョイとお蕎麦をたぐってみてはいかがでしょうか。

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薬膳・スパイス・ネパールカレー

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カレーに使われるスパイスは薬膳における生薬と共通するものが多いです。
その複雑な香りと辛さや効能を、脳や身体が記憶しているのでしょう、疲れた時に特に口にしたくなります。今日は巣鴨にあるネパール料理「プルジャ ダイニング」さんでネパールカレーをいただきました、粗いそばがきのような食べ応えのあるもっちりとしたものが添えてあり(そば粉にもち米を加えて練ったものだそう)カレーにくぐらせて食します。カレーにはナンやライスの他に、そうめんや稲庭うどん(特にタイカレー系と相性良し)、クスクス、ポレンタなどもよく合いますね。カレーに入るクミン、ターメリック、シナモン、ナツメグ、クローブなどは消化を助け、胃の痛みやお腹の張りを和らげて血液をキレイにする効能があります。
心も元気にするスパイス達がキッチンに眠っていたら、休日にゆっくり煮込んで香りを引き出しカレーを作ってみては。

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黒糖・黒砂糖

サトウキビの絞り汁を時間をかけて煮詰めたものが黒糖(黒砂糖)。奄美大島と加計呂麻島に行って、旅をしながら気に入りのお店を巡っては、手造りの黒糖を購入し味比べして楽しんでいます。まだぬくもりのあるカケラを口に入れると天然由来の嫌味ではない微かな酸味や苦味が奥の方に感じられて美味しい。黒糖はカルシウムも多く、鉄分、ミネラルが豊富です。様々な種類の砂糖の中でも薬膳では黒糖は、体を温める効能がとりわけ高いと言われています。
サトウキビは刈り取ったら、すぐに汁を搾り手作業で加工されます。黒糖作りはサトウキビの収穫期と一緒でなければできません、12月から3月終わり頃までが旬。ハブにも挑みながら大変な労力が必要な黒糖作り、貴重な甘味です。