井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

11/10

烏賊(いか)・鳥賊骨

薬膳ではいかの甲は(鳥賊骨・うぞくこつ)と言い、主に月経異常、胃腸症に使用されます。タウリンが多いいかは血中コレストロールの増加を抑え、動脈硬化の予防も期待できます。肝機能を改善するのでお酒のあてにもよいものです。昔よく見かけたいか徳利は、味だけではなくちゃんと体によい理由があったのですね。
日本人は世界でも有数のいか好き、さまざまな料理に使われていますが、低エネルギーでタンパク質が豊富、昔から血を養うと言われ貧血にも良いとされてきました。もしもいかの足が余ったら、細かく刻んでつくねやハンバーグに加えると食感に変化がついて美味しくなります。

11/3

薬膳の知恵・薬膳料理・マガジンハウスDr .クロワッサン

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マガジンハウスのDr.クロワッサンシリーズの新刊が発売になりました。
普段の野菜や薬味で健康を整える「薬膳の知恵」。薬膳とは小難しく聞こえるかも知れませんが、身近にある食材で無理なく美味しく健康を手に入れられる食事の事。食材の組み合わせを最大限に生かした「食べ合わせ」を考えることで、日々の体調をケアし、巡る季節を楽に過ごす手助けをします。
伝統的な日本の和食のほとんどは薬膳です。この本は昔ながらの民間療法、現代栄養学、発酵食を交えながら考案したレシピを判りやすくご紹介しています。例えば「風邪のひき始めに効く」「アンチエイジング髪の悩み」「シミそばかす肌荒れに効く」「冷え低血圧」「便秘下痢お腹に効く」「花粉症・鼻炎」「高血圧動脈効果予防に効く」など11の章で構成しています。
「食薬ごはん」とは食べ物の性質や効能を知り、身体に取り入れ不足を補う料理。皆さんが健やかに美しく過ごせる手助けになれば本当に幸いです。

11/1

お粥(かゆ)・朝粥のすすめ

寒くなってきました、朝粥のすすめです。胃が温まり消化がよく、負担がかからないお粥は、デンプンの糖質が頭や体のエネルギーになるので1日のスタートにぴったりな食事です。私は普段からお粥を食べることが多いのですが、旅先でもチョイスします。だいたい食べすぎや呑みすぎになるので、胃に優しいお粥と梅干し、おみそ汁、大根おろし、生姜など胃腸を整えるものと合わせて。なんてことない食材や料理ですが、どれも調子を整えてくれるので、普段の食生活に取り入れると体の調子が良くなります。
台湾やタイではお粥に肉や魚、香味野菜を加えてとろりと煮込み、栄養満点の朝食として食すのが習慣になっていますね。禅の教えに(粥有十利・しゅうじゅうり)という言葉があります、10個の効能の意、まさに医食同源です。

10/31

南瓜(かぼちゃ)・南瓜の種・パンプキンシード・ハロウィン

南瓜・カボチャ・パンプキン・カボチャケーキ・滋養

ハロウィンなので、歩く先々に鮮やかなオレンジ色が眼に飛び込んできますね。元々は秋の収穫を祝う行事でしたがアメリカでは民間行事となっており、いろいろな趣向があって楽しそうです。
写真の可愛らしいかぼちゃは、私が通うカービング教室の先生の作品。野菜や果物をアッと言う間にスルスルと楽しく美しく仕上げます。
かぼちゃは体を温める野菜で、豊富に含まれるカロテンは粘膜や皮膚を健康に保ち、視力回復にも役立ちます。免疫力を高めるビタミンCも含み、風邪などを予防します。かぼちゃのカロテンは油で炒めると体への吸収が良くなります。柔らかく煮たり蒸したものは子供の離乳食や年配の方の滋養食にピッタリですね。かぼちゃの種を干したものは、漢方では生薬として使われ、泌尿トラブルに効果的です。手作りするなら種を洗った後、2、3日干すかレンジにかけて乾燥させます。その後、フライパンで乾煎りしたり油で揚げ焼きにして塩少々をふると出来上がり。

10/30

赤みそ・味噌・あかみそ・糖尿病

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みその中でも特に赤みそに多い「メラノイジン」は、糖分の吸収スピードを抑えるので、食後に血糖値が急激に上がりません。おみそ汁はもとより、酢みそ噌などにすると更に効果が上がりますね「酢も血糖値の上昇をゆるやかにする為)。糖尿病の方にもお勧めです。気になるみその塩分ですが、みそに含まれる大豆ペプチドには血圧を下げて緩和する効果があり、そちらの方がメリットがあり大きいそう。じゃが芋、さと芋、ほうれん草、春菊、大豆、納豆、ひじき、エリンギ、アボガドなどはカリウムを多く含み、体内の塩分を排出します。気になる方は、みそと合わせてとるとよいですね。
赤みそは約2年以上と熟成期間が長く、独特の香りと深い旨みが体にじんわり染み入ります。今の季節はゼラチン質が多いツルツルのナメコと合わせるのが私は最高だと思います。
赤みそ作りで有名な、愛知県の碧南で蔵巡りを楽しみました。写真は昔ながらの美味しい赤みそを作る(南蔵)さん。いい乳酸菌の香りで充満していました。

10/27

玄米(げんまい)・ギャバ・食物繊維

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玄米はしっかり洗うことから始めます。美味しく炊けないという方は、まず研ぎ方が足りない。両手でしっかりこすり合わせて洗うのが基本です、独特の匂いが和らぎ、もっちりと炊けます。そして次に大事なのが浸水時間で、水に8〜12時間くらい水にひたすのが理想。味や食感の為でもありますが、水に長く浸すことで精神を安定させるアミノ酸の一種のギャバが増えます。あとは表示通りの水加減に粗塩少々を加えて炊く。私は昆布も一切れ加えます。さらにモチモチ感が欲しければ、もちきびなどの雑穀類を加えても。玄米の美味しさを生かすには、素朴なおかずを合わせるのが一番です。梅干しやたくあん、納豆、おみそ汁、野菜の煮物など。添加物の入っていない食品を選んだり、作ったりすること。食材そのもの、本来の味を感じられます。食べ慣れると、自然に舌や体がよいものを選び、それを喜ぶ脳や体になってきます。写真は時間が無い時の私のお弁当です(笑)!

10/26

羊・ラム・マトン・冷え性・ダイエット

寒い地方では羊肉をよく食べますね(特に北海道など)。きっと体を温める作用があるからでしょう、疲れやすい人にもお勧めの食材です。羊肉にL-カルニチンはミノ酸の一種で、身体の脂肪を燃焼させる効果があり、ダイエットに最適です。また、ビタミンやミネラルも含み、肌を潤し老化防止に役立ちます。亜鉛や鉄分も豊富なので、貧血予防や免疫力を高める効果が期待できますよ。
ビタミンCやカロチンたっぷりの野菜と一緒にいただくのがお薦めです。
家庭でも簡単に作れるジンギスカンをご紹介します。フライパンにニラ、もやし、せり、ピーマン、キャベツなど食べやすく切った野菜をしき、タレに漬け込んだ薄切りのラム肉をのせてふたをして中火で蒸し焼きにします。野菜でお肉が蒸されて柔らかく、とてもヘルシーにいただけます。ラムは生後1年未満の子羊です。高タンパクで低カロリー、臭みも少なく柔らかいので、お子さんやご年配の方にもお勧めです。

10/13

銀杏(ぎんなん)

近所にある小石川植物園の丘の上に大きな銀杏の木があ流。この季節になると、母に言われて銀杏拾いに行かされた想い出があります。
銀杏の葉から注出したエキスには、脳の血流を高める効能があるので、ドイツでは頭痛薬やアルツハイマー病予防などの医薬品に利用されています。中医学では銀杏は、老化防止の生薬とされ、疲労回復、高血圧などに有効です(1日に10粒程度まで)。
大人になった今では、ツヤツヤとした大ぶりの銀杏の食感、微かな苦みを美味しく感じます。
銀杏を布で包み、ペンチや綿棒などで殻を割り(亀裂を入れるだけでOK)、香ばしく乾煎りします。殻をむき、粗塩にほんの少し昆布茶を忍ばせた塩をふる、銀杏ごはんもいいですね。
真っ黄色に色つく続く長いのびる銀杏並木は美しく風情があって素敵。フォトジェニックです。

10/10

ニュージーランド・アボカド・美肌・ツヤ髪

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老化をふせぎ、若返りのビタミンと呼ばれるビタミンEが豊富なアボカド。高い抗酸化作用もあり、女性には特に嬉しいスーパーフードです。アボガトは脂質も栄養価もとても高い果物に分類されます。アボカドの資質の大半は、リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸で、動脈硬化を予防し悪玉コレストロールを減少させます。繊維も多く、1個でさまざまな栄養が摂取できますよ(ただしエネルギーが高いので、食べ過ぎには注意)。中医学では胃腸の働きを良くし、年齢と共に体力の衰えを感じる方にもよいとされています。
温かいアボガト料理も結構いけますよ、半分に割って種をとり、トースターで焼いて醤油とわさびを添えてどうぞ。その他、ねっとりとした舌触りで濃厚な味わいのアボカドにはイムをたっぷり絞り、粗塩で食すのが一番だとアボガト農家さんに伺ったことがあります。
中でもニュージーランド産のアボガトは、あっさりしているようで上質なクリーミーさを合わせ持ちます。アボカド好きも納得するハイクオリティー!何よりビタミンEが豊富なアボカト。高い抗酸化作用があり

10/7

美肌酒(びはだしゅ)・薬膳酒(やくぜんしゅ)

薬膳酒は簡単に作れますよ。梅酒を仕込む手間と同じです。適量のお酒は血行をよくし、リラックス効果がります。
薬膳種なら、生薬の効能が貧血や疲れを暖和し、滋養強壮に役立ちます。体の余分なものを排出する効果も期待できます。少し元気を出したい時は高麗人参を加えてもいいですね。密封できる瓶(消毒済み)などに、くこの実、なつめ、陳皮(ちんぴ・無農薬みかんの皮を乾燥させたもの)、乾煎りしたはと麦(薏苡仁・よくいにん)、ホワイトリカー、米焼酎などを注ぎ、2週間ほどおいて馴染ませる(たまにビンごと揺らす)。いただく時は好みで蜂蜜を加え、温かいお湯割りでいただくと寝酒にピッタリです。お酒を適量いただくと、胃があたたまり、体の緊張をゆるめてよい眠りに導いてくれます。