井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

12/29

栗きんとん・安納芋きんとん・おせち

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漢字で「金団=きんとん」と書き、黄金色の財宝を表す縁起物。商売繁盛や金運に恵まれた豊かな暮らしを願って食されます。作り方です=安納芋2本(さつま芋を使う場合は皮をむいて2cm輪切りにしたさつま芋とクチナシを柔らかく煮ます)を水で濡らしてアルミホイルに包みオーブンで柔らかくなるまで焼き、中身を小鍋に入れて栗の甘露煮のシロップ半カップ分(充分甘いお芋のなので、好みで少なくしても)と粗塩ひとつまみを加えて ピュレ状に木べらか泡立て器で混ぜる。栗を加えてさっくり混ぜあわせる(お芋が黄色いのでクチナシは無し)。密封容器に広げて冷ます。りんごを煮たものや柚子を加えて少しさわやかにしてもよいものです。私は数ミリの角切り生姜あられを水にさっと放して水気をしっかり拭いたものを散らし、甘い中にもキリッと〆るきんとんを作ります。

12/28

田作り・おせち・祝い肴 

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その昔、小いわしを田んぼの肥やしにしたところ大豊作になったことから田作りになりました。小さいけれど尾頭付きの祝い肴、ベタベタ甘すぎないすっきりめの田作りのご紹介です。カルシウムたっぷりで冷蔵庫で2週間くらい日持ちしますよ。作り方=ごまめ50gを600wのレンジにかけて2分加熱する(フライパンでカリカリにな香ばしくなるまで弱火で13分ほど箸で乾煎りしてもよい、温めたオーブンなら130Cで10分)。フライパンに醤油、酒、メープルシロッ各大さじ2を煮立て飴色になつたら、ごまめを加えて折れないように煮からめる。種をとって細切りにした赤唐辛子1本分とごま大さじ1半(好みで砕いて乾煎りしたクルミ大さじ3を加えても)をふり混ぜ、オーブンペーパーを敷いたバットなどに入れて広げて冷まします。
簡単なのにきちんと作れる「おせち料理」成美堂出版P20より〜

12/27

味醂・みりん・お屠蘇(おとそ)

本味醂・疲労回復・みりん・味醂・搾りたて・発酵調味料・伝統調味料・疲労回復

日本のお正月に欠かせないお屠蘇、無病長寿を祈って味醂に生薬を加えて家族といただくのが毎年恒例です。味醂は、お米の美味しさが丸ごと出ている甘味滋養飲料。数年前に、愛知県東部の三河味醂で有名な三河産地に御縁があって、3社に伺ってきました。国産の米麹、蒸したもち米、米焼酎を糖化して熟成させ、ゆっくりゆっくり上からの重みだけで絞った味醂。搾りたてを初めて口にしましたが、多少のアルコール(14パーセント前後)を感じながらも、琥珀色のとろんとした味醂はそれはそれはふくよか。
味醂は米麹の酵素がもち米のタンパク質をアミノ酸にし、デンプンをブドウ糖に分解して甘みや旨みを生成します。江戸時代には女性やアルコールの苦手な人々に嗜まれた高級酒であり嗜好品でした。エネルギーが高く、ビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群が豊富なので、甘酒のように栄養ドリンクの役割も果たしていたようです(昔は麹を作る技術が今ほど発達していなかったので甘みは少し薄かったそう)。
料理にもかかせない調味料となって、タンパク質を固める作用で煮崩れをふせぐ、ツヤやテリをつけます。アルコールで(気化)臭みが一緒に抜ける効果もあるので煮魚・うなぎなどには特にかかせません。お料理には飲んでも美味しいみりんを使います。

12/26

スモークサーモン

年末年始に特に出回るスモークサーモン。華やかな押し寿司やロールが簡単に出来ます。茶碗2杯分のごはんに寿司酢を混ぜ(米酢40cc、きび砂糖大さじ1半、塩2つまみと昆布3cmを小鍋に入れて沸騰させ、自然に冷ましたもの)胡麻や梅干し、漬物、三つ葉、山椒の佃煮などお家にあるものなんでもよいので香りのあるものや味がついているものを細かく刻んで寿司飯に混ぜる。サーモンは米酢にさっと浸し(ポイント)、水けをしっかりキッチンペーパーでふき、ラップの上に20㎝位の長方形になるように重ねておく。寿司飯をサーモンの上におき、ラップでぎゅっと巻いて棒状に形を整え、濡らした包丁で食べやすい大きさに切って器に盛り付けます(一口大に丸めた手毬でも。サーモンは女子力アップにも有効ですね。

12/26

黒豆(くろまめ)・祝い肴・ おせち・御節

黒豆・くろまめ・御節・おせち・

お正月用の黒豆をそろそろ作りだします、つやつやのしわのない黒豆の煮方です。虫食いなどの豆は除き、300gの黒豆を優しく洗ってザルに上げる。鍋に(できれば厚手の)水2リットル弱を入れ沸騰させ、甜菜糖糖2カップ半(きび砂糖やグラニュー糖でも)、醤油大さじ2〜2半、粗塩2つまみを入れる。砂糖がとけたら鉄と洗った黒豆を熱いうちに入れる。一晩浸したら、強火にかけてアクを丁寧にとる。厚手のキッチンペーパーをのせ、ごく弱火で6〜8時間ほど煮る(数回に分けて煮てもよく、私は2、3日の間に時間がある時に火を入れてます)。煮汁が少なくなり柔らくなったら出来上がり、冷めるまでそのままお来ます。冷蔵庫で4、5日、冷凍庫で1か月ほど保存できます。まめ(真面目に働き、まめ(健康に)に暮らせますよう、無病息災の願いが込められています。黒い豆は邪気を払うと言われています。簡単なのにきちんと作れる「おせち料理」(成美堂出版)P15より。

12/25

クリスマスチキン・鶏の丸焼き

急いでチキンの丸鶏を焼く時は(オーブンを220度に温めておく)内臓を水ですすいで、パキパキ折ったセロリを葉ごとギュウギュウにつめる。鶏全体に、にんにくの切り口をところどころこすりつけ、粗塩を満遍なく少し多いかな?くらいにすり込みます。手羽先の部分が下になるように置き、オリーブオイルを表面に適宜たらしたら、10分焼いて200度にして20分焼く。皮付きのまま食べやすく切ったじゃがいもやごぼう、人参、たまねぎなどを鶏の回りにおく。10分ほど室温において、再度220度にオーブンを温め、鶏からしっかり脂がでて(途中2度ほど、スプーンで脂をすくってかける)こんがりするまでパリッと焼く(庫内の大きさによりますが、焦げそうになる部分があったらホイルをかぶせる)。チキンと野菜を器に盛り、焼いた天板を中火にかけ、脂をこそげるようにワインを注いで馴染ませる。生クリームかミルクを加えて煮詰めてソースを作る、ナツメグの削りたてや胡椒、醤油少々を加えるのもお勧めです。鶏肉の部位ごとに栄養価が違います、味わいや食感の違いを素朴に楽しんでいた幼少期、チキンを焼くたびに懐かしく想い出します。

12/23

雲呑(わんたん)・スープ

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寒くなると益々美味しく感じる温かいスープ。ワンタンが好きなのでよく作ります。ビタミンB1が豊富な豚肉にたっぷりのねぎや生姜を合わせると疲労回復、風邪予防に効果的です。豚挽肉150gに塩、こしょう適宜を入れよく混ぜる、酒、醤油、ごま油各小さじ1、皮付きをたっぷりおろした生姜、刻んだねぎやニラ、白菜の漬物を加えてさらによく練って皮で包む。熱湯で茹で、浮いてきたらザルにあげて熱々に用意したスープに入れる。ツルンとした食感が醍醐味のワンタンに、脳も心地よく感じるようです。手作りは美味しいし、指先のバランスが必要なのでお子さんが何度かトライして繰り返すと料理上手の第一歩にもなります。
写真は台湾のワンタン屋さん、魔法のように早く美しく包む。ツルツルの大きめの自家製皮に、塩梅良く練られたむっちり柔らかいひき肉がたっぷり詰まっていまってこの上ないワンタンでした。

12/21

南瓜(かぼちゃ)・冬至・柚子湯・二十四節気

かぼちゃ・冬至・南瓜・二十四節気

グッと寒さが増してきましたね。1年で昼が1番短い冬至、今年は21日の本日です。かぼちゃを食べて柚子湯に入る風習が日本にはあり、かぼちゃを食べると風邪をひかない、病気を遠ざけるなどの言い伝えもありますね。何よりカロテンが豊富で、ビタミンB群やCを含み、体を温めて胃腸にも優しい野菜です。名前の由来は、16世紀の半ばにカンボジアのかぼちゃが献上され、カンボジアがなまってかぼちゃになったと言う由来がありますよ、面白いですね。
かぼちゃの皮は硬いので、半分に切ってレンジに軽くかけて切りやすくします。大きめに切ったかぼちゃに、きび砂糖を適宜馴染ませて厚手の鍋に20分ほどおいておくと水分がでます。ふたをして弱火で炊き、お醤油少々で味付けするとほくほくの煮物になります。生姜のスライスと酒、塩少々で炊くのも、かぼちゃの風味が存分に生きて、生姜で体も温まります。

12/20

真鱈の子(まだらのこ)・真子・たらこ 美肌

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この季節だけに見かけるプクリと太った真鱈の子を煮付けにしました。助惣鱈(すけそうだら)の子の煮付けも美味ですね、こちらは通年市販されている塩漬けの「たらこ」にもなります。どちらの煮付けも作り方は簡単=鍋に水と昆布を入れ出汁をとり、酒、醤油、みりんを煮立ててめんつゆくらいの(少し甘み控えめ)のお味にし、火を弱めてぶつ切りにした鱈の子を落とします(好みで少しの針生姜やほんのり鰹出汁を加えても)。厚手のキッチンぺーパーをかぶせてグラグラ煮立たせないように15〜20分ほど煮ます。そのまま冷まし味を落ちつかさせてからいただいて下さい。しっとり煮えた煮付けを堪能した後は、その旨みたっぷりの煮汁で下茹でしたじゃがいもや里芋、糸こんにゃくを煮付けると絶品です。
含まれるビタミンE,12などは肌をキレイにします。納豆とたらこの組み合わせは相乗効果がありますね、週末パスタに如何ですか?

12/19

鶏飯(けいはん)・鶏出汁

彩り豊かな鶏飯は薩摩藩の役人をもてなす為、奄美大島北部で作られていた豪華なお料理だったとか。作り方も手が込んでおり、まずは奄美赤鶏のぶつ切りとねぎや干し椎茸、昆布とコトコト時間をかけて煮込んだ出汁をとり、醤油や塩、みりんなどで味をととのえた旨味と滋養たっぷりのスープを作る。ごはんの上にさいた鶏肉、薄切り椎茸、錦糸玉子、パパイアの漬物、のりなどをのせ、熱々のスープをかけていただくのですが、寒い時でも暑い時でもサラサラといただけます。柚子やレモンの皮を乾燥させて刻んだ陳皮も是非添えて。
体調不良時や年末にお雑煮用の鶏スープを作ったら、家族にもてなすのも良いですね。滋養があり肌の乾燥にも良さそうです。美味しい鶏出汁の取り方は、今号のマガジンハウスクロワッサンに掲載しています