井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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人参・ドライアイ・花粉症・キャロットラペの作り方

食養生・薬膳・漢方・食薬ごはん・まいにち食薬養生帖・人参・にんじん・キャロットラペ・ドライアイ

今日は暖かな日和。なんとなく目のかゆみやドライアイなど、気になる症状が出て来く方も。人参は目のトラブルなどに良いとされ、皮膚や粘膜を健康に保つ野菜です。これから出回る春人参はみずみずしく甘さもあって良い香りがします、生でいただくと栄養価もそのまま。人参サラダのキャロットラペの作り方です。皮ごとの人参をタワシでこすり洗いし、千切りにします。粗塩を振って5分ほどおき、水分をとります。レモンやオレンジのしぼりたて果汁、オリーブオイル適宜ふって馴染ませる。酵素、ビタミンC、カロテン、繊維がたっぷりなサラダです。今なら金柑を加えても良いですね、甘み、香り、色が冴えた美しい一品になります。
花粉症が気になる方はヨーグルトと合わせて。薬膳では、人参を日々取り入れると血と津液を作り栄養不足を補うとされています。人参を購入する時は、ヘタの部分の丸が小さ目のものを選んで下さい。

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ホタテ・帆立・ほたて・貝 ・疲労回復

帆立・ホタテ・ほたて

旬のホタテは旨味や甘味がギュッとしています。鮮度が良いホタテは閉じようとする力も強いので、貝口の両脇を指でしっかり支えながら身の下に素早くナイフを滑りこませるのがポイントです。これに慣れている私ですが、手の平の上でこちらに向かってパクパクと噛み付くように動いた帆立に出逢った時はビックリしました。ブルターニュの岬の市場で、指を挟まれないように格闘した忘れられない想い出、貝殻が厚くて美しいピンク色の天然物です。写真の卵巣が鮮やかなホタテはパリの朝市。
ホタテはタウリンが豊富、ビタミンB12、亜鉛なども含まれ、疲労回復や肝機能も向上させるので、お酒のお供、二日酔いにもお勧めです。薬膳では干し貝柱にし、効能を上げて特に腎をケアします。生ホタテの好きな食べ方があります。貝柱は横に切ったり包丁を使わずに、縦に手でちぎる。この千切ったホタテにフレークソルトとオリーブオイルをふり、手作りのレモン胡椒を添えると最高です。

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発酵・発酵バター・イングリッシュマフィン

発酵バター・発酵・バター・マフイン

最近、イギリスの朝食によく出てくる丸いイングリッシュマフィンにハマっています。カリカリっと香ばしくトーストされた匂いがキッチンに広がると、パンを焼くだけなのに幸福感がいっぱい。発酵バターと目についた果物をきび砂糖とレモンなどで煮るのですが(今は柑橘や苺が出回っていますね)温かいジャムを添えるのがまたよくて。甘い香りにも癒されて、セロトニン(脳内幸せ伝達物資)をたくさん分泌してくれます。神経を休めるたっぷりのカモミールミルクティーがよく合います。マフィンはナイフで切らずに、横にして、半分の高さにフォークでさして一週し、手で割ったものをこんがりトーストしてみて下さい、表面がサクサクして美味しく感じますよ。発酵バターはクリームに乳酸菌を加えて発酵させたもの。普通のバターより少し高価ですが、芳醇な香りや栄養分、満足感も高く、少しリッチです

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蜂蜜・はちみつ・ハチミツ・咳止め

井澤由美子・喉の痛み・薬膳・美容・便秘・食養生・ハチミツ・はちみつ・蜂蜜・咳止め・養生

深いオレンジ色の美しくて濃厚な天然蜂蜜を、鳥取県の山郷の農家さんから頂きました。熊に蜂箱が襲われる年もあるとか。お裾分けを頂き、大事に口にしています。
古代から美容と健康によく、その高い殺菌効果から薬としても活用されてきたはちみつは、自然治癒力を高める自然食です。リップクリーム代わりに、肌荒れ改善パックなど外からのケアにも◎。この季節は、痛や咳止めなどに活用される出番も多いですね。効果を期待するならば、やはり天然のはちみつがお勧めです、出来るだけ非加熱や低温で加熱したものを選びます。天然のもは温度が低すぎると固まる事があります、50〜60度くらいの湯煎にかけて優しく溶かして下さい。
ビタミンCたっぷりの旬の国産レモンと合わせた「はちみつレモン」は、今最も楽しむべきホットドリンクです。大根を角切りにして蜂蜜につけた蜂蜜大根も咳によく効く民間療法。効能が高く美味しいはちみつですが、1歳未満のお子さんには、与えないよう注意します

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みりん・味醂・発酵調味料・伝統調味料・疲労回復

本味醂・疲労回復・みりん・味醂・搾りたて・発酵調味料・伝統調味料・疲労回復

今日は疲れたなぁと思った時は、みりんをいただく事があります。甘酒も良いですが、甘露なみりんがスッと心地よく喉を通るので、寝酒に少し。
甘酒は、飲む点滴とも言われるほど滋養が高いですが、みりんも負けていません。もち米を9割、うるち米を1割の割合で作った、熟成した味醂はそのまま飲んでもとても美味しく、元気になります。砂糖より入手しやすかった昔は、女性にも親しみやすいお酒で、お正月にいただくお屠蘇(おとそ)でもありました。「密醂」「美醂」とも書かれるみりんは、時代の流れでお料理に使われる調味料となりました。上質なみりんはさっと煮詰めるだけで、品のよいシロップにもなります。手間暇かけて丁寧に作られる日本の伝統調味料は技の巧み、身体にも優しいので使わないのはもったいないですね。卵焼きはふんわり仕上がり、肉や魚に煮からめたつやつやの照りは、なんとも食をそそります。
写真は三河味醂、取材先での搾りたてでフレッシュ!寝かせると琥珀色になります。

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シナモン・肉桂・温活

冷え・食養生・スパイス ・spice・冷え・薬膳・漢方・シナモン・スパイス・肉桂

シナモンスティックやシナモンパウダーを適宜お茶に入れるのが日課です。
シナモンはスリランカ、インド南部が原産地。日本でも国産のシナモンが温かい地方で栽培され、春に収穫されるそうです。薬膳の肉桂(桂枝)は根っこ部分、樹木のシナモンとは種類が違うのですが、薬効は似ています。冷えをとり五臓を活性化させるとされており、関節痛などの痛みや、血のめぐり改善に欠かせない生薬です。指先まで温まるような感覚を感じます、体温を上げると免疫力を高める効果があるので、冷えを感じた時は口にします。香りが良いのでりラックスしたい時のお茶にもピッタリです、シナモンをポキツと折った半本と丁子(クローブ)2個・紅茶などの発酵茶適宜を合わせてブレンドティに。シナモンはアップルパイなどのお菓子に欠かせませんが、カレーの他に、醤油味の煮込みにも意外とお勧めです。
私はワインビネガーやお酢にスティックごと漬けてシナモンビネガーとして素敵な香りと効能を楽しんでいます。ドレッシングに加えたリ、マリネに使うと一味違います。

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酒粕・粕汁・甘酒・発酵食

酒粕・紅麹・甘酒・発酵食・

今年の大寒は20日の明日です。寒さ厳しいこの季節にいただく粕汁は、体にしみ入るように美味しく感じます。大人になってお酒をたしなむようになり、さらに好きになった発酵食の酒粕ですが、今が旬の大根、かぶ、にんじん、サケやブリのアラなどがとてもよく合います。私は白味噌、山椒、生姜を加えて一緒にグツグツ煮た粕汁が好きですが、風味はお好みです、今だからこそのこっくりした温もりのある旨さがあります。
酒粕はお米、米麹、水で発酵させて漉した液体が日本酒、しぼりかすが酒粕です(発酵が終わったもろみを絞ったものが酒粕ですが、アルコール度数もビールほどあります)。このしぼりかすの酒粕ですが、アミノ酸、食物繊維、レジスタントプロテイン、ビタミン、酵母も豊富なので、非常に栄養価が高い発酵食品と言えます。「酒粕メンテナンス」すると、肌や腸が潤います。今日は赤米と紅麹の酒粕が手に入ったので、きび砂糖を溶いて桃色の豆乳甘酒を作っておやつに。

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キムチ・豚バラキムチ・発酵食

キムチ・ヤンニョム・豚バラキムチ・発酵食・腸活

白菜が美味しい季節なので、キムチをたっぷり漬けています。発酵食は腸内環境を整えるので、これから飛び交う花粉症やアレルギーの緩和の手助けもします。糠漬け、乳酸キャベツなどを含め、漬物は常に食卓に上げるようにするといいですね(ギャバを多く含むのでストレスが気になる時にもよいようです)。キムチは香味野菜をたっぷり混ぜた(ヤンニョム)と発酵させるので、乳酸菌がたっぷり、にんにく、生姜、ニラなどの薬味で体も温まり免疫力を上げtる手伝いをします。
簡単で美味しい豚バラキムチの炒め物のポイントは、肉に小麦粉を薄くはたく、ごま油で炒める、焼肉のタレか3倍濃縮めんつゆかコチュジャンなど甘辛い調味料を少し加えて味に奥行きをだすこと。春雨を加えるのもお勧めです、濃厚で辛みとトロミのある豚バラキムは、ご飯もビールも進むバランスの良いスタミナおかずです。
この「体がよろこぶお漬け物」では、美味しいヤ薬念(ヤンニョム)の配合も掲載しています。よろしかったらご覧ください

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花びら餅・和菓子

和菓子・花びら餅・漆器

新しい年になって最初にいただく和菓子の花びら餅。品の良い甘さに煮た、ふくさごぼうと白味噌を合わせた和菓子です。新年に御所へお納めしている「菱葩」(ひしはなびら)を原形とし、もとは宮中のおせち料理で、平安時代に長寿を願う歯固めの風習から伝承されているそうです。
茶道の初釜でも用いられる気品ある洗練された和菓子です。清く潔いフカフカの真っ白な表面と、うっすら透ける中身の紅がよい年の幕開けを暗示するよう。例年では、お世話になっている方や、贔屓にするお店に訪問する際に、幼少の頃から親しんでいる近所の和菓子屋さん(一幸庵)の花びら餅をいそいそと買い込み、ご挨拶兼ねて手土産にしています。今年は自粛して、自分でなんちゃってお抹茶を立てていただきました

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へしこ・なれずし・発酵食

いろいろな地方にあるなれずし。福井県小浜市で作られるなれずしは、へしこから作られています。各地方でへしこだけ、なれずしだけを食べることはありますが、へしこから作られたなれずしは珍しい。一口食べるといっさいの生臭みがなく、爽やかな乳酸菌の酸味がほんのかすかに感じられ、麹とお米のナチュラルな甘みや旨みが大変美味。へしこは魚を塩漬けし、糠に漬け、本漬けにしてさらに長期間寝かせ熟成させます。ここまででもとても手がかかりますが、さらに麹と米で2週間前後寝かせてなれ鮨となります。米麹をそのまま一緒に切っていただきます。
小浜市は御食国(みけつくに)として古くから海産物を京へ運んでいました、素敵な言葉ですね。伝統技法で丁寧に作られる美味しい発酵食、感動します。