井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

12/20

クロテッドクリーム

クロテッドクリーム・クロスティーニ・パーティー・おつまみ

クロテッドクリームは、英国デポンジャー地方に伝わる伝統的な濃厚なクリーム。脂肪分の高いミルクを煮詰めて、表面の乳脂肪分を集めて作られます。スコーンにつけていただくイメージがありますね、アフタヌーンティーには欠かせません。シチューやグラタンのコクだしなどにも重宝します。チーズよりお手頃価格で購入できますし、年末年始のカジュアルな集まりにもお勧めです。

持ち寄りがあれば、クロテッドクリーム、バケット、アンチョビ、レモンを購入し、現場でお皿1枚だけお借りして盛り付けます。アンチョビ(あればケッパー入り)を包丁で叩いて細かくしたら隠し味にレモン果汁をほんの少し絞ります。バケットにクロテッドクリームをたっぷりと塗って、刻んだアンチョビをのせ、挽きたてか潰したての黒胡椒をふる。ちょっと小洒落ているし、お酒にもよく合うブルスケッタ風です。

シンプルにじゃがいもをゆっくり蒸したものに、クロテットクリーム、刻んだアンチョビ、黒胡椒でも。

12/17

白菜・鍋・ピェンロー・養生三宝

井澤由美子・シチュー・白菜・養生三宝・薬膳・畑仕事・冬野菜・ハクサイ

中国の鍋にピェンローと言う白菜鍋がああります。本当は干し椎茸の出汁と、ごま油と緑豆春雨を使うのですが、少しアレンジしてあっさりした和風をご紹介します。鍋に多めの水と昆布を2切れ入れておく、小袋に手羽中10本と塩麹大さじ1半〜2を揉み込み、別袋にゆずの輪切り4枚を入れて小さじ1ともんでおく。それぞれ30分から一晩置いたら鍋を火にかけ、鶏肉、酒半カップ、発酵が進んだ刻んだ漬物白菜(汁1カップ分)を順に加える。沸騰したら弱火にし、フタをして30分ほどゆっくり煮込む。まずはそのままいただき、好みで、かんずりや柚子胡椒、ごま油などでいただきます。ゆず皮も柔らかく、白菜はとろりと煮えて、コラーゲもたっぷり。発酵した漬物汁がさっぱりといい味を醸し出す、葛切りや春雨で〆ると煮汁の旨味を吸って美味です。体の外も内も乾燥が気になるこの季節、発酵白菜、柚子や塩麹、鶏肉、葛の組み合わせでたっぷり潤います。

白菜は冬の養生三宝のひとつ。ビタミンCが豊富で、胃腸を健やかに保ち、むくみや二日酔いにも有効です。

12/16

シナモン・スパイス・冷え

冷え・食養生・スパイス ・spice・冷え・薬膳・漢方・シナモン・スパイス・肉桂

シナモンスティックやシナモンパウダーを適宜お茶に入れるのが日課です。
シナモンはスリランカ、インド南部が原産地。日本でも国産のシナモンが温かい地方で栽培され、春に収穫されます。薬膳の肉桂(桂枝)は根っこ部分、樹木のシナモンとは種類が違うのですが、薬効は似ています。冷えをとり五臓を活性化させるとされており、関節痛などの痛みや、血のめぐりの改善に欠かせない生薬です。
体を温める作用は生姜以上とされ、指先などの毛細血管まで温めるそう。体温が上ると免疫力も高まります。身体はなるだけ冷やさないように日頃から気をつけます(首、手首、足首、腰などは特に)。
香りが良いので、リラックスしたい時のお茶にもピッタリです、シナモンをポキっと折った半本と丁子(クローブ)2個、紅茶などの発酵茶適宜を合わせてブレンドティーに。
シナモンはアップルパイなどのお菓子に欠かせませんが、カレーや、醤油味の煮込みにも意外とお勧めです。
私はワインビネガーやお酢にスティックごと漬けてシナモンビネガーとして素敵な香りと効能を楽しんでいます。ドレッシングに加えたリ、マリネに使うとひと味違います。

12/15

生姜・しょうがピラフ・炊き込みごはん・冷え

グッと寒くなってきましたね。今日は、NHK(きょうの料理)でもご紹介したこともあるレシピで、フタを開けるとふわ〜っと生姜の香りたつ身体温めピラフ。お米2合は研いで水に30分浸してザルに上げておく。鶏もも肉1枚に塩か塩麹を適宜全体に揉み込んでおく。生姜大さじ3を皮付きでおろす。炊飯器に研いだ米を入れチキンスープの素、醤油、酒各大さじ1、生姜と水をメモリまで注ぎ一混ぜする、塩をした鶏とバター大さじ1をのせて普通に炊だけです。シャモジで鶏肉をほぐすようにしてごはんと混ぜ、茶碗に盛る、あれば三つ葉やゆずなど添えてもいいですね。バターを隠し味に加えるのがポイントです、あればうす切り餅を2枚くらい加えるとおこわ風になりますよ。

薬効の高い生姜は、アーユルベーダーでは「万病を治す」、中医学では「百邪を防衛する」とされるほど。生の生姜は血行を良くし胃腸を整えます。乾燥させたり加熱するとジンゲロンやショウガオールにかわり、芯から体を温めるので炊き込みごはんなどは、主食にもなるのでおすすすめです。

12/14

ゆず・花柚・獅子柚子・風邪予防

風邪予防・薬膳・漢方・柚子・ゆず・ユズ・種無しゆず

ゆずは、奈良時代前後に中国から日本に渡来されたとされ、現在は約5割が高知県で栽培されています。香り高い本柚子はみかん科ですが、鳥取県の朝市で購入した大きなゆずは獅子柚子(鬼柚子)といい、文旦の仲間だそう。
井澤家の庭に鈴なりなっているのは小ぶりの花柚子、使い切りサイズが便利でレモンに近い黄色です。お吸い物や蒸し物に少々、フワッと香る清々しさ、フランス人の友人も目がありません。
ギュッと絞った果汁は旬の柿、林檎、洋梨などにさっとふると、さわやかな香りをまとわせながら果物の甘みを引き立てます。

薬膳では香りで気の巡りを良くし、吐き気やため息、酒解毒などに効果があるとされていますよ。酸味で疲労回復、皮にもビタミンCが豊富なので、余す事なくいただきましょう。
柚子味噌の作り方ですが、細切りにして茹で、氷水で色止めします。小鍋に味噌とみりん、きび砂糖を適宜入れ中火で練って甘味噌を作り、茹でた柚子を加え混ぜます。脂ののった旬魚に塗るなど、芳しい香りで冬の味覚がさらに底上げされます。写真の小ぶりの柚子は島根県邑南町道の駅で購入した種無し品種、下ごしらえに時間がかからず果汁がたっぷりでした。

12/11

ほうれん草・貧血予防

葉野菜・小松菜・春菊。ブロッコリー。ほうれん草

旬のほうれん草は葉が肉厚になり、甘味も増しますね。鉄分が多いので、昔から貧血などに良いとされている冬の代表野菜です。ほうれん草が食べたくなったら実際に血が足りないのかも。積極的にいただいて養生して下さい。ビタミンCやカロテンも多く、風邪や動脈硬化予防にも最適で、五臓の働きも助けます。良質の油と一緒にとると、カロテンの体への吸収率が高まりますよ。

茹でるよりレンジ加熱だとビタミンCの損失が少なくすみますが、茎から茹でておかあげ(ザルに上げる)にするのが美味しいですね。おすすめレシピはナムル。加熱したほうれん草の水気を絞り、ピーナッツ油やごま油、塩、こしょう、おろしにんにく各少々で和える。

ほうれん草は早めに使いきりたいですが、保存する時は新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、立てて野菜室に入れます。

12/10

レモン・ドライレモン・リフレッシュ

薬膳・食養生・リラックス・デトックス・国産レモン・マイヤーレモン・レモン塩・ドライレモン

我が家のベランダ菜園のレモンは、今年も元気に実りました。レモン塩、レモンシロップの他に、乾燥レモンも作ります。粗塩で表面をこすり洗いし、ごく薄切りの輪切りにして、干して乾燥させるだけ。低温のオーブンでも良いですし、ドライフルーツ用の乾燥機だとより簡単です。乾燥後は、空き瓶などに入れてお菓子や海苔についてくる乾燥剤を一緒に入れて保存。料理やお菓子、飲み物に1枚入れるだけで表情が変わり香りも立ちます。スポーツをする時に数枚持って出かけ、水に入れてフレーバーウオーターしても。粗塩や甘味を少し加えるとスポーツドリンク風になります。私は紅茶にポンと入れて、爽やかな香りで気の巡りを良くします。気分がリフレッシュし、皮ごとたべられるので疲労も回復します。デスクやキッチンに置いておくと、鮮やかなビタミンカラーで元気になります。

12/8

ヨーグルト・乳酸菌・発酵食

ヨーグルトソース・ヨーグルトドレッシング・ヨーグルト・サラダ・腸活

腸内のバランスを整えるヨーグルトは乳酸菌発酵食の代表格ですね。その歴史はとても古くて驚くのですが、約7千年前から食されていたそう。免疫力を高め、腸の蠕動運動を促進させるので便通もよくします。
また、牛乳を発酵させて作るヨーグルトは、牛乳よりもカルシウムやたんぱく質が体に吸収されやすい状態になっています。
近年「生きたまま腸に届く〇〇菌」と言うフレーズで売り出されている健康効果の高いヨーグルト。これは、通常、胃を通る時に、胃酸で死滅する乳酸菌やビフィズス菌が多い中で、胃酸に強い菌を発見し、製品にしたもの。トクホのマークは、しっかりお腹の調子が整う事が認められた証なので、購入するときの目安に。
みかんが美味しい季節ですが、無糖ヨーグルトに果汁を絞り、塩、胡椒、オリーブオイルを空き瓶などに入れてシェイクする。サラダにはもちろんですが、さつぱりとしたソースがハンバーグなどにも好相性。発酵食は日常的に幅広く摂取することが大切ですね。

12/4

山芋・長いも・食養生・滋養強壮

井澤由美子・食養生・薬膳・漢方・山芋・長芋・芋・さんやく・山薬・とろろ・滋養・元気

薬膳では、山薬と書いて、“ さんやく ” と読みます。山芋や長芋は、身体への効能がとても高い自然食であり、文字通りお薬とも言えるパワーフードです。体調が悪い時や季節の変わり目に、積極的に食して体を労わります。
沖縄には、内地とは少し違った山芋があるのをご存知ですか? 知名度は低いのですが、沖縄人(ウチナンチュー)の長寿をしっかり支えてきました。亜熱帯地方で栽培されるもので、ゴツゴツとして大きさも形も一般的な山芋とは違います。とても強い粘りを持ち、おろして天麩羅にするのにも、つなぎがなくてもそのまま揚げる事が出来ます。
どちらの山芋も腎機能を高めるとされ、滋養強壮、疲労回復に効果が期待できます。山芋は、私が疲れた時に一番取り入れたくなる頼もしい助っ人野菜。おろしてお味噌汁に入れていただくとスッと胃に収まります。

おろす、温める調理法もポイント、日本の免疫力でもあるお味噌と合わせて、体調を崩しやすいこの時期にしっかり養生し。冬の寒さに備えます。

12/3

イカ・烏賊

薬膳ではいかの甲は(鳥賊骨・うぞくこつ)と言い、主に月経異常、胃腸症に使用されます。タウリンが多いいかは血中コレストロールの増加を抑え、動脈硬化の予防も期待できます。肝機能を改善するのでお酒のあてにもよいものです。昔よく見かけたいか徳利は、味だけではなくちゃんと体によい理由があったのですね。
日本人は世界でも有数のいか好き、さまざまな料理に使われていますが、低エネルギーでタンパク質が豊富、昔から血を養うと言われ貧血にも良いとされてきました。もしもいかの足が余ったら、細かく刻んでつくねやハンバーグに加えると食感に変化がついて美味しくなります。