井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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金柑・ドライキンカン・風邪予防

・風邪予防・食養生・きんかん・金柑・喉の痛み・キンカン・柑橘類・薬膳・

柑橘類が豊富に出回っていますが、中でも金柑属の個別分類になる(皮ごと食せる)金柑がとても美味しく感じます。ヘタが緑で艶がよく、より赤みの強いものを購入し、よく洗ったら皮ごと存分に楽しみます。喉にもよい金柑は甘露煮にしたり、コンポートにして保存。きんかんを2、3分下茹でしてアクを抜きます。蜂蜜に漬けるだけでも良いですが、鍋に移してきんかん分量の半量くらいのきび砂糖とかぶるくらいの水と、少々の酢か白ワインを加えトロミが出るまで煮詰めます。煮物や酢豚などに入れると味に奥行きがでて、鶏肉や鴨肉などともよく合います。お菓子には、タルトやソルベになどにすると爽やかです。
金柑の皮に含まれるヘスペリジンやビタミンCは風邪予防やアレルギー対策に有効、香りには気の巡りをよくする効能があり、ストレスを緩和し心を落ち着かせます。
写真はセミドライ金柑、皮ごと薄切りにして3日間干すだけ。セミドライなら、サラダに散らす、ケーキの飾りにすると可愛い仕上がりに。しっかり乾燥させたものは、長期保存ができ、お茶や飲み物に加えるとフレーバーティーになり、甘みがほんのり移ります。

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サトウキビ・黒糖・食養生

食養生・蒸しパン・黒糖・きび砂糖・サトウキビ・黒糖蒸しパン・薬膳

サトウキビの絞り汁を時間をかけて煮詰めたものが黒糖(黒砂糖)。奄美大島と加計呂麻島に行って、旅をしながら気に入りのお店を巡っては、手造りの黒糖を購入し味比べして楽しんでいたのがこの時期。まだぬくもりのあるカケラを口に入れると天然由来の嫌味ではない微かな酸味や苦味が奥の方に感じられて、美味しいものでした。

黒糖はカルシウムも多く、鉄分、ミネラルが豊富です。様々な種類の砂糖の中でも薬膳での黒糖は、体を温める効能がとりわけ高いと言われています。黒糖のソイラテは相乗効果で女性に嬉しい効果がありますし、黒糖と干し生姜の入った蒸しパンやパンケーキも滋養があってお勧めです。

サトウキビは刈り取ったら、すぐに汁を搾り手作業で加工されます。黒糖作りはサトウキビの収穫期と一緒でなければできません、12月から3月終わり頃までが旬。ハブにも挑みながら大変な労力が必要な黒糖作り、貴重な甘味です。

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ニラ・滋養強壮

ニラ・ニラ玉・薬膳・食養生・漢方・ニラの効能・ニラレシピ

食欲増進、疲労回復に良いとされるニラは、最も調理しやすい野菜ですね。ニラレバやニラと豚肉炒めなどはシンプルですが、ニラのアリシン、カロテン、肉のビタミンB1などが合わさって相乗効果のある組み合わせです。ニラの効能を使った昔ながらの民間療法も沢山あります、嘔吐やゲップにお困りの方は、ニラをさっと茹でて絞ったものと、生姜をおろして絞ったものを牛乳で溶いて飲む。腰痛や肩こりには、熱燗を呑みながらニラのお浸しなどをお酒のお供にいただくなど。

薬膳では、ニラには止血効果もあり、鼻血、不正出血などに良いとされています。ですが作用が強いので胃腸の弱い方、小さなお子さんは少し控えめになさって下さい、ニラはお腹のホウキと呼ばれるほど便通効果が高いので便秘気味の方には良いもの。それからお腹が弱い方は蜂蜜と併用すると下すこともあるようなので気をつけます。

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白菜・クリームシチュー・発酵食

井澤由美子・シチュー・白菜・養生三宝・薬膳・畑仕事・冬野菜・ハクサイ

温かくヘルシーで、食べ応えのあるシチューはいかがでしょう。まず3、4枚分の白菜の軸と緑の葉の部分を切り分けざく切りに、にんにく1かけ分はスライス、鶏もも肉1枚分を食べやすく切る。フライパンにオリーブオイルかごま油大さじ1を熱し、にんにくと鶏肉を炒める。色が変わったら白菜の白い部分だけを加えてしんなりするまで炒め、塩、胡椒する。豆乳2カップと白みそ(みそ)大さじ1〜2を入れて煮立て、残りの白菜を加え中弱火で3〜5分ほど煮込む。白菜の軸は炒めると、とろりとして甘みが増すのですが、この一手間でグンとコクがでて美味しくなります。最後に大さじ1の葛粉を少々の水で溶いて加え、とろみをつける。鶏肉の代わりに牡蠣を加えると精神を安定させる効果が高まり、更年期障害のイライラや落ち込みを改善します。その他白菜は胃腸を整え、お酒の解毒効果があるので二日酔いやむくみに有効、朝のお味噌汁などにもいいですね。

ビタミンCや繊維が多く便通も良くしますよ、発酵食品の味噌と同じ大豆の豆乳を合わせると、特に女性の健康維持にかかせないイソフラボン(味噌にも豆乳にも多く含まれている)のダブル効果で、骨量もふやす一皿になります。

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白味噌・酒粕・美肌・ショコラショー

白味噌・酒粕・発酵食・ホットドリンク・食養生

小雪が舞う寒い日。打ち合わせから始まる早朝は、ホットショコラショーで楽しみます。白みそをアクセントにした、酒粕とホワイトチョコレートのホットドリンク。酒粕(練り粕)、牛乳、アーモンドミルクか豆乳を小鍋に合わせて火にかけ、煮立つ直前で火を止める。あとは、白味噌と割ったチョコレートを溶かすだけ。
バニラエッセンス少々とカルダモンを落とすと、奥行きが出て風味豊かになります(カルダモンはレモンに似た香りを持ち、胃腸薬でもあり、口臭予防にも効くスパイス・生薬)。
短時間熟成で甘みがある白みそは塩分濃度が6%前後と低く、乳酸菌が豊富。なめらかでコクがあり、柔らかい塩気がこのドリンクの良いアクセントになります。
酒粕のレジスタントプロテインは食物繊維のような働きをし、腸の老廃物をからめ取って排出します。また米麹は美肌に有効な成分を含むため、米麹の割合が多い白味噌と合わせると、美白・美肌効果も上がります。

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小松菜・鶯菜・冬菜・江戸東京野菜

小松菜・江戸東京伝統野菜

小松菜の原産地は日本。江戸時代から今も続く東京江戸川区特産品です。江戸雑煮には欠かせない野菜で、伝統小松菜の「後関晩生」は、茎も柔らかで美味。よく見かける小松菜は品種改良をした丈夫なもので、食べ応えがありますね。

カルシウム、ビタミン、鉄分、カロテン、食物繊維が豊富で、風邪予防、貧血予防の他、骨を丈夫にする作用があります。中医学では歯周病予防に良いとされていますよ。
小松菜のシンプルな食べ方をご紹介します。鍋に湯を沸かして塩を加え、茎の方から先に入れ茹で、冷水にとって冷まし、水気を絞ります。しょうゆを全体にかけて下味をつけ(しょう油あらい)、再度ギュとしぼって食べやすく切って器に盛り付ける。この一手間でひと味もふた味も違う美味しさが生まれます、お好みでおろし生姜や鰹節を添えたり、白和えにしても。
その他、簡単調理のフライパン蒸しもお勧めです。ザクザク切った小松菜を茎から入れ、オリーブオイルと塩をパラリとふり、フタをして強火で蒸し炒めにします、シンプルな調理が美味しさを引き立て、栄養価を逃しません。ニンニクを入れてナムルにすれ風邪予防にも最適です。

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ブロッコリー・緑黄色野菜・冬野菜

ブロッコリー・緑黄色野菜・冬野菜・食養生・薬膳

ブロッコリーは野生のキャベツを品種改良したもので、さらに改良されたものがカリフラワーです。蕾の部分の緑黄色野菜、購入する時は、かたくしまって緑が濃いものを選びます。通年出回りますが、冬から春にかけてが旬です。
ブロッコリーは、胃腸に優しく、免疫力を高める野菜としてイタリアなどでも古くから栽培され、親しまれてきました。
カロテンやビタミンE、C、繊維が豊富です。甘味がある茎も、皮をむいて食べやすく切って一緒に調理しましょう。ブロッコリーのビタミンCは水に溶けやすいので、損失を補う塩を加えて基本的には短時間の調理にします。簡単にフライパンに入れ、塩、水、オイル各適宜を降って蒸しにすれば、カロテンも効率よく体に吸収できます。

多少色が落ちますが、ブロッコリーを柔らかく蒸すとしっとりして美味しいなぁと思います。まずはそのままいただいて、残ったらスープやピュレなどにしても。疲れている時は豚肉と一緒に調理すると、疲労回復をグンと助けます。

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養生三宝・白菜・白菜のシチュー

井澤由美子・シチュー・白菜・養生三宝・薬膳・畑仕事・冬野菜・ハクサイ

「白菜・大根・豆腐」は、養生三宝と言われるほど滋養がある野菜です。冬ならではの白菜はずっしりと重く、特に軸の甘味が美味しいですね。この軸の部分の旨味をグッと引き出したシチューは冬の醍醐味です。相性のよい白みそでこっくりとした味付けにし、葛でとろみをつけたシチューは体の芯から温まります。作り方は簡単です。白菜は軸と葉の部分に切り分け、それそれ食べやすい大きさに切り分けます。
フライパンにオリーブオイルとにんにく、鶏もも肉を入れ、塩、こしょうして炒め、肉の色が変わったら白菜の軸を透き通るまでじっくり炒めます。かぶるくらいの鳥ガラスープを加えてふたをして蒸し煮にします。しんなりしたら豆乳、白味噌、葛粉各適宜を混ぜたものを加え、まぜながらとろみをつけます。器に盛理、オリーブオイルや挽きこしょうをふっても。肌もキレイになる一皿です。
白菜は食物繊維がたっぷりで低カロリー、ビタミンCはりんごより多く、カリウムやカルシウムなどをバランスよく含みます。白菜の内側は柔らかいので
内側に向かってぜひサラダなどで食してみてください・

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かぼちゃ・南瓜・風邪予防

南瓜・かぼちゃ・食養生・薬膳・漢方・美肌

グッと寒さが増しています。かぼちゃを食べて柚子湯に入る風習が日本にはあり、かぼちゃを食べると風邪をひかない、病気を遠ざけるなどの言い伝え(冬至など)もあるほどです。何よりカロテンが豊富で、ビタミンB群やCを含み、風邪予防にお勧めの野菜、内臓を養います。美肌や目の疲れにも良く、便秘改善にも。

かぼちゃの名前の由来は、16世紀の半ばにカンボジアのかぼちゃが献上され、カンボジアがなまってかぼちゃになったと言う由来がありますよ、面白いですね。

かぼちゃの皮は硬いので、半分に切ってレンジに軽くかけて切りやすくします。大きめに切ったかぼちゃに、きび砂糖を適宜馴染ませて厚手の鍋に15分ほどおいておくと水分がでます。甘味と和えて少し置くのがポイントです。ひと混ぜしてふたをし、弱火で炊いてお醤油少々で味付けするとほくほくの煮物になります。生姜のスライスと酒、塩少々で炊くのも、かぼちゃの風味が存分に生きて、生姜で体も温まります。

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ニラ・韮・血行不良・ニラ玉・ナムル

食養生・薬膳・韮・ニラのナムル・疲労回復

写真は今号のマガジンハウスクロワッサンに掲載されている免疫力を上げるニラのナムル。滋養が高く肝機能を改善し、血流を良くします。

寒くなると肩がこりますね、ほぐしたいので今日は適度なストレッチと改善ごはんにします。腸の掃除機と言われるニラは体を温める作用も高い。合わせて腸内環境をよくしつつ、血液循環を高めます。血行がよくなるので、冷えによる肩こり、腰痛や血行不良による目の下のクマ改善も期待できます。

ささっとできるニラ玉もお勧め、2人分です。ニラは洗って4㎝幅に切り、卵4個、めんつゆ大さじ2と混ぜる。フライパンを中火にかけ熱くなったらごま油大さじ1をなじませ、卵液を一気に流しいれ、30秒おいて大きく混ぜてふんわり焼き、器に盛る。小鍋に出汁1カップ、醤油、みりん各大さじ2、酢、おろし生姜の絞り汁各小さじ1を煮立て、葛か片栗粉大さじ1を水大さじ2で溶いたものを加えてとろみをつける。生姜を加えたあんかけでさらに温まります、熱々をいただいて下さい。