井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

5/16

肝・レバー・レバームース・貧血

新鮮なレバーは艶があって弾力があり、ハリがあります。鮮度の良いレバーはシンプルな下処理で充分。塩をして一晩おき、ザルでざっと洗えば臭みや余分な水分が抜けて美味しさはそのまま残ります。黄脂、心臓、血の塊などは除き、鍋に入れて少々の塩とかぶるくらいの日本酒を入れ、厚手のキッチンペーパーを被せて15〜20ほど弱火で蒸し煮にし、そのまま3時間冷まします。このまま食べても美味しいですが、今日はレバーのムースを簡単に作ります。

玉ねぎとにんにくを刻んで多目のバターでソテーし、ブランデーやラム酒を加えアルコールを飛ばす。ボウルに入れ、酒蒸ししたレバー、生クリームを加えて攪拌。ナツメグをたっぷり加えると美味。甘い香りとスパイシーなコントラストがなんとも素敵、削りたてだと最高です。ティーサンドいっちや、軽くトーストしたパンやピクルス、好みでコンポートなどとお皿に盛ります。お好みで、粗く刻んだ粒こしょうを添えてパンチをきかせても。

言わずと知れたレバーは、貧血予防や疲労回復に良い鉄分が豊富です。ビタミンAも多く、眼精疲労や眼の粘膜を健康に保ちます。妊婦さんに特に必要な葉酸も多い、油分と一緒に調理すると効率よく体に摂取出来ます。中医学では以蔵保蔵と行って、弱った臓器と似た部分を食べると良いとされています。例えばお酒の飲み過ぎなど、肝臓がお疲れの方にもお勧めです。

5/13

新にんにく・生薬・免疫力

井澤由美子・食養生・健やかな食卓・発酵食・まいにち食薬養生帖・にんにく・新にんにく・薬味・たいさん・薬膳

五臓を活性化させるほど、高い効能のあるにんにくは生薬でもあります。過酷なピラミッド建設の労働者が滋養強壮のあるにんにくを食べて疲労回復に役立てていた話は有名ですね、薬として感染症治療薬でもありました。

スーパーに新にんにくが出回っています、5月〜6月終わり頃が旬。収穫後すぐに出回る新にんにくは、生にんにくとも呼ばれ、真っ白でみずみずしくフレッシュです。

この季節でしか味わえない新にんにくの楽しみ方がありますよ。醬油漬けや味噌漬け、ピクルスにするとそのまま食べても美味しく、調味料としても活躍します。新にんにくを皮ごとゆっくりと油で揚げると甘みが引き立ち、後を引く美味しさ。一緒に唐揚げやポテトを揚げれば、にんにく風味がうつります。にんにくは柔らかくなるのでペーストにしてマヨネーズなどと合わせても。その他、お米にコロンコロンと加えて炊いたにんにくご飯はほくほくとして美味、ソラマメやグリンピースを加えてもいいですね。すりおろしてタレやドレッシングにたっぷり加えるのも◎。にんにくに含まれるアリシンはウイルスを撃退します、こちらは生のままでいただくことがポイントで、細かく刻んだりおろしたりするとその威力を発揮します。

新にんにくは、いつものにんにくと違います。フレッシュな野菜として扱うと判れば、購入してから早めにいただくことになりますね。ぜひ短い旬を存分に楽しんで下さい。

 

5/12

海藻類・美と健康

海藻・かいそう・食養生・青海苔・食欲

今朝の6時半からのJ-wave 東京モーニングでは、美と健康に纏わる5月の食養生のお話をさせて頂きました(聞き逃しはradikoで、来週は19日です)。寒暖の差によって心身には色々な影響が生まれます、食からケア出来ることも沢山あります。

さて本日は海藻のお話し。わかめ、あおさ、こんぶ、えごのり、とさかのり、海ぶどう、天草、めかぶ、青海苔、ひじきなどの海藻類は健康によいとされ、日本ではメジャーですね。実は、あまり知られていませんが海藻には約1500もの種類があり、これらの海藻類は大体が食べれるそうです。量が取れないので、地元だけで消費されるものも多いと伺いました。

免疫力を高め、アンチエイジングなどに良いことは昔から知られるところ。世界からみても、日本人が長寿であったり、病気の発症率が少ないのはミネラルや繊維が豊富な海藻を食べる文化があったからかも知れません。昔ながらの郷土食も、おきゅうと、海藻寄せ、佃煮など多様にありますね。

先日、とても自由度の高い海藻料理や海藻発酵ドリンクをいただく機会がありました。手法や合わせる食材が楽しく、ドリンクも柑橘などを合わせてすっきとりとし、絶妙でした。

上質な海藻パウダーなどが出来れば、お抹茶や青汁粉、モリンガパウダーのように飲み物やお菓子など気楽に使えそうですね。香りや特徴を生かしたスムージーなども面白そうです。

韓国では産後にわかめのたっぷり入った熱々のスープを1ヶ月間毎日食べる風習があり、お誕生にもいただく様です。豊富なミネラルが血液を浄化し、体を元気にします

5/11

しらす・雑魚・かたくちいわし

しらす・じゃこ・お弁当・旬

カルシウムたっぷりのしらす、旬ですね。骨を強くし、DHAで脳神経を活発にする効果が期待できます。
しらすとは、イカナゴ、ウナギ、アユ、ニシン、マイワシ、ウルメイワシなど、白や透明無色の稚魚。マイワシやウルメイワシも流通していますが、いわゆるしらすのほとんどは、かたくちいわしの稚魚です。
しらすは釜茹でされたもの、それから更に乾燥させたものがちりめんじゃこですが、地方によって呼び名は多少異なるようです。通年出回りますが、春と秋が産卵のピーク。

新鮮な生しらすが手に入ったらぜひ試していただきたいレシピがあります。バケットに、にんにくの切り口をこすりつけて塩とオイルをふってカリカリにトーストする。生しらすをたっぷりのせ、オイルをふってほうばって下さい、ヨーロッパ風の食べ方で、冷えたワインとピッタリ。
しらすや小魚は、酢と合わせるとカルシウムの吸収がよくなるので、酢の物にもぜひ加えて下さい。
旬の山椒と炊いたちりめんじゃこは保存が聞きますし、おもたせにするといつも大変喜ばれます

5/10

玉蜀黍・トウモロコシ・コーン

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トウモロコシは世界三大穀物の一つ。日本では夏が旬ですが、地域によって多少異なります。暑い沖縄では、今が旬のトウモロコシ。糖度が高くて生でも食べられ、みずみずしく口に含めばその甘さにビックリします。

剥きたて削ぎたてをサラダ、天ぷら、ピクルスにと、下処理なしで堪能したほうが醍醐味を味わえます。トウモロコシや枝豆は鮮度が命。手元に来たら直ぐに調理して、この美味しさを損なわないようにします。茹でる時は、ひげ根と一緒に加熱しましょう。煮物やスープ、炊き込みごはんにする時は、芯も加えて調理すると更に美味しさが増します。

トウモロコシは繊維が豊富で腸整作用も抜群。葉酸やカリウムを含むみ利尿作用があるのでむくみにも有効です。韓国にはトウモロコシのひげ茶がありますね。ほんのり甘くてノンカフェインで、美容にもよいそうです。

美味しいトウモロコシの見極めポイントを農家さんに伺いました。持った時に重めで、ひげにボリュームがあって茶色くなっているものは熟していて、粒もぎっしり詰まっている長です。購入時の目安にして下さい。

5/9

朝蕎麦・そば・高血圧・美と健康

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今日は朝蕎麦です。たっぷりの大根おろしとわさびや納豆を添え、湯を沸かしている間に卵焼きを作ります。

蕎麦に含まれるルチンは血管を修復して、血液の流れをよくすることは周知の通り。抗酸化作用もあるので、アンチエイジングにもお薦めなヘルシーな食材です。ルチンはビタミンCと一緒にいただくとよりよい効果をもたらしますよ、おろし立ての大根は味も栄養面での相乗効果も高くなります。

私は蕎麦の方にわさびを少々のせ、ツユにひたす派です。朝からキリッとしたお蕎麦をいただくと背筋が伸びる感じがし、沢山の蕎麦の効能が頭をかすめるので、心身共に食養生。栄養は茹で湯に流れているので、忘れずにいただきます。

そば畑を持ち、ご自分でひかれる島根県のおそば屋さんからひきたてのそば粉をいただきました。大好きな蕎麦がきの作り方を教わって来ましたよ。鍋がきの手法です。鍋にそば粉30g、美味しい水250ccを加えて木べらでよく混ぜてから、火にかける。混ぜながら練って、ある程度とろみが出てきたら弱火でつやが出るまでまぜる。ポイントは一生懸命にかき混ぜること。冷めるともう少し固まります。
お椀に練りたての蕎麦がきを入れ、おろし山葵や生姜、ねぎなどでも上等ですが、昆布出汁を張り、はまぐりと酒少々を加えた熱々の出汁を注ぐとおもてなし椀にもなります(あれば木の芽など散らして)。
蕎麦のポリフェノールが血圧を下げるのは有名ですね、疲れている時にもおそばはお勧めです。

5/8

「昆布酢」「薬膳昆布酢」酢・vinegar・ダイエット

ダイエット・vinegar・健康・昆布酢・薬膳昆布酢・大豆昆布酢・昆布・酢・漬けおき

ダイエットを始めるなら春が一番適しているかも知れません。冬の間は体が必要な栄養や脂などを無理に落とすようなことは控えます。これから少しずつ健康的にトライしていきましょう。

私たちの食卓の中心にはいつも「ごはん」があります。加齢と共に太りやすくなったり、体型を意識したりして、エネルギー源である炭水化物(ごはん)を抜いた経験はありませんか? 食べたら太る!! イメージ意識の強いごはんをダイエットに適したものに変えるポイントは「ごはんを冷えた状態でいただくこと」「内臓脂肪を軽減させる酢を加えること」。

冷めたご飯は消化のスピードが遅くなるため「難消化性澱粉」、食後の血糖値の上昇が緩やかになります。ご飯に酢を混ぜた酢飯はダイエットに最適と言うわけです。加えて酢と昆布を合わせると出来る、酢酸カルシウムという成分は骨粗しょう予防に、また昆布のフコイダンや食物繊維は免疫力を高めるので、アレルギーなどの改善にも効果が期待できます。

気温が上がるとお弁当など腐敗が心配になりますが、酢飯にすれば安心です。骨つきの魚や肉を煮る時などに酢を使うと、臭みが取れ、肉離れが良くなり、骨からでたカルシウムも難なく摂取出来ます。

以前出版した「昆布酢ごはんダイエット」(宝島社)では、難消化性でんぷんで太らない、相乗効果があって気軽に作れるレシピ60品をご紹介しています。酢には疲労回復効果もあります、普段から意識してとり入れてみて下さい。

5/6

新にんにく・大蒜・初夏の食養生

井澤由美子・食養生・健やかな食卓・発酵食・まいにち食薬養生帖・にんにく・新にんにく・薬味・たいさん・薬膳

新にんにくが出まわる頃は、そら豆の旬でもあります。山椒の実や梅、らっきょう、新生姜も出始めて、手仕事が大忙しの5月。
新にんにくは生ごと醤油や味噌、オイルに漬けたり、中国風に酢漬けにしたりとひねとは違う軽やかなにんにくの風味を楽しみます。
この時期のにんにくは、香りの薬味や香辛料と言うより、しっかり野菜として調理したくなります。たっぷり薄切りにして、小松菜や空芯菜とごま油でサッとソテーすると、新にんにくのシャッキリした歯触りを堪能出来ます。
中医学でにんにくは、脳や五臓の働きを活発にし、解毒効果や活血作用(血の巡りをよくする)がある食材とされています。身体を温めるので、冷えて白い鼻水が出る時などの風邪のひき始めや、免疫力を高めたい時、体力を取り戻したい時などに効果が期待できます。

大蒜の字の蒜(ひる)は食用になるにんにく、ノビル、ネギなどの古名です。ノビルと区別するために、にんにくを(おおひる)と称し、生薬名は(たいさん)。ちなみに無臭にんにくやジャンボにんにくは、本当はポロ葱(リーキ)の仲間だそうです。

5/5

柏餅・こどもの日・端午の節句・立夏

柏餅・節句・子供の日・まいにち食薬養生帖・食養生・二十四節気

今日は子供の日。端午の節句で、菖蒲の日とも呼ばれます。二十四節気では立夏(夏の気配がする頃)。菖蒲やよもぎを湯に入れてその香気で邪気を払い、無病息災を願う。菖蒲は尚武にかけていて、勇ましく健やかな男の子の成長を祈願する日です。今朝は数年ぶりに菖蒲とよもぎを浮かべて朝風呂を。爽やかなお天気も手伝って清々しい。菖蒲とよもぎには血行をよくし、神経を沈静する効果が期待出来ます。

道ゆく和菓子さんやスーパーでは柏餅も売っています。きちんと作られたものは餅が二つ折りになって、兜の形をしています。かしわの葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないので、「家系が絶えない」「子孫繁栄」と縁起をかついでおり、昔の武家社会では特に珍重されていたそうです。かしわ餅の餅は上新粉を練ったもので、江戸時代の生まれ。一方、中国伝来の粽(ちまき)(茅巻)は、もち米やうるち米などで作った餅を茅(ちがや)などの葉で巻いて井草で縛っています。餅に良い香りがうつり、乾燥を防ぐ効果や手を汚さないなどの利点もあります。かしわ餅の中身は小豆餡が主流ですが、白餡に甘い白みそ(西京味噌)を混ぜた白みそ餡も外せません。

5/4

クレス・クレソン・オランダガラシ・ウオータークレス・水田芹

クレソン・つくね鍋・オランダガラシ・野菜・西洋芹

柔らかい摘みたてのクレソンはとても可愛らしく清らかな感じが伝わります、どんな風にいただきましょうか。
まずは繊細な風味を味わいたいのでそのままサラダにして。
クレソンを口に運ぶと爽やかな辛さを感じるのですが、これは大根やわさびに含まれているのと同じ成分のシニグリン、胃がすっきりします。消化を助けたり、胃もたれの改善、食欲を増進させる作用があります。
クレソンは、カロテンを含み抗菌作用があり、老化やがん細胞を抑制し、血もきれいにする効能が期待できるそうです。
さっと茹でて軽く昆布締めにしても大人風味で良いもの。デトックスジュースや、新じゃが芋と合わせて温かいポタージュスープもいいですね。鶏と酒で旨味をたっぷりひき出したお鍋に入れ、しゃぶしゃぶにするのもオツ。硬い茎の部分は肉などのスープに加えると臭み消しになり、消化も助けます。
微かな苦味がさわやか、みずみずしい食感を少し残してたっぷりといただきたい野菜ですね。薬膳ではイライラや喉に詰まるような感覚を取り除く野菜とされています。