井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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鰤・ぶり・嫁ぶり

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脂がのった寒ぶりは、こたえられない美味しさです。ぶりは出世魚で、関東では成長順にわかし・いなだ・わらさ・ぶりと呼ばれ、30㎝くらいのいなだまでは私も釣った事があります。ちなみに関西では、つばす・はまち・めじろ・ぶりと呼び名が変わります。さばいてから少し寝かせても美味しいので、お刺身でも2、3日は楽しめます。先日、氷見から届いた10キロのぶりと格闘しました。お刺身やしゃぶしゃぶで、カマの部分は塩をキツめにふって炭火でパリッと焼き、大根おろしと柚子果汁でいただきました。血合い部分は、醤油とみりん、柚子スライス2、3枚を合わせたタレに漬けました。
ぶりは血液をサラサラにするはDHAが豊富。脳細胞内にDHAが増えると記憶力の向上やアルツハイマー予防になると言われています。
熊本には「嫁ぶり」なる文化があります、結婚して迎える初めてのお正月に、婿方からお嫁さんの実家にぶりを送る風習があるのです。「大切なお嬢様を頂いて有難うございました」と言うご挨拶なのだそうです。なんともステキですね。

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ピスタチオ・バクラブァ・BAKLABA

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バクラヴァは、透けるように薄く伸ばした生地を何層にも重ねてさらに伸ばし、さっくりと焼いたトルコのお菓子。焼きたてにレモンの風味をふんわりつけたシロップを染み込ませるのですが、とても甘くインパクトがあります。生地作りのお手伝いをしましたよ。家庭で作るには、少し手間がかかるので、冷凍のパートフィロを使います。耐熱容器にシート1枚をしき、溶かしバター、シート、バターの順に7枚重ねた後、砕いたピスタチをx全体にたっぷり散らしたら、また7枚同じ要領で重ねて14の層にします。一口大に切り、200度のオーブンで30〜40分焼く。裏をみて、こんがり焼けていれば出来上がり。小鍋に水とメープルシロップ、櫛形に切ったレモン4分の1個を煮立て、好みの甘さに調節したものを全体にハケで馴染ませます。ポイントは、パイは焼き立てで、そしてロップが熱々であること。熱いうちにしみ込ませると、味の馴染みが良くなります。トルコ料理では、鮮やかなピスタチオはお肉のマリネやソースにも使われています。ピスタチにはオレイン酸が含まれ、悪玉コレストロールを減少させる効能が期待できます。

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節分・恵方巻き

井澤由美子・養生ごはん・美人・二十四節気・恵方巻き・節分・立春・海苔巻き・太巻き・食養生

2020年の節分は2月3日の月曜日、恵方は西南西です。恵方とは「歳徳神」と呼ばれる縁起の良い神様がいらっしゃる方向。今年は、十千(じっかん)の庚(かのえ)と十二支の子(ね)を合わせた(庚・子)の方角で,毎年変わります。今年も酢飯屋さんの太巻きを、恵方に向いて皆で頂きます。
節分は季節の節目に邪気を払う風習が中国から伝わり、立春、立夏、立秋、立冬の4つに区切られていて、各季節の始まりの前日を示すようです。
豆まきは、鬼は外(邪気を払い)・福は内(幸運を呼び込む)と声を立てて厄除けをする風習ですが、大人ばかりの我が家では、心ばかりに楽しんだ後、豆おこわにして楽しみます。米2合は洗って30分浸水させ、ザルに上げます。鍋に洗った米、酒大さじ2、粗塩小さじ1、米油少々を加えてひと混ぜし、昆布一切れ、豆まきの炒り大豆を半カップほど入れて普通に炊きます。少し豆が余る場合は、糠床に入れて余分な水分を吸わせます。ふっくら戻った糠漬けの豆は美味しくいただきます。大豆は血液をサラサにし、体脂肪の減少、便秘改善にも役立ちます。

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養生三宝・白菜・白菜のホワイトシチュー

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「白菜・大根・豆腐」は、養生三宝と言われるほど滋養がある野菜です。冬ならではの白菜はずっしりと重く、特に軸の甘味が美味しいですね。この軸の部分の旨味をグッと引き出したシチューは冬の醍醐味です。相性のよい白みそでこっくりとした味付けにし、葛でとろみをつけたシチューは体の芯から温まります。作り方は簡単です。白菜は軸と葉の部分に切り分け、それそれ食べやすい大きさに切り分けます。
フライパンにオリーブオイルとにんにく、鶏もも肉を入れ、塩、こしょうして炒め、肉の色が変わったら白菜の軸を透き通るまでじっくり炒めます。かぶるくらいの鳥ガラスープを加えてふたをして蒸し煮にします。しんなりしたら豆乳、白味噌、葛粉各適宜を混ぜたものを加え、まぜながらとろみをつけます。器に盛理、オリーブオイルや挽きこしょうをふっても。肌もキレイになる一皿です。
白菜は食物繊維がたっぷりで低カロリー、ビタミンCはりんごより多く、カリウムやカルシウムなどをバランスよく含みます。白菜の内側は柔らかいので
内側に向かってぜひサラダなどで食してみてください・

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高野豆腐(こうやどうふ)・豆乳鍋

風邪が流行っていますね、体調管理が大切です。必須アミノ酸がとても豊富な高野豆腐は、使い勝手の良い乾物。悪玉コレステロールを減少させ、脂肪の代謝を促します。たんぱく質が豊富で疲れにくいカラダを作るなど、嬉しい利点が沢山あります。
体調の悪い時は、高野豆腐をすりおろしておかゆに加えると栄養価が上がり、ふんわりして食べやすく離乳食や介護食などにもお勧め。また、すりおろした高野豆腐は、パン粉の代わりに使うとヘルシーです。高野豆腐は豆乳鍋に加えても美味しいですよ。鍋で高野豆腐やきのこを出汁で煮て、後から豆乳を加えるだけです。好みで豚薄切り肉などを加えてもいいですね。高野豆腐はポン酢などをつけても美味しくいただけます。体調がすぐれない時などにもお勧めの高野豆腐、滋養がつきます。

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百合根・ゆりね・百合

少し厚めの花びらのような形のゆり根の食感は、甘くホクホクとしています。繊細な風味とビロードのような舌触りから、お菓子やポタージュスープにも適しています。ゆり根の効能は素晴らしく、漢方では百合(ひゃくごう)といって、不安感や不眠、動悸、更年期障害などを軽減し、自律神経を整える生薬です。ナーバスになりやすい子供の受験期に、ゆり根入りの茶碗蒸しやミルク煮をよく作りました。北海道などの産地では贅沢にも、チーズのグラタンやミルクスープにたっぷりつかっていました。良質なたんぱく質やカルシウムを合わせてとれ、心身ともに元気になる組み合わせです。美味しさが凝縮するかき揚げも大変美味。下処理としては、ゆり根を1枚ずつ剥いで砂などの汚れを除きます。後は、茹でる、蒸す、揚げるなどして調理しますが、火が入りやすい事も考慮して加熱時間は短めに。
百合根には、咳を止める効能もあるので、抗菌作用が高いはちみつと合わせて煮るとさらなる効果が期待できます。

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COMTE・コンテチーズ・チーズ  ・発酵食

熟成コンテが好きで、いつも冷蔵庫に入っています。
コンテは、フラン人にとても人気のチーズ。生産量はフランスでNo.1。AOPに認定されたチーズの20%以上をしめています(AOPは原産地呼称保護/フランスの品質保証制度)。
スイスとの国境近く、アルプスにほど近いジュラ山脈一帯のフランシュ・コンテ地方は冬は寒さが厳しく、しいて言えば北海道のような環境です。熟成士によって丹精込めて作られており、添加物は一切使わず、水分を抜いて作るハードタイプのチーズなので旨味が凝縮しています。45種あるフランス産AOPチーズの1つです。
ワインの勉強を少しかじると、テロワール(土壌・その土地の気候)について学びますが、チーズもその土地土地土壌の豊かさを個々に醸し出すもの。牛が食べる草や干し草など、時期によっても風味や色が変わる。これはバターも同じですね。若いコンテは調理に向いていますが、私は結晶化したシャリシャリ感や、芳醇で凝縮した風味が好きなので、熟成期間が長いコンテを選び、そのまま果物などを添えて楽しんでいます。
合わせるワインは同郷のサバニャンで作られる黄ワイン「ヴァン・ジョーヌ」とのマリアージュを1度お試しいただきたいです。ナッツやハニーの華やかな香りのワインや、樽が効いたシャルドネ、濃密な香りの貴腐ワインもいい。もちろんシャンパーニュもお勧めです。

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牡蠣・かき・カキフライ・滋養強壮

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身がプクプクのカキは美味しいですよね。食べると元気が出ます。写真は漁師さんの手の上で剥き立て、厚岸産のカキです。カキには亜鉛、マグネシウム、タウリン等が多く含まれ、味覚を正常に保ち、貧血や慢性的な疲れを改善します。ビネガーに刻んだエシャロットを混ぜ、カキと合わせていただくと
酢の殺菌作用に食えわえてカキの独特の匂いが和らぎます。レモン果汁やにタバスコをふるのもお勧めです。加熱したカキも外せませんね。サクサクのカキフライを香りの爽やかなレモンマヨネーズで食べたくなります。サクッと揚がる衣の作り方をご紹介。小麦粉大さじ1、卵1個、水大さじ1を混ぜて卵液を作る。かきの水分をふき取り、粗塩とこしょうをふって小麦粉をはたき、卵液にくぐらせ、たっぷりの生パン粉をギュッと押し付けて180度でカラリと揚げる。パン粉をつけたあと、油が温まるまで冷凍庫で冷やしておきましょう。中医学でかきの殻は「ぼれい」と呼ばれる生薬で、主に真カキの膨らんでいる左殻を指すそうで、高温で焼いて粉末にしたもの。虚弱体質、不眠、めまい、精神安定、利尿薬などに使用されます。

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わかめ・海藻・ワカメ・若布

わかめは「若女」と書かれることもあるほど、美容によく若返りの食材とされてきた海藻です。わかめの茎の部分がめかぶで、そろそろ旬を迎え市場に出回ってきますね。カルシウムやカリウムなどのミネラルも多く、骨を丈夫にします。海藻に含まれる独特のぬめりは食物繊維の一種のフコイダンとアルギン酸によるもので、血中コレストロールを下げる働きがあります。わかめは繊維やヨウ素が豊富で、便通作用に加え、髪も綺麗にしてくれるので日々食したいものですね。お勧めの料理は定番の酢の物やお味噌汁。わかめのカルシウムは酢とわせてとると吸収がよくなります。みそとわかめは共にデトックス効果があります。わかめは
加熱時間はできるだけ短めにします。新鮮なわかめは、柔らかくなめらかでとても美味しいので、ぜひわかめのしゃぶしゃぶで楽しんで下さい。

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酒粕・発酵食・干しイカ・烏賊・いか

毎月出張している鳥取県で、酒粕といかを合わせた白菜の漬物をご馳走になりました。いかはスルメイカを干したものを戻して使っており、白菜と酒粕に干しいかの絶妙な旨味が加わったオツな保存食。酒粕は漬け込み調理に使うと食材を柔らかくする効果があります。熟成期間の長い練り酒粕は芳醇な香りがし、甘みがあって使いやすいですね。この香りの元の酵母菌はいろいろなビタミンを含み、菌そのものに美容効果が期待されます。
今年の酒粕をいただいたので、みそをみりんを溶いて干しいか(するめいか)を漬けてみました、熱燗が進んで困る感じです(笑)。酒粕で漬けたスルメイカを少し大きめに切り、衣をつけて天婦羅やフライにしたら楽しい一皿に。酒粕はもとより、干したスルメイカを見直した日になりました。酒粕は体を温める効能の他、肌のコラーゲン量をUPする働きが期待できるので日常的に食べたいですね。