井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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こごみ・クサソテツ・山菜・5月の食養生

おひたし・こごみ・山菜・初夏・旬の味・食養生

今朝のJ-WAVE 東京モーニングでは「美と健康」がお題でした。ナビゲーターは別所哲也さん、新書の「まいにち食薬養生帖」から、5月の食養生や腸活についてのお話しもさせて頂きました。旬の食材を食卓に取り入れる事は、体や心が元気になる要素や意味があります、私は楽しんで食卓に取り入れています。

山菜が美味しい季節。ワラビやゼンマイの仲間のこごみはアクや苦味がほとんどないので、下処理が楽です。ボウルに水を張って優しく汚れを落としたら、食感を残すように塩を入れた熱湯でサッと茹でる(色止めをしたい時は冷水で冷やします)。鰹節と醤油で、マヨネーズとにんにくを混ぜたアイオリでサラダ風にするのもお勧めです。天麩羅の場合は茹でずに揚げます。

私は下処理した後、濃いめの出汁にたっぷり浸しておきます。先ずけや冷やし蕎麦に添えれば、食卓に風情がでます。白和えや胡桃和えも美味しいし、卵とじもお勧め。それから、外国の友人が必ず喜ぶお持たせにはピクルスを。パプリカ、キュウリ、ラディシユ、うずら卵などを入れた彩野菜にこごみを忍ばせておくと、渦巻き状のそのコケティッシュなルックスに目を丸くします。ついでに名前由来の、人が屈み込む(かがみこむ)様子から転じてついた経緯にも興味を持ち、この様子がいつも面白いのです。

山菜には独特の香りや風味、食感があります。旬は短し、いずれも手にしたら早めに処理をする事が美味しくいただけるポイントです。

山の息吹の様な山菜類は、大概デトックス効果が高く、ビタミン、葉酸、繊維、カリウムが豊富です。

 

 

 

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山椒・花山椒・旬の香り

一年に一度、ほんの一瞬の短い期間だけ楽しめる花山椒(山椒の花)。上品な風味を生かして酢の物、和え物、椀物に入れます。この時期なら掘りたての筍と炊いても美味しい。割り下にこれでもかと花山椒を入れ、薄切りの牛肉をさっとくぐらせて煮えばなをいただくのもオツです。

雌木になる実は6月頃に出回るものは青山椒とも呼ばれ、秋以降に完熟したものを乾燥させて挽くと粉山椒になります。山椒の香りが大好きな私は、毎年そわそわしながら庭の木になる花や実を心待ちにしています。花、葉、実、皮のすべてが楽しめる山椒、昔はお腹の虫くだしに良いとされていました。

昔から木にも解毒作用があるとされ、山椒の木で作られたすりこぎを私は使用しています。手にフィット感があって他の素材より握りやすく、する時の当たりが好きです。

薬膳での山椒は身体を温めて胃の調子を整え、気の巡りをよくするとされています。花は佃煮にし、葉は乾燥させ、実山椒は塩漬けやオイル漬け、醤油漬けを沢山仕込み、1年中香りを楽しめるようにストックして置きます。

4/28

記憶のハーブ・ローズマリー・タイム

薬膳・生薬・井澤由美子・ローズマリー・記憶のハーブ・穀雨・

霧のような細かい雨を時々浴びるこの頃のハーブ達はぐんぐんと育ち、ベランダや庭が若緑に染まり活気を帯びて来ます。ローズマリーやタイムなど、チョキンと切ってよく洗ったら水気をふいて清潔な瓶や容器にいれます。オリーブオイルやビネガー(酢)をハーブが浸るまで注げば、香りの良い調味料になり、キッチンも華やぎます。

私はローズマリーならお肉料理、タイムならお魚料理に使うことが多い。ロースマリーは、鹿肉や内臓系など食感含め個性的なものに合わせる。今なら新緑に合わせた白ワインか、冷やした軽い赤に合うように、ローズマリーの風味をつけたラム肉をローストし、ほんの少しシナモンを香らせたローズマリーのソースを添える。味に奥行きが出て初夏を楽しめる一皿になります。

ローズマリーやタイムは可愛らしい紫やピンクの小さな花を咲かせます。
お好みのハーブを束ねて逆さにつるせば、部屋中に天然フレッシュアロマが広がって、眠りも良質になる気がします。
ローズマリーとレモンを合わせた香りは認知症予防にも良いそうですよ。ハーブとレモンの皮をしっかり乾燥させたら、混ぜて枕やアイピロー、シューズキーパーにするのもステキです。

中医学でのローズマリーは頭をすっきりさせる生薬で、記憶のハーブとも呼ばれています。可愛らしい小さな花をつけたタイムは強力な抗菌作用があります。

4/27

酢・発酵調味料・食養生・疲労回復

まいにち食薬養生超・疲労回復・昆布酢・発酵調味料・酢・疲労回復

ここのところ、湿気が多く気温が高くなる日が増えて来ました。木の芽時とは、心身の疲労を感じやすくなる時期でもあります、今日は体も心も癒すお酢のお話しです。

酢は世界最古の発酵調味料と言われていて、万葉集にも登場します。味噌、醤油と並ぶ日本の食文化を支えてきた伝統的な発酵調味料。いろいろな国で、その土地に根付いたお酒から作られており、名前の由来も判りやすい。例えば日本の酢は酒から作られるので酒編で酢、フランスの vinegar(ビネガー)はvin(ワイン)、イギリスの(malt vinegar)のモルトは麦芽から出来ているというように。
果物や野菜から作られているものには、みかんや玉ねぎ、紅芋など多様にあり、アップルビネガー(林檎酢)は世界中にありますね。私は料理の基本には米酢を愛用していますが、手作りしている柿酢や赤酢をここぞという時に使いますし、きび酢、黒酢、バルサミコ酢など赤いコクのある風味やとろみをパチンと効かせて楽しむ。日々料理やドリンクに何かしら使っています。

10年ほど前から実践している昆布酢活用もお勧めです。昆布にはカルシウムが含まれていますが、酢に漬けると酢酸カルシウムになって、体に摂取しやすくなります。清潔な瓶に食べやすく切った昆布を入れ、酢を注ぐだけ。昆布の旨味で酸味もまろやかになり、常温でずっと日持ち出来るのも良いころです。シニアの父は納豆や豆腐、揚げもの、麺類料理の仕上げにひと垂らししていますが調子が良いようです。

酢には血液をきれいにし血行をよくする効果や、内臓脂肪を燃焼させる、便通作用を促す、疲労を回復させるなどの効能が期待できます。料理に活用したり、水や炭酸で薄めたりして日常的に摂取する。ただし、ストレートでいただく時は胃に負担がかかるので、大さじ1〜1半までにと留めます。

4/26

手作りグリーンマヨネーズ・ハーブ・木の芽・ストレス

木の芽・ハーブ・和ハーブ・山椒・手作りマヨネーズ・簡単レシピ・食養生・薬膳・漢方・食薬ごはん・まいにち食薬養生帖・春野菜。旬野菜・グリーンマヨネーズ

山椒の葉がスクスクと育っています。摘みたてを若いパセリと合わせてグリーンマヨネーズを作りました。ボウルに卵黄1個、粒マスタード小さじ1、酢小さじ1〜2、(きび砂糖、こしょう各少々は好み)、粗塩小さじ半を合わせて、ハンドミキサーや泡立て器でよく混ぜる。そこへ、米油(菜種油、オリーブオイル、ミックス等でも)大さじ2〜3を少しずつ垂らしながら混ぜ続けると、とろみのついたマヨネーズができます(油を多くするともったり感が高まる)。仕上げに柑橘果汁を少し絞ると程よい甘さと香りがプラスされるので、私の常です。

爽やかなこの自家製マヨネーズは、蒸したり茹でたりした旬の新じゃが芋、アスパラ、山菜や生の新玉ねぎにもとてもよく合います。ゆで海老、白身魚、卵料理にもお勧めですよ。ハーブは好みでミントやバジルでもよく、市販のマヨネーズに刻んで簡単に加えるだけでも、目先が変わって楽しめます。

この頃は木の芽どきと言いますね、春の食養生は大切です。木の芽は胃腸を整える働きと、気分の落ち込みを緩和します。パセリにはビタミンエース、カロテン、カリウム、鉄分、繊維が豊富。良質なタンパク質とトリプトファンを含む卵と合わせれば、アンチエイジング、貧血予防、ストレス緩和に相乗効果が生まれます。手作りマヨネーズは加熱をしないので栄養を効率よく吸収できますし、香りもイキイキしています。

 

 

4/25

しらす・ちりめんじゃこ・春の食養生

しらす・じゃこ・お弁当・旬

カルシウムたっぷりのしらす、旬ですね。骨を強くし、DHAで脳神経を活発にする効果が期待できます。減塩食の方は、塩気があるしらすや雑魚を上手に料理に取り入れると一石二鳥です。
しらすとは、イカナゴ、ウナギ、アユ、ニシン、マイワシ、ウルメイワシなど、白や透明無色の稚魚。マイワシやウルメイワシも流通していますが、いわゆるしらすのほとんどは、かたくちいわしの稚魚です。
しらすは釜茹でされたもの、しらす干し、それから更に乾燥させたものがちりめんじゃこですが、地方によって呼び名は多少異なるようです。通年出回りますが、春と秋が産卵のピーク。
新鮮な生しらすが手に入ったらぜひ試していただきたいレシピがあります。バケットに、にんにくの切り口をこすりつけて塩とオイルをふってカリカリにトーストする。生しらすをたっぷりのせ、オイルをふってほうばって下さい、ヨーロッパ風の食べ方で、冷えたワインとピッタリです。
しらすや小魚は、酢と合わせるとカルシウムの吸収がよくなるので、酢の物にもぜひ加えて下さい。酢飯にしらすとごまを、刻んだシソを入れたおむすびは運動後や暑い日に元気になりますし、しらすと青のりをたっぷりのせたしらす弁当もお勧め、旬をシンプルに楽しめます。

4/23

一汁三菜・まごはやさしい・食養生・シニアの元気

食養生・一汁三菜・まごはやさしい・井澤由美子・食薬ごはん・まいにち食薬養生帖・健康・卵焼き・薬膳・山薬

週末の朝ごはんやお昼には一汁三菜が多い。だいたい作り置きや余った食材のリメイクを少しずつお皿にのせて楽しんでいます。今日は、3cmほど残っていた長芋をおろして卵焼きに加えました。昆布出汁、味醂、醤油を混ぜて焼けば滋養があり、しっとりとした食感の卵焼きになります。冷凍してあった玄米餅米の筍おこわと、キャベツのはし切れを蒸し器におく。キャベツの芯まで甘く柔らかになります、梅干しとおかかを和えたお浸しにして消化よく。今日は少し暑かったので、海藻の昆布酢漬けにきゅうりを加えて。作り置きの糠つけ沢庵と辛味の効きすぎてしまったわさび漬も添えました。干し椎茸のお味噌汁には新玉ねぎと黒すりごまをたっぷり入れてカルシウムuP。気づくと(まごはやさしい)献立になっていました。

山芋・長芋類は山の薬と書いて山薬(さんやく)と呼ばれるほど元気になる効能が高い野菜です。食物繊維もあるので、もともと良質なたんぱく質の卵と合わせると大変滋養が高くなります。薬膳と栄養学の観点からは、トリプトファンを含む卵と腎機能を高める山芋の組み合わせで 安眠効果が期待できます。

まごはやさしいを毎日少しずつ取り入れていくのはバランスの良い食卓の目安になりますね。「ま→豆(大豆類)、ご→ごま(すりごまが良い)、わ→わかめ(海藻類)、や→(野菜類)、さ→魚、し→しいたけ(きのこ類)、い→いも(芋類)」特にシニアの元気にはお勧めです、日々実践して美味しく楽しく召し上がって下さい。

4/23

春キャベツ・乳酸キャベツ・快腸美肌・発酵食

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柔らかな春キャベツが出回っています。
乳酸キャベツは、シュークルートやザワークラウトと同じ発酵キャベツの漬物で、井澤家の呼び名です。なんてことない漬物ですが効能が高いのと、作り方が極簡単なのでお勧めです。

基本材料はキャベツ、粗塩、きび砂糖の3つ。細切りキャベツ1Kg、塩小さじ4、きび砂糖小さじ2を馴染ませ、重石をして常温で2日たったら清潔な保存容器に入れて冷蔵庫へ。お好みで唐辛子や粒胡椒、スパイスなどを加えても良いですし、私はたっぷりの山椒の塩漬けや針生姜を加えた和風を常備しています。

発酵食は単体で口にしても腸には効きにくく、食物繊維を足すことで整えやすくなります。乳酸キャベツは発酵食でありながら、食物繊維、ビタミン類などと、乳酸菌が豊富。一つで賄える優れたお漬け物で、一番シンプルな発酵食だと思います。ギャバも豊富です、毎日食べると胃腸や体がスッキリします。

4/22

新玉ねぎ・玉ねぎ・柔らか煮

春野菜・井澤由美子・食養生・血液サラサラ・春野菜・新玉葱・新玉ねぎ・レシピ

真っ白で柔らかな新玉ねぎが美味しそうです。辛味が少なく水みずしいので、まずはスライスなどでたっぷりいただきます。産地の農家さんは栄養価も逃げるからと、水にさらしません。調理をする時も火入れ時間を短くするメニューが多いそうですよ。

今日はシニアの父が好きな(新玉ねぎと鶏肉の柔らか煮)をご紹介します、材料は新玉ねぎ、生姜、鶏肉の3つ。

新玉ねぎ1個分を少し厚目のくし切りにし、生姜はたっぷり細切りにする。食べやすく切った鶏肉1枚(230g)に醤油少々を揉み込み、片栗粉適宜をふる。ごま油で鶏肉を炒め、色が変わったら端に寄せる。玉ねぎを加え炒め、油が回ったら全体を合わせて、水大さじ4、酒、醤油、きび砂糖各大さじ1、生姜を加えフタをして汁気が無くなるまで6〜8分弱火で蒸し煮にする。衣に味がからんでつるんとした口当たり、肉も柔らかです。

玉ねぎの生食は血液サラサラ効果が高いのですが、こちらは通常の玉ねぎの方が含有量が高いようです。しかし、新玉ねぎのシャキシャキとした食感は心地よく、甘味があって美味しいのと、殺菌効果も感じるので旬には山盛りを堪能したくなります。新玉ねぎは腸内環境を良くし、疲労回復を手伝う効果が期待出来ます。薬膳では消化不良を改善し、お腹のはり、ゲップや吐き気などに有効とされています。

購入する時は隙間がなく、ずっしりと重ためで球状、先端が細めのものを選びます。新玉ねぎでも匂いや辛味を感じて気になる方は、空気に触れさせて少し置いてからいただくと多少違うようです

4/21

ごま油

卵道具・食養生・食薬ごはん・豆腐

ごま油のふくよかで香ばしい香りと風味が好きです。自宅でも現場でも、井澤家では登場率が最も高いごま油、種類も豊富に揃えています。主成分は不飽和脂肪酸のリノール酸(オメガ6)、オレイン酸(オメガ9)、セサミン。生活習慣病の血中コレストロールや中性脂肪を軽減させる作用が期待出来ます。殺菌効果もあり、アーユルヴェーダでは白ごま油でうがいをするほどです。

揚げ物の油に少し加えると食をそそる香ばしさが加わり、酸化しにくくなるなどのメリットがあります。お豆腐や煮物、お浸し、茶碗蒸しなどにかけるだけでもぐっと風味がたちますし、韓国海苔巻きのキンパにごま油が使われるように、卵かけごはんや炊き込みごはんなどの仕上げにも◎。納豆にもお勧めで、ビタミンK2の吸収率が高まると共に便通作用を促します。

サラリとした白いごま油は生搾りなので繊細な料理に使いやすい。素材の味を邪魔しないので、おかし作りにも使用されることも。エイジングケアにも効能が期待できる黒ごま油は、焙煎しているので香りが強く香ばしい。低温で焙煎しているものは薄茶色で、高温で焙煎しているものは濃い茶色をしています。抽出方法が書いてあるなど、良質で不純物の少ないごま油を選びます。