井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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バジル・ハーブ・ジェノベーゼ

井澤由美子・まいにち直訳養生帖・薬膳・食養生・バジル・スパイス・ハーブ

バジルを目の前にすると深呼吸したくなります。鎮静作用、強壮作用があるスパイシーな香りはイライラも鎮めてくれます。

今日は綺麗なグリーン色のジェノベーゼペーストの作り方をご紹介します。まず、ハーブの色あせ防止作業をして色をくすみにくくします。バジル、パセリ、イタリアンパセリ等好みで合わせて40gほど使います。硬い部分は落とし、熱湯に塩を加えてさっと茹でる。氷の入った水に放してしっかり冷やして色止めをし、水気を絞る。ボウルに松の実やくるみを30g、潰したにんにく半かけ、粗塩、胡椒、茹で各汁少々、おろしチーズが無ければ粉チーズを半カップ、オリーブオイルを半カップ弱ほどつ加えてハンドミキサーで攪拌し、水気を絞ったバジルを入れてさらに攪拌します。好みでフレッシュ少々を足しても。後は清潔な密封容器で冷蔵保存。

簡単に作る時はバジルとハーブ、にんにくを攪拌したら、容器に入れてフタをする様にオリーブオイルを注いで色止め防止します。

色鮮やかなジェノベーゼは、パスタはもちろん茹で野菜やサンドイッチ、魚のソースにと多様。スープに落とすと、お皿の上がパッと美しく映えてコクのある清涼感が宿ります。今年は、いつものペーストに山椒の実を加えてみましたよ、大人のジェノベーゼが出来ました。

バジルも山椒の実も食欲増進効果があり、胃もたれを防ぐ効能が期待できます。肉料理などの付け合わせとして、お勧めです。

6/3

荏胡麻・エゴマ

荏胡麻が旬ですね。シソ科なのでしその葉に似ています。荏胡麻油は近年特に人気です。大変な手作業に加え、デリケートな油なので値段は少々はりますが、それだけ高い効能があります。豊富に含まれるオメガ3脂肪酸、aリノレン酸が体や脳、肌を健康に保ちます。上質なものを購入したら、かける、あえるなどの調理法にし、加熱せずシンプルに摂取しましょう。

小さな丸い粒は香ばしく、ゴマのように色々な調理に使えます。乾煎りしてすり鉢ですり、和えごろもに加えたり、焼き物の表面につけてカリカリとしたコントラストをつけても美味しいもの。葉をサンチュの上にお肉とのせて包んで食べたり、今なら旬の新にんにくを醤油漬けにしたものをトッピングしても美味。エゴマをキムチにして、炊きたてのごはんにくるりと巻くとご飯が止まりませんね。

エゴマは防腐効果もあり、採取される産地では、昔から郷土料理や民間療法などにも多様されて来ました。余談ですが、エゴマ油は乾性油なので防水性、昔は油髪や番傘に使われていたそうです

6/1

緑茶・新茶・グリーンティー・ほてり・のぼせ

薬膳・食養生・緑茶・新茶・お茶・カテキン・清熱。グリーンティー

日中は、日差しが強く汗ばむ陽気になってきました。新茶にはテアニンが豊富、爽やかで清々しい香りと甘みが堪能できます、一番茶をぜひ楽しんで下さい。緑茶は頭をすっきりととさせ、身体の余分な熱をとる効能があるので更年期障害、ホットフラッシュやほてり感のある方にもお勧めです。

日本茶は昔から消化促進、虫歯、口臭予防などにもよいとされ、ビタミンCも豊富です。市場に行くと必ず立ち寄っていたお茶屋さんは、丁寧に1杯のお茶を入れて下さる。時間がなくてもこのひと時を持つことで、頭の中が整理整頓されるので、お茶の時間はとても有意義だと思います。

好きな飲み方があります、器に茶葉を入れ氷を多めにのせて一晩冷蔵庫におきます、翌朝にはカフェインの少ない旨味が凝縮したアイスティーが出来上がっています。お茶を飲むと胃に来る、不眠になるという方にもお勧めの飲み方です。玉露などの高級茶葉は、出汁に漬けてお浸しにしてもオツ。

5/31

黒きくらげ・老化防止・薬膳

まいにち食薬養生帖・井澤由美子・黒きくらげ・キクラゲ・木耳・薬膳・食養生

八百屋さんで柔らかそうな生きくらげを見つけました。最近では国産の生きくらげをあちこちで見かけるようになり、嬉しい限り。

きくらげはキノコの一種で黒、白の2種類があります。生きくらげはぷるぷるとした食感、乾燥させたものはコリコリとした独特の食感が楽しい。生の黒きくらげの下処理として、あれば固めの石づきを取り、熱湯で(表示通り)茹でて食べやすく切ります。生姜醤油や酢の物、春雨中華サラダに入れる、炒め物に加えるなどシンプルに楽しみます。その他、お噌汁やスープ、鍋物に入れる(私はおでんに加えるのが好き)など。加熱調理するものは、下ゆでなしでもOK、食感を生かして調理します。

薬膳では足腰の弱りや白髪など、老化が気になる時は率先して黒いものを食すとされています。黒ごまや黒ごま油を足すのも良いですね。鉄分も多く、食物繊維も豊富です。タンパク質やビタミンCと一緒に摂取すると、効率よく体に吸収できます。

5/30

青梅・梅仕事・疲労回復

梅・青梅・食養生・食薬ごはん・井澤由美子・疲労回復

庭にポトリポトリと落ちる青梅。今年も梅仕事の始まり、手始めの一つに、すぐにいただける甘露煮があります。傷がついてない梅を選んでよく洗い、竹串の先でヘタを取って、できるだけ小さく数箇所穴をあける。ホーロー鍋に梅を入れてかぶるくらいの水を加えて5〜10分ほど煮ます。この時、火加減は必ず極弱火で(強いと皮が弾けてしまう)。水をかえて氷砂糖を加え、厚手のキッチンペーパーをかぶせ、弱火でさらに10〜15分ほど煮て冷まします。梅を取り出して清潔な保存容器に入れ、煮汁を半量まで煮詰めて注ぐ。甘酸っぱい香りがキッチンに広がって、梅仕事の幸福なひと時が今年もまた始まりました。毎年もたらされる自然の恵みに感謝しながら過ごすひと時です。

薬膳では氷砂糖は肺を潤す効果が期待でき、梅は唾液の分泌を活発にしたり疲労回復を助ける働きがあります。甘露煮のシロップは炭酸や冷水で割っていただくと汗がひき、心身が癒されます。

後少ししたら南高梅が色付きそうです。こちらは黄色くなってから虫あみでそっと手繰り寄せて追熟させてから梅干しにします。

5/29

ヤングコーン・ベビーコーン・若もろこし

井澤由美子・まいにち食薬養生帖・野菜・トウモロコシ・わかもろこし・コーン・食薬・薬膳・食養生

今日は暑いですね、気温が高いのでこまめに水分補給をして充分にご自愛下さい。今日はヤングコーンが山梨から届きました。5月から6月くらいの短い期間に楽しめるフレッシュな若もろこしです。

美味しい調理法は、外側の皮だけを剥いて内側の皮に水をさっとかけて熱したグリルで焼く。蒸し焼き状態になって、ほっくり。香りと共に粗塩やマヨネーズでシンプルにいただくのですが、一人5本は余裕です。天ぷらや、フライも最高、お子さんには剥き身にして、バター醤油味でソテーしても喜ばれます。

韓国にはトウモロコシのひげ茶がどこにでも売っていますが、利尿作用や美容に良いなどの効能があるからですね。漢方でも生薬です、ほんのり甘くてノンカフェインで飲みやすい。

フレッシュなヤングコーンのひげ根なら、甘くて柔らかいので、さっと下茹でしてお浸しにしたり、カラリと揚げても。そら豆もそうですが、トウモロコシは手元に届いたら、直ぐに調理することが美味しさのポイントです。食物繊維が豊富、整腸作用にもお勧めです。

5/25

行者にんにく・アイヌネギ・キトピロ・ヤマビル・ウシビル

まいにち食薬用養生帖・食薬・免疫力・行者にんにく・山菜・アイヌネギ・キトビロ・ヤマビル・醤油漬け・天麩羅

別名が可愛らしい行者にんにくは山菜です。種ができるまでに7年、花が咲いて食べ頃になるまで更に5〜7年ほどの長い期間がかかるそう。にんにく、ニラ、玉ねぎと同じユリ科のネギ属多年草で、北海道の天然ものは3月〜6月頃が旬となり、希少な特産品です。
アイヌの人達は春に採集し、乾燥させて保存もしていました。北海度で食べたアイヌ料理店の「オハウ」(鮭や鹿、野菜と煮たスープ)にも入っていて、滋養をつけながら魚の生臭さを緩和する効果もあるようです。
これまでの私の調理方は、さっと茹でて食べやすく切って醤油に漬けていましたが、茹でずにそのままザクザク切って漬けるだけの手法に切り替えました、山菜名人仕込みです。これを炊きたてのごはんに卵黄とのせてご馳走になったのですがとても美味しく病みつきになりました。それ以来私は、醤油に刻んだ行者にんにくと卵黄、昆布のはし切れを一緒に漬けて、炊きたてごはんのお供や、和え物に使っています。
行者にんにくは、抗菌作用が高くアリシンを多く含み、免疫力をあげますね、香りからしてとても元気が出ます。

5/25

山菜・うど・うるい・よもぎ・デトックス

デトックス・蓬・ヨモギ・山菜・春の息吹・デトックス

かんぞう、うど菜、うるい、行者にんにくなどの柔らかい山菜を昆布ダシでしゃぶしゃぶにしていただくのが毎年の楽しみ。山菜は、香りが豊かで繊維が豊富(食べ慣れない方は、ほどほどの量で楽しみます)。苦味のあるものは、虫から身を守るためのアルカノイドに由来する成分で、デトックス効果が高いそうです。こごみ、たけのこ、うどなど独特の香りと風味、食感を楽しめる時期はとても短いので何かしら毎日口にします。香りは気の巡りもよくするので、ストレス緩和にも良く、リフレッシュできます。汗ばむ日も出て来ました、緑茶に柔らかな蓬を浮かべると、穏やかな良い香りと成分で頭がスッキりします。

5/23

そら豆・天豆・疲労回復

井澤由美子・食養生・食養生・そら豆・空豆・天豆・おたふく豆・蚕豆

千葉に畑を借りていろいろな野菜を栽培しています。5月からはそら豆が最盛期。見ためはお店で販売されているような美しさはないのですが、剥くと青々としてぷっくりとした大きな実が飛び出して、豆の香りがフン鼻をかすめます。採りたてのそら豆を熱湯に入れ、塩梅よく茹でますが、皮が柔らかいのでそのまま食べた方が美味しい。下ごしらえの皮の切り込みさえ入れなくていい程です。

そら豆ってこんなに美味しいものだったのかとつくづく思いながら、皮ごとの酒蒸しや、グリル焼きもシンプルに楽しんでいます。新にんにくも出回っているので、合わせた炊き込みおこわもお進めですよ。

そら豆にはビタミン、たんぱく質、カリウムが豊富で、豆の中でも栄養価が高く、疲労回復効果があります。
フジTVの「四季彩キッチン」でもご紹介したそら豆の素揚げは、皮に切り込みを入れて、中温から揚げるのがポイント。温度が適切だと、油の中で皮から実が勝手に取れるので手間いらず。鮮やかになって浮いてきた実から先に取り出し、皮は茶色く揚がったら引き上げます、、全体に軽く粗塩をふってどうぞ。皮もカリカリして実に良いつまみになります。お酒を提供するお店ではそら豆を(天豆)と書いてある事があります。心意気も粋なようで嬉しくなり、ついつい注文してしまいます。

5/19

小梅・梅仕事・5月の暮らし・12ヶ月の手仕事

青梅・うめ・梅・食養生・12ヶ月の手仕事・季節の手仕事・井澤由美子・二十四節気・食薬・まいにち食薬養生帖・小梅

関東も、もう過ぐ梅雨入り。雨が降ると、庭の青々とした梅が小雨を受けて気持ちよさそうです。ちょうど500円玉弱くらいの大きさに育っています。

昨日、熊本から可愛らしい小梅が大量に届きました。去年は青梅のシロップ漬けが手始めの梅仕事でしたが、今年は小梅のカリカリ漬けにします。まず梅を洗って2、3時間水に浸してアクを抜く。その間に2、3時間卵を天日に干します(卵を割って、水で洗い殻の内側の薄い膜を剥がしてザルに広げて干し、乾いたら出汁袋やお茶パックに入れ砕く)。小梅の水気をしっかり拭いて傷があるものは避け、凹み部分のなり口を竹串で取る。小梅が1kgほどならアルコール度数の高い無臭の焼酎やホワイトリカー大さじ3〜4を梅にからめ、120〜130gの粗塩を全体に馴染ませます。清潔な容器に卵の殻と小梅を入れて重石をし、たまに返しながら2、3日間冷蔵庫で保存する。梅酢が上がり、1週間ほどしたら出来上がりです。卵の殻と冷温で梅がカリカリに仕上がりますよ。小梅の食べ方ですが、粗く刻んで揚げ焼きした桜海老やゆかりと混ぜたおこわは絶品です。

旅先に必ず持参する小梅。整腸作用を促したり、下痢や胃腸を整え、食中毒を予防する作用が期待出来ます。疲労回復に役立つクエン酸や塩分補給で元気になり、体をアルカリ性に傾ける作用もあるなど言いことずくめ。昔から「梅はその日の何逃れ」と言うことわざもあるほどです。