井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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鱈(たら)・疲れ・動悸・めまい

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独特の風味はありますが、クセのない鱈は食べやすく調理しやすい魚ですね。字のごとく冬に美味しい魚で、真鱈、介党鱈(助惣鱈)、氷下魚「こまい)など種類があります。干物、鱈ちりなどの鍋物、揚げ物、さらには練り物など保存にも向き、多様に展開できます。アルミホイル2枚をクロスにおき、薄切りのネギ、塩と酒をふった鱈、ほぐした舞茸をのせバターを散らし、包んで魚焼きグリルにのせて焼く。ポン酢をかけていただきますが、お好みで味噌味にしても。

鱈は鱈腹(タラフク)食べても良質なタンパク質のわりに低カロリー、疲労回復に効くタウリンや抗酸化力の高いグルタチオンが豊富なので、病中病後にもお勧め。ちなみに小樽のタクシーの運転手さんに聞いて妙に納得したのですが、タラバガニは鱈場(たらば・たらのいる場所)でとれるので、鱈場蟹(タラバガニ)と呼ばれるそうです。

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こんにゃく・ニラ・腸の大掃除    

食物繊維のグルコマンナンがたっぷりなこんにゃくは、腸にたまった老廃物を排出します。腸のほうきとまで呼ばれるニラを加えて、余分なものをからめとり、免疫力の要の腸の大掃除をしましょう。ごはんのおかずにもなるオランダ煮(和風カレー味)のご紹介です。こんにゃくは下ゆでをしたら、流水で洗い水気をふく。食べやすく切ってフライパンに入れ、から煎りする(水分を飛ばす事で調味料を中まで染み込みやすくするのがポイント)酒、めんつゆ、カレー粉、刻んだ唐辛子を加え、ふたをして味が染み込むまで煮たら、ニラを加えてさっと煮て水溶き片栗粉でとろみをつける。ニラは体の冷えを取り除く作用もあり、さらにスパイスをプラスする事で、さらに代謝を高める。薬膳でこんにゃくは利尿作用があるとされ膀胱炎などの症状改善によしとされています。

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 黒豆・牛すじ肉 滋養強壮・薬膳

疲れやすい、足腰が痛い、筋を痛めたなどの症状には牛すじ肉がお勧めです。乾燥が気になるお肌もケアをしてくれますよ。今日は栄養価の高い黒豆をプラスしたブラジルのフェジョアーダ風(お味は和風ですが)をご紹介します。牛すじ肉は多めの水で2回ほど下茹でしてから適当に切ります。きれいな鍋に入れ、かぶるくらいの水、長ねぎか玉ねぎ、あればざく切りにした大根を加え、フタをして柔らかくなるまで20〜30分コトコト煮込みます。アクを取り、きび砂糖やざらめ、醤油で調味したら黒豆(加熱調理すみ)入れさらに煮込みます。食べ進んで残り少くなったらスパイスとカレー粉を入れて楽しんで下さい。
ちなみに中医学では老化は腎との関わりが深いとされおり、腎を整えると生命力や気力が養われると考えられています。黒い食材(黒豆・ごま、きくらげ、海藻など)は腎機能を高め、生活習慣病予防、老化防止に繋がるので普段の食事に取り入れると良いですね。

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 山芋(やまいも)・更年期 ホットフラッシュ・薬膳

更年期障害は女性だけでなく男性にもあります。イライラや落ち込み、疲労感、動悸、トイレの回数が増える、不眠多夢、記憶力、集中力の減退などの症状などが見られます。これらを少しでも改善させるには、腎機能を高める事が大切。豚薄切り肉を塩茹でし、ごはんをよそった丼にのせる。おろした山芋と卵黄かうずら卵をのせ、胡麻ダレ(はちみつ・酢各大さじ半・おろし生姜少々・黒すり胡麻、醤油各大さじ1を混ぜる)を回しかける、腎が元気になる簡単丼です。女性の方のホットフラッシュに多い(のぼせ・ほてり・発汗・多汗)が激しいようなら、体の余分な熱をとる緑茶がお勧めですよ、逆に温めたいときは発酵茶をいただくようにして下さい。

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芹(せり)・きりたんぽ・鍋・郷土料理

きりたんぽ鍋は秋田の郷土料理で、芹、ごぼう、糸こんにゃく、きのこ、豆腐、油揚げ、比内地鶏(鶏肉)などを入れる。鶏肉で出汁をとる際に、私は新鮮な砂肝と酒も加えます。塩と醤油で味を整えて鶏の旨みでいただきます。芹の根をきれいにあらって鍋に入れ、風味をだすと地元の方に聞きました。初めて食した根の部分は柔らかく、食べやすくて滋養もありそうです。芹には鉄分、食物繊維、ビタミンCが豊富で解毒作用があり、香りに気の巡りをよくする作用がありますよ。

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 杏仁・粥 せき・喉のいたみ・悪寒

杏仁は生薬で、少し苦味のある北杏と苦くない南杏があります。肺と腸を潤す効能があり、便秘改善にも効能があります。喉の痛みを緩和し、咳を鎮め効果が見込めるレシピをご紹介しましょう。胃に優しく体が温まるおかゆを炊き、杏仁とおろし生姜を入れ、紫蘇や三つ葉、コリアンダーなどの香味野菜を刻んでたっぷり加えます。ホッと杏仁ミルクもお勧め、温めた牛乳か豆乳に氷砂糖を溶かし、あれば陳皮(ちんぴ)を加える。喉の痛みがある時は、できるだけ辛いもの、しょっぱいもの、油っこいものなどの刺激のある食事や飲み物を控え、やわらかく温かいものをいただくようにして下さい

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ほうれん草・鉄分・貧血・風邪予防

旬のほうれん草は葉が肉厚になり、甘味も増しますね。鉄分が多いので、昔から貧血などに良いとされている冬の代表野菜です。ほうれん草が食べたくなったら実際に血が足りないのかも。積極的にいただいて下さい。ビタミンCやカロテンも多く、風邪や動脈硬化予防にも最適で、五臓の働きも助けます。良質の油と一緒にとると、カロテンの体への吸収率が高まりますよ。茹でるより(レンジ加熱だとビタミンCの損失が少なくすみます(加熱後は水にさらしてしぼる)。おすすめレシピはナムル。ほうれん草はレンジ加熱して、(茹でてもOK」、水にさっとさらして水気をしぼり、ピーナッツ油やごま油、塩、こしょう、おろしにんにく、鶏ガラスープの素を各少々を加えればOK。ほうれん草は早めに使いきりたいですが、保存する時は新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、立てて野菜室に入れましょう。

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四物湯(しもつとう)・生薬

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四物湯は当帰(とうき)、塾地黄(じゅくじおう)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)の4つの生薬で作られています。君薬(中心となる生薬)は当帰、効能は血液の質をあげて量を増やすことなので、月経不純や生理痛、産後、冷え症など血液不足による女性特有の症状に特にお勧め。血液が不足すると、顔色が悪い、めまい、爪割れ、月経の遅れなどの症状が起こってきますよ、目の下のクマが気になる方にも。心あたりのある方は四物湯を試してみるとよいかもしれませんね(ただし、胃腸が弱い人は気をつけて。担当医や薬剤師さんに相談してから購入してください)。

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カンジャンケジャン・渡りガニ(ワタリガニ)

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血のめぐりを良くし体の余分な熱をとりますが、食べ過ぎると冷える傾向があります。温める効能や毒消しになる生姜や酢と合わせていただくのは、理にかなっていますね。カニがこの世で1番好きな私は(特にワタリガニの卵と毛ガニのみそと越前ガニの身)出張で来た初ソウルで、頑張って国際中医師に受かったお祝いと誕生日記念に念願のケジャン食い倒れ巡り。1軒目は日本から予約しました、2軒目はたまたま見つけた路地裏の2階にひっそりとある、ケジャン定食屋さんへ。扉を開けると、地元の人でいっぱい。オモニ達のやさしい味わいを含め、リーズナブルで親しみやすい本当の韓国の雰囲気も体験出来た感じでした。ケジャンは生のワタリガニ、醤油、酒、にんにく、生姜、ねぎ、唐辛子などで漬け込んだ韓国のソウルフード。卵部分はそのまま口へ運び、カニみそやタレがからんだ甲羅にはごはんを絡めて食す。別名は「飯泥棒」に納得です。

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ダイエット・美肌・乳酸キャベツ

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昨夜の日本テレビナイナイアンサーのダイエット企画でSKE48の鎌田さんも番組の中で作ってくれていましたが、乳酸キャベツはもともと若い方に作ってもらいたい発酵食。20代のうちの娘がよく食すのと、無くなりそうになると唯一彼女がで作る簡単保存食だからです。ヨーロッパで昔から食されているザワークラウトを、独自に作りやすく食べやすい味にして世に送り出したのが乳酸キャベツ。赤唐辛子や生姜、粒黒胡椒などを入れますが、スパイスはお好みで山椒の実やナツメグなど馴染みのあるもので。お腹を空かせて帰った時にサラダとして直ぐに食せて腹持ちもいい。ソーセージやお肉を入れたスープに加えると発酵の奥深い味わいで美味しくなっります。サンドイッチの具や副菜にも的していますし、揚げ物と一緒に食べるとキャベジンの消化力や効能で胃もたれせず、解酒毒効果もある。基本の作り方とアレンジレシピを素敵な写真と共にマガジンハウスさんから、大きい字で読みやすく、より健康よりの本を宝島社さんの2社から出版しています。どちらもNHKきょうの料理などでご一緒する発酵学に詳しい農大の先生のおすみ付きですよ