井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

10/7

納豆(なっとう)・菌運ごはん

寒くなりましたね。納豆に含まれる酵素が血行を促進し、冷えも改善してくれる優れた発酵食品。カロチンが多い野菜やリコピンが多いトマト、とろみのあるめかぶや山芋などと合わせていただくと、お肌への潤い効果がさらに期待できます。私は粗塩と酢を加えてサラダのようにいただきます。じゃこやしらすなどを加えるとカルシウムが体に吸収されやすくなります。先日個人タクシーさんにのったら、運転手さんはだいぶ高齢の元気なおばぁちゃまで、楽しくなって色々お話していたら、物凄く肌がキレイなことに気付きました。何を食されていますか?の質問の答えは納豆。大好きで毎日6パックくらい頂くそう。きっと体に合うのですね。自分の体が喜ぶ菌や発酵食を見つけられたら美肌への近道です。納豆は夜に食べ、お腹に菌を長く止めるとさらなる効果が期待できます。

9/25

味噌(みそ)・味噌だし

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味噌は大豆、麦、米などを蒸して、麹や塩を混ぜて発酵させた日本古来の伝統調味料。味噌だけで沢山の栄養価や効能、効果があります。厚切りの鰹節で出汁をとり、好みの味噌を溶いて椀に注ぐ。香りも、のど越しも邪魔するものは何もない。ただみそ椀を楽しむ、そういう時もあって良いと思う。温かいものをいただくだけで、脾や胃や脳が緩やかに動きだすのを感じます。慈悲深さをゆっくり堪能する一時は、心も穏やかになっていくようです。

9/23

セルフィーュの根・セルフイーユ・チュペロー

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例えようのない風味の野菜でした。じゃが芋、里芋、栗、ヤーコンの4つを足して割ったようなお味。そこにユリ根の食感とウイキョウの香りを足した印象です。少しねっとりとした食感で香りが高く甘みも強い、美味しいとは聞いていましたが、ここまでのエレガントさを持ち合わせた美味さは感動的。
ミニパーティーで出した食通の友人たちもみんなが初めてで、賞賛の嵐。マッシュしたり、ソースで伸ばしても良いと思いますが、ローストや蒸し立てを熱い内にシンプルにいただくのが私のお勧め。元はフランス野菜、北海道自然農法・石狩の畑から届いたセルフィーユの根のご紹介でした

9/20

餅玄米(もちげんまい)

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餅玄米は餅米と玄米両方の長所を持つ玄米。精白した米と違って外皮がついたままなので、マグネシュウムやビタミンB1が豊富。食感はぷちぷちモチモチとして食べやすく、玄米が苦手な方にもお勧めです。
秋のきのこと豚肉の組み合わせで、少し濃いめの味付けのおこわを炊いても美味だし、香ばしい玄米餅にするのもお勧め。餅を薄切りにして炙り、からすみと挟むともう最高!

9/18

乳酸菌(にゅうさんきん)

糖を分解して栄養分にする乳酸菌は、乳酸を生みだしながら繁殖しながら作る細菌です。乳酸菌には、ヨーグルトやチーズなどに含まれる動物性と漬物や醤油、味噌などに含まれる植物性がありますが、幅広くいろいろな菌を日々摂取する事が大切。私の場合、ぬか漬けやキャベツのザワークラウトなどを食べると、腸が喜ぶのがわかります。まさに人それぞれの乳酸菌ですが、とりあえず、目でみて食べたくなるものは、体が欲していることが多いものです。

8/31

天婦羅(てんぷら)

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今日で8月もおしまい。夏の終わりまでにどうしても食べておかなければ、悔やみきれないお料理があります(それを楽しみに仕事も頑張る)。贅沢だけれど、シャンパーニュとグビッと合わせるのもゆずれない。海老から始まり、夏野菜、その内に穴子の番になって、目の前で2つに割って下さる。ジュッと聞こえる音と立ちのぼる湯気が、圧巻。天婦羅という技法は、どんな調理より食材の旨味と香りを生かすと思う、ゆえに技術も食す。どれもこれも本当に最高ですが青紫蘇で挟まれた、たっぷりの雲丹の天婦羅(粗塩で食す)は、みかわ是山居さんのスペシャリテかも。ボルサリーノ帽の形をしたダクトがある空間も、私の命薬(ぬちぐすい)でございます。
*「命薬・ぬちぐすい」沖縄の方言で、心と身体を潤す食べ物や場所

8/26

カレーパン

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暑い時は頻繁にカレーが食べたくなります。炒めるだけのカレーだったり、玉ねぎや香辛料をソテーしてじっくり煮込んだものだったり、気分で欲するカレーも違う。スパイスの香りや刺激には、消化を促し、食欲を増進させる薬のような効能があります。食材との相性を考慮して組み合わせるのも楽しい。
先日、日本カレーパン協会さんなるものを発見。カレーパン専門店も増えていて、カレーパンのお祭りなどあって人気の様子が伺えますね。もしも煮詰まったカレーがあったら、薄切りのパンに挟んでフィークで端を押して止め、衣にくぐらせて揚げると即席カレーパンに。近所にある美味しいパン屋さんの期間限定、ナスと牛肉のカレーパンは、パンの甘みが引き立つスパイシーさ。バランスが絶妙で流石でした。

8/15

お味噌汁(おみそしる)・御御御付け(おみおつけ)

腸を活性化させ、脂肪分が少なく、繊維の多いもの。発酵力のあるものと浄化(デトックス)作用のある組み合わせは必然的に素晴らしい相乗効果があります。これってなんだか難しそうですが、とっても簡単!海藻を入れたお味噌汁をいただけば良いのです。海藻は体にたまった有害なものを排出する作用があり、味噌には食物繊維、シミやソバカスを抑える美白効果があるリノール酸も豊富。鰹出汁は肌を潤す手伝いをしますよ。
食事の時に温かいものを先にいただくと、消化酵素が活発になってスムーズな消化をうながせます。体を休め、デトックスしたい時は、たんぱく質、脂質、甘ものを控えて、たっぷりの海藻、旬の野菜や雑穀などのお味噌汁をいただくようにして下さい。

8/13

お盆 お供えの料理

お盆・お供え料理・日本の行事

お盆の迎え方は、各家庭や地方、風習によって様々ですね。私は想い出の中にある祖父母の好きだったお料理をお供えします。そして庭に実る果実の木は、祖父母の代からあるものなので、梨、無花果、青りんご、まだ青いみかんなども添えます。庭造り、土いじりが好きだった祖父母、いろいろなお作法もあると思いますが、気持ちを供えればご先祖さまは喜んでくれると信じています。
仏さまは丸い形を好むのだそう。大好きだった祖父母を思い浮かべながら、煮物の野菜などは少し意識して丸めにカットにして調理します。白いごはんにベランダ菜園のナスの煮物、もぎたて胡瓜と紫蘇のお漬物、インゲンとお揚げのお味噌汁、一昨年漬けた梅干し、それからお抹茶の葛練りも一緒に。

8/8

虹鱒(ニジマス・レインボートラウト)

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指で触ると火傷してしまうというデリケートなニジマスは、夏でも温度が低く冷たい水でなければ生息できないそうです。清らかな湧き水で育った自慢のニジマスをいただきました。こちらは古い歴史があり、建物は大正時代の古民家で広々しています。趣がある階段ダンスも珍しく、2階も拝見させていただきました。
すごいのは鮮度の良いにじますが生きたまま調理場に流れてくる自動システム?楽しく驚きました。あらいやお刺身は綺麗なオレンジがかったサーモンピンク、色に比例してお味もいっさい臭みがなくキレイ。十勝の地元の方々に長く愛されているお料理は塩焼きや、花が咲くようにカラリと揚がった唐揚げ(頭から食べられる)、お蕎麦など。やっぱり、日本酒を頼まずにはいられないのでした。