井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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蛸・たこ・タコ・蛸飯

大好きな本があります。高田郁さんの『みおつくし料理帖』心許りの「蛸飯」は、江戸時代の小料理屋のお話です。物語が自宅周辺なので地理がよく判って特別面白い。粋な言葉や料理が沢山ちりばめられ、スルスルと読めてしまいます。最終巻末付録にのっていた蛸飯は干し蛸を使っていました。読んでいて食べたくなったので、私なりのアレンジで作って見ましたよ。作り方です①米2カップを洗って水に30分つけ、ザルに上げて鍋か炊飯器に入れる。②生タコの足150g(茹でタコでも)を塩揉みして滑りを取り、薄いそぎ切りにして小鍋に入れ、酒、みりん、薄口醤油各大さじ2とさっと煮てそのまま冷ます。③②の煮汁と水を合わせて2カップにし、①のお米に山椒の実の塩漬けや細切り生姜大さじ1を入れて一混ぜする。焼き上がりにタコをさっくりあえて5分蒸らしたら出来上がりです。
愛媛県、香川県、岡山県など瀬戸内海岸地域ではタコ漁が多く、タコ飯が郷土料理にもなっています。東京駅などの駅弁屋さんを覗くと、タコ壺モチーフの陶器に入ったベストセラー「ひっぱりダコ飯」なども見かけ、その遊び心にワクっとします

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冷やし中華

日中が暑くなり、もうすぐ「冷やし中華始めました」の文字がお店でも見かけるようになるでしょう。ラーメンのイメージがある北海道では「冷やしラーメンあります」を見かけ、関西地方一部では「冷麺」(韓国の冷麺ではなく、単純に冷たい麺の略だそう)と壁のメニューにのっており、東海地方では必ず冷やし中華(マヨネーズが必ず添えて販売されている)が出始め、それぞれ特色があってちょっと楽しい。どれも野菜がたっぷり、食欲増進と疲れをとるために酢を効かせたさっぱりダレのスタイルで、暑い季節を乗り越える為に考案されたのだと思う。
冷やし中華のタレの作り方=醤油大さじ4、酢大さじ3、きび砂糖大さじ2、ごま油大さじ1半〜2(あればカシューナッツをすったものか練りゴマを少し加えるとコクがでる)を混ぜて麺にかけ、柔らかめの辛子を多めに添える。ごまは乾煎りすると香りが立つ(手でつぶしても)、最後にギュッと柑橘類をしぼると爽やかですよ。

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ミント・ハーブ・モヒート

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そのモヒートに出会ったのは、ベトナムREXホテル屋上のBAR。たくさんのミントを使い、酸味が少ないベトナムレモンを絞って、甘みはほんのり。クラッシュタイプの氷でなければあの感じは出ないし、気温や湿度もおいしさを手伝うだろうけど、とにかく何かが一つ違えば、間違いなく美味しさが半減してしまう。REXのモヒートはベトナムにしてはとても高いけれど、フレッシュな清涼感は疲れた身体に心地よくしみわたる。今も昔もそれ以上のモヒートにはまだ出会えていません。いつかラ・ボデギータでヘミングウエイが愛したモヒートも飲んでみたい。ミントは消化促進効果や緊張を和らげるので旅先でもお勧めのカクテルです。

5/16

SALT(塩)・塩遊び

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塩は世界中にあるもっともシンプルで重要な調味料です。日本では精神性も高く、料理以外に相撲やお葬式後の清めの塩、邪気を払う盛り塩などに使われますね。この上なく食材を引き立てる塩が私は大好き、旅するたびに出会ういろいろな塩達を集めています。余った木材で作った塩棚もいつしかいっぱいになってしまいました。漁師さんが沖に出て海水を汲んで作る売り物ではない海塩や、島の職人が何日間も煮詰めて造る塩はとっておきで宝物です。三重のこだわり食材店で出会った岩戸の塩、シャリシャリのフレーク感がアクセントになるイギリスの塩、藻塩やゆかり、山椒塩、レモン塩など、季節に合わせて香りや旨みを含む塩を手作りするのが楽しみです。好きな塩はどれも自然なもので甘みが奥底にあり、ミネラルもたっぷり。私にとって塩はただの調味料ではありません、一生のテーマです。

5/15

手羽先・コラーゲン

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手羽先と水を一緒にコトコト煮るだけでとても美味しいスープが作れますよ。手羽先はポリ袋などに入れて粗塩をふって馴染ませ、1時間以上、できれば1晩置く。鶏の余分な水分や臭みが出るので、さっと洗うか拭いてから調理すると地鶏の様な美味しさに(鶏もも肉をソテーする時にもこの方法はお勧め)。柔らかく旨みたっぷりのスープは、少しの脂が浮かんで澄んでおり、食をそそります。コラーゲンやヒアルロン酸は骨や皮の部分に多く含まれていて、皮膚を潤し血管を丈夫にします。高額な美容液もいいけれど、とり手羽先は内側からキレイを生み出してくれて効果大、しかもお手頃価格。カラリと揚げた手羽先もいいですね、熱いうちに甘辛ダレをジュッとからめ、消化を助けるみずみずしいたっぷりの春キャベツを添えて晩酌にどうぞ。

5/13

ヒイラギ(ニロギ&春ホタレ)

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春ホタレ?ニロギ?関東育ちの私にはどちらも聞き慣れぬ言葉です。ヒイラギみたいな平べったい魚はニロギと言って、岡山県ではギギ、ゲッケ、千葉県ではギラ、静岡ではネコゴロシ、淡路島ではネコクワズ、浜名湖ではネコナカセ(きっとネコが嫌いなんですね?面白い)とも呼ばれ、産地によって異なるよう。もうひとつの魚は春ホタレと呼ばれ、脂の乗ったカタクチイワシです。どちらも地産地消の地元で愛されている海産物。「ひいといぼし」(土佐弁で一夜干しの意)にし、炙ったり香ばしく乾煎りしたり頭からバリバリ頂きます。生姜や柚子、鰹などでも有名な高知県の美味しいお魚達。カルシウムをとってイライラを抑え骨元気をめざしましょう。

5/12

ゴールドキウイ・キウイ ビタミンC

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ニュージーランドから遥々やって来るゴールドキウイ。さっぱりしていますが、甘くて柔らかい完熟果肉にハマって暑い日のおやつにしています。半分にポンッと切ってスプーンですくって食せるのも手間なしでいいところ。ちなみにグリーンキウイが硬いときは、バナナやリンゴなどエチレンガスを出す果物と一緒に袋に入れて2、3日袋置くと早く熟れます。キウイに含まれるビタミンCはみかんより多いのです。ビタミンChは紫外線対策にも有効なので、紫外線が気になるこの季節に特におすすめ。
キウイに含まれる酵素はタンパク質を柔らかくする作用があります。ゼラチンもタンパク質なのでキウイをゼリーを作る時は、固まりにくくなるので注意が必要です(パイナップルも同様です)。ちなみに薬膳では、吐き気どめなどに良いとされているので、乗り物酔いをするお子さんの遠足などのお弁当に添えられてもいいですね。

5/9

ハーブ・ミント・のどの痛み

この季節のハーブは鉢植えでも日に日にスクスク伸びます。今我が家にあるのは、ハーブ。ミント、レモンバーム、レモンタイム、レモングラス等の爽やかな香りのハーブ達。レモンバームはトマトのコンパニオンプランツにも利用されますよ(虫がつきにくくなる)。毎朝スペアミントを摘んできて、ハチミツや氷砂糖を少し加えてミントティーにしています。ミントは歯磨き粉、ガム、お酒のリキュール、お菓子、料理にと多様され、日本でもとても親しみのあるハーブ。喉の痛みに効き、炎症を和らげて体の余分な熱をとる効果があり、体に熱がこもった時y解熱したい時にもお勧めの薬草だそう。最近の私のお気に入りはレモンバジル! 飛騨高山の農家さんの畑で味わってトリコになりました。

5/3

昆布酢・もやしで大満足おかず・NHK「きょうの料理」5月号

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木香薔薇が咲き乱れ、新緑美しい季節は過ごしやすいですね、皆様楽しい休日になりますように。本日夜9時からと明日の朝11時からNHKの「きょうの料理」(テーマはもやし大満足おかず)が放送されます。番組内で「昆布酢もやし」をたっぷり使ったもやし料理をご紹介しています。お手頃価格で家計の強い味方、何にでも合わせやすくボリュームがでるのにヘルシー。もやしは足が早いのですが、昆布酢につけると長く楽しめ、さっぱりして量も沢山いただけます。表紙にもなっていますが、唐揚げなどの揚げ物等にあんかけにすると胃もたれがしにくく内臓脂肪も気にならなくなります。ボリューム生春春巻きはサラダ代わりに。酢には疲れをいやす効果があり、昆布を浸すことで、昆布のカルシウムが溶け出して吸収もアップします。
昆布甘酢は少量で使いやすいレシピです。私はいつも大きめの保存瓶に色々な種類の昆布をぎゅーつと詰め込んで、気に入りのさとうきび酢を入れて寝かせたものを使っています。

5/1

ハーブ・ドライハーブ

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穀雨の雨を浴びたハーブ達はぐんぐん育ちます。ぜひ束ねて、窓辺につるしてみてください。心地よい香りが風にのって部屋に広がり、気が鎮まり眠りも良質になりますよ。ローズマリーは海の雫が由来と言うステキ。中医学では頭をすっきりさせる生薬で、記憶のハーブとも呼ばれています。甘いりんごの香りがするカモミール、可愛らしい小さな花をつけたタイムは強力な抗菌作用があります。お好みのハーブを束ねて逆さにつるす、この季節に楽しめる天然フレッシュアロマ。香りだけでく、いろいろな作用が香部屋中に充満します。お風呂に入れたり、お料理に使ったりと香りと効能を楽しんで。