井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

2/18

黒糖・黒砂糖

サトウキビの絞り汁を時間をかけて煮詰めたものが黒糖(黒砂糖)。奄美大島と加計呂麻島に行って、旅をしながら気に入りのお店を巡っては、手造りの黒糖を購入し味比べして楽しんでいます。まだぬくもりのあるカケラを口に入れると天然由来の嫌味ではない微かな酸味や苦味が奥の方に感じられて美味しい。黒糖はカルシウムも多く、鉄分、ミネラルが豊富です。様々な種類の砂糖の中でも薬膳では黒糖は、体を温める効能がとりわけ高いと言われています。
サトウキビは刈り取ったら、すぐに汁を搾り手作業で加工されます。黒糖作りはサトウキビの収穫期と一緒でなければできません、12月から3月終わり頃までが旬。ハブにも挑みながら大変な労力が必要な黒糖作り、貴重な甘味です。

2/16

生ハム

生ハムは良質なタンパク質の宝庫で、しかも低カロリー。他の肉・加工品に比べて脂質も低めでヘルシーです。たんパク質の代謝をサポートするビタミンcが多いフルーツと一緒にいただきましょう。ビタミンCは、美肌、疲労回復にも効果があります。
生ハムが熟成される行程ではアミノ酸などの栄養素が数十倍増えることがわかっています。世界3大ハムと呼ばれるイタリア産のプロシュート・ディ・パルマ、スペイン産のハモン・イベリコ(セラーノ)、中国産の金華火腿はいずれも熟成が進み旨味がたっぷり。塩分が気になる方は、塩分を排出する働きがあるカリウムを含む、じゃが芋やバケットなどと合わせていただくと良いですよ

2/15

苺・いちご・ストロベリー

写真 2

寒い冬は腎機能が衰える季節。ケアする食材は黒いもの(海藻、黒ごま、黒豆など)とお伝えしておりますが、苺にも腎機能を高める効能が期待できます、生薬でもあるゴショイチゴは滋養強壮にもよいそうですよ。苺は冬に出回るイメージですが、美味しくなるのはこれから。毎年苺畑に行くのですが、食すと言うより一面のコントラストを愛でる感じ。暖かいビニールハウスの中は陽だまりのようで、真っ赤な苺のいい香りが充満していてとてもリラックスします。熱々のジャムは美味しいですよ、小鍋に苺、レモン果汁、グラニュー糖を合わせてしばらくおく。火にかけてグラニュー糖がとけ、苺の水分がで出てくる(約5分ほど)。食パンにバターを塗って焼く。まだかすかな酸味が残る熱々のシロップをすくい、バターがしみこんだきつね色のトーストにたっぷり塗る、熱々のミルクティーとどうぞ、いちごは月経不順にもよいそうです

2/14

梅干し・梅しょう番茶・民間療法

梅干し・民間療法・梅しょう番茶

子供の頃、風邪をひいて熱を出すとペタペタとおデコに梅干しを貼られた記憶があります。冷たくグニャッとして子供心には嫌なのですが、起きると梅干しはパリパリになってはがれ落ちていきました。高熱を取り、頭痛を抑える解毒作用があるからかも知れませんね。昔人の知恵民間療法です。頭痛がする時、こめかみに貼るのは丁度血行の流れを良くするツボがあるからで、とても理にかなっています。毎年趣向を凝らして梅干しを作り3年以上寝かせてから食しますが、同じ味にはなりません、そこも手作りの愛しさです。
塩分をしっかり効かせた長期熟成できる梅干しは味噌と同じで効能が高くなるそうです。疲れた時は梅しょう番茶(湯飲みに梅干し1個、醤油少々、熱い番茶を注いだもの)をいただくと、胃腸の調子も整い元気になりますよ。

2/11

薬味・蒸し鶏のネギソース

風邪が流行していますね。体調がかんばしくないと胃腸の調子も悪くなりがち。こんな時は柔らかく消化のよい蒸し料理がお勧めです。耐熱容器に小松菜やネギのざく切りをしき、塩を満遍なく馴染ませた鶏の骨付きもも肉をおく。酒、みりん、ナンプラー、細切り生姜、好みで山椒や花椒をふって15〜20分蒸す。みじん切りのネギ、生姜、醤油、オイスターソース、酢、ごま油を適宜まぜてソースとします。一緒に蒸してもいいですし、小鍋でさっと加熱すると薬味がしっとりします。薬味は薬の味と書きますが、身体を温め様々な不調に効く生薬でもあります。鶏のコラーゲンと野菜のビタミンCの取り合わせで、肌のカサ付きをケアする手伝いをします

1/27

黄韮(きにら)・にら

黄ニラのお祭りが岡山県でありますよ。ニラのスープが配られたり、色々な料理が販売される楽しそうなイベントです。黄ニラは普通の緑のニラを日光から遮断した状態で栽培したもの。食物繊維が豊富でその上増血作用もあり、貧血なども予防します。ニラ独特のイオウ化合物の含有量は通常のニラより少ないので香りが穏やかで、匂いがあまり気になりません。甘みがある上品な黄ニラは生でも食せる高級野菜、柔らかいのでどんなお料理にも使えます。お勧めは、さっと茹でた出汁酢に浸した一皿。繊細な風味を楽しめますよ。酢を加えた湯にくぐらせて、冷水でしめた菊(花弁が紫や黄)や三つ葉などと和えると美しく粋

1/24

寒蜆(かんしじみ)・シジミ・二日酔い

シジミは肝機能を高めるタウリンやカルシウム、アミノ酸が豊富、アルコールを分解する作用が高いので二日酔いに効くことは有名ですね。解毒作用や血圧を下げる効果も期待できるシジミは滋養が高い。肝機能を高めると言うことは、目の充血や尿の出をよくするなどにも有効です。シジミをストックする時の保存方法ですが、砂抜きし、よく洗った後、水気をしっかりきって冷凍庫で保存します。旨味も栄養価も上がるようですよ、どちらにしてもお味噌汁やスープにする時は20分くらいゆっくり煮て旨味を抽出するようにしましょう。お味噌に含まれるコリンとしじみと合わせたお味噌汁はやはり、最強の酒解毒薬になります。

1/23

冬の薬膳・海藻と小豆のスープ

寒い冬は特に腎機能を上げる食材を多く食卓に並べてケアします。腎機能向上の為には海藻など黒い食材の他、小豆もお勧め。
茹でた(ドライパックなど)小豆の入った、海藻の熱々スープは雪が舞うような寒い日には骨身に染みいる美味しさです。
昆布、ワカメ、海苔など家にある乾物の海藻を戻して作ります。ごま油、豆板醤でねぎ、生姜、海藻、あれば薄切り肉やタラをピリッと炒め、鶏ガラスープの素とかぶるくらいの水、小豆を入れて弱火でコトコト煮込み、味をみて醤油か粗塩で整える。ワカメがとろりと煮えたところをいただいて下さい。ワカメにはカルシウム、鉄分、繊維が豊富、これからの季節はワカメのしゃぶしゃぶもよいものですよ。

1/15

小正月・女正月・二番正月・小豆粥

今日は小正月(こしょうがつ)です。昔はこの日を正月にしていたので、その名残から小正月とされています。お正月から働き詰めの女性をねぎらう休息日として、女正月とも呼ばれるそうで、二番正月、花正月とも言われます。各地の田んぼや神社では門松、しめ縄などを持ち寄って焼く風習があり、どんどん焼きなどの火祭りが行われ、五穀豊穣、無病息災などを祈願し、焼き餅や小豆粥をいただきます。小豆粥は邪気を払い、体を元気にしますよ。私は七草粥を食べ損ねたので、明日も明後日も朝は小豆粥です。小豆は一晩水につけて好みの柔らかさに炊いてから、お粥と合わせます。最近は蒸し小豆などが売られているので、その場合はいつものようにお粥を炊いて最後に小豆と粗塩を加えて出来上がり。お米から炊いたお粥は凛として美味しいものです。

1/13

芋煮汁・味噌煮込みうどん

芋汁・煮物・煮込み・芋煮

朝方目覚めたら雪景色、こんな日は絶対にお鍋ですね。千葉県の大浦ごぼうを頂いたので加えてみました。見た目はごつごつとしていて扱いにくそうですが、煮るとほくほくして甘くとても美味しい。そのごぼうとにんじん、里芋、こんにゃくなどを下ゆでし、焼き豆腐や油揚げと一緒に鍋に入れて、酒、濃いめの出汁、醤油で煮込んでいただきます。
そのあとの締めには、合わせみそ・みりん・ザラメかきび砂糖を足して濃いめに味を整え、下茹でしたコシのある太めのうどんとネギ、落とし卵を加えてクツクツ煮込み、煮汁がうどんに染み込んだら食べごろです。
寒くなると運動不足で太ったり、血の巡りも悪くなりやすい。積極的に体を動かし、繊維や発酵食を積極的に摂取しましょう。