井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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卵・たまご・たまごかけごはん

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卵は質のよい栄養食で、ビタミンCや繊維を含む食材を添えればバランスのよい食事になります。
私の好きな卵は、山里の養鶏場で作られていてエサにもこだわりがあります。休耕田を上手に使って健康な土を作り、飼料用のお米を作ってカニ殼や魚粉などをまぜて鶏の餌にするそう。山の中を自由に走り回って、きれいな小川の水を気ままにのむ鶏たちはとても健康で、栄養価の高い良質のたんぱく質を含んだ卵を生んでくれます。
好きなたま卵かけごはんの食べ方は、まず炊きたてのごはんに醤油をたらし黄身と白身をわけて落とし、わさびと鰹ぶしを添えて甘みを感じる白身からいただきます。

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清明(せいめい)・晴明祭

清明とは字のごとく「この春の季節全てのものは、清らかで活気にあふれていて明るい」が由来。中国ではお墓参りや掃除し、先祖を大切にする日。日本では、沖縄県首里地方で「御清明(ウシーミー)」または「清明(シーミー)祭」と呼ばれ、古くから受け継がれている風習があります。沖縄のお墓は広めで、独特の囲み方。その造りを不思議に思っていたら「シーミーの時は、お墓の敷地内に親戚一同が集まって、ご馳走を沢山持ってピクニックのように宴会するサ~!」と、仲良しのおばぁから聞きました。皆でお墓の掃除をしてお参りし、そしてご先祖様と一緒にご馳走を食べる。何とも何とも素敵な風習ではありませんか。そしてお墓参り用に販売されているテイクアウトお重の中身はとっても愛らしいのです。

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蜂蜜・はちみつ・ハニー・咳止め

薬膳ではちみつは、甘味をつける他に呼吸器を潤し、咳を止め、痰をとる効果があるとされます。また、乾燥タイプの便通をよくします。
腹痛、滋養強壮にも良いとされ、丸薬を作る時に球場に成形する為に結合材として使うこともあります。
蜂蜜は約1万年前からヨーロッパを中心に栄養源として、また免疫力を高める、殺菌する、お腹の調子を整えるなどの薬としても用いられてきました。はちみつはビタミンの他、カルシウム、鉄分、ポリフェノール、酵素、オリゴ糖が含まれるバランスのよい栄養食。できれば、加熱処理のされていない天然の蜂蜜を選んで下さい。咳が止まらない時の自然食ケアとして、小さく切った大根をはちみつで漬けたもの、すりおろした蓮根とはちみつを混ぜたものがお勧めです(1歳未満のお子さんには蜂蜜を与えないように注意して下さい)。

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うどの酢みそ和え・神経痛・関節痛

随分と暖かくなってきましたが、日によって体の痛む場所が変わったり、体が冷えると痛みが増し、温めると緩和する方は、この季節でも特に服装などにも気をつけて身体を冷やさないようにし、服装に気をつけて。
負担がかからない程度に軽く運動をしたり、入浴をして血液の循環をよくするのもお勧めです。食材は身体を温める生姜やねぎ、にんにく、ニラ、よもぎなどを食べるように心がけるといいですよ。神経痛や関節炎などは、中医学では「痺症・ひしょう」と言い、寒邪、湿邪、風邪の3つの邪気(病気の元)から来ると考えられています。
薬膳で、うどにはこの3つの邪気を取り去る効能があるとされています。歯触りのいいうどの酢味噌和えは良い相乗効果が得られます(ウド、酢、味噌の効能)。他に私が好きな食し方は、うどを皮つきのままホイルで包み、魚焼きグリルで焼くと、甘みが増します。皮がスルリとむけて香りが際立ちます。

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生薬・桃仁(とうにん)・桃

桃は、3〜4月に花を咲かせて、果実は6〜7月に実ります。
桃仁は桃の種子(硬い殻の中にある)。種子を天日干ししたもので、血の流れが悪くて生じる「瘀血・おけつ」による月経痛や無月経、生理不順、うっ血、子宮筋腫などを改善させる効能があるとされます。乾燥性の便秘、下腹部の膨満感、肩こりなどにも有効とされています。
桃には古くから邪気を払うとされ、桃の花を飾って女子の健やかな成長を祈る風習があります。中国では長寿に効果があるとされ、絵や陶器のモチーフとしてもよく見かけます。桃にはそれだけパワーがあると考えられているのですね。ちなみにつぼみを乾燥させた白桃花(はくとうか)は葉はあせも、しもやけ、ただれ、湿疹などに効能が期待できます。桃は美味しい果実でもあり、素晴らしい効能を持った生薬でもあります。

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ブラッドオレンジ

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2018年の皆既月食は31日の作夜でした。深いオレンジ色に輝くブラットムーンが東京でもよく見えてとても神秘的でしたね。ブラットムーンをみていたら単純にイタリア地中海が原産のブラッドオレンジを思いだしたのでご紹介。普通のオレンジより赤が濃く甘い、日本でもジュースで馴染みがありますね。ブラットオレンジは通常のオレンジより、色素が濃い分、栄養価も高く、ビタミンCは約1、5倍ほどあり、抗酸化作用のアントシアニンも豊富に含まれています。
アントシアニンはフラボノイドの一種で、ナスやブルーベリー等に含まれているポリフェノール。最近では愛媛県などでも栽培され市場にお目見えしています、旬は3月下旬から5月上旬まで。

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菜の花・なばな・視力回復

菜の花・なばな・視力回復・カロテン

アブラナ科の菜の花は、キャベツやブロッッコーリーの仲間です。カロテンやビタミンが豊富、葉酸や鉄分も多いです。
今日は、栄養を最大限に生かす調理法をご紹介します。茎や筋のかたい部分を落としてボウルに入れ、たっぷりの水に10分ほど浸して汚れを落としてシャキッとさせる(これ大事)。フライパンに2、3等分に切った菜の花、オリーブオイル、菜種油やごま油など好みのオイルをふりかけます。粗塩を全体にふってフタをし、強火にパッとかけるだけ。しんなりしたら出来上がりです。菜の花の蒸し煮は美味しさや香りが逃げず、凝縮した春の味を堪能できますよ。調理はパパッと!が菜の花の栄養分を逃さない大切なポイントです。先ほど届いた、満開の菜の花畑の写真。本日の海と菜の花畑のコントラストがものすごくキレイで素敵です。

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卵・たまご・玉子・オムレツ

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オムレツと聞くとバターの溶けるいい匂いが漂って、シンプルで幸せな食卓のイメージがあります。今も昔も万人に愛される人気のオムレツ。名前の由来には、ユニークな一説があるのです。昔、スペインの王様がお腹がすき、通りすがりの家の男性に食べ物を作るように命じました。その男性の素早い動きを見た王様が「ケム・オ・ム・レスト」(なんとすばしっこい男だ)と呟いたことから、オムレツになったとか。
私のオムレツは生リーム、チーズ、マヨネーズのいずれかを気分で加えてコクを出し、フォークで泡立ててふんわりときめ細かく焼きます。シンプルに卵に塩、胡椒だけをして、焦がしバターで焼くのも美味しです。卵は食物繊維とビタミンC以外の全ての栄養を含む、バランスの良い食品です。野菜を添えると最強の一皿になりますよ。

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雪の下・ユキノシタ・虎耳草

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雪の下は湿った半日陰地になる岩場などに通年自生する植物で、多年草の山菜です。
初めて出会ったのは天婦羅屋さん、サクッと揚がった緑と赤の葉色が美しく、形も丸くて可愛らしいのでとても印象的でした。 雪が積もった下でも枯れずに生息しているので「雪ノ下」と言われるそうですが、諸説あるようです。 食べるなら、春先の葉が柔らかい時期がお勧めです。解毒作用があるとされ、お造りの添え物などにしたり、お椀、お浸し、和え物などに。
生薬では虎耳草(コジソウ)といい、煎じて熱冷ましに飲んだり、葉を炙ってはれものに貼るなど、民間治療薬として使われていました。

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分葱・わけぎ

わけぎは、ねぎと玉ねぎの交配種でねぎとタマネギの雑種で球根性多年草です。広島県や島根県などの産直市場や道の駅に行くと柔らかそうなわけぎがずらりと並んでいます。この季節は肝機能が低下するので、酸味を加えた酢味噌和えなどの料理がおすすめ。脾を補う為に、少しの甘みを上手に加えて摂取します。タウリン豊富なイカやあさり、おろし生姜を組み合わせると美味しくなる上に栄養価がアップしますよ。
わけぎには皮膚や粘膜を健やかに保つ働きがるので、アレルギー症状などが気になる方はたっぷりいただいて下さい。