井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

6/24

さや大根・大根の実

さや大根・大根の実

さや大根は、花が終わった後に出来る実の部分で、今時期だけのお楽しみ。
ルッコラなどのアブラナ科系のものは同じようにさやに種ができます、口にするとルッコラのような風味がします。畑でポンと口に入れたさや大根は、柔らかくて少し辛味があって大根の味がほんのり。さやはそのまま生でつまんだり、サラダなどにして堪能できます。スープに浮かべたり、さっと茹でたり炒めてもいいですね。気の巡りがよくなるパクチーやフェンネルも小さな花をつけている6月、さや大根をあしらうとふんわりとお皿の上が華やぎます。

6/16

鮎・小鮎(こあゆ)

魚の中で鮎が一番好きです。
先日、お土産にいただいた琵琶湖の小鮎の串刺しは、4、5㎝の小さな鮎をを調理したもの。炙ってあり、辛子酢味噌が添えられていました。
生きているうちなら鮎はお刺身でもいただきます。氷をはった器に青紅葉をあしらい、美しく盛られた鮎は涼やかで風流、初夏を感じます。
赤味噌に甘みを加えて滑らかに練ったものに内蔵(うるか)を加えた「うるか味噌」は、ほんのりとした苦味が生きて、揚げなすとの相性は天下逸品。ご飯が何杯でも食べたくなります。これらは新橋「鮎正」さんで毎年楽しみにいただくスペシャリテです。
津和野にある本店の丸々太った子持ち鮎も、初夏の鮎とはまた一味違い美味。
鮎は川によって、香りや苦味が違うように思います。ビタミンEを多く含むあゆは、老化予防に効果があるそうです。

6/15

薏苡仁(よくいにん)・ハトムギ・薬膳

昔からイボを取る生薬として有名な薏苡仁。薏苡仁はハトムギで、体にある余分なもの老(老廃物)を排出すしたり、美白効果も期待できるそうで、化粧品などの原料にもなっています。
薏苡仁は、飯と炊き込んだり、煮物に入れたり様々な料理に使えます。粒感や味が気になる方は、薏苡仁の粉末を購入するとよいでしょう。白玉団子に混ぜて団子を作り、スープやぜんざいに入れると食べやすくなって美味しいものです。

6/14

アスパラ・クミン・肌荒れ

アスパラには疲労回復を助けるアスパラギン酸やビタミンB群が豊富。ビタミンC,E、βカロテンを含み、高い抗酸化作用でお肌を守る効能も期待できます。βカロテンは油と一緒に摂取すると身体に吸収されやすくなるので、炒め物やドレッシングを使うサラダがお勧め。アスパラとオクラの豚バラ炒めのクミン風味は少し暑くなってきたこの季節にぴったりの一皿。クミンは防腐効果があり、古代エジプトではミイラにする時に使われていたそう。また、漢方では胃腸薬としても知られ、腸内ガスの排出などを促します。アスパラ、オクラの繊維は便通作用を促すので、胃腸を整える相乗効果のある組み合わせです。食感のコントラストも楽しめますよ。

6/9

梅仕事・ホット梅ジャムvol・3

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まだ青い梅でも、置いてあるだけで部屋中良い香りが漂います。追熟させる時はベッドサイドに置くと、素敵な梅アロマで良い夢がみられそうな気がします。梅酒や梅干しを作る時に傷があるものをはじき、それらを集めてジャムにします。
完熟梅を30分水に浸し、竹串でヘタを取る。ほうろう鍋(あれば)に水と梅を弱火にかけ、手を入れて熱すぎない温度でゆで、これをもう一度繰り返す。梅を鍋に戻し、梅と同量の砂糖を加えてこまめにアクを取りながら弱火で煮るだけ。厚手のキッチンペーパーをかぶせて煮ると、ペーパーがアクを吸着してくれるので、便利ですよ。煮崩れて現れた種は、ぜひ捨てないで保存して。まだ温かい内に口に放り込めるのは作り手の特権。甘酸っぱくて何とも美味。果肉が少し残る種を煮物に入れると、風味が立って粋な一皿になります。私の好きな梅ジャムの食べ方は、ジャムがまだ熱いうちに、カリッとトースしたパンにバターと一緒にたっぷりのせる!梅の甘酸っぱさと香り、バターの芳醇な塩気とコクがベストマリアージュです

6/7

鰯(いわし)・ディル

いわしは脳を活性化させるDHAが豊富な上に、皮膚や粘膜を守るビタミン B2も多いので肌をうるおす効果があります。
いわしは全体がピンと張ってツヤがあり、目が澄んでいるものが新鮮です。必ずその日の内に調理しましょう。火が通りやすいので短時間で調理でき、色々な味付けや調理法で楽しめます。いわしを玉ねぎと甘酢でマリネすれば血液サラサラ効果たっぷりの一品に。マリネには魚と相性の良いハーブのディルを千切って合わせるのもお勧め。
ディルはちょうど今が旬で胃腸を整え口臭予防にも役立つと古来から珍重されてきた薬草です。

6/5

梅・梅遊び(うめあそび)

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梅仕事をする時に水に梅を漬けてアク抜きをします。水をはった容器に梅をポトンと落としたとたん、梅の周りに銀色の膜が覆います。毎年観ているのに、写真を撮らずにいられないくらいキレイです。
青梅は梅酒の他に甘露煮にし、もう少し暑くなったらかき氷のトッピングにして楽しみます。かき氷は粋(すい)か青梅のシロップ(甘露煮の煮汁)でしょう。私は大量に青梅を仕込むので、花を生けるのに使うけんざんで梅の表面に穴をあけます。一気に作業が進めので、便利ですよ(けんざんは梅専用にしています)。

6/3

梅・梅仕事 ・梅酒の作り方

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梅仕事の季節です。大きくなった実がポトンポトンと庭の地面に落ちる音が聞こえると、梅仕事はじめの合図。落ちた実は洗って、水に半日浸して竹串でヘタをとり、清潔な保存瓶に、水気を拭いた梅を入、氷砂糖500gを上から加え、焼酎1,8ℓ(またはブランデー)を注ぐ。時々瓶ごとゆすって氷砂糖を溶かす、2〜3ヶ月くらいしたら香りよい梅酒ができます(1年置くと熟成され、さらにこなれた風味に)梅酒はとてもリラックスする香りで、アペリティフ(食前酒)レモンを浮かべたソーダ割りなどもいいですよ。梅の実は酢豚など、甘みと酸味が必要なお料理に使うと絶妙な一皿に。

5/24

心太(ところてん)

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5月の終わり、青空が広がって爽やかな日々が多く心も晴れやかになりますね。日中は暑くて汗ばむくらいです。こんな時期の大人のおやつにぴったりな心太。酢をきかせて海苔をたっぷり入れ、辛子でいただくもよし、出汁に薄口醤油とみりん少々を加えた関西のうどんつゆくらいの味付けもお勧め。キンキンに冷したこのつゆに心太を入れ、胡麻や海苔とおろし生姜を多めに添えていただくと最高。
涼やかなコシのある心太は体の余分な熱を取り、ツルリと喉越しもよいので脳もリラックスします。
繊維も豊富なので、便秘解消にも。合わせる出汁や酢を潤し、疲労回復にも良いので、スポーツ後にも最適。

5/15

ドライフルーツ・薬膳酢

小腹がすいた時やおやつにドライフルーツはいかがですか?イライラした時、エネルギーチャージしたい時、脳が疲れた時、お茶の時間のホッとしたい時などに最適。保存食ですから小袋に入れて持ち歩けるのもいいところ。ナチュラルな甘さと効能が、身体に滋養を与えてくれます。消化を良くするために水やミルク、お酒でふやかしたり、柔らかく煮ても。温かいうちにいただくと美味しいものですよ。貧血気味の時はプルーン、便秘や緊張が続いた時はいちじく(フィグ)、脳の働きを活性化させたい時は龍眼肉(ライチに似た果実)、イライラした時はレーズンがお勧め。
ドライフルーツを酢に漬けておくと料理にも活用できますよ。一昨年からからNHK「きょうの料理」でもご紹介している薬膳酢、肝機能をケアするのでこの季節に特に良いものです。