井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

9/21

ナシゴレン・(焼き飯)・発酵調味料

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nasi(ナシ)は米、goreng(ゴレン)は炒める、揚げるの意味。冷蔵庫に何にもない日は、残りごはんで少し辛くしてバリ風焼き飯などいかがですか? 
作り方です(2人分)=長ねぎ3分の1本、にんにく半かけ、赤唐辛子半本分、豚バラ肉100g(シーフード、ソーセージ、ひき肉などなんでもよい)。それぞれ粗いみじん切にする。フライパンを中火で熱し、油大さじ1をなじませてにんにくと肉を炒める。ネギとごはん2杯分を加えて炒め合わせ、脂がまわったらナンプラー大さじ半、ガラムマサラ(またはカレー粉)、しょうゆ各小さじ半、塩3つまみ、ケチャップ大さじ半をなじませて味をととのえ、お皿に盛る。
地元人で賑わう本場インドネシアのワルン(食堂)ナシゴレンはものすごくシンプル。とても強い火力で、かつ大きい中華鍋で炒めているから油っこくなくパラパラ。調味料は4、5回にわけて加え、味をととのえています。地元で長く愛されるお店はどこの国に行っても、美味しく食してもらいたい意気込みから真面目に作られていることが多いですね。インドネシアに行ったらじゃらんじゃらん(お散歩)しながら、良さげなワルンを見つけて、ぜひナシゴレンを食して下さい。

9/20

てんさい糖・天然甘味料

食材の天然の甘みを生かすように日々の調理を意識すると、体や脳が慣れてあまり甘いお菓子をとらなくなってきます。糖を取りすぎると糖毒性と言って、健康と美容を害することも(何でもとりすぎはよくありません)。
自然の甘みに慣れると、食材そのものの味を脳がことさら心地よく感じるようになります。
甘みがどうしても欲しい時は、てんさい糖を使います。原料は北海道で多く栽培されているてんさいで、血糖値が緩やかに上が理、ミネラルもたっぷり。オリゴ糖や水溶性食物繊維イヌリンを含み、腸内環境の改善が期待できます

9/15

富山県・鱒寿し(ますずし)・押し寿司

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昆布の取材で富山県に出張しました。着いて早々、富山の宝石と呼ばれる白エビの採れたてをいただきました。透き通るような薄い紅色が本当にキレイで繊細な甘さも絶妙です。富山はキトキト(新鮮な)の食材が豊富。美味しいお菓子も沢山あって、普段甘いものをあまり口にしない私でも、駅中デパートでついつい味見をしていくつも購入するという事態に。お茶文化もあるからでしょう。上質な材料で口どけよく作るらたお菓子たちは見目麗しく素晴らしいです。地元の方が「丸龍庵」さんの特選鱒鮨をお土産に下さったのですが、これまたとてもバランスのよいものでした。押し寿司屋さんは沢山あって、各家庭にそれぞれ贔屓(ひいき)のお店があるのだそうです。
東京から新幹線で2時間はあっと言う間、影絵のように美しい立山連山、澄んだ空気と美味しいものと温泉を大満喫し、帰り際には噂のブラックラーメンもいただきました!

9/10

ペルー料理

ペルーは美食の国として知られています。代表的な料理はセビーチェ(パクチー、唐辛子、柑橘果汁、シーフードをマリネしたもの)やコルデロ(仔羊の煮込み料理)。他にもスパイスたっぷりの肉料理、やさしいお味の芋料理、トマト料理など本当に多様。ペルーはスペインの植民地だったこともあり、アフリカやアジア移民の文化が織り交ざり、沢山の国の食文化が取り入れられています。
主食は日本と同じお米ですが、トウモロコシやじゃが芋、トマト、唐辛子などの原産地でもあるので、伝統食に多く取り入れられています。日本とも結びつきがあるのでお醤油を使う料理もあるそう、日本人の味覚に合うわけですね。そのうち、トウモロコシで作られる発酵酒「チチャ」やブドウで作られる「ピスコ」にトライしたいと思っています(いつかマチュピチュにも行ってみたい)。

9/8

酢橘・蜜柑(すだち・みかん)・秋の食養生・潤肺

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今日は先手を打って秋の食養生のお話です。
秋は肺に通じる気道の潤いが不足しやすく鼻、気管支のトラブル、のどの痛みやかすれ、皮膚の湿疹、アレルギー、ドライアイ、ドライマウスなどのトラブルが起こりがち。免疫力も低下して風邪がなかなか治らす、苦しい喘息のような、から咳などが出ます。
そんな時は粘膜を保護して丈夫にする食材がお勧め。れんこん、山芋、みかん、すだち、りんご、柿、バナナ、ぶどう、梨、いちじく、ゆり根、ピーナッツ、松の実、ぎんなん、豆乳、白米、杏仁、ハチミツ、チーズ、白きくらげ、氷砂糖、生薬ではクコの実、玉竹、麦門冬、冬虫夏草などなど。これから美味しくなるものばかりですね。

9/4

鶏肉・ざんぎ・鶏のから揚げ・コラーゲン

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鶏肉の皮にはコラーゲンが多く、髪や肌を艶やかにします。ビタミンCと一緒に摂取すると体への吸収が高まるので、レモンをしぼったり野菜などを添えて一緒にいただきましょう。
旅先の北海道釧路でざんぎ(鶏の唐揚げ)いただきました。ご当地グルメとして名高く、専門店もあります。
骨つきと骨なしがあってタレもお店のオリジナル、さらりとした少し甘酸っぱいソースの様なタレを好みでからめていただく。お店のメニューはざんぎ2種類の他に、もつ煮(やわらか砂肝の煮込み)と、もつと野菜の炒め物の2種、計4つのみで粋!コの字型のカウンターでビールや酎ハイと合わせて至福の時を過ごしました。鶏肉がジュージューと音をたてながら香ばしく揚がる、いい香りがお店中に充満して、鶏肉好きにはたまりません。
今夜は鶏肉をマリネして井澤家流のブレンドタレにで楽しみます。

9/3

まぐろ・醤油麹・発酵食

まぐろは血を増やし体力を向上させ、カラダを元気にさせる魚です。カラダを温める刻みねぎや生姜をたっぷり添えると相乗効果があります。
手作りの醤油麹をハンドブレンダーでペースト状にし、マグロを2時間ほどつけます。それを炊きたてのご飯といただくのもオツ。最後はお茶漬けにします。
ちなみに、ねぎとろは「ねぎ取る」が語源で、骨の周りに付いた身をスプーンでこそげる意味合いだったそう。ねぎが入っていたわけではなかったのですが、ねぎを入れると美味しいですね。

9/1

黒にんにく・にんにく・発酵食

にんにく・黒ニンニク・黒大蒜

まだまだ暑いですが、朝夕は秋めいてきましたね、季節の変わり目です。油断して風邪などをひき、体調を崩したくはないですね。元気と言う言葉は「元」の「気」と書く、元(もと)の気がしっかりしていれば多少の事はクリアできます。気の巡りがいい、よく気が付く、気分がいい、気落ちする、病は気からなど総て「気」から来ています。私に「気合」を入れさせてくれるのは、黒にんにく。トロリと柔らかく甘い黒にんにくを口に入れるだけで、衛気が満ちて元気になります。黒にんにくは熟成発酵し、フルーツのような甘さがあり、匂いがたいして気にならないのもいい。発酵させることで普通のにんにくにはない、Sーアリルシステインというポリフェノールの一種が、生成され、にんにくの何倍も高い抗酸化パワーが期待できます。
老化防止、がん予防、生活習慣病予防の他、体温を上げて血行不良を改善します。エイジングケアにも高い効能を発揮します。疲れ気味、風邪かな?と思ったら先手を打っていただきましょう。

8/24

レタス(ちしゃ・乳草)

レタスは通年売られていますが、夏が旬。ちしゃは和名で、切り口から白い乳がでるので乳草と呼ばれていました。体の余分な熱を冷まし、古代ギリシャでは安眠効果をもたらすとされたレタス。メラトニンという睡眠ホルモンと同じような働きをする成分がレタスに含まれていることが確認されています。
乳性炎を緩和したり、母乳の出を良くするなどの効果もあるそう。食感を残す程度にレタスは火を入れたスープや炒め物、蒸し物にしても美味しいです。標高の高い朝霧の中で育まれたレタスを、暗いうちから畑に出る農家さんに感謝しながら、思う存分楽しんでいます。葉が薄くて甘く、みずみずしい朝採りレタスをバリバリと!

8/21

ミニトマト・トマト・トマトリース・キッチン

ミニトマト・トマト。トマトのリース・夏野菜・手つくりキッチン・食養生

まるで砂糖をまぶしたような糖度の高いトマトを口にすると、ビックリすることはありませんか?  ギネスブックにのっているトマトは糖度が12〜18度もあるとか。通常のトマトが約7〜8度なので、果物のような甘さに驚きますね。トマトのリコピンには高い抗酸化作用があり、ガンや動脈硬化を予防し、美肌作りにも有効です。夏野菜の代表格で、身体の熱をとり、喉の渇きもいやしますよ。
トマトはビタミンCも豊富です。サーモンや鶏手羽、牛スジなどのコラーゲンと一緒に摂取すると肌の生成が促されます。
雄大な畑で真っ赤で味の濃いトマトを見るだけで元気になります。特にミニトマトは育てやすく、うちのベランダ菜園でも元気に育っています。いろんな野菜を収穫し、紐で吊るしてリースにするのも素敵です。キッチンが一気に華やぎます