井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

5/22

太巻き寿司・飾り寿司・デコ寿司

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千葉県の郷土料理でもある太巻きの飾りずし。
古くから冠婚葬祭やおもてなし時のご馳走として、家庭の中で作られ、伝承されてきた巻きものです。海山に囲まれ、食材が豊富、米処でもある地域で少しずつ進化し、季節の美しい絵柄などが楽しく生まれています。千葉県の道の駅に行くといろいろな巻物を見かけますよ、大概午前中に売り切れてしまうので早めに到着するか電話予約します。漬物やチーズなど色々入っていますし、卵巻きなどは特にボリュームがあります。
日本の押し寿司、握り寿司、巻き寿司は、どれもストーリーがあって心躍ります、今日は太巻き祭りずしの参考書を片手に、桃の花と蝶々を巻いてみました。天然の色素で作るグラデーション、楽しいですね。
お米に酢を馴染ませて冷ました酢飯は、血糖値を緩やかに上げるようです。気になる方は、手軽に作れる巻き寿司など日常的に食してみてはいかがでょうか。

5/21

山芋・長芋・山薬

気温が低く感じられる日がまだ5月には有ります。二十四節気(季節の気候や自然の境目、変化を表したもの)の、この頃は、走りの梅雨とも言われ、麦の穂が成長するなど、穀物や植物が天地に伸びる小満(しょうまん)です。
少し肌寒いこんな日は、温かい椀ものと簡単で滋養のあるものを口にしたくなります。ちょうど昨日、道の駅で購入したみずみずしい春大根と春掘りの長芋があるので、大根たっぷりの豚汁と、とろろごはんにします。山芋には、血糖値を下げる効能があるので糖尿病や成人病予防に特にお勧め。胃に優しく、滋養強壮効果を高める調理法はおろすこと。とろろにすると、より身体に吸収されやすくなります、味噌や梅と溶くとお味も効果も上がります。
薬膳で山芋は、山の薬とかいて山薬(さんやく)と飛ばれるほど。身体が疲れた時、胃の調子が悪い時、元気になりたい時にもとろろはおすすめ(長芋のひげ根は、ガスコンロにかざすとチリチリとヒゲ根だけが焼けて消えます)。温かい具沢山の汁ものと合わせていただくとホッとします。

5/19

賀茂茄子・かもなす

京野菜・茄子・ナス・なす・賀茂茄子・炭火焼・

丸い大型でずっしりと重みがある賀茂茄子は、京の伝統野菜の一つで栽培にとても手間がかかります。別名は大芹川といって、主産地が芹川だったことからの由来だそう。京都では味噌田楽・しぎ焼きなどにされることが多いですが、油との相性もとても良くさっと揚げてから調理すると色もきれい。ステーキ風に肉厚に切ってシンプルに焼くと賀茂茄子ならではの食べ応えと共に、クリーミーでトロリとした舌触りを堪能できます。ナスニンのポリフェノールは抗酸化力が高く、活性酵素を抑えてくれる効能が期待できます。

5/18

発酵食・酢・ビネガー

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酢は最古の発酵調味料と言われており、万葉集にも登場します。味噌、醤油と並ぶ日本の食文化を支えてきた伝統的な発酵調味料。いろいろな国でも、その土地に根付いたお酒から作られており、名前の由来も判りやすい、例えば日本の酢は酒から作られるので酒編で酢、フランスの vinegar(ビネガー)はvin(ワイン)からくるというように。やわらかな酸味の京都の千鳥酢、心やすらぐ甘い香りのオーガニックアップルビネガー、キリッとさせたい料理に使う岐阜の内堀さんの米酢やリンゴ酢、気分によっては赤酢やバルサミコ酢を日々料理やドリンクに使用しています。酢には血液をきれいにし血行をよくする効果や、内臓脂肪を燃焼させる、疲労を回復させるなどの効能が期待できます。スクランブルエッグやチョコレートケーキにひと垂らしすると、しっとり仕上がりますよ。私はカルシウムも摂取できる昆布を入れ、ナチュラルな甘みの為にクコを入れた薬膳酢を作り置きして楽しんでいます

5/17

初鰹(はつかつお)

春から初夏に出回る初鰹は、黒潮にのって太平洋を北上します。あっさりしているお味ですが、ハシリを珍重する江戸っ子には今も昔も初夏を楽しむ風物詩。昔は高価でも初物に手を出すのが粋の証しでした、いただくと長生きするとの言われも人気の秘密だったかも知れません。レバー並みの鉄分を誇る鰹は、赤血球の生成を助けるので貧血にもよい魚、紫蘇、茗荷、葱などの薬味や、旬が同じ新玉ねぎを薄くスライスしたものとポン酢でいただくのもこの時期ならでは。いつものように生姜をたっぷりおろしてお醤油でいただくのもオツですが、皮を炙った鰹を少し太めに切り、ちょうどよく辛味が立った辛子と醤油でキリッといただくのもいい。窓から入る新緑の風をまといながら、5月だけは辛子で食したくなります。書かねば気が済まぬ、キンと冷えた日本酒と共に。

5/15

キャベツ・乳酸キャベツ・発酵食

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乳酸キャベツ(シュークルート・ザワークラウト)は発酵食ですが、気軽で直ぐに食せるサラダとしていつも作り置きしています。冷蔵庫を開けると、片隅にしんなりしておだやかな酸味と旨味をもった冷たいキャベツと目が合う。特に疲れて帰った夜、胃がすっきりしない日などに口にすると体や内臓が気持ちよくなるのを感じるので、つい手が伸びます(もともとキャベツがもつキャベジン効果もありますね)。
乳酸キャベツと納豆と2つまみの粗塩(好みで酢も少々)を混ぜたサラダ納豆や(夜食すのがお勧め)、少しのマヨネーズと和えただけのコールスローなど、旨味があって食べやすく直ぐにアレンジできます、沢山の調味料や手順が不要なのも嬉しいところです。腸内環境を良くするので肌も綺麗になります

5/10

フレーク・シリアル

いちご・ドライストロベリー・フレーク・コーンフレーク

フレークは穀物(小麦・大麦・オーツ麦・トウモロコシ・米・玄米)を平らに押して加工したもので、ミネラル・ビタミン・繊維が多くとてもヘルシー。同世代の皆さんも初めて口にされたフレークはケロッグ社のコーンフレークだと思いますが、19世紀末に栄養食として生まれました。今では香ばしい色々なフレークが普及され浸透されていますね、グラノーラなどバリエーシォンも豊富。フルーツやヨーグルトを添えると、バランスのよい朝食が手軽に出来るのも嬉しい、1日の必要なエネルギーを摂取できます。
保存容器に味噌を入れ豆乳を溶き、玄米フレークを加え混ぜて一晩寝かせると、しっとりした栄養豊富な離乳食や介護食になります、胃腸が弱っている時、歯の具合が悪い時などもお勧めです。
今日はドライストロベリーを作ったので、コーンフレークに入れてミルクとシンプルに楽しみます。
イチゴの栄養素は乳製品と一緒に食べるとアップします

5/9

春豆・グリンピース

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我が家では春豆と豚汁の献立は初夏膳の定番です。炊きたてのピカピカごはんの中に、タップリのグリンピースがすがすがしい。とうもろこしのご飯も同じですが、素材の甘みを生かしたいので調味料は天然塩少々と、小さなこんぶ1枚だけで調理します。新豆とお米の甘みが際立ち、ふんわりと豆の香りがやさしく広がって幸福感を感じます。チーズとオイルのリゾットもいい、余ったら豆乳で伸ばして攪拌し、滋養たっぷりのポタージュにすることも。写真は紫サヤのツタンカーメン、この豆でごはんを炊くとうっすら色つく豆ごはんになります。グリンピースはβカロテン、たんぱく質、食物繊維が豊富です。

5/6

キウイフルーツ・ビタミンC

この季節、特に気をつけなければならない紫外線、何はともあれビタミンCの摂取を心がけましょう。手軽に買えるキウイはオススメ、最近では黄色いゴールドキウイもよく見かけますね。
ゴールドキウイはケバが少なく、海外では皮ごと食べることもあり、グリーンよりビタミンCの富有量が豊富。肌を潤すコラーゲンの生成には、ビタミンCが不可欠、シミ、ソバカスなどの予防にも最適ですね。
グリーンキウイは胃腸に優しく、中医学では吐き気度にも有効とされています。
乗り物酔をしやすい方や、お子さんの遠足時などのお弁当に入れてあげると楽になるかも知れません。
それから妊婦さんのつわりにも有効、ついでに繊維も多く葉酸も摂取できるのでお勧めです。

5/5

柏餅(かしわもち)・お赤飯

お赤飯

子供の日ですね。幼少のころ菖蒲の湯に浸かったことがありますが、皆さんはどうでしょう?中国から伝わった習わしで、薬草を摘んで邪気を払うといった端午の行事。尚武(しょうぶ=武をたっとぶ)と菖蒲をかけています。ちまき(中国由来)や、柏餅をいただく風習がありますが、我が家では江戸で生まれ、日本独自に発展した柏餅の登場率が高かった。玉にちまきを頂くとその巻き方に心惹かれ、子供心にゆっくりゆっくりほどいて楽しんでいました。今日は大人ばかりなので健康に過ごせるようにとお赤飯を炊きました。お天気が良いし、庭を眺めながら縁側ピクニック、祖父母や猫とよく座っていた場所で。想い出に残る食と風景は心の宝物です。
お弁当をいつも作って遊びに連れ出してくれた母にも感謝しています。もうすぐ母の日ですね。