井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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牡蠣・かき・カキフライ・滋養強壮

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身がプクプクのカキは美味しいですよね。食べると元気が出ます。写真は漁師さんの手の上で剥き立て、厚岸産のカキです。カキには亜鉛、マグネシウム、タウリン等が多く含まれ、味覚を正常に保ち、貧血や慢性的な疲れを改善します。ビネガーに刻んだエシャロットを混ぜ、カキと合わせていただくと
酢の殺菌作用に食えわえてカキの独特の匂いが和らぎます。レモン果汁やにタバスコをふるのもお勧めです。加熱したカキも外せませんね。サクサクのカキフライを香りの爽やかなレモンマヨネーズで食べたくなります。サクッと揚がる衣の作り方をご紹介。小麦粉大さじ1、卵1個、水大さじ1を混ぜて卵液を作る。かきの水分をふき取り、粗塩とこしょうをふって小麦粉をはたき、卵液にくぐらせ、たっぷりの生パン粉をギュッと押し付けて180度でカラリと揚げる。パン粉をつけたあと、油が温まるまで冷凍庫で冷やしておきましょう。中医学でかきの殻は「ぼれい」と呼ばれる生薬で、主に真カキの膨らんでいる左殻を指すそうで、高温で焼いて粉末にしたもの。虚弱体質、不眠、めまい、精神安定、利尿薬などに使用されます。

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わかめ・海藻・ワカメ・若布

わかめは「若女」と書かれることもあるほど、美容によく若返りの食材とされてきた海藻です。わかめの茎の部分がめかぶで、そろそろ旬を迎え市場に出回ってきますね。カルシウムやカリウムなどのミネラルも多く、骨を丈夫にします。海藻に含まれる独特のぬめりは食物繊維の一種のフコイダンとアルギン酸によるもので、血中コレストロールを下げる働きがあります。わかめは繊維やヨウ素が豊富で、便通作用に加え、髪も綺麗にしてくれるので日々食したいものですね。お勧めの料理は定番の酢の物やお味噌汁。わかめのカルシウムは酢とわせてとると吸収がよくなります。みそとわかめは共にデトックス効果があります。わかめは
加熱時間はできるだけ短めにします。新鮮なわかめは、柔らかくなめらかでとても美味しいので、ぜひわかめのしゃぶしゃぶで楽しんで下さい。

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酒粕・発酵食・干しイカ・烏賊・いか

毎月出張している鳥取県で、酒粕といかを合わせた白菜の漬物をご馳走になりました。いかはスルメイカを干したものを戻して使っており、白菜と酒粕に干しいかの絶妙な旨味が加わったオツな保存食。酒粕は漬け込み調理に使うと食材を柔らかくする効果があります。熟成期間の長い練り酒粕は芳醇な香りがし、甘みがあって使いやすいですね。この香りの元の酵母菌はいろいろなビタミンを含み、菌そのものに美容効果が期待されます。
今年の酒粕をいただいたので、みそをみりんを溶いて干しいか(するめいか)を漬けてみました、熱燗が進んで困る感じです(笑)。酒粕で漬けたスルメイカを少し大きめに切り、衣をつけて天婦羅やフライにしたら楽しい一皿に。酒粕はもとより、干したスルメイカを見直した日になりました。酒粕は体を温める効能の他、肌のコラーゲン量をUPする働きが期待できるので日常的に食べたいですね。

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中国山椒・麻婆豆腐・冷え

真っ茶色の本格的な四川麻婆豆腐が出てくると嬉しくなります。中国山椒(花椒・赤い山椒・ホワジャオ)がたっぷりと入って、辛いと言うより舌がビリビリ痺れるくらいの容赦ない大人の麻婆豆腐。150年前ほど前に、四川省に住む陳さんという料理上手な女性が材料があまりない中で、山椒、豆豉、辣油、豆腐、牛肉などで
が作ったのが始まりだとか。日本には昭和25年頃に、日本人向けの味付けにして広めたのが陳健民さん。これは有名な話しですね。牛肉は体力を回復させて抵抗力を上げ、豆腐は身体を潤し、にんにく、生姜、ねぎ、唐辛子は血行を促進させるので、寒い季節に良いですね。豆腐の下処理ですが、2cmくらいに食べやすく切り、塩少々を加えた湯でゆらりとするくらいの火加減で下茹でします。厚手のキッチンペーパーに包んで600Wのレンジに2、3分かけるだけでも良いでしょう。中国山椒の青山椒(タンジャオ)は赤くなる前のもので、爽やかな香りと辛味が特徴的です。熟した赤い山椒(ホワジャオ)は痺れるような辛さがあります。私はブレンドして使うこともあります

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うどん・卵とじうどん

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寒い日には特に美味しく感じる熱々の麺類。今日はことのほか冷えるので、おろし生姜をたっぷり添えて卵とじのおうどんに。鰹と昆布出汁を温めて、醤油やみりんで濃いめに味付けし、水で溶いた葛(片栗粉でも)で強めのとろみをつけます。これをべっ甲あんといいます。うどんの主成分はデンプンの炭水化物で、胃に止まる時間が短く、消化されやすいのが特徴です。出汁や具材の栄養を丸ごと摂取できるので、バランンスの良い食事になります。
卵は溶いてそのまま加えるのが定番ですが、別の小鍋に少々の出汁を温めて、溶いた卵を流す入れ、器に盛ったうどんにのせる方法もお勧め。卵がふんわりして美しい仕上がりになります。あんで閉じると料理が冷めにくくなる利点もありますね。卵は体に吸収されやすいたんぱく質を含みます。また、生姜と葛は生薬でもあります、血行を良くし体を温めます。

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にしん漬け・漬けもの・発酵食品

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北海道の知人宅でいただいたにしん漬けは麹が多め。おみそ汁と同じようにそれぞれの家庭の味付けがあるそうです。市場で見かけたものすごく大きなキャベツは「札幌大球」といって、普通のキャベツより5倍くらい大きい。収穫までに半年かかるそうで、歯ごたえはあるけれど甘くて柔らかいのが特徴です。にしん漬けは、このキャベツとかぶや大根、人参、みがきにしん、麹、唐辛子、塩を使って作られる郷土料理で、寝かせるだけ味が馴染んで美味しくなります。大人になって初めて食しましたが、奥深い味わいでしみじみ美味しい贅沢な発酵食品です。塩麹は近年商品化もされていますが、昔はなかったはず。麹と塩と地産地消の食材で手間隙かけた味が脈々と受け継がれた鰊漬けは、その土地の文化を感じさせてくれる素晴らしい発酵保存食です。

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小豆・小豆粥・小正月・薬膳

15日の小正月(こしょうがつ)の朝、豊作や健やかな1年を願って小豆粥を朝いただく風習がありますね。
今日は鏡餅のお下がりで焼き餅ぜんざいを作ります。指で潰れるくらいに柔らかく下ゆでした豆に、きび砂糖や甜菜糖を豆と同量加えて、隠し味に粗塩少々を加えてよい塩梅にします。鏡開きで開いた(割った)お餅を(水に浸してふやかし、トースターに入れる)香ばしく焼いて浮かべます。
小豆には解毒作用があり、体内の余分な水分を排出するなど、デトックス効果が高いのです。利尿作用もあり、むくみ解消も期待できます。最近では蒸し小豆などの調理済みの商品もあるので、思い立ったら直ぐに料理に活用できます。サポニンも含む小豆は、甘味だけでなく、サラダやスープ、煮込み料理などにも入れて日常的にいただきましょう

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生姜・しょうが・干し生姜・冷え

足元の冷たさが気なり、生姜に手が伸びます。ショウガオールとジンゲロンの体温め効果は高く、慢性的な冷えを和らげます。少し濃いめのあんをかけ、たっぷりのおろし生姜をのせたうどんや湯豆腐は消化もよく夜食にもピッタリ。子供が受験生の頃、お腹を満たし過ぎずに免疫力をつけたくて生姜をよく活用しました。少し多いかなと思うくらいの量の細切り生姜を炒め物や炊き込みごはん、スープ等に加えるのですが、バターやオイル、肉類を加えると脂や加熱で辛味も和らいで子供でも食べやすくなります、生姜オールは100℃以上で加熱すると増加します、覚えておきたいですね。ホットミルクにおろし生姜、ターメリック、ナツメグ、蜂蜜を加えたジンジャーラテも集中力を高めながら美味しくいただけます。
干し生姜は胃にも優しく、芯から体を温める効能が期待できます。保存が効くのも良いところ。皮付のまま生姜を薄切りにして、ザルに広げてカラカラになるまで干すだけ。乾燥剤を入れて密封保存します。香りも良い生姜は気の巡りもよくするので、普段のお茶やおみそ汁などにも干し生姜を気軽に加えてリラックス効果が期待できます。

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ひじき・ヒジキ

ひじきは鉄分、カルシウム、食物繊維、マグネシウム、亜鉛、ビタミンなど栄養価の高い食材。たとえば、貧血や抜け毛が気になる方には、ひじきとレバー、にんじんを煮たお惣菜がおすすめ。ひじきと同様にレバーは鉄分が多く、にんじんには肌や髪を健やかに保つビタミンAがたっぷり。骨粗しょう症予防には、ひじきと玉ねぎのビネガーサラダをどうぞ。酢をベースにしたドレッシングであえれば、カルシウムが体に吸収されやすくなります。玉ねぎの血液サラサラ効果も期待できて、いいこと尽くめ。
ひじきは手軽に戻せるので、卵焼きやお味噌汁に入れるなど、こまめに食卓にとり入れてみて。中医学では黒い食材は腎機能を高めると言われており、老化防止・エイジングケアに有効です。
昔の乾燥ひじきは鉄釜で炊いていたので、鉄分が多く含まれていたようですが、いまはステンレス釜の製法が主流のため鉄分の量は少し減っています。鉄以外の栄養素も豊富で、しかも美味しいので、私のお惣菜ではひじきの登場率は高く、とても重宝しています

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冷凍餅・お餅入りスンドゥブ・スンドゥブチゲ

今日はお正月で余った冷凍しておいたお餅で旨辛チゲを作ります。お餅が濃厚な煮汁と半熟の卵が餅に絡まり、とても美味しいお鍋です。寒い日や疲れた時、風邪気味の時に、カンフル剤のようによく効くアツアツのスンドゥブチゲ。食欲を増進させ免疫力を高めてくれる食材の組み合わせで疲れもとれます。
スンドゥブは韓国の定番家庭料理で、豆腐、野菜や貝類、肉、魚などを辛味のあるスープで煮込んだものです。韓国では、やわらかい豆腐を使いますが、比較的近いおぼろ豆腐で代用できます。作り方は、鍋にごま油、おろしにんにく、豆板醤を入れ熱し、刻んだネギ、白菜、豚バラ肉を炒める。材料がかぶるくらいのいりこ出汁を加えて煮立て、味噌、醤油、みりん、あさりを入れ、スプーンで大きくすくった豆腐を加える。冷凍餅は耐熱容器に入れてかぶるくらいの水を加え、1〜1分半レンジ加熱する。お餅を鍋に加えて2、3分煮る。火を止めて生卵を落とし、好みでコチュジャンや、粉唐辛子粉適宜を加えて下さい。