井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

4/26

山椒・山椒の花・山椒の実・木の芽・ハーブ・気の巡り

木の芽・和食・Sansho・山椒・山椒の花・山椒の葉・ハーブ・気の巡り・

一年に一度、ほんの一瞬の短い期間だけ楽しめる花山椒(山椒の花)。上品な風味を生かして酢の物、和え物、椀物に入れる、掘りたての筍と炊く、地鶏のスープでいただく、温めた甘辛いつゆにこれでもかと花山椒を入れ、薄切りの牛肉をさっとくぐらせて煮えばなをいただく、佃煮にするなど思う存分堪能したい。葉はつみたてを白味噌と合わせて木の芽味噌にし、山菜やホタルイカ、田楽などと楽しむ。
実は6月頃になり青山椒とも呼ばれ、秋以降完熟乾燥したものを挽くと粉山椒になります。山椒の香りが大好きな私は、毎年そわそわしながら庭の木になる実を心待ちにし、足りない分は市場に行って自分へのご褒美として奮発し、沢山仕込んで1年中料理に多様します。
花、葉、実、皮のすべてが楽しめる山椒。昔はお腹の虫くだしに良いとされていました、身体を温めて胃の調子を整え、気の巡りをよくする日本のハーブです。

4/23

そら豆・蚕豆・空豆・豆板醤・発酵調味料

井澤由美子・食養生・食養生・そら豆・空豆・天豆・おたふく豆・蚕豆

日本では、蚕豆・天豆・一寸豆・お多福豆・がん豆など色々な可愛らしい呼び名があるそら豆。世界で最も古い農作物の一つだそうです。
中国調味料の豆板醤が最初に作られた時は、唐辛子は入っていなかったそうです。現在では辛いものが多く、唐辛子と麹を空豆に加えて熟成させています。毎年そら豆がで始めると豆板醤風を作ります。ソラマメを蒸し、すり鉢に入れて塩麹とほんの少しのごま油を加えて滑らかなペーストにします。えびやホタテのムースと合わせて型取れば、色鮮やかな一品になります。
空豆は、タンパク質、ビタミンB1,B2も豊富、疲労回復によく、胃腸機能を高め、余分な水分を排出する効能が期待できます。
鮮度が落ちやすいので、さや付きを購入して調理する直前にさやから出しましょう。新鮮なものは皮も柔らか、栄養価も高くそのまま食べられます。
サヤに数カ所穴をあけて、酒蒸しにしたり、熱したグリルや炭で皮が黒くなるまで焼くと、蒸し焼き状態になってふっくらとします(穴を開ける場所ですが、豆の無いくびれた部分を狙って刺して下さい)。大人になってから良さがわかったそら豆、見かけるとついつい手が伸びます。

4/22

穀雨・記憶のハーブ・ローズマリー

薬膳・生薬・井澤由美子・ローズマリー・記憶のハーブ・穀雨・

昨日は2021年の穀雨でした。
霧のような細かい雨を浴びるこの頃のハーブ達はぐんぐんと育ち、ベランダや庭が若緑に染まり活気を帯びて来ます。ローズマリーやタイムなど、チョキンと切ってそれぞれの容器にオリーブオイルにつけて置くとそれだけでキッチンが華やぎます。ローズマリーはお肉料理、タイムはお魚料理に私は使います。
お好みのハーブを束ねて逆さにつるせば、部屋中に天然フレッシュアロマが広がって、眠りも良質になる気がします。
ローズマリーとレモンを合わせた香りは認知症予防にも良いそうですよ。ハーブをしっかり乾燥させたら、枕やアイピロー、シューズキーパーにするのもステキです。
中医学でローズマリーは頭をすっきりさせる生薬で、記憶のハーブとも呼ばれています。甘いりんごの香りがするカモミールはリラックス、可愛らしい小さな花をつけたタイムは強力な抗菌作用があります。

4/21

緑黄色野菜・ルテイン・眼精疲労・眼老化予防

ケール・眼精疲労・ルティン・疲れ目

パソコンや携帯の見過ぎ、加齢も加わって目がかすんで疲労困憊しています。紫外線やブルーライトなどのダメージも気になるし、眼精疲労で字が見えにくく、色もぼんやり見える状態でスッキリしない。
こんな時は、眼に良い栄養素のルテイン、亜鉛、ビタミンA,B,C,Eなどを食事にたっぷり組み込みます。特に天然色素の一種のルテインを多く含む、緑黄色野菜を中心に献立を考えます。
今日は旬のホタルイカを合わせた、緑黄色マリネサラダをご紹介します。ホタルイカにはビタミン12、Eが豊富、ルテイン含有率1位のケール、その他の野菜やオイルと合わせて効率よく相乗効果を担いたい。ホタルイカは目をとる、ケールはちぎる、トマトは刻む、新玉ねぎは薄切りにしさっと冷水に晒し、水気をきる。人参をおろして、レモン果汁、塩、胡椒、全てを合わせてマリネします。薬膳では、眼の疲労には「肝腎」のケアになります。今回は、ホタルイカ、人参、レモンなどからアプローチしています。
冷蔵庫で少し冷やすとさらに美味。カロテンは油と一緒に調理するとよりよく体に吸収できるので、お好きなオイルも加え混ぜて下さい

4/20

奄美大島・油ぞうめん・郷土料理・きびなご

煮干しやじゃこの出汁を使って作る油ぞうめん。奄美でとれるきびなごのいりこを使って、郷土料理の油ぞうめんを作ってみました。フライパンにたっぷりのきびなごとひたひたくらいの水を加えて出汁をとります(今日は梅干しを足しました)。酒と奄美の少しだけ甘いヤマア醤油、奄美の粗塩、油(油少々を加えるのがポイント)で味をつけ、フル(にんにくの香りのする葉)と、辛い中に甘い香りのする島唐辛子を刻んで加えます。奄美西古見で、ヒガシフーズの乾麺平うどんを宿のお母さんに頂いたので、素麺の代わりにさっと茹でて水気をきり、出汁に加えて煮含める。地元の方は入れないようですが、一緒にプリプリのもずくをたっぷりと加えるとツルンと喉越しもよくて加えても良いものだなぁと思いました。煮干しやじゃこは数分煮込んで柔らかくなるので、麺と一緒にいただけますよ、旨味もカルシウムもたっぷり、簡単でとてもよい調理法だと思います。
奄美大島の海や自然は色濃く美味しいし、素朴でステキです。またいつか出かけたい島の一つ。
南地方はきびなご、もずくが5月から旬です

4/19

ハヤシライス・乳酸菌・発酵食・ヨーグルト

ハヤシライス・乳酸菌・ヨーグルト・ハヤシライスの作り方・乳酸キャベツ

動物性乳酸菌のヨーグルトは、カルシウムが豊富な発酵食です。食べる量は、1日1カップが目安。今日は、ヨーグルトのまろかで自然な酸味を利用し、お家にある調味料でササッと作れるクイックハヤシライスの作り方・2人分のご紹介です。新玉ねぎ1個は薄切りにし、舞茸は手でほぐす。フライパンに油小さじ1をなじませ、牛こま肉適宜をさっと炒めて取り出す。バター大さじ1と切った玉ねぎを入れてしんなりするまで炒めたら、小麦粉大さじ2を全体にふりかけ炒め合わせ、舞茸、水1カップ半、味噌、ケチャップ各大さじ1、ソース大さじ2〜3、(好みで加減)を加え、全体にとろみがでるまでフタして6、7分煮る。
火を止めて一呼吸おいてからプレーンヨーグルト大さじ3〜4をまぜ、ごはんにかける。そうそう舞茸は栄養や繊維が豊富なだけでなく、お肉を柔らかくする嬉しい効果もあります

4/17

鯛・鯛茶・鯛の昆布締め・桜鯛

春を代表する旬魚の鯛。朱色をまとって北上する桜の季節の真鯛を「桜鯛」「花見鯛」と美しい名で呼びます。
鯛は海老を食べるのですが、殻に含まれるアスタキサンチンが身に影響するのだそうです。縁起の良い魚として昔から珍重される鯛は栄養価も高く、タウリンが豊富で低脂肪。高タンパク、低カロリー、消化吸収もよいので胃腸の弱い人やお年寄りにもお勧めです(鯛の骨には充分気をつけて)。
鯛は昆布締めなど、塩分が入ると表面がねっとりとする魚で、それが美味しくてお鮨や散らし寿しにすることもあります。平らな昆布を用意して、表面を酒でふき、刺身を重ならない様に並べて挟みます。ラップできっちり包んで冷蔵庫で3〜5時間ほど寝かせます。鯛は昆布締めや、いり酒などでいただくと味わいがよくわかります。
山葵をたっぷり添えた鯛茶も美味しいですね。ゴマにクルミやカシューナッツ、松の実など好みで入れて乾煎りし、すり鉢でめんつゆ味程度のタレとすり混ぜる。切り身を濃厚ゴマだれにくぐらせて炊きたてのごはんと半分いただき、あとはお好みで煎茶をかけて2度楽しみます。

4/16

豚肉・疲労回復

豚肉・疲労回復・ポーク

なんとなくやる気が出ない、疲労を回復したい時などに特にお勧めの豚肉。豚肉のビタミンB1は体に効率よく摂取でき、にんにくや玉ねぎなどと組み合わせると疲労回復効果がさらに高まります。酢を使った酸味や果物を加えた酢豚などはクエン酸効果もあり、春には特に酸味が美味しく感じます。
豚肉に含まれるポークペプチドは酵素と合わせると、血液中のコレストロールを下げ、脂肪を燃焼させる効果があるそうです。例えば酢豚に入るフルーツとしてパイナップルなどがありますが、その酵素が有効に働くので料理として理にかなっています。100パーセントジュースでもOK、お肉を柔らかくする効果と、甘みや香りのエッセンスもつきますね。その他に、パパイアやキウイなどにも酵素がたっぷり含まれています。

4/15

セロリ・薬膳・春の不調

春野菜・セロリ・セルリ・食養生・薬膳・まいにち食薬用養生帖

もともと薬草だったセロリの香り成分には、春先に起こりやすいストレスを軽減する効果が期待できると言われています。キャベツと同じように、ビタミンuも含まれているので、胃の粘膜を修復する手助けもします。特に栄養価が高い葉は、刻むなどしてぜひ調理して下さい。カリウムも豊富、血圧が気になる方にお勧めの野菜です。
セロリのフレッシュサラダの作り方です。セロリの筋を取ったら新玉ねぎと薄切りにして、冷水でパリッとさせ器に盛ります。出回る柑橘類と塩麹、胡椒とオリーブオイルを小瓶などに合わせてシェイクし、乳化させます。美肌効果もあるこのドレッシングを好きなだけかけて出来上がりです。
春には酸味が大事なので、酢や梅干しも良いですが、少々の甘味でケアする必要もあります。今出回っている柑橘類をたっぷり使いましょう。柑橘の香り、酸味、甘味とセロリを合わせると、気の巡りを良くする相乗効果が増し、自律神経を整える手伝いをします

4/14

花わさび・わさびの花・花わさびの酢漬け

井澤由美子・抗菌作用・食養生・ヒーリングフード・薬膳・花わさび・三杯酢・レシピ・春野菜・山菜

旬の花わさび、白い小花が可憐ですね。清らかな清流に流れる畑には、蝶が舞っていました。山葵は花のつぼみや葉もたべれます、爽やかでピリッと美味しい酢漬けの作り方を農家さんに教わりました。
350g程のわさびの葉や茎はよく洗い、2、3cmのざく切りにしてボウルに入れます。粗塩適宜を全体にふってしんなりするまで塩もみします、よく揉むと細胞が壊れて山葵の辛味や香りが立ちます。そのまま置いて、この間に清潔な密封容器に調味料を合わせます(昆布酢か酢150cc、きび砂糖80g、醤油小さじ2)。塩もみした花わさびをざっと水で洗ってギュッと水気を絞る。冷蔵庫に1日置いていただきますが、3日くらい経っても美味。私はここに、少し甘みのある柑橘を絞り、春の風味を満喫します。
抗菌作用の高い山葵は解毒作用もあります、花や葉は、歯ざわりもあって爽やかな辛味がクセになります。