井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

7/22

玉蜀黍・とうもろこ・トウモロコシ

とうもろこしは米、麦に並ぶ世界3大穀物の一つ。
糖分が高いので、エネルギーの補給源にもなります。購入したら栄養価が急速に下がるので、なるべく早めに直調理しましょう。
毎年、生のトウモロコシを炊き込みごはんにしたり、かき揚げにするのが楽しみ。今日は、飲むとホッとする、甘みを生かしたすっきりとした和風スープをご紹介します。作り方は昆布を水につけておき、とうもろこしの実を削いだ後の芯と玉ねぎを入れて弱火にかけてフタをし、20分ほどゆっくり煮ます。とうもろこしの実を加え、好みの加減に煮たらハンドミキサーで撹拌し、白みそを溶き入れる。冷たく冷やすして、夏向きの冷製スープもいいですし、温かくても美味しいものです。
とうもろこしは利尿作用が高く、繊維も多いので便秘やむくみを改善します。

7/21

うめ・梅仕事・梅干し・食養生

梅・梅仕事・梅干し・うめ・民間療法

梅雨明けして三日目。光るような真っ白な雲がもくもく、夏空が晴れやかです。
20日間ほど塩漬けした梅を干して今日で2日目。ザルいっぱいに広げて、天日干しにする作業は楽しい。干した半分は、3日目の明日に梅酢に戻してしまいます。ふっくらとして香り良く仕上がった梅干しは、タレや煮物、茶碗蒸しなど料理にも大活躍します。
あとの半分は、いろいろなバージョンを作りたいので、この後も実験が続きます。梅の産地や等級、粗塩や忍ばせる氷砂糖、加えた香りなどによって、干し時間を変える。日に数回返して皮をつまんで干し加減をみます。
梅干しは薬のような存在で、今年漬けたものは3年後に口にします。昔ながらの塩分量で作ったものは何十年と日持ちし、角が取れて風味も丸くなり薬効が高まるようです。
下痢や便秘、食当たりなどにもよい梅干しは、旅先のお供には必ず持参します。疲れた時に梅干しを一口、塩分や梅のクエン酸を摂取する事で体の調子が戻ってきます。日本のおかゆに梅干しが添えられているのは、味付けだけが目的ではありませんね。梅干しを食べると唾液の分泌が良くなり、消化を促進するからです。熱が高い時には、果肉をおでこに貼って熱を取るなど、昔ながらの梅干しは、民間療法としても重宝されてきたのです

7/19

ボタン海老・牡丹海老・銀鱗荘・小樽

ボタン海老・海老・刺身・銀鱗荘・牡丹海老小樽

タラバエビ科のボタン海老。赤い斑点があり、牡丹の花のように見えることが名前の由来だそう。
深海に生息し、底引き網のみの捕獲なので、漁獲量が少なく希少価値が高いのです。ボタンエビをたまに口にする事がありますが、小樽銀鱗荘さんのきらきら透き通るこのクラスのえびには、胸躍りました!殻を持って帰りたいくらい美しい。お味は、甘みもありますが、ぷりぷりコリっとする食感。その他にいただいた、蟹やあわび、鰊のお料理もシンプルな食べ方、素材が良いのでパーンと嬉しい直球でした。
お料理をいただいた小樽の銀鱗荘は、高台にあって石狩湾や小樽全景をパノラマで見渡せます。佇まいは凛としており、北の迎賓館の異名を持つのが頷けます。館内も見事で、細部にまで贅を凝らした鰊御殿は、明治、大正の小樽の繁栄を表しています。豪壮優美な温泉宿、小樽に来たらぜひのぞいてみて下さい。窓から望む初夏の美しい景色もごちそうで、忘れられないひと時でした。

7/16

テンペ・発酵食

インドネシアが発祥の大豆製品のテンペ、落花生バージョンもあるそうです。テンペ菌は、クモノスカビの一種で、発酵したテンペは白い菌糸に覆われています。大豆を茹でて、バナナの葉などに包んで発酵させたものが市場で売られています。現地では食べやすい大きさに切って、味を含ませて揚げ物にしたり、煮物や炒め物に使用。ベジタリアンや欧米ではお肉の代わりに調理されていますね。
テンペは全くクセがないので、どんな料理にも使いやすい。醤油麹の煮物や炒め物も美味しいですし、から揚げのように醤油とおろし生姜、にんにくで下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げ焼きしたお惣菜はお弁当にもお勧めです。普段の大豆のように気軽に使えば良いので、旬野菜のキュウリ、トマト、ゴーヤなど好みの野菜をざく切りにして、塩麹、胡椒、レモン果汁、オリーブオイルで馴染ませ、手でくずしたテンペを加えたサラダなどは簡単でお腹にも効く一品です。
大豆製品は女性に特にお勧めの健康食、日本の味噌と納豆、そしてテンペは世界中で注目されている発酵食品です

7/15

夏の薬膳・野菜の力

野菜・夏野菜・薬膳・トマト・

もうすぐ梅雨が明けそうです。塩漬けした梅をザルいっぱいに広げる時間は気持ちよく、とても楽しい作業です。夏バテ防止に梅干料理は大活躍します、2年後が楽しみです。
暑さ厳しい夏はすぐそこ、五臓の中で、心と小腸に負担がかかる季節になります。過度の脂肪分の高い乳製品や冷たいもの、甘物の取りすぎには今から気をつけ、旬の野菜や果物を中心にいただきましょう。赤い野菜(トマト、赤ピーマン、唐辛子、スイカ)、苦みのある野菜(ゴーヤ・ピーマン)、トウモロコシなどは特によく、その他とうがん、なす、オクラなどがお勧めです。
心が弱るとストレスを感じやすくなります、ラデッシュやセロリ、キュウリなど、みずみずしくて少しの辛味や香り、歯ざわりがあるものをパリパリいただいて下さい。リラックスして気がストンと治まることがあります。

7/13

もも・桃仁・

桃・夏の果物・桃仁・食養生・ピーチ・薬膳・漢方

「仙人の果物」とも呼ばれる桃。みずみずしく香りよく、見るからに美味しそうな桃が出回っていますね。果汁が滴るような熟れた完熟桃を2時間ほど冷やして、薄皮をむいてかぶりつくのが一番美味しいと思っていましたが、桃の里ではかたいけれども完熟している桃を皮ごと食べると伺いびっくりしました。ちなみに桃の一番甘い箇所は皮と実の間の部分ですから、腑に落ちました。購入する時は白い斑点(果物)があると、糖度が上がっているそうなので目安にします。
コンポートも美味しいですね。湯むきしてシロップでやさしく煮ますが、カルダモンを香る程度に一粒加えてみて下さい。美しい桃色のシロップがより洗練された風味になります。
漢方での桃仁とは、桃の種「かたい殻の中の種子」のことで、日干しさせた生薬。血行障害で起こる無月経、月経痛に効能があるとされ、血の巡りをよくする血薬として用います、コロコロとした乾燥便秘にも効果的だそう。
乾燥させた葉は、あせもなどに良いとされ昔から浴剤(桃湯)が親しまれています。果実にはペクチンやビタミンCも豊富です。「桃の節句」は女の子の節句、女性特有の症状にもよく効くようです

7/12

トウモロコシ・玉蜀黍・とうもろこしごはん

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とうもろこしの炊き込みごはん、甘みがあって旬ならではの美味しさです。ポイントは生のとうもろこしを使うこと。とうもろこしは実を包丁でこそげる。ごはんを洗い20分水に浸してザルに上げる。鍋か炊飯器に洗った米、同量より少なめの水、酒少々、粗塩3つまみを入れて混ぜ、昆布一切れ、とうもろこしをこそげた後の芯を加えて普通に炊く。炊き上がり3〜5分前に芯をとり除き、とうもろこしの実を加えるのですが、バターでソテーしてコクを出し、醤油とからめた香ばしいとうもろこしをさっと加えて蒸らします。炊き立ても美味ですが、お弁当にもお勧めです。
暑くて水分をとりすぎた時など、胃が重くなることがありますね。薬膳では、とうもろこしは胃をスッキリとさせ、身体の余分なむくみをとるとされている野菜です。
購入する時は、ひげが茶色くなったもの、実の先に丸みがあるものを選びます。

7/9

hibiscus・ハイビスカス・花のソルベ・与論島・旅の想い出

ハイビスカス・ソルベ・花

ここのところのジメジメお天気、気分もすっきりしませんね。
今日は見るだけで元気になれる鮮やかなハイビスカスのご紹介をします。美しい色合いのハイビスカスティーは、微かな酸味を感じます。ビタミンCやクエン酸などがたっぷり、美肌効果や疲労回復に効能があります。
写真は数年前の与論島でいただいた南国情緒たっぷりのハイビスカスのソルベ。丁寧にシンプルに作られていて風味がよく出ています。お散歩途中に寄ったカフェのお母さんが、作業中のソルベの作り方を見せて下さいました。花びらを洗って煮出し、砂糖を加えたところに島みかんやレモン果汁(酸)を加えます。ハイビスカスの花の赤がよく出るまで、たっぷりと絞る。酸を加えるとパッと発色します、その様子は赤しそジュースなどの色だしと同じでした。ハイビスカスは天婦羅にも出来るそうですよ、赤い天ぷらがお皿の上にこんもり盛られている様が頭に浮かびました。島野菜のオクラやカボチャなどと一緒に揚げて、島のお塩もちょこんと添えて。

7/8

荏胡麻・エゴマ・えごまの葉

シソの葉に似ているエゴマはシソ科、エゴマ油は近年特に人気です。
大変な手作業に加え、デリケートな油なので値段は少々しますが、それだけ高い薬効があります。豊富に含まれるオメガ3脂肪酸、aリノレン酸が体や脳、肌を健康に保ちます。上質なものを購入し、かけるあえるなどの調理法で加熱せずシンプルに摂取しましょう。
小さな丸い粒は香ばしく、ゴマのように色々な調理に使えます。乾煎りしてすり鉢ですり、和えごろもに加えたり、焼き物の表面につけてカリカリとしたコントラストをつけても美味しいもの。
エゴマは防腐効果もあり、採取される産地では、昔から郷土料理や民間療法などにも多様されて来ました。
エゴマの葉は、焼肉には無くてはならない野菜です。サンチュの上に、エゴマの葉とスライスしたにんにくや唐辛子、甘辛く香ばしいお肉をのせて包んで食べると最高ですね。にんにくの醤油漬けも美味しいし、キムチにして炊きたてのごはんにくるりと巻くとご飯が止まりません。
余談ですが、エゴマ油は乾性油なので防水性、昔は油髪や番傘に使われていたそうです

7/7

みそ・手前味噌

お味噌を作るのに、空気の良い畑で枝豆と黒枝豆を育てています。味噌の原料は大豆ですが、実は収穫時期が異なるだけで、大豆と枝豆は同じものです。枝豆は、大豆が熟し切る前の青い状態で収穫したもの。大豆と同様にタンパク質、ビタミB1やB2、鉄分、繊維などを含みますが、枝豆にはアルコールの分解を促進するメチオニンと言う物資が含まれ、肝機能を高める効果が期待できます。ビールのお供に添えられるには意味があるのですね。

中医学では血の巡りをよくし、疲労回復にも効能があるとされています。女性に嬉しいイソフラボン、葉酸もあるので妊婦さんにもお勧めです。手作りの味噌は少し粒の残ったタイプ、仕込んでから夏を2回以上越したものが好きです。熟成させたお味噌は手前味噌でも感激するおいしさです