井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

12/11

ほうれん草・貧血予防

葉野菜・小松菜・春菊。ブロッコリー。ほうれん草

旬のほうれん草は葉が肉厚になり、甘味も増しますね。鉄分が多いので、昔から貧血などに良いとされている冬の代表野菜です。ほうれん草が食べたくなったら実際に血が足りないのかも。積極的にいただいて養生して下さい。ビタミンCやカロテンも多く、風邪や動脈硬化予防にも最適で、五臓の働きも助けます。良質の油と一緒にとると、カロテンの体への吸収率が高まりますよ。

茹でるよりレンジ加熱だとビタミンCの損失が少なくすみますが、茎から茹でておかあげ(ザルに上げる)にするのが美味しいですね。おすすめレシピはナムル。加熱したほうれん草の水気を絞り、ピーナッツ油やごま油、塩、こしょう、おろしにんにく各少々で和える。

ほうれん草は早めに使いきりたいですが、保存する時は新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、立てて野菜室に入れます。

12/10

レモン・ドライレモン・リフレッシュ

薬膳・食養生・リラックス・デトックス・国産レモン・マイヤーレモン・レモン塩・ドライレモン

我が家のベランダ菜園のレモンは、今年も元気に実りました。レモン塩、レモンシロップの他に、乾燥レモンも作ります。粗塩で表面をこすり洗いし、ごく薄切りの輪切りにして、干して乾燥させるだけ。低温のオーブンでも良いですし、ドライフルーツ用の乾燥機だとより簡単です。乾燥後は、空き瓶などに入れてお菓子や海苔についてくる乾燥剤を一緒に入れて保存。料理やお菓子、飲み物に1枚入れるだけで表情が変わり香りも立ちます。スポーツをする時に数枚持って出かけ、水に入れてフレーバーウオーターしても。粗塩や甘味を少し加えるとスポーツドリンク風になります。私は紅茶にポンと入れて、爽やかな香りで気の巡りを良くします。気分がリフレッシュし、皮ごとたべられるので疲労も回復します。デスクやキッチンに置いておくと、鮮やかなビタミンカラーで元気になります。

12/8

ヨーグルト・乳酸菌・発酵食

ヨーグルトソース・ヨーグルトドレッシング・ヨーグルト・サラダ・腸活

腸内のバランスを整えるヨーグルトは乳酸菌発酵食の代表格ですね。その歴史はとても古くて驚くのですが、約7千年前から食されていたそう。免疫力を高め、腸の蠕動運動を促進させるので便通もよくします。
また、牛乳を発酵させて作るヨーグルトは、牛乳よりもカルシウムやたんぱく質が体に吸収されやすい状態になっています。
近年「生きたまま腸に届く〇〇菌」と言うフレーズで売り出されている健康効果の高いヨーグルト。これは、通常、胃を通る時に、胃酸で死滅する乳酸菌やビフィズス菌が多い中で、胃酸に強い菌を発見し、製品にしたもの。トクホのマークは、しっかりお腹の調子が整う事が認められた証なので、購入するときの目安に。
みかんが美味しい季節ですが、無糖ヨーグルトに果汁を絞り、塩、胡椒、オリーブオイルを空き瓶などに入れてシェイクする。サラダにはもちろんですが、さつぱりとしたソースがハンバーグなどにも好相性。発酵食は日常的に幅広く摂取することが大切ですね。

12/4

山芋・長いも・食養生・滋養強壮

井澤由美子・食養生・薬膳・漢方・山芋・長芋・芋・さんやく・山薬・とろろ・滋養・元気

薬膳では、山薬と書いて、“ さんやく ” と読みます。山芋や長芋は、身体への効能がとても高い自然食であり、文字通りお薬とも言えるパワーフードです。体調が悪い時や季節の変わり目に、積極的に食して体を労わります。
沖縄には、内地とは少し違った山芋があるのをご存知ですか? 知名度は低いのですが、沖縄人(ウチナンチュー)の長寿をしっかり支えてきました。亜熱帯地方で栽培されるもので、ゴツゴツとして大きさも形も一般的な山芋とは違います。とても強い粘りを持ち、おろして天麩羅にするのにも、つなぎがなくてもそのまま揚げる事が出来ます。
どちらの山芋も腎機能を高めるとされ、滋養強壮、疲労回復に効果が期待できます。山芋は、私が疲れた時に一番取り入れたくなる頼もしい助っ人野菜。おろしてお味噌汁に入れていただくとスッと胃に収まります。

おろす、温める調理法もポイント、日本の免疫力でもあるお味噌と合わせて、体調を崩しやすいこの時期にしっかり養生し。冬の寒さに備えます。

12/3

イカ・烏賊

薬膳ではいかの甲は(鳥賊骨・うぞくこつ)と言い、主に月経異常、胃腸症に使用されます。タウリンが多いいかは血中コレストロールの増加を抑え、動脈硬化の予防も期待できます。肝機能を改善するのでお酒のあてにもよいものです。昔よく見かけたいか徳利は、味だけではなくちゃんと体によい理由があったのですね。
日本人は世界でも有数のいか好き、さまざまな料理に使われていますが、低エネルギーでタンパク質が豊富、昔から血を養うと言われ貧血にも良いとされてきました。もしもいかの足が余ったら、細かく刻んでつくねやハンバーグに加えると食感に変化がついて美味しくなります。

12/1

寒しじみ・シジミ・二日酔い・食養生

シジミは肝機能を高めるタウリンやカルシウム、アミノ酸が豊富、アルコールを分解する作用が高いので二日酔いに効くことは有名ですね。解毒作用や血圧を下げる効果も期待できるシジミは滋養が高い。肝機能を高めると言うことは、目の充血や尿の出をよくするなどにも有効です。

シジミをストックする時の保存方法ですが、ざっと洗ったら砂抜きします。バットなどに入るサイズのアミやザルに広げて置き、バットに入れてかぶるくらいの塩水(塩分1%・水500ccなら小さじ1弱)を注ぎます。3時間〜半日ほど置い、再度こすり洗いした後、水気を拭いて冷凍庫で保存。旨味も栄養価も上がるようですよ、どちらにしてもお味噌汁やスープにする時は20分くらいゆっくり煮て旨味を抽出するようにします。お味噌に含まれるコリンとしじみと合わせたお味噌汁はやはり、最強の酒解毒薬になります。

11/29

かぶ・蕪・食養生

かぶは七草で言う「すずな」です。江戸時代には葉を主に食していた野菜で、葉は実際に栄養価も高い。かぶは根菜類に入りますが、普段私たちが食べている白い部分は茎(胚軸)で、その下の方のチョロリと細い部分が根です。
菊花かぶは歯ざわりが良く、疲れがとれます。皮をむいたかぶの両端を挟むように箸を置きます(下まで切れないように)。縦横に切り込みを細かく入れて30分ほど塩水に浸します。小口切りにした唐辛子、昆布一切れを入れたかぶるくらいの甘酢に、水気を絞ったかぶをつけて1時間以上冷蔵庫で寝かせます。今日は、先日掘り起こしたターメリックを薄切りにして加え、ほんのりした黄色に仕上げて、肝機能も上げています。
癖の無いみずみずしい食感のかぶは最も漬物向き。また、火を入れた時の柔らかいとろみも醍醐味です。甘みが立った熱々のお味噌汁は格別、風邪予防にも良いのでこの時期の朝の定番に。

かぶは消化不良にも良いとされ、ビタミンC、カルシウムなどが豊富、便秘改善にもお勧めです。薬膳ではイライラを抑え、のぼせに良いとされています。

11/28

かすべ・エイ・郷土料理

魚料理・料理講習会・料理教室・カスベ・エイ・カスベの煮付け・北海道・旬魚

北海道ではメジャーなかすべ(エイ)。軟膏魚類に属し、煮付けは家庭でもよく作られる郷土料理の一つで、骨(軟骨)ごと食べれます。南樽市場で鮮度抜群のカスベを購入し、煮付けてみました。昆布と酒で下煮してから、醤油とみりんで薄味調理、煮崩れないようにコトコトと。下煮の時に、臭み抜きの為に生姜やねぎでもでもよいと思いますが、カスベの風味を知りたいので、今回はたっぷりのお酒だけで臭みを飛ばす。食してみると、独特のぬめりと軟骨の食感にはまります。冷蔵庫で煮汁ごと一晩置くと、ふるふるの煮こごりに。私はですが、醍醐味が味わえるので甘辛にし過ぎず、薄味に煮るのが良いと思いました。エイは長くおくとアンモニア臭がでる魚ですが、元は繊細な魚です。その他の調理法も楽しそうで色々トライしてみたくなります。

軟骨は関節痛などにも良く、コラーゲンもたっぷりで肌にも良いはず。そういえば三田のフレンチ、コートドールに「エイとキャベツ」という酸っぱい魅力的なお料理があります。

11/25

小松菜・江戸東京野菜

小松菜・江戸東京伝統野菜

小松菜の原産地は日本で、江戸時代から今も続く東京江戸川区の特産品です。カルシウム、ビタミン、鉄分、カロテン、食物繊維が豊富で、風邪予防、貧血予防の他、骨を丈夫にする作用があります。中医学では歯周病予防に良いとされていますよ。
小松菜のシンプルな食べ方をご紹介します。鍋に湯を沸かして塩を加え、茎の方から先に入れて茹で、冷水にとって冷まし、水気を絞ります。しょうゆを全体にかけて下味をつけ(地あらい)、再度ギュとしぼって食べやすく切って器に盛り付ける。この一手間でひと味もふた味も違う美味しさが生まれます、お好みでおろし生姜や鰹節を添えて下さい。
その他、栄養が逃げないとっておきの作り方をご紹介します。フライパンにザクザク切った小松菜を入れ、オリーブオイルと塩をパラリとふり、フタをして強火で蒸し炒めに。シンプルが美味しい。
小松菜はアクが少ないので生でも食せます。りんごやレモン、はちみつなどを加えてミキサーでジュースにしても栄養バランスよく、かつ美味しくいただけます。

11/24

柿・柿酢の作り方

フルーツビネガー・柿・柿酢・薬膳・発酵食・健康・かき

柿が美味しい季節ですね。レモンを絞って生ハムで巻くとワインのお供によく合います、柿は酒解毒効果があります。よく熟れた柿を見つけたらつぶしてフレッシュピュレにし、フルンとした杏仁豆腐にトッピングすると、見た目も麗しい薬膳デザートに。ビタミンCやカロテンが豊富な柿には風邪予防や美肌に効く効能がたっぷりです。咳や痰の痛みなどを抑える杏仁にも美肌効果があるので、合わせて相乗効果を上げます。

同じようによく熟れた柿や、しぶ柿などがあったら簡単に柿酢も作れます。柿の種類はなんでも大丈夫です、100%天然酵母の柿の香りや酸味は品がよく最上です。作り方です。ヘタを取り、軽く全体を拭いて(洗いません、酵母を落とし過ぎないようにします)気になるところがあれば削ります。清潔な瓶に入れ、皮ごとしっかり潰してフタの代わりにキッチンペーパーや布で覆い、ゴムなどで止めます。常温の涼しいと所に置いて、毎日下までしっかりかき混ぜます、4日くらいすると発酵し始めアルコール臭がしてきます。その内にドロリとし、一ヶ月ほどして酢のニュアンスが出ていたら濾します。途中プルンとした白く浮くものが出た時は産膜酵母で害はありません(白いものはスコーピー・紅茶キノコの元)酵母が優勢で立派な酢に育つ証拠です。反対に見た目、香り、味がどうしてもおかしい気がする、青や赤黒いカビなどが見える時は残念ながら腐敗の合図です、これは処分して下さい(またぜひ挑戦して下さい)。柿酢にはポリフエノールが豊富、血液をサラサラにします。その他、高血圧や老化防止など様々な健康効果が期待できます。