井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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シナモン・生薬・スパイス・冷え

冷え・食養生・スパイス ・spice・冷え・薬膳・漢方・シナモン・スパイス・肉桂

今日は東京でも雪予報、体を温めてお過ごし下さい。もしもキッチンにシナモンスティックやパウダーが眠っていたら、お茶やお料理に加えてみましょう。
シナモンはスリランカ、インド南部が原産地。日本でも国産のシナモンが温かい地方で栽培され、春に収穫されます。

シナモンに似ている薬膳の肉桂(桂枝)は根っこ部分、樹木のシナモンとは種類が違うのですが、薬効は似ています。冷えをとり五臓を活性化させるとされており、関節痛などの痛みや、血のめぐりの改善に欠かせない生薬(スパイス)です。活血するので目の下にクマができやすい、生理痛が気になる方にもお勧めです。

シナモンは、体を温める作用は生姜以上とされ、指先などの毛細血管まで温めるそう。体温が上ると免疫力も高まります。身体はなるだけ冷やさないように日頃から気をつけ、特に首、手首、足首、腰などに気を配ります。
香りが良いので、リラックスしたい時のお茶にも。シナモンと、胃腸に良い丁子(クローブ)、紅茶などの発酵茶適宜とブレンドティーに。
シナモンはアップルパイなどのお菓子に欠かせませんが、赤味噌とも好相性、味醂と伸ばしてポークソテーなどのソースにしても美味しいですよ。

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苺・いちごシロップ

井澤由美子・薬膳:漢方・喉の渇き・苺・いちご・イチゴ・肌養生・風邪予防

真っ赤なみずみずしい苺を見かけると食べたくなります。この時期は空気が乾燥しているので、喉や肌の渇きを感じやすい。苺は唾液の分泌をうながすので、口内の乾燥を和らげます。体の余分な熱をとって火照を沈め、その甘い香りでイライラした気分を落ち着かせる手伝いもします。

含まれるビタミンCは果物の中でもトップクラス、風邪予防にも最適。程よい酸味と甘みで疲労も回復します。乳製品との食べ合わせもお勧めです。牛乳と合わせればカルシウムの吸収をよくし、ヨーグルトと合わせると便通作用がさらに高まり、整腸作用で美肌効果やアレルギーなどにも効き目がありそうです。
日持ちのする苺シロップは簡単です。苺は必ず、洗ってからヘタを取りましょう。清潔な容器に苺を入れ、苺の量より少し多めの氷砂糖を後から被せるように加えます。変色しないように落としラップをかぶせてフタをします。水分が出てきたら玉にビンごとふる。お好みでりんご酢を足せば、さっぱりとした美しいストロベリービネガーになります。春は肝にダメージを受けやすい、酸味のある食べ物で食養生します。

 

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白菜・養生三宝

井澤由美子・シチュー・白菜・養生三宝・薬膳・畑仕事・冬野菜・ハクサイ

「白菜・大根・豆腐」は、養生三宝と言われるほど滋養がある野菜です。冬ならではの白菜はずっしりと重く、特に軸の甘味が美味しいですね。この軸の部分の旨味をグッと引き出したシチューは冬の醍醐味です。相性のよい白みそでこっくりとした味付けにし、葛でとろみをつけたシチューは体の芯から温まります。作り方は簡単です。白菜は軸と葉の部分に切り分け、それそれ食べやすい大きさに切り分けます。
フライパンにオリーブオイルとにんにく、鶏もも肉を入れ、塩、こしょうして炒め、肉の色が変わったら白菜の軸を透き通るまでじっくり炒めます。かぶるくらいの鳥ガラスープを加えてふたをして蒸し煮にします。しんなりしたら豆乳、白味噌、葛粉各適宜を混ぜたものを加え、まぜながらとろみをつけます。器に盛理、オリーブオイルや挽きこしょうをふっても。肌もキレイになる一皿です。
白菜は食物繊維がたっぷりで低カロリー、ビタミンCはりんごより多く、カリウムやカルシウムなどをバランスよく含みます。白菜の内側は柔らかいので
内側に向かってぜひサラダなどで食してみてください・

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酒粕・粕漬け・発酵食・食薬ごはん

酒粕。養生・酒粕漬け・粕ずけ・冬魚・養生・

脂がのったブリやタラ、サケなどの魚が出回っていますね。いつものように塩をふったり、照り焼きにしても美味ですが、酒粕や味噌に本みりんを混ぜた床に漬けると、魚の脂の旨味が溶け込んで、ご飯やお酒が止まらない美味しさになります。

酒粕やみそには、ビタミン、ミネラル、繊維、アミノ酸、乳酸菌などが多く含まれるので、生活習慣病予防や腸によい働きが期待できます。日本の伝統調味料は本当に良くできており、味を染み込ませるだけでなく、巧みに水分や臭みを抜き、旨味を凝縮させ、保存効果も兼ねるなど多様な効果があります。焼く時は、焦げやすいのでみそや酒床を拭います。コツは、強火でしっかり熱したグリルに入れたら温度を下げ、焦がし過ぎないように焼きます(特に厚さがある場合はほどほど焼いたら弱火に)。旬の柑橘類や大根おろしを添えていただくとすっきりといただけ、魚のコラーゲンを吸収しやすくするので、美肌効果も上がります。

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葱・下仁田ねぎ・葱白・食養生

葱・下仁田ねぎ・食養生・ネギ・薬膳・漢方

立春が過ぎ、梅の蕾もふっくらして来ましたが寒さが一番募る頃。

ねぎは風邪の特効薬。体を温め、寒気から体や喉を守ります。特に美味しい季節なので寒い日には沢山召しがって下さい。ねぎの白い部分は葱白(そうはく)という生薬でもあり、体を温める薬効が高く、咳や痰、喉や関節の痛みなどの症状にも効き目があります。炎症をおさえて痛みや熱を取りのぞく効果があるとされ、昔は焼いて喉に巻くなどの民間療法がありました。

ねぎは辛味のある野菜ですが、加熱調理をすると柔らかくなり、甘みが出て食べやすくなります。生姜やニンニク、唐辛子、山椒、シナモンなどを更にプラスすると効果が高まり、豚肉やラム肉と合わせると気力、体力を養います。

下仁田ねぎに、好きな食べ方があります。丸のまま魚焼きグリルで玉に返しながら全体が真っ黒になるまで焼く。外皮を剥くと、とろんと甘みの立つ白肌が顔を出します、シンプルですが、塩とオリーブオイルでいただくと最高ですよ。葱の辛味成分の硫化アリルは疲労を回復したり、血液サラサラ効果が期待できます。細切りにして短時間水にさらしてサラダやお刺身のツマなどにして楽しんで下さい。

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菜の花・菜花(なばな)

井澤由美子・食薬ごはん・薬膳・春野菜・貧血予防・抗酸化作用・菜の花・春野菜・菜花・風邪予防・免疫力

店先でチラホラ菜の花を見かけるようになりました。春の訪れを感じさせじる菜の花は、ほんのり苦みがある花野菜です。ビタミンC、カロテン、カルシウムが多いので風邪予防にもお勧めです。鉄分も豊富、貧血気味の方や、産後の肥立ちが悪い方にも良さそうです。

購入するときは、花が咲き過ぎていない、緑色が濃いものを選び、茎の部分を1cmほど切ってたっぷりの水に短時間、放してあげましょう。背伸びをするようにイキイキしてきますよ。水分をたっぷり吸収すると、火を通した時も熱伝導が良くなりシャキッと美味しく仕上がります。風味を楽しめるおひたしや辛子和えはおすすめ。さらにオリーブオイルやごま油等と合わせると、カロテンの吸収が良くなります。食べやすく切った菜の花をフライパンに入れ、塩とオイルをふって蒸し煮にすれば、手軽な上に栄養価も逃しません。

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立春搾り・立春・日本酒

井澤由美子・養生ごはん・美人・二十四節気・恵方巻き・節分・立春・海苔巻き・太巻き・食養生

豆まきをした翌朝の立春は、旧暦のお正月にあたる春の始まりとされる日。雪やみぞれが降ったりと一年でもっとも寒い頃ですが、庭の梅の蕾はふっくらし、早咲きの梅は既に満開です。寒さ厳しい中にも日射しものびて、春の訪れを感じるこの頃。

立春搾りを頂きました。この日本酒は、節分の夜からもろみを一晩中搾り続ける生原酒のことで、言葉の響きも美しくて素敵です。搾り上がりが2月4日と決まっているので、微妙な調整、完璧な管理が必要だそうです。また、搾り上がったらすぐに瓶詰め出荷をしなければならならず、蔵人さん始め、酒屋さんは夜中から徹夜での作業です。思いを馳せながら、古来は1年の始まりとも考えられた立春に、除災招福(じょさいしょうふく)を祈ります。適量の日本酒は、いただくと心が清々とします。アミノ酸が含まれているので肌を美しくし、血行の巡りも改善。胃を労るようにお水と一緒に楽しんで下さい、この水を和らぎ水(やわらぎみず)と呼びます。

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節分・恵方・大豆・二十四節気

炒り豆・乾燥大豆・大豆・節分・二十四節気

今日は2022年の節分。恵方は北北西でやや北の微北です。恵方とは歳徳神(としとくじん)と呼ばれる縁起の良い神様がいらっしゃる方向。今年は十干が壬(みずのえ)、十二支が虎なので千支は壬虎(みずのえとら)の方角で、これは毎年変わります。
節分とは季節の変わり目を指し、二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬の事。この4つの前日全てが節分ですが、その中でも一年の始まりの春の節目が重要視され、邪気を払う風習が中国から伝わり豆まきなどが行われるようになりました。

豆まきは、鬼は外(邪気を払い)、福は内(幸運を呼び込む)と声を立てて厄除けをする風習、鬼がやってくる夜に行います。大人ばかりの我が家では、心ばかりに楽しんだ後の福豆(豆まきの炒り大豆)を、食べやすくおこわにして福茶(福豆3粒・塩昆布・梅干し・お湯か好みのお茶)を添えて食卓を囲みます。米2合は洗って30分浸水させ、ザルに上げる。鍋に洗った米、酒大さじ2、粗塩小さじ1、米油少々を加えてひと混ぜし、昆布一切れ、餅一枚、豆まきの炒り大豆を半カップほど入れて普通の水分で炊きます。その他に、炒り大豆が少し余ったら糠床に入れて余分な水分を吸収させます。ふっくら戻った糠漬けの豆も美味しくいただけるので、一石二鳥です。五穀の一つである大豆は、畑のお肉と呼ばれるほどタンパク質が豊富。鬼を退治する他に、血液をサラサにし、体脂肪の減少、便秘改善、筋力をアップし、骨も丈夫にします。

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春菊・菊菜・風邪予防

春菊・菊菜・風邪予防・薬膳・食養生・ひじき

春菊が美味しい季節ですね。薬膳では漢方薬としても用いられるほど、薬効のある野菜です。野菜の中でもカロテン、ビタミンC、A、K、ミネラル、食物繊維が豊富で食べる風邪薬とも呼ばれています。

すき焼きや鍋などに春菊がよく入っていますが、その独特の香りと風味が胃をすっきりさせてくれる感覚を持ちます。実際に、胃腸の働きを促し、胃もたれを改善させる効果が期待できます。香成分のペリルアルデヒドは、イライラを鎮める作用もあります。その他に、のぼせなどを覚える、なかなか痰が切れない方にも良いそうです。

春菊の栄養を効率的に体に摂取できる簡単なサラダをご紹介します。フライパンに4cmに切った春菊の茎の部分を入れ、あればひじきやワカメ、好みで戻した干し椎茸などを入れます。オイルと塩を全体に適宜ふり、蒸し煮にしてボウルに移す。葉の部分とさっくりあえて、旬の柑橘をたっぷり絞ります。油を使うことでカロテンの吸収を良くし、硬い茎も食べやすくなります。水溶性の栄養は生食が一番、茎以外はそのままいただきます。

その他に、春菊のクルミ和えもお勧めです。春菊は硬い部分を落とし、熱湯で茎の方から塩茹でしてさっと冷水にとってザルに上げます。軽く絞って醤油適宜を全体にふり(醤油洗い)、ぎゅっと絞って3cm幅に切ります。半すりにしたクルミやごま、蜂蜜、醤油少々を混ぜたペーストと、醤油洗いした春菊を和えます。下ゆでした野菜を醤油洗いするとグンと美味しくなりますよ、和食の調理法です。美味しい上に美肌効果も上がり、便秘解消にも良い和え物です。ついでに、薬膳での胡桃はボケ防止に良いとされています、美肌にも有効なオメガ3などを含みます。

 

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苺・strawberry

井澤由美子・薬膳:漢方・喉の渇き・苺・いちご・イチゴ・肌養生・風邪予防

冬から出回りますが、春先は香り豊かで美味しいですね。いちごはビタミンCが豊富で肌養生や風邪予防にも良く、コラーゲンの生成にも役立ちます。いちごは喉の渇きを和らげ、体にこもった余分な熱を下げたい時にもお勧めの果物です。5粒程度食べると1日分のビタミンが得られるそうです。

できるだけヘタが緑でピンと張り、実に傷がないものを購入します。ヘタを落とすと切り口からビタミンCが流出するので、洗う時はヘタつきのままでさっと洗うようにしましょう。
毎年作るいちごのビネガーシロップは姪っ子達にも大人気。ミルクを加えると少し固まって、ヨーグルトのような食感になります。
いちごに含まれるアントシアニンは、乳製品の脂質と結び付くと吸収率が高まります。子供の頃にはお砂糖と牛乳が私の中でも名コンビでした、昔ながらの組み合わせには意味があるんですね。