井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

1/4

酒粕・甘酒・粕汁・発酵食

酒粕・紅麹・甘酒・発酵食・

寒さ厳しいこの季節にいただく粕汁は、体にしみ入るように美味しく感じますね。大人になってお酒をたしなむようになり、さらに好きになった発酵食の酒粕。今が旬の大根、かぶ、にんじん、サケやブリのアラなどとコトコト煮ると最高です。白味噌、山椒、おろし生姜を加えて一緒にグツグツ煮た粕汁は芯から温まり、この時期だからこそのこっくりした温もりのある旨さがあります。

蒸した米、米麹、水を発酵させて漉した液体が日本酒、そのしぼりかすが酒粕です(発酵が終わったもろみを絞ったものが酒粕ですが、アルコール度数もビールほどあります)。
酒粕には、アミノ酸、食物繊維、レジスタントプロテイン、ビタミン、酵母も豊富なので、非常に栄養価が高い発酵食品と言えます。私は「酒粕メンテナンス」と称し、毎週末に酒粕料理を食べてます。肌や腸が潤う実感があります。
今日は赤米で仕込まれた紅麹の酒粕が手に入ったので、きび砂糖を溶いて桃色の豆乳甘酒を作っておやつに。

1/1

元旦・お雑煮(おぞうに)・帰経(きけい)

FullSizeRender 2

2018年・明けまして御芽出度うございます。今年も発酵食と帰径(中医学・食したものの臓器との関係や身体への効能)を自分の勉強も含め、皆様に楽しくお伝えして参りたいと思います。今年は島根県邑南町の大変美味しい餅米で丸餅を作り、お雑煮にしました、井澤家では江戸っ子の父が毎年鶏ガラ・鰹節から出汁をとり、醤油とみりんですまし仕立てに仕上げます。紅白の大根と人参を下ゆでして最後にお餅と合わせますが、江戸雑煮なので小松菜やなると三つ葉などが入ることも。山や海の幸、お椀に盛り込んだお雑煮は土地の数だけ、家の数だけあると言われています。お雑煮(雑=臓)の餅の原料となる餅米は、疲れた臓器や身体を元気にするとも言われていますよ。今年も皆様にとって健やかで麗しい年になりますように。本年もどうそ宜しくお願い申し上げます。

11/27

こんにゃく・蒟蒻芋(こんにゃくいも)

サトイモ科の蒟蒻芋は中国から伝わりました。ゴツゴツした芋で、収穫されてからしばらく貯蔵されてから初めて調理工程に移ります。精進料理など日本でも古くから調理されており、僧侶の大切な栄養源でもありました。弾力のあるいつもの蒟蒻も美味しいのですが、水分の多い刺身蒟蒻はふるふるとして美味。手でちぎって醤油とおかかで炒めたものもオツ。
成分がグルコマンナン(食物繊維の一種)なので、糖尿病の方や便秘気味な方には特にオススメ。
薬膳では利尿作用があると言われていますよ。日常的にお料理に加えると良いですね。その他、腸のホウキの仲間として、ごぼう、ニラ、海藻などがありますが、これらのどれかと合わせると最強です。

11/24

anan 体内美容・美容・クライマック酢・ドライフルーツ昆布酢

securedownload-5

マガジンハウスのアンアン(anan)でも、ご紹介いただいているクライマック酢(ドラフルーツ昆布酢)は、NHK「きょうの料理」創刊60周年記念号11月号にも掲載。「きょうの料理」では約半年前には企画を練るので、11月発売にむけて色々なバージョンのクライマック酢を仕込み、夏頃の撮影に使用しました。1週間後から酢の角が取れ、美味しくなってきますが、ナチュラルな甘みがでるのは1か月以上たってから。
全体の調和がとれて熟成された旨味に変わって、自分でもあぁ美味しいなと実感します。出来上がるのが楽しみ。
もともと壺酢(壺熟成の酢)が好きで、全国の産地に足を運び好きな酢を求めて取材してきました。それぞれの酢に沢山の昆布や、効能や風味が違う生薬やドライフルーツ組み合わせて楽しんでいます。私は朝大さじ1〜2くらいのクライマック酢をいただくとカラダがしゃっきりし、ムクムクと元気になります。オイルと混ぜるだけのドレッシングでサラダをいただくのもおすすめです。

11/23

「昆布酢」「薬膳昆布酢」酢・vinegar・ダイエット

私たちの食卓の中心にはいつも「ごはん」があります。ただ、加齢と共に太りやすくなったり、体型を意識したりして、エネルギー源である炭水化物(ごはん)を抜いた経験はありませんか? 食べたら太る!! イメージ意識の強いごはんをダイエットに適したものに変えるポイントは「ごはんを冷えた状態でいただくこと」「内臓脂肪を軽減させる酢を加えること」。
冷めたご飯は消化のスピードが遅くなるため「難消化性澱粉」、食後の血糖値の上昇が緩やかになります。ご飯に酢を混ぜた酢飯はダイエットに最適と言うわけです。加えて酢と昆布を合わせると出来る、酢酸カルシウムという成分は骨粗しょう予防に、また昆布のフコイダンや食物繊維は免疫力を高めるので、これから辛い花粉症などの改善にも効果が期待できます。
本日発売の「昆布酢ごはんダイエット」(宝島社)では、難消化性でんぷんで太らない、相乗効果があって気軽に作れるレシピ60品をご紹介しています。

11/14

蟹・カニ・越前蟹・松葉蟹

カニ・蟹・松葉蟹・かに

美味しいカニの季節が到来。カニ食いの私にとっては待ちにまった本当に嬉しい季節。解禁になって、今シーズン初めていただいた蟹は、カニのお風呂(現地の浜ゆでの湯)で茹でられたずっしり重みのある立派なカニ。甲羅をパカリと割って、そのみそに付けて身をいただくそれはそれは見事に美味で、冷たい日本酒もスルスルと喉元を通りすぎて至福の時。いろんな事を頑張った自分へのご褒美は、大人ならではの醍醐味。
カニは低カロリー高タンパクでヘルシー。加熱すると赤くなるのはアスタキサンチンと言う色素で、強い抗酸化作用があり、体内で過剰に発生した活性酸素を除去する効能がある。
豊富なタウリンはアミノ酸の一種で、血中のコレステロールを抑え、肝機能を上げて眼精疲労にも効果が期待できます。缶詰めの場合は汁の部分にこれらの栄養分が溶け出していますので、捨てずに調理しましょう。美味しく栄養価も高いカニですが、カラダを冷やすので、いただく時はおろし生姜や酢をつける、カラダを冷やす柿や梨などと一緒には食べないなど考慮して楽しんで下さい。

11/10

黒砂糖(くろさとう)・冷え

今夜は寒さが増すそうですね。
薬膳での黒砂糖は体を温めて血を補うので、貧血の方や異常出血、月経痛、月経不調、冷えから来る下痢など、特に女性に効果的とされています。黒砂糖は砂糖キビのしぼり汁を加熱して水分を蒸発させたものです、ミネラルやビタミン類などがとても豊富ですよ。手軽な方法として発酵茶(紅茶など)に入れたり、なつめと煮詰めたものなどは更に体を温める事が期待できます。桂皮(シナモン系)や橘皮(きっぴ)・陳皮(ちんぴ・みかんの皮を干したもの)など、香りのよい身近にある生薬を加えると効果倍増です。

11/9

ホルモン・内臓(ないぞう)・モツ

ホルモンはコラーゲンが豊富。部位によって鉄分や亜鉛、ビタミンB2やB12など、様々な栄養があって、美容にも最適なんですよ。内臓肉は大人になってから好きになりました。お酒をのめるようになった事もきっと影響していますね。ハチの巣、ハツ、レバー、センマイ、血管部分などいろいろあります。
臭いの気になる部位は新鮮なものを何度も茹でこぼし時間をかけて臭みを抜くなど、手間を惜しまず下ごしらえします。
イタリアではホルモン専門の飲食店を「トリッペリア」と言い、マリネやフリット、煮込みなど、とっても美味しいのです。トリッパなど、普段店頭に並んでいないものでもお肉屋さんに一声かけてみる価値はありますよ。

10/26

小松菜(こまつな)・高血圧

薬膳で小松菜は、熱を伴うほてりなどの症状に良いとされています。胃の働きを促進する効果があります。ビタミンCやカルシウムも豊富で骨を丈夫にし、貧血予防に役立つ鉄分も多いのが特徴。血圧の下げる作用もあるカリウムを含むので、血圧の高い人にもお勧め。
また、漢方では歯や歯茎にとても有効な野菜とされています。歯周病が気になる方は積極的に口にしても。青汁にしたり、レモンやりんご、にんじんなどと合わせたジュースに、お料理に随時使用してみると良いでしょう。
食感の残る小松菜の煮浸しのご紹介です、小松菜半束(茎の部分に砂があるので水で浸して落とす)を4㎝幅に切って、茎の硬い部分からフライパンに入れる(じゃこ、ささみ、揚げげなど加えても)。ごま油小さじ2〜3、粗塩3つまみを回しかけフタをして中強火にかける。しんなりして色鮮やかになったら出来上がりです。下茹でしないので栄養が逃げません、煮汁もぜひいただいて下さいね。ごま油の効果でカロテンの吸収も良くなります。

10/14

当帰(とうき)・月経不順

女性にとって心強い生薬が当帰。当帰は芳香性の多年生で、11月頃に根を掘り、水で洗って天火干しした薬草です。その効能は血液の質を良くし、量も増やす優れもの。血行不良や貧血、めまい、動悸、月経不順、生理痛、顔色の悪さを改善しますよ。また血液の不足による頭痛や身体の痺れ、脇胸の痛みなどにも有効。血圧を下げ、鎮痛、腹痛、強壮薬としても使用されます。
晩秋に向けて寒さが増してきますね。頭寒足熱を意識し、足首、手首、首などを冷やさない様にすることも大事ですよ。