井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

7/23

山桃(やまもも)・楊梅(ようばい)

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裏庭にたくさんの実をつけたからと、お手製のやまももシロップと冷凍果実をいただきました。シロップの作り方は耐熱容器にやまももと砂糖を入れてレンジにかける。砂糖が溶けたら布で絞ってシロップにするのだそうです。ほ〜っレンジで?今度やってみようと思います。
ルビー色のきれいなシロツプはかき氷にかけて、実のシロップ漬けを飾ったらかわいらしいでしょうね。お店でこんな「やまもものかき氷」のメニューがあったらステキです。
やまももは美しく映えるのと酸味がさっぱりするので夏の和食にも使用します。辛子を入れた白味噌の酢味噌と混ぜて淡白なものと和えると美味しいなと思います。カリウム、ビタミンC、クエン酸、ポリフェノールがたっぷりです。やまももの花は高知の県花だそう

7/22

桃(もも)・peach(ピーチ)

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うっすらとした品の良い甘みとみずみずしさが特徴の桃。夏の野菜や果物は体を冷やす効能があるものが多い中、桃は特別で温性、胃腸が弱い方にも優しい。昔から日本でも葉はあせもに効く薬草とされ、種は血の巡りをよくする生薬として薬膳で使用されてきました。桃はデザートにはもちろんですが、繊細な冷たいパスタ、オリーブオイル、生ハム、シーフード、チーズ、ハーブ、スパイス類などと相性がよく、私はカルダモンを料理屋デザートに微かに効かせるのが好きです。スイカやパインなどにも合うカルダモンは、体温調節機能の働きを助けるので暑さや冷えから体を守る効果が期待できます。桃が硬い時は紙袋に入れていくと塾生が早まります、保存したい時はキッチンペーなどでひと巻きしておくと持ちがよくなります。

7/21

プルーン(西洋すもも)・鉄分

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その紫色にどうしても引き寄せられ、手にとってしまうプルーン(西洋すもも)。鉄分、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールが豊富で便通作用などをうながすなど、健康効果が高い果物で(生命の実)とも呼ばれています。皮をむくと黄金色で濃い色の紫とのコントラストもステキ、コンポートやジャムもいいですが、ぜひプルーンを入れた甘酸っぱい酢豚を作ってみてください(酢はコクのある黒酢やきび酢がおすすめ)。豚肉は少し厚切りにし、醤油とみりんで下味を漬けてから片栗粉をまぶして揚げ焼きする。たまねぎとシシトウなどのたっぷりの野菜と甘酸っぱいプルーンが入ったソースをジュっと肉にからめる、元気がでますよ。

7/19

もやし・スプラウト

もやしはエライですね。気兼ねなくたっぷり使えるのに、低カロリーでビタミンCも含み、食物繊維が豊富。和洋中どんな味付けにも難なく寄り添う万能野菜です。ひげ根と呼ばれる根の部分は繊維が豊富ですが、口当たりを気にするなら根本を折ります。水だけで栽培されるもやしは農薬などは使っていないので安心、さっと洗うだけの下処理で充分、栄養の損失も少なくなります。首尾よく短時間で、シャキシャキと調理できれば、脳に心地よい刺激を感じる一皿に。

スーパーで見かけるもやしは一般的な(緑豆もやし)と、(黒豆もやし)などの名前で販売されている細目のブラックマッペ、それから大豆を発芽させた大豆が付いている(豆もやし)があります。私は少し固めの黒豆もやしが好きで、ナムルや酢漬けを作って常備菜も作ります。その昔は薬草とされていたらしいもやし、この名は若芽がグングン出る意味の(萌ゆ)の名詞化で(萌え出る)こと、これが(萌やし)に変化したそうです。

7/16

お味噌汁

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たっぷりの野菜やたんぱく質が入った具沢山のお味噌汁は栄養価も高く、汁ものなので食べやすい。調理も簡単なので朝食におすすめです、胃を温めるので1日をスムーズにスタートする事ができます。味噌に含まれるイソフラボン、サポニン、出汁は老化防止に役立ち、肌をきれいにしますよ。
塩分が気になる方は濃いめの出汁にして味噌を少なくし、芋類、豆類、青菜、切り干し大根、海藻類などナトリウムを排出するミネラル分の多い食材を意識して加えます。
味噌の芳醇な香りを楽しみたい時は、具材を出汁で煮て、火を弱めてから溶き入れ、火を少し強めて沸騰直前に止めます。お味噌汁はガン細胞を抑制する効果も期待できるそう、頼もしいですね。
写真は旅先の伊豆でいただいた熱々のお味噌汁、二日酔いにも優しいのでした。

7/14

玉蜀黍(とうもろこし)・とうもろこしごはん

とうもろこしの炊き込みごはん、甘みがあって旬ならではの美味しさです、ポイントは包丁でこそげた生とうもろこしを使うこと。ごはんを洗い15分水に浸してザルに上げる。鍋か炊飯器に洗った米、同量より少なめの水、酒少々、とうもろこしをこそげた後の芯部分、粗塩3つまみ、昆布一切れを加えて普通に炊く。炊き上がり3〜5分前に、芯をとり除き、こそげたとうもろこしを加える(好みで最初から加えても)。炊き立ても美味しいですが、お弁当にも。暑くて水分をとりすぎた時など、胃が重くなることがありますが、とうもろこしは胃をスッキリとさせ、身体の余分なむくみをとります。ひげが茶色くなったもの、実の先が丸みがあるものを選びます。

7/11

まぐろ・醤油麹・発酵食

まぐろは血を増やし体力を向上させ、カラダを元気にさせる魚です。カラダを温める刻みねぎや生姜をたっぷり添えると相乗効果があります。
ペースト状にした手造り醤油麹に漬けて炊きたてのご飯といただくのもオツ、最後はお茶漬けにします。
ちなみにねぎとろは「ねぎ取る」が語源で、骨の周りに付いた身をスプーンでこそげる意味合いでした。ねぎが入っていたわけではなかったのですが、ねぎを入れると美味しいですね。

7/10

発酵食・酢・ビネガー

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酢は最古の発酵調味料と言われており、万葉集にも登場します。味噌、醤油と並ぶ日本の食文化を支えてきた伝統的な発酵調味料。いろいろな国でも、その土地に根付いたお酒から作られており、名前の由来も判りやすい、例えば日本の酢は酒から作られるので酒編で酢、フランスの vinegar(ビネガー)はvin(ワイン)からくるというように。やわらかな酸味の京都の千鳥酢、心やすらぐ甘い香りのオーガニックアップルビネガー、キリッとさせたい料理に使う岐阜の内堀さんの米酢やリンゴ酢、気分によっては赤酢やバルサミコ酢を日々料理やドリンクに使用しています。酢には血液をきれいにし血行をよくする効果や、内臓脂肪を燃焼させる、疲労を回復させるなどの効能が期待できます。スクランブルエッグやチョコレートケーキにひと垂らしすると、しっとり仕上がりますよ。私はカルシュウムも摂取できる昆布をいれ、ナチュラルな甘みの為にクコを入れた薬膳酢を作り置きして楽しんでいます

7/9

胡椒・ブラックペッパー・こしょう飯

インドが原産地のこしょうは中国から日本に渡り、古くから日本でも食べられきた辛味調味料。江戸時代には既に、うどんやごはんに使用されていました。食をそそる辛味と香りの(こしょう飯)は食欲が落ちるこの季節にピッタリ。ごはんに挽きたて、あるいは潰したてのこしょうをふり、お出汁をかけたものですが、冷や出汁にしてもよいものでサラサラと胃に収まる。冷やしあんかけにし、小椀に盛るとおもてなしの〆に最適。古漬けもの、梅干し、おろし生姜、刻み薬味などはお好みで添えても。
こしょうは胃腸の調子を整え、消化不良を促します。辛味成分が代謝を上げるので、脂肪が燃焼されやすくなります。
最近では生の塩漬けこしょうが手に入る様になり、料理の幅がますます広がりました。

7/8

ミニトマト・トマトリース・キッチン

ミニトマト・トマト。トマトのリース・夏野菜・手つくりキッチン・食養生

お砂糖をまぶしたような糖度の高いトマトを口にすると、ビックリすることありませんか?ギネスブックにのっているトマトは糖度が12〜18度もあるとか。通常のトマトが約7〜8度なので、果物のようなその甘さには驚きますね。トマトのリコピンには高い抗酸化作用があり、ガンや動脈硬化を予防し、美肌作りにも有効で、ミニトマトはピカイチ!夏野菜代表格ですから身体の熱をとり、喉の渇きもいやしますよ。トマトはビタミンCも豊富、コラーゲンと一緒に摂取すると体への吸収がよくなります。ミニトマトは育てやすく、ウチのベランダ菜園のミニトマトも元気に育っています。
雄大な畑で真っ赤に実味の濃いトマトを見るだけで元気になります。いろんな野菜を収穫し、リースを作るのもとても楽しい作業、キッチンも華やぎます。