井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

8/14

サマーオレンジ・スイカ・西瓜・食養生

サマーオレンジは、柑橘類のような名前ですが実はスイカです。北海道で出逢った感動した食材の一つ。口にしてみたらよくある黄色いスイカとは違い、何となくメロンのような甘さが有ります。舌触りもクリーミーで、いつものサクサクしたスイカとは様子が違いました。色はクリームイエローで、種も少ないのが特徴です。聞けば、生産方法も変わっていて、夕顔に接木して育てているのだとか。サマーオレンジは(夕陽色)の意味合いだそうで、農家さんは、目の前に広がる水平線に沈む夕日を毎日毎日眺めながら味見をするのが日課で、その様子を楽しそうに教えてくださいました。早々持ち帰って、スイカのクリームティーサンドを作って冷たいアイスティーと合わせました、眼にも舌にも楽しめる大人のオヤツになりました。

スイカはカリウムが豊富、利尿作用があります、赤いスイカはトマトと同じリコピン、黄色いスカイかはカロテンを含みます。シャリシャリと冷んやり冷えたスイカを食べると、糖分やミネラルを含むので体を潤していくのが判ります。塩をふって食べると甘さが引き立つだけではなく、スポーツドリンクと似た内容になります、熱中症対策にも最適ですね。

8/11

生マッコリ・乳酸菌

酵素も酵母も行きている生マッコリ。熱処理をされておらす、乳酸菌がとても豊富で腸内環境にも優しい韓国のお酒です。昔は農作業をしながら水がわりに飲まれていたそう。アミノ酸が多く麹も感じられます、疲労回復を手伝い美肌効果も上げますね、疲れやすい猛暑にピッタリのお酒です。発砲しているので、優しくふった後にフタを数回叩くとよいそうです。少しのとろみと爽やかな酸味が美味しく、ついつい杯が進みますが、アルコアール度数はビールより少し高めの6〜8度。ストレートがお薦めですが、キーンと冷えたビールで割ったり、飲むタイプのヨーグルトと割る、ジュースで割る、炭酸で割るなど楽しみ方は色々。ごま油で香ばしく焼けたチジミや、辛味の効いた韓国料理にはマッコリは欠かせません。長期保存ができる加熱処理されたものはマッコリ、非加熱のものが生マッコリとして販売されており、最近では国産の生マッコリも入所出来るようになりました。

8/10

牛肉(ぎゅうにく)・慢性疲労

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日々積み重なる疲労に暑くるしさが足され、体力がみるみる消耗して疲れやすくなるこの季節。内臓機能も低下して、脳が慢性疲労を感じやすくなってしまいます。病院にいってもこれといって悪いところはないのですが、疲れると気落ちもしてしまう。中医学ではこれを気虚(ききょ)と言い、漢方薬や食で養生し、身体の機能を回復させます。食材の中で特に「気」を補う食材は牛肉。必須アミノ酸が豊富な牛肉は、良質なタンパク質やミネラルで身体の機能を改善させ、筋骨を丈夫にします。生薬の黄耆(おうぎ)に匹敵できるくらい効能が高いそう。ニンニク、ショウガ、山芋、カロテンやビタミンの多い緑黄色野菜など元気になる効能が高い食材と、胃腸を整え消化を促進する発酵食と合わせて相乗効果を上げ、また来週頑張れる気力体力を復活させましょう。夏野菜は体の余分な熱を取ります、気虚には大豆製品もお薦め。

8/8

冬瓜(とうがん)

夏に収穫しても冬まで保存できる冬瓜、名前の由来です。ほとんどが水分で、低カロリー、カリウムが豊富なのでむくみやダイエットに効果的、瓜科夏野菜なので身体の余分な熱も冷まします。薬膳でも優れた生薬として昔から珍重されて来ました。皮を薄くむけばキレイな翡翠(ひすい)色が冴えます、ピーラーでも良いですね。海老そぼろなどと合わせるとコントラストが美しい。私はいつも大ぶりに切った冬瓜を下茹でし、たっぷりの出汁を含ませ、葛でとろみをつけて冷蔵庫で冷やしておきます。スープや椀もの、たんぱく質を加えるとボリュームも出て美味しいものです。台湾では冬瓜をザクザクと切って黒砂糖と生姜でゆっくり煮詰め、水やミルクで割る飲みのがあります、解熱作用がある筈ですが、生姜と黒糖で冷やし過ぎ防止の配慮がありますね。冬瓜を購入する時は少し小ぶりで、表面に白っぽい粉が吹いているものを選んで下さい。

8/4

エゴマ・えごま・荏胡麻

シソの葉に似ているエゴマはシソ科、エゴマ油は近年特に人気です。大変な作業に加え、デリケートな油なので値段は少々しますが、それだけ良い効能があります。豊富に含まれるオメガ3脂肪酸、aリノレン酸が体や脳、肌を健康に保ちます。上質なものを購入し、かけるあえるなどの調理法でシンプルにカラダに摂取しましょう。余談ですが、エゴマ油は乾性油なので防水性、油髪や番傘に使われていたとか。小さな丸い粒は香ばしく、ゴマのように色々な調理に使えます。乾煎りしてすり鉢ですって、和えごろもに加えたり、焼き物の表面につけてカリカリとしたコントラストをつけても美味しいもの。
エゴマが採取される産地では、昔から郷土料理や民間療法などにも多様されて来ました。
葉は醤油漬けにしたり、キムチにして炊きたてのごはんにくるりと包んでほうばると最高ですね。

8/4

蓮の実(はすのみ)・蓮子(れんし)・蓮肉(れんにく)

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キッチンにいらした方に、この瓶に入った丸いものはなんですか?と、よく問われます。レンコンの地上に咲いたハスの花の実ですとお答えします。はすの実は生でも食べられますが、日本ではだいたい乾燥したものが多い。薬膳ではイライラを抑えて精神を安定させ、安眠できる生薬とされています。ハスが国花のベトナムではお馴染みです、お茶やスープ、お菓子、甘納豆に入っています。台湾、中国ではちまきや月餅などに。私はよくお肉と合わせて煮こみ、じゃがいもやお豆の代わりにします。
インドから伝わったハスは仏教とのつながりも深く、お釈迦さまの台座にもなっていますね。子供の頃からなぜか好きだった蓮の花が美しく咲き誇る8月。その神秘的な美しい花をみるだけでも、心に静けさが満ちてきます。

8/2

与論島・オクラ・島オクラ

オクラ・おくら・夏野菜・井澤由美子・料理家・発酵食・健康ごはん

与論島の農家のお母さんに、オクラは生で刻んで食すときいて、試してみました楽しい食感です。一般に関東に出回るオクラより沖縄、鹿児島にこの時期出回るおくらは産毛がすくなく、大きいのに柔らかいので生食にも向いているようです。丸もあるし、5角形の5各種もあって赤オクラも収穫できるそう。オクラは塩で少しもんで、熱茹でパンっと張るくらい(中の種がでないくらい)まで茹でると、強い粘りと甘みが引き出されてものすごく美味しい。塩茹でしただけのシンプル調理ですが、島の粗塩とおろした生姜や山葵(これは持参)で堪能、オクラばかり食べていました。オクラはカロテンやビタミン、食物繊維を多く含み、疲労回復効果が高い野菜なので、夏バテ予防にも良いですね。炭火やグリルで(茹でずに)焼いても美味しい。そういえば、島根県の道の駅で買った黄色いオクラの花を酢の物にし、角寿司を作った事を想い出しました、花にも粘りがありますよ。

8/1

茄子(なす)・eggplant

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茄子に含まれるナスニンの色素はポリフェノールの一種で抗がん作用や、体の余分な熱をとる効果が期待できます。ナスのヘタをカラカラに陰干して真っ黒に蒸し焼きにし、粉末にしたものは歯茎の腫れや歯槽膿漏に良いとされる民間療法、ペーストになって市販もされていますね。お料理としては、油との相性が非常によいので、素揚げしてめんつゆで煮浸にし、冷やしておろし生姜を添えます。ホロリと柔らかく冷たナスは格別。炒め物は塩もみしてから調理すると少ない油でも火の通りがよくなります。焼きなすは香ばしい香りと、ふんわりした口当たりが身上、人数が多い時の焼きなすの作り方です。皮をむいて1本ずつラップでくるみレンジに2分ほどかけます。後は熱した魚焼きグリルで、全体に焦げ目がつくまでゆっくり焼けば、とろりと美味しい焼きなすを皆さん揃っていただけます。

7/31

グリーンカレー・レモングラス

グリーンカレー・食養生・薬膳

暑くなってくると食べたくなるカレー。グリンカレーのペーストは、そのまま加えるより油で炒めて香りをだしてから水とココナッツクリームを入れて煮ると美味しくなります。短時間で作れるのも魅力的、冷蔵庫にある材料を適当に放り込んで煮汁が濃厚になるように半量近くまで煮詰めるだけです。今回はパウダータイプのココナッツを水で溶かしたもの、ベランダ菜園の青唐辛子、ナス、レモングラスと鶏ひき肉、マッシュルーム、厚揚げを入れました、後はナンプラーや醤油、きび砂糖でごはんに合いそうな味に整えるだけ。レモングラスの香りのシトラールはリフレッシュ効果が高いだけでなく、天然の抗菌剤と言われるほど抗菌作用が高いそう。疲労時にも効果的、香り成分で気の巡りがよくなります。

7/30

冷やし甘酒(あまざけ)・小健中湯(しょうけんちゅうとう)・薬膳

発酵食の甘酒は飲む点滴と言われるほど栄養価が高いので、江戸時代には夏バテ防止の栄養ドリンクとしてとても人気でした。冷やし甘酒は夏の季語にもなっていますね。お米のデンプンを麹が食べて分解し甘くなり、ブドウ糖とビタミンが豊富に含まれるので滋養強壮に効くのです。疲れて甘いものが欲しい時に旬の果物や柑橘と合わせて甘酒をいただきますが、美肌効果も期待できます。冷房で冷えすぎてしまった時はおろし生姜を加えるなどして体調に合わせると飲みやすくもなり、確かに元気が出るようです。
中医学での古代栄養ドリンクもありました、方剤学からみても温中補虚、脾胃虚弱によい小健中湯です。芍薬、桂枝、炙甘草、生姜、大棗、飴糖(麦芽を糖化させた水あめ状のもの)の6つの生薬から成り立ちますが、飴糖が君薬でこちらも美味しそうです。