井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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冬瓜(とうがん)

夏に収穫しても冬まで保存できる冬瓜、名前の由来です。ほとんどが水分で、低カロリー、カリウムが豊富なのでむくみやダイエットに効果的、瓜科夏野菜なので身体の余分な熱も冷まします。薬膳でも優れた生薬として昔から珍重されて来ました。皮を薄くむけばキレイな翡翠(ひすい)色が冴えます、ピーラーでも良いですね。海老そぼろなどと合わせるとコントラストが美しい。私はいつも大ぶりに切った冬瓜を下茹でし、たっぷりの出汁を含ませ、葛でとろみをつけて冷蔵庫で冷やしておきます。スープや椀もの、たんぱく質を加えるとボリュームも出て美味しいものです。台湾では冬瓜をザクザクと切って黒砂糖と生姜でゆっくり煮詰め、水やミルクで割る飲みのがあります、解熱作用がある筈ですが、生姜と黒糖で冷やし過ぎ防止の配慮がありますね。冬瓜を購入する時は少し小ぶりで、表面に白っぽい粉が吹いているものを選んで下さい。

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エゴマ・えごま・荏胡麻

シソの葉に似ているエゴマはシソ科、エゴマ油は近年特に人気です。大変な作業に加え、デリケートな油なので値段は少々しますが、それだけ良い効能があります。豊富に含まれるオメガ3脂肪酸、aリノレン酸が体や脳、肌を健康に保ちます。上質なものを購入し、かけるあえるなどの調理法でシンプルにカラダに摂取しましょう。余談ですが、エゴマ油は乾性油なので防水性、油髪や番傘に使われていたとか。小さな丸い粒は香ばしく、ゴマのように色々な調理に使えます。乾煎りしてすり鉢ですって、和えごろもに加えたり、焼き物の表面につけてカリカリとしたコントラストをつけても美味しいもの。
エゴマが採取される産地では、昔から郷土料理や民間療法などにも多様されて来ました。
葉は醤油漬けにしたり、キムチにして炊きたてのごはんにくるりと包んでほうばると最高ですね。

8/4

蓮の実(はすのみ)・蓮子(れんし)・蓮肉(れんにく)

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キッチンにいらした方に、この瓶に入った丸いものはなんですか?と、よく問われます。レンコンの地上に咲いたハスの花の実ですとお答えします。はすの実は生でも食べられますが、日本ではだいたい乾燥したものが多い。薬膳ではイライラを抑えて精神を安定させ、安眠できる生薬とされています。ハスが国花のベトナムではお馴染みです、お茶やスープ、お菓子、甘納豆に入っています。台湾、中国ではちまきや月餅などに。私はよくお肉と合わせて煮こみ、じゃがいもやお豆の代わりにします。
インドから伝わったハスは仏教とのつながりも深く、お釈迦さまの台座にもなっていますね。子供の頃からなぜか好きだった蓮の花が美しく咲き誇る8月。その神秘的な美しい花をみるだけでも、心に静けさが満ちてきます。

8/2

与論島・オクラ・島オクラ

オクラ・おくら・夏野菜・井澤由美子・料理家・発酵食・健康ごはん

与論島の農家のお母さんに、オクラは生で刻んで食すときいて、試してみました楽しい食感です。一般に関東に出回るオクラより沖縄、鹿児島にこの時期出回るおくらは産毛がすくなく、大きいのに柔らかいので生食にも向いているようです。丸もあるし、5角形の5各種もあって赤オクラも収穫できるそう。オクラは塩で少しもんで、熱茹でパンっと張るくらい(中の種がでないくらい)まで茹でると、強い粘りと甘みが引き出されてものすごく美味しい。塩茹でしただけのシンプル調理ですが、島の粗塩とおろした生姜や山葵(これは持参)で堪能、オクラばかり食べていました。オクラはカロテンやビタミン、食物繊維を多く含み、疲労回復効果が高い野菜なので、夏バテ予防にも良いですね。炭火やグリルで(茹でずに)焼いても美味しい。そういえば、島根県の道の駅で買った黄色いオクラの花を酢の物にし、角寿司を作った事を想い出しました、花にも粘りがありますよ。

8/1

茄子(なす)・eggplant

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茄子に含まれるナスニンの色素はポリフェノールの一種で抗がん作用や、体の余分な熱をとる効果が期待できます。ナスのヘタをカラカラに陰干して真っ黒に蒸し焼きにし、粉末にしたものは歯茎の腫れや歯槽膿漏に良いとされる民間療法、ペーストになって市販もされていますね。お料理としては、油との相性が非常によいので、素揚げしてめんつゆで煮浸にし、冷やしておろし生姜を添えます。ホロリと柔らかく冷たナスは格別。炒め物は塩もみしてから調理すると少ない油でも火の通りがよくなります。焼きなすは香ばしい香りと、ふんわりした口当たりが身上、人数が多い時の焼きなすの作り方です。皮をむいて1本ずつラップでくるみレンジに2分ほどかけます。後は熱した魚焼きグリルで、全体に焦げ目がつくまでゆっくり焼けば、とろりと美味しい焼きなすを皆さん揃っていただけます。

7/31

グリーンカレー・レモングラス

グリーンカレー・食養生・薬膳

暑くなってくると食べたくなるカレー。グリンカレーのペーストは、そのまま加えるより油で炒めて香りをだしてから水とココナッツクリームを入れて煮ると美味しくなります。短時間で作れるのも魅力的、冷蔵庫にある材料を適当に放り込んで煮汁が濃厚になるように半量近くまで煮詰めるだけです。今回はパウダータイプのココナッツを水で溶かしたもの、ベランダ菜園の青唐辛子、ナス、レモングラスと鶏ひき肉、マッシュルーム、厚揚げを入れました、後はナンプラーや醤油、きび砂糖でごはんに合いそうな味に整えるだけ。レモングラスの香りのシトラールはリフレッシュ効果が高いだけでなく、天然の抗菌剤と言われるほど抗菌作用が高いそう。疲労時にも効果的、香り成分で気の巡りがよくなります。

7/30

冷やし甘酒(あまざけ)・小健中湯(しょうけんちゅうとう)・薬膳

発酵食の甘酒は飲む点滴と言われるほど栄養価が高いので、江戸時代には夏バテ防止の栄養ドリンクとしてとても人気でした。冷やし甘酒は夏の季語にもなっていますね。お米のデンプンを麹が食べて分解し甘くなり、ブドウ糖とビタミンが豊富に含まれるので滋養強壮に効くのです。疲れて甘いものが欲しい時に旬の果物や柑橘と合わせて甘酒をいただきますが、美肌効果も期待できます。冷房で冷えすぎてしまった時はおろし生姜を加えるなどして体調に合わせると飲みやすくもなり、確かに元気が出るようです。
中医学での古代栄養ドリンクもありました、方剤学からみても温中補虚、脾胃虚弱によい小健中湯です。芍薬、桂枝、炙甘草、生姜、大棗、飴糖(麦芽を糖化させた水あめ状のもの)の6つの生薬から成り立ちますが、飴糖が君薬でこちらも美味しそうです。

7/29

桃(もも)・桃仁(とうにん)

「仙人の果物」とも呼ばれる桃。みずみずしく香りよく、見るからに美味しそうな桃が出回っていますね。冷やした完熟桃の薄皮をむいてかぶりつくのが一番美味しいと思っていましたが、桃の里ではかたいけれども完熟している桃を皮ごと食べるそう、ちなみに一番甘い部分は果実の下方です。
コンポートを作る時は湯むきしてシロップでやさしく煮ますが、カルダモンを香る程度に一粒加えてみて下さい、相性がよくエレガントな風味になります。
桃仁とは桃の種「かたい殻の中の種子」のことで、日干しさせた生薬。血行障害で起こる無月経、月経痛に効能があるとされ、血の巡りをよくする血薬として用います、コロコロとした乾燥便秘にも効果的だそう。乾燥させた葉は、あせもなどに良いとされ昔から浴剤(桃湯)が親しまれています。果実にはペクチンやビタミンCも豊富です。「桃の節句」は女の子の節句、女性特有の症状にもよく効くようです

7/28

ココナッツオイル

ふんわりした甘い香りのココナッツオイルはフィリピンやタイなどが主な原産地。ヴァージンココナッツオイルは体内で素早く消化吸収されるのですが、エネルギー源となり体脂肪になりにくくダイエットにも期待出来ると言われるオイルです。免疫力を作る抗酸化作用も高いので風邪予防、エイジングケアなどにも有効です。バナナとも相性がよいですし、アボガトと海老、にんにくを入れたアヒージョをココナッツオイルで煮るとステキなマリアージュになります。料理や飲み物に入れる以外にも美容効果が高いので、肌やヘアケアにもお勧めです

7/27

マキベリー・スーパーフード

スーパーフルーツ・マキベリー、外見はブルベリーに似ています。ポリフェノールがアサイーより多く、アントシアニンがとても豊富、抗酸化作用が高くビタミンCも多く含むので美容やエイジングケアなどにその効果を発揮します。ヨーグルト、スムージー、ソースやドレッシング、ピクルス、マフイン、パンケーキなどのお菓子等にも。空気がとてもクリーンな地域のパタゴニアのみでとれる自制果実の野生種。地元では濃紫色を染料として使用し、実と葉を薬として下痢止めや解熱剤などとして民間薬にされてきたそう、「聖なる木」と呼ばれ大切にされています。