井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

8/20

葡萄・ぶどう・ブドウ

葡萄・ぶどう・ブドウ・眼精疲労・貧血・井澤由美子

スーパーに行くと、桃やプラム、スイカも有りますが梨や葡萄を見かけるようになりました。残暑の中、秋の気配を感じます。
葡萄は、世界中でみると約80%の生産量がワイン原料。日本で栽培される葡萄は、約90%が食用です。ざっくり大きく分けると黒、赤、緑の3種で、形や大きさ、色など様々です。
最近では種無しで皮ごと食べられる葡萄の品種改良が年々進んでとても人気です。葡萄の皮には栄養があり、強い甘みは皮と実の間にあるので丸ごと口に出来るのは嬉しい限りですね。よく洗って冷やした葡萄のみずみずしさはパソコン作業の合間のおやつにもピッタリ、疲労を回復します。
薬膳では、赤い皮の葡萄に貧血改善の効果があると言われていますよ。ポリフェノールの一種、アントシアニンには活性酵素を除去し、眼精疲労を改善するなど様々な効能が期待できます。

8/18

ウニ・うに・雲丹・天売島・北海道・旅

うに・ウニ・雲丹・天売島・北海道

お鮨屋さんに行くと必ず食べたいウニ。
ウニの種類はムラサキウニ、アカウニ、バフンウニなどがあり、約2500年前から食べられているそうです。葉酸がたっぷりで鉄分も豊富、肌も潤す効果が期待できます。
ある年に旅した北海道の手売島。着いた早々、まずはとりたてのウニ丼をいただきました。夜は、殻から贅沢にスプーンですくっていただく。みっちり詰まっているウニは美しいオレンジ色です。このコクのある甘い生ウニをいただいた後は、宿のお父さん(栄丸の漁師さん)おすすめの焼きウニ。合わせるのは、炭火の上のツブ貝に日本酒を入れた熱燗。貝を食べた後に入れるので、出汁がほんのりときいて悪友とニヤニヤが止まりませんでした。
天売島は珍しい鳥たちが多く住み、緑豊かなそれは美しい島。アニメのラピュタのような草花が風に揺れ、コバルトブルーの透き通った海が眼に焼きついています。もしも行かれたら、ぜひサイクリングで島を楽しんでください。
ウニの話に戻りますが、好きな食べ方があります。おろしたての山葵と醤油を混ぜ、ウニの粒をつぶし過ぎないように混ぜる。これを、炊きたてのもち米にのせると、もっちりとしたご飯とねっとりした雲丹がよく絡んで美味この上ない。蕎麦つゆに鶉の卵と山葵、海苔とたっぷりの雲丹で溶いた「ウニツユ」でいただく冷たい蕎麦も、夏の大人の醍醐味なのです。

8/16

谷中生姜・しょうが・葉付き生姜

食養生・体温め・井澤由美子・中医学・料理教室・生姜・葉生姜・新生姜・旬野菜

北海道の生姜畑にお邪魔したことがあります。葉付き生姜の葉を土から抜く時、辛みを含むいい香りがパーンと下から立ち昇ってきます。
葉付き生姜は、若い芽を葉ごと収穫したもので、関東でよく聞く谷中生姜は東京の台東区で多く作られていたものです。地名が由来で、もともとは愛知県三洲で栽培された品種です。
生姜には気の巡りを良くし、消化促進、発汗作用があります。そのまま味噌をつけて食べたり、甘酢漬けにして保存したり、天婦羅などに調理されます。スッキリとした辛味と柔らかさが、肉巻きなどにも最適です。
暑い季節にお勧めのふりかけのご紹介です。葉生姜を細かく刻んで、ごま、一味唐辛子、焼いた塩鮭をほぐして混ぜて常備菜に。鮭がさっぱりして、殺菌効果も高くなるので、お弁当やおにぎりにお勧めです。

8/13

豆味噌・八丁味噌・みそ

今日は豆みそのお話です。出張などで名古屋に行くと、コクのある重めの赤黒いみそでコシの強い煮込みうどん(山本煮込み)や、甘めの煮込み料理(土手煮込み)をいただくこのですが、これが楽しみ。おでんなども真っ黒で見ているだけで楽しくなります。
豆みそは他のみそと違い、煮込むほど美味しくなります。どっしりとしたこのみそは、蒸した大豆をみそ玉にして発酵熟成させたもので、水分が抜けて色が濃くなっています。愛知県、三重県、岐阜県の東海地方の三つの県で主に作られており、三河地方沿岸の吉良の塩と、矢作大豆が手に入りやすかった事と、風土の影響で独特の作り方が生まれて豆みそが作られるようになりました。名物のみそカツやこんにゃくおでんの甘だれは、三河味醂やザラメ・八丁みそで調理されています。かすかな苦味と酸味が感じられるのも特徴。暑いこの季節には、特に美味しく感じられるので辛子をチョンとのせた夏野菜たっぷのお味噌汁が朝ごはんの定番です。
皮膚の再生力も高い豆みそ、酢とメープルシロップでなめらかに伸ばしてタレに。茗荷や紫蘇、ごまなどの薬味と冷たいそうめんや中華麺をいただくのもお勧めです。

8/10

きゅうり・胡瓜・糠漬け

食養生・井澤由美子・まいにち食薬養生帖・糠漬け・胡瓜・きゅうり・キュウリ・食養生・薬膳・夏野菜

昨日花が咲いたと思ったら、直ぐに大きくなっている胡瓜。成分は約80%以上が水分、カロリーが低く、夏にふさわしい薬効を持っています。身体の予防な熱を冷まし、喉の渇きを止め、利尿作用が高い。鎮静作用や美白効果もあるので、日焼けや火傷などの時に、きゅうりでパックをしてほてりを鎮める民間療法も伝わっていますね。
この時期の胡瓜でせっせと作るのは、まずはぬか漬け。2日半漬けてから水で洗って横半分に切り、冷蔵庫で冷やして置く。ポリポリとかじると適度な塩気と酸味で疲れがスッと抜けて行きます。
長野県の農家のおばあちゃんに教わったポリパリ食感のきゅうり漬けは、醤油、酢、みりんか砂糖、赤唐辛子を火にかけて漬け汁を作ってきゅうりを入れて煮るのですが、食感も美味しさのひとつです。
長野県での漬物は、お茶請けに登場させるもの、もちろんごはんのお供やお酒のアテにも最適で、暑い日には特に美味しく感じます。もしも詳しい作り方がお知りになりたい方は「体がよろこぶお漬け物」に掲載していますので、宜しかったらご覧ください。

8/9

糠漬け・ぬか漬け・乳酸菌・発酵食・漬物

ぬか漬け・発酵食・冷やしスープ・夏野菜・ギャバ・漬物・糠漬け

立秋を過ぎましたが、まだまだ残暑が残ります。疲労を感じやすいこんな時こそ、ぬか漬けがお勧め。
汗をかくので、ぬか漬けの塩分が美味しく感じます。酸味も心地よく、よく冷えた茗荷やキュウリの漬物などは格別ですね。
腸内の免疫力(体の6、7割は腸が作る)をupする食材として日本の伝統食のぬか漬けは素晴らしく、胃酸にも強いと言われている植物性乳酸菌がたっぷり。
含まれるギャバには脳の興奮を抑える効果が期待でき、夕食時にいただくと安眠出来ると言われています。ギャバは発芽玄米、納豆、トマト、きのこなどにも多く含まれています、合わせて相乗効果を担ってもよいですね。
発酵が進んで塩気や酸味が出た漬物は、旨味も増しています。冷たい昆布だしと調味料少々で味を足して整えると、涼を呼ぶ美味しい汁物になり、元気が回復します。
腸内の健康状態は体の軸です。ヒポクラテス(古代ギリシャの医師)も「すべての病気は腸から始まる」と言っています。アトピーや湿疹などのアレルギー、自己免疫力、感染症、うつ、認知症にも関連すると言われる腸、第2の脳とも言われる所以です。

8/6

賀茂なす・ナス・茄子

京野菜・茄子・ナス・なす・賀茂茄子・炭火焼・

丸い大型でずっしりと重みのある賀茂なす。京の伝統野菜の一つで栽培にとても手間がかかります。別名は大芹川といって、主産地が芹川だったことが由来だそう。旬は6月中旬〜8月中旬です今が一番美味しい時ですね。京都では味噌田楽・しぎ焼きなどにされることが多いですね。水分がたっぷりの新鮮賀茂なすが手に入ったので、ちょっと贅沢に炭火を起こして、全体が真っ黒になるまで20分ほどかけて焼いてみました。切ってみると中はふんわりと、蒸し焼き状態。トロンと焼けておいしいこと、夢中で口にしました。
油との相性も良く、片栗粉を薄くまぶしてさっと揚げても美味、色も美しい。ステーキ風に肉厚に切って、シンプルに焼くと、賀茂茄子ならではの食べ応えと共に、クリーミーでトロリとした舌触りを堪能できます。
ナスに含まれるナスニンはポリフェノールの一種で抗酸化力は高く、色素のアントシアニンは活性酵素を抑えたり、眼精疲労にも良いようです。

8/5

葉生姜・新生姜・生姜つくねの作り方

食養生・体温め・井澤由美子・中医学・料理教室・生姜・葉生姜・新生姜・旬野菜

『葉しょうが』は柔らかく筋が無いのにシャキシャキとした食感が魅力的です。旬は6月から8月頃まで。みずみずしく清涼感のある爽やかな香りが際立って、辛味が何とも心地良い野菜です。含まれる辛味成分は食欲増進効果があり、生魚肉の解毒作用、胃もたれ時などにも。
旬の葉生姜は柔らかいので、そのまま味噌やマヨネーズで食したり、美しい色合いを生かした甘酢漬けなどにし、保存すると重宝します。
お勧めの鶏つくねは、消化を促進する生姜成分が肉の油っこさや臭みを断ち切り、肉の脂で辛味がやわらいで食べやすい。焼き鳥屋さんに期間限定であったらつい頼んでしまうような大人つくねです。料理番組でも作ったことのあるメニュー、この時期にぴったりなのでレシピをご紹介します

●葉生姜つくね
 材料(約10本分)
鶏ひき肉     200〜250g
卵        1個
おろし玉葱    大さじ2
塩、胡椒     各少々
タレ(醤油・酒・水各大さじ1・みりん大さじ2)
ごま油      小さじ2
作り方
1、葉生姜の葉をフライパンに入る長さに切り、3本を手で折って離しておく。
2、ボウルにひき肉と塩を入れてよく混ぜる。水気をきったおろし玉ねぎ大さじ2、卵白1個分を入れてよく混ぜる。1の葉生姜の先端4、5cmにひき肉をそれぞれ巻きつける。
3、フライパンにごま油をしき、全体に焦げ目をつけるように焼く。フタをして火が通るまで2分ほど蒸し煮にし、Aを鍋肌から加えてからめる。
器に盛って残った卵黄を添える

8/4

ゴーヤ・苦瓜・ツルレイシ・美肌

ゴーヤ・苦瓜・夏野菜・ツルレイシ・美肌

沖縄の代表野菜は、ほとんどが薬膳。夏ならば、暑さに負けないように体の余分な熱をとる、ビタミンCやカロテンが豊富、利水効果があるなど。中でもゴーヤは特に上半身の熱を下に降ろし、クールダウンさせる効能があります。頭がすっきりして、イライラ、ゆうつの改善によく、ビタミンCが豊富なので日焼けや風邪予防にも良いですね。
お隣の鹿児島県与論島の農家のおばぁは、種とワタを水でクツクツ煮て、お茶にしていました。ビタミンやカリウムなどが含まれるので薬効がありそうです。ワタはお味噌汁に入れたり、天ぷらにもするそうで、捨てるところはありません。
ゴーヤは薄切りにして塩もみし、ざっと水で洗って絞り常備しておくとお料理に展開しやすく便利です。酢の物や和え物にもよいですし、ゴーヤのビタミンCは加熱しても損失が少なく、油との相性もいい。豚肉などタンパク質と一緒に摂取すると、元気になれるだけでなくコラーゲンの生成を助け、美肌効果が高まります。

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ゴーヤ・苦瓜・ツルレイシ・美肌

沖縄の代表野菜は、ほとんどが薬膳。夏ならば、暑さに負けないように体の余分な熱をとったり、ビタミンCやカロテンが豊富、利水効果があるなど。中でもゴーヤは特に上半身の熱を下に降ろし、クールダウンさせる効能があります。頭がすっきりして、イライラ、ゆうつの改善によく、ビタミンCが豊富なので日焼けや風邪予防にも良いですね。
お隣の鹿児島県与論島の農家のおばぁは、種とワタを水でクツクツ煮て、お茶にしていました。ビタミンやカリウムなどが含まれるので薬効がありそうです。ワタはお味噌汁に入れたり、天ぷらにもするそうで、捨てるところはありません。
ゴーヤは薄切りにして塩もみし、ざっと水で洗って絞り常備しておくとお料理に展開しやすく便利です。酢の物や和え物にもよいですし、ゴーヤのビタミンCは加熱しても損失が少なく、油との相性もいい。豚肉などタンパク質と一緒に摂取すると、元気になれるだけでなくコラーゲンの生成を助け、美肌効果が高まります。