井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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ごま油・セサミオイル

ごま油のふくよかで香ばしい香りと風味が好きです。自宅でも現場でも、登場率が最も高いごま油、種類も豊富に揃えています。主成分は不飽和脂肪酸のリノール酸とオレイン酸。生活習慣病の血中コレストロールや中性脂肪を軽減させる作用があります。お豆腐にかけるだけでもぐっと風味がたちますが、揚げ物の油に少し加えると食をそそる香ばしさが加わるだけでなく、酸化しにくくなるなどのメリットがあります。納豆に入れると美味しいのは勿論、ビタミンK2の吸収率が高まります。餃子や焼き物、煮物の仕上げに少し使うとツヤや風味が仕上がります。サラリとした白いごま油は生搾りなので、繊細な料理に使いやすく、素材の味を邪魔しないのでおかし作りにも使用されることも。エイジングケアにも効能が期待できる黒ごま油は、焙煎しているので香りが強く香ばしい。低音で焙煎しているものは薄茶、高温で焙煎しているものは濃い茶色をしています。

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鮑・アワビ

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国産のアワビは主に4種有ります。クロアワビ・エゾアワビ・アカアワビ(メガイアワビ)・マダカアワビ、穴が多く小さめのもはトコブシです(エゾアワビは北で獲れ、旬は冬)。今が旬の大きく柔いマダカアワビは、遠浅だが岩場が入り組んでいる浜の千葉県産のものが多い。やわかで、甘みがあるので蒸したり焼いたりしても美味、地元の子供達はバター焼きで食べるそう贅沢ですね。アワビは滋養強壮や老化防止によく、皇帝の食べ物としても珍重されてきました。茹でて干された干しアワビは値が張りますが、旨味や食感が値段に比例します。
アワビの外し方ですが、塩をこすりつけて流水で流しながらタワシでこすり洗いする。アワビの口に塩を多めにのせて3分ほど立てかけておくと外しやすくなります。殻の低い方から貝殻に沿って、貝柱を離すようにスプーンやナイフを入れて外します。肝を傷つけないようにし、ヒダと固い口を除き、汚れやぬめりがあれば中身もタワシでこすります。耐熱容器にたっぷりの酒と大根の切れ端を入れて蒸し器にかけるとやわらか、厚めに切って山葵をつけていただきます。

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発酵食・納豆(なっとう)・美肌・納豆スパゲティー 

今日は気の巡りを良くし、気分がすっきりする日本のハーブ(紫蘇)とエネルギー代謝を良くする納豆を使った簡単スパゲティーなどいかがでしょう。茹で上げパスタを和えるだけなので簡単ですよ。1人分レシピです(納豆1パックに付属のタレと辛子、卵黄1、醤油と酢各大さじ1、ごま油小さじ半、茹で汁大さじ2をよく混ぜる。80gの茹でたてのパスタをササッとからめ器に盛り、細切りにした紫蘇をたっぷり散らす、好みで海苔、わさびを添えていただきます。納豆にはビタミンB群が豊富、大豆が発酵する過程で増える成分で、皮膚をキレイにする美肌効果があります。神経の働きを整え、骨を強くする手伝いをし、血圧を下げるなどの効能も。休日には簡単に作れて体をリセットできるメニューがなんといってもお勧めです。

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セイボリー・ハーブ・インゲン

いんげんを茹でる時に加えると美味しくなるハーブで、豆のハーブとも呼ばれています。サマーセイボリーと少し香りの強いウインターセイボリーの2種があり、エンドウやいんげんを茹でる時に加えると味が引き立ち、キャベツや蕪を茹でる時に加えると独特の臭みが抜けます。地中海沿岸が原産地で、ミツバチに刺された時などは葉をこすりつけると腫れや痛みが引くそう。ラッキーにもセイボリーをゲットできたら、加えて茹でてみて下さい。作り方は、いんげんを洗って塩を全体にまぶすようにこすりつける。たっぷりの熱湯にオリーブオイルをほんの少したらし、塩が付いたままのいんげんとセイボリーを加えると、香りよくあざやかないんげんがふっくら香りよく茹だる。

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酢・にぼ酢・にぼし

体と心を癒す酢。旨味とカルシウムを含む酢は疲れをとり、料理も美味しくします。朝食に、酢を加えた納豆を食べると頭と胃がスッキリします。nhkあさイチさんでも5年以上前にご紹介したことがありますが、適宜の酢を加えると、納豆の粘りがサラサラとした白い泡になってふわりと食べやすくなります。今なら刻んだトマトやおろしたきゅうりを加え体の余分な熱をとり、じゃこ、しらすなを気分で合わせて夏の暑さを乗り切ります。ごま油を少し加えると吸収も良くなります。酢にたっぷりの煮干しを入れた「にぼ酢」は、米酢やりんご酢に漬けるだけですが、30分で柔らかくなり、酢には旨味がまわります。酸味が押さえられて食べやすく、酢に旨味をつけると言うより、煮干しを美味しく食べられるところがいい。小さなお子様や年配の方まで難なくいただける柔らかさになっています。酢の酢酸菌と昆布のカルシウムが合わさると、「酢酸カルシュウム」になります、単体で食べるよりグンと吸収率がアップするので、骨粗しょう症予防にもなりますね。煮干し自体が料理にも使いやすくなり、たとえばすり胡麻と合わせて胡麻和えに、片栗粉をはたいて揚げたフリットや南蛮漬けなど、幅広く応用できます

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海胆・雲丹(うに)・天売島(てうりとう)

うに・ウニ・雲丹・天売島・北海道

ウニの種類はムラサキウニ、アカウニ、バフンウニなどがあり、約2500年前から食べられているそう。葉酸がたっぷりで鉄分も豊富、乾燥肌も潤す効果があります。アリストテレス(古代ギリシャの哲学者)はウニの口器を見てランタンのようだと言ったので、アリストテレスのランタンと伝われており、このランタンが日本の提灯に変わったとか。とりたてのウニの殻を半分に割ってスプーンですくう。コクのある甘いウニをいただいた後は、宿のお父さん(栄丸の漁師さん)おすすめの焼きウニにする。合わせるのは、日本酒をツブ貝に入れた出汁の効いた熱燗。青くて広い空と通り道に広がるラピュタのような草花、コバルトブルーの透き通った海など感動ばかりの天売島。
好きな食べ方に、おろしたての山葵と醤油を混ぜ、雲丹の粒をつぶし過ぎないように混ぜる。温かいご飯に乗せると最高ですが、もち米にすると、もっちりとしたご飯とねっとりした雲丹がよく絡んで美味しさこの上ない。蕎麦つゆに鶉の卵と山葵、たっぷりの雲丹で溶いた「ウニツユ」でいただく冷たい蕎麦も、夏の大人の醍醐味です。

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湧き水(わきみず)

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湧き水は、雪どけ水が何十年、何百年の長い長い時を経て、ナチュラルミネラル天然水(ろ過、加熱処理、沈殿を行っていない地下源水)になります。理想的な湧き水のカルシュウムとマグシュウムのミネラル比率は2対1が望ましいとされています。年間を通して約7度の湧き水は、夏でも冷んやりして無色透明。いただくと体の細胞すみずみに行き渡り、活性化していくのを感じます。宿の壁に大雪山旭岳は父、雪どけ水が流れる雄大な石狩川(北海道)は母と書してありました。旅館の夕食にでた(湧き水ゼリー)は、私にとって何より嬉しいデザート、ネーミングもステキですね。

8/14

サマーオレンジ・スイカ・西瓜・食養生

サマーオレンジは、柑橘類のような名前ですが実はスイカです。北海道で出逢った感動した食材の一つ。口にしてみたらよくある黄色いスイカとは違い、何となくメロンのような甘さが有ります。舌触りもクリーミーで、いつものサクサクしたスイカとは様子が違いました。色はクリームイエローで、種も少ないのが特徴です。聞けば、生産方法も変わっていて、夕顔に接木して育てているのだとか。サマーオレンジは(夕陽色)の意味合いだそうで、農家さんは、目の前に広がる水平線に沈む夕日を毎日毎日眺めながら味見をするのが日課で、その様子を楽しそうに教えてくださいました。早々持ち帰って、スイカのクリームティーサンドを作って冷たいアイスティーと合わせました、眼にも舌にも楽しめる大人のオヤツになりました。

スイカはカリウムが豊富、利尿作用があります、赤いスイカはトマトと同じリコピン、黄色いスカイかはカロテンを含みます。シャリシャリと冷んやり冷えたスイカを食べると、糖分やミネラルを含むので体を潤していくのが判ります。塩をふって食べると甘さが引き立つだけではなく、スポーツドリンクと似た内容になります、熱中症対策にも最適ですね。

8/11

生マッコリ・乳酸菌

酵素も酵母も行きている生マッコリ。熱処理をされておらす、乳酸菌がとても豊富で腸内環境にも優しい韓国のお酒です。昔は農作業をしながら水がわりに飲まれていたそう。アミノ酸が多く麹も感じられます、疲労回復を手伝い美肌効果も上げますね、疲れやすい猛暑にピッタリのお酒です。発砲しているので、優しくふった後にフタを数回叩くとよいそうです。少しのとろみと爽やかな酸味が美味しく、ついつい杯が進みますが、アルコアール度数はビールより少し高めの6〜8度。ストレートがお薦めですが、キーンと冷えたビールで割ったり、飲むタイプのヨーグルトと割る、ジュースで割る、炭酸で割るなど楽しみ方は色々。ごま油で香ばしく焼けたチジミや、辛味の効いた韓国料理にはマッコリは欠かせません。長期保存ができる加熱処理されたものはマッコリ、非加熱のものが生マッコリとして販売されており、最近では国産の生マッコリも入所出来るようになりました。

8/10

牛肉(ぎゅうにく)・慢性疲労

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日々積み重なる疲労に暑くるしさが足され、体力がみるみる消耗して疲れやすくなるこの季節。内臓機能も低下して、脳が慢性疲労を感じやすくなってしまいます。病院にいってもこれといって悪いところはないのですが、疲れると気落ちもしてしまう。中医学ではこれを気虚(ききょ)と言い、漢方薬や食で養生し、身体の機能を回復させます。食材の中で特に「気」を補う食材は牛肉。必須アミノ酸が豊富な牛肉は、良質なタンパク質やミネラルで身体の機能を改善させ、筋骨を丈夫にします。生薬の黄耆(おうぎ)に匹敵できるくらい効能が高いそう。ニンニク、ショウガ、山芋、カロテンやビタミンの多い緑黄色野菜など元気になる効能が高い食材と、胃腸を整え消化を促進する発酵食と合わせて相乗効果を上げ、また来週頑張れる気力体力を復活させましょう。夏野菜は体の余分な熱を取ります、気虚には大豆製品もお薦め。