井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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新茶・緑茶・日本茶・ほてり

井澤由美子・薬膳・薬食同源・緑茶・新茶・グリーンティー・カテキン・水出し茶

緑茶は頭をすっきりとさせ、身体の余分な熱をとる効能があるので更年期障害、ホットフラッシュやほてり感のある方に特にお勧めです。日中は、日差しが強く汗ばむ陽気になってきました。新茶にはテアニンが豊富、爽やかで清々しい香りと甘みが堪能できます、一番茶をぜひ楽しんで下さい。
日本茶は昔から消化促進、虫歯、口臭予防などにもよいとされ、ビタミンCも豊富です。市場に行くと必ず立ち寄っていたお茶屋さんは、丁寧に1杯のお茶を入れて下さる。時間がなくてもこのひと時を持つことで、頭の中が整理整頓されるので、お茶の時間はとても有意義だと思います。
好きな飲み方があります、器に茶葉を入れ氷を多めにのせて一晩冷蔵庫におきます、翌朝にはカフェインの少ない旨味が凝縮したアイスティーが出来上がっています。

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らっきょう・辣韮・疲労回復

井澤由美子・食養生・まいにち食薬養生帖・疲労回復・らっきょう・ラッキョウ・甘酢漬け・漬物・きび酢

らっきょうは中国原産で中薬学では韮白(がいはく)と言う名の生薬、日本では畑の薬と言われるほど豊かな効能を持っています。行気薬(気の巡りをよくする)であり、野菜の中でもトップクラスの水溶性食物繊維を含みます。腸内の便を吸収するので、便秘解消に薬効があります。
ネギ類なので匂いがありますが(硫化アリル)、血行を良くし、血液をサラサラにします。購入時は丸みを帯び、あまり芽が出ていない新しいものを選んで下さい。
甘酢漬けの作り方です。らっきょう1㎏は茎と根元ギリギリの部分を切り、ボールに入れて流水で薄皮を取るようにこすり洗いする(剥きにくい時は、包丁で切った部分から引っ張るようにします、傷んでいるものがあれば除くか、包丁で剥く)塩大さじ2でもんで20分ほど置き、ざっと水で流す。熱湯で8〜10秒茹でてそのままザルに広げて冷まし、消毒した保存容器に入れ、種を取った赤唐辛子2本と昆布一切れを加えます。小鍋に水160cc、グラニュー糖か氷砂糖(ハチミツやきび砂糖でも)250g入れて溶かし、酢350ccをまぜて冷ましてらっきょうの入った瓶に注ぐ、2週間後から食べられます。
大事なのは芽が成長するので購入したらその日に仕込むこと、後は時間が美味しくしてくれます。

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メロン

メロン

メロンは本当は果菜(野菜)の定義。しかし、市場や栄養学上の分類では果実、果物として取り扱われますね(苺やスイカも同じです)。
一般的にメロンは糖度が高い果物というイメージですが、カリウムが特に多く塩分が気になる高血圧やむくみの気になる方にはオススメです。メロンのビシソワーズは旬同士の良い組み合わせ、配合がよければとても美味しいジャガイモのスープになります。ワインのお供としては生ハムメロンが定着していますが、メロンの熟し加減でこその美味しさです。旬のメロンをポンと割って種を取り、スプーンで大きくよそって薄はりのグラスに盛る。ビンごと凍らせたトロリと冷たいジンを注いだ、ジンメロンパフェは初夏の風にぴったりで、毎年の楽しみ。ソーダにアイスをのせて本物のメロンクリームソーダも楽しい。
オススメの一皿は、キリッと冷やしたメロンに少し辛味のあるオリーブオイル、摘みたてのバジルを散らしたバジルメロンのシンプルサラダ!

6/3

鯵・あじ・アジ・アジフライ・旬魚

魚・アジ・鯵・あじ

鯵は味がよいのでその名がついたと言う由来があります。日本人の食卓には欠かせない魚ですね、年中美味しい鯵ですが産地によってメドレーで旬があり、真鯵、むろ鯵、め鯵、しま鯵などが一般的で、青魚の中でも旨味成分が強い。記憶力をアップさせたり、老化防止などの効果があるDHA、骨粗症やイライラを抑えるカルシウムが豊富です。
今日の関東は半袖で丁度良い気温、暑かったですね。こんな日にはサクサクのアジフライは如何でしょう。アジフライ用の鯵に酒をかけ、水気をふき、全体に軽く塩、胡椒をふる。叩いた梅肉を片面に塗り、梅の上にシソをおき、片栗粉を全体に薄くはたく。溶いた卵にくぐらせて、パン粉をギュッと押し付け、高音の油でカラリと揚げ焼きし、油をきります。
薬膳での鯵は老化防止や体力減退に良いとされる魚です、梅と合わせて食養生。食欲増進、疲労回復効果を担います。
購入する時は、目がキレイに澄んでいてエラが赤く、背中に丸みがあるものが鮮度よく脂のりがいいようです、目安にして下さい。

6/2

空豆・天豆・そらまめ・ソラマメ・蚕豆・疲労回復

井澤由美子・食養生・食養生・そら豆・空豆・天豆・おたふく豆・蚕豆

千葉に畑をお借りして色々な野菜を栽培しています。空豆が最盛期。見てくれは、お店で販売されているような美しさはないのですが、剥くと青々としてぷっくりとした大きな実が飛び出してきて、フンと豆の香りが鼻をかすめます。採りたての空豆を熱湯に入れ、塩梅よく茹でるわけですが、皮が柔らかいのでそのまま食べた方が美味しい、下ごしらえの皮に入れる切り込みも必要がない程です。
空豆ってこんなに美味しいものだったのかとつくづく思いながら、仕事終わりの夕暮れに冷えたワインとつまんで楽しんでいます。少し厚めにスライスした発酵バターと、パン屋さんのバケット、少々の粗塩とペンチで割った胡椒を添えて。
空豆にはビタミン、タンパク質、カリウムが豊富、豆の中でも栄養価が高く疲労回復効果があり、お酒のお供としても最適です。薬膳でも疲労に効き、胃腸をケアし、むくみを解消する野菜とされています。
フジTV・四季彩キッチンでもご紹介した「空豆の素揚げ」は、皮に切り込みを入れて、ある程度温めた中温から揚げるのがポイント。油の中で皮から実が勝手に脱皮するので、手間いらず。鮮やかになって浮いてきた実から先に取り出し、皮は茶色く揚がったら引き上げます、此方もカリカリして実に良いつまみ、全体に軽く粗塩をふります

5/31

梅干し・昔ながらの梅干し・白梅酢

梅・梅干し・梅しごと・南高梅

梅干しは防腐作用が高いのでこの季節のお弁当にかかせませんね、お米に入れて炊いても良いもの、疲れをとるクエン酸も頼もしい。梅干しを作ると生まれる白梅酢を手塩の代わりにして握ったお結びは、自分で作った調味料だからか、いつもより心華やぎます。お浸しや、そうめんつゆなどにも重宝します。
ふくよかな香り高い梅は料理にも使いやすいので、私は大きめの完熟梅(緑色や硬さがある時は、真っ黄色になるまで常温で追熟させる)を購入します。
500gで大体10〜13個、30分水に漬け水気をしっかりふき、竹串でヘタを取る。リカーや臭いのないアルコール大さじ1で密封袋の中をさっと消毒し、捨てる(袋中ふかなくてOK)。後は70〜90gの粗塩と梅を入れ、袋の上から馴染ませる。同量の重しをして2日間1日1回上下を返し、20日間そのままおく。冷暗所か冷蔵庫で保存し、梅雨があけたらザルに広げて好みの状態に2〜5日間天日に干す(好みで白梅酢に戻す)。
梅干しを見ると唾液がでますね、消化力を高めるのでおかゆに添えるのです。味だけではない日本の素晴らしい知恵、梅干しは下痢や便秘にも効能があります。

5/28

初鰹・初かつお

春から初夏に出回る初鰹は、黒潮にのって太平洋を北上します。あっさりしているお味ですが、ハシリを珍重する江戸っ子には今も昔も初夏を楽しむ風物詩。昔は高価でも初物に手を出すのが粋の証しでした。いただくと長生きするとの言われも人気の秘密だったかも知れませんね。
レバー並みの鉄分を誇る鰹は、赤血球の生成を助けるので貧血にもよい魚。薬膳でも気血を補う、滋養のある魚とされています。
紫蘇、茗荷、葱などの薬味や、旬が同じ新玉ねぎを薄くスライスしたものとポン酢でいただくのもこの時期ならでは。いつものように生姜をたっぷりおろしてお醤油でいただくのもオツですが、皮を炙った鰹を少し太めに切り、ちょうどよく辛味が立った辛子と醤油でキリッといただくのもいい。
窓から入る新緑の風をまといながら、5月だけは辛子で食したくなります。書かねば気が済まぬ、キンと冷えた日本酒と共に。

5/27

酢・薬膳酢・発酵調味料・vinegar 疲労回復

食養生・薬膳・ビネガー・酢・薬膳酢・発酵調味料・クコ

今日は身体の疲れをとり、心も癒すお酢のお話しです。
酢は世界最古の発酵調味料と言われており、万葉集にも登場します。味噌、醤油と並ぶ日本の食文化を支えてきた伝統的な発酵調味料。いろいろな国で、その土地に根付いたお酒から作られており、名前の由来も判りやすい。例えば日本の酢は酒から作られるので酒編で酢、フランスの vinegar(ビネガー)はvin(ワイン)、イギリスの(malt vinegar)のモルトは麦芽から出来ているというように。
果物や野菜から作られているものには、みかんや玉ねぎ、紅芋など多様にあり、林檎酢は世界中にありますね。
私は米だけで作られている米酢を基本としていますが、黒酢・赤酢・バルサミコ酢なども使い分け、柿酢などは手作りしています。
酢には血液をきれいにし血行をよくする効果や、内臓脂肪を燃焼させるなどダイエットにも効果的です。雨季になると何となくやる気が出ない、疲れやすいなどの症状も出やすくなりますが、酢には疲労を回復させ、体をシャッキリとさせる効果もありますね。
料理にも様々な使い道があり、例えばスクランブルエッグやチョコレートケーキにひと垂らしすると、しっとり仕上がる、肉や魚のカルシウムを摂取しやすいなど。目下のお気に入りは、昆布とスーパーフードの枸杞の実をつけた薬膳酢。酸味が軽減し、旨味もたっぷりです。

5/26

にんにく・ニンニク・大蒜・薬膳・食養生

井澤由美子・食養生・健やかな食卓・発酵食・まいにち食薬養生帖・にんにく・新にんにく・薬味・たいさん・薬膳

新にんにくが出まわる頃は、そら豆の旬でもあります。山椒の実や梅、らっきょう、新生姜も出始めて、手仕事が大忙しの5月の終わり。
新にんにくは丸ごと醤油や味噌、オイルに漬けたり、中国風に酢漬けにしたりと生にんにくの風味を楽しみます。
この時期のにんにくは、香りの薬味や香辛料と言うより、しっかり野菜として調理したくなります。たっぷり薄切りにして、小松菜や空芯菜とごま油でサッとソテーすると、新にんにくのシャッキリした歯触りを堪能出来ます。
中医学でにんにくは、脳と五臓の機能を活性化し、腫れ物や解毒の改善、血の巡りをよくする食材とされています。
身体を温めるので、冷えて白い鼻水が出る時などの風邪のひき始めや、免疫力を高めたい時、体力を取り戻したい時などに効果が期待できます。大蒜の字の蒜(ひる)は食用になるにんにく、ノビル、ネギなどの古名です。ノビルと区別するために、にんにくを(おおひる)と称し、生薬名は(たいさん)。ちなみに無臭にんにくやジャンボにんにくは、本当はポロ葱(リーキ)の仲間だそうです。

5/25

辣韮(らっきょう)・薤白(がいはく)・ラッキョウ・薤

辣韮・ラッキョウ・らっきょう・がいはく

らっきょうは中国原産で中薬学では韮白(がいはく)と言う名の生薬、日本では畑の薬と言われるほど豊かな効能を持っています。行気薬(気の巡りをよくする)であり、野菜の中でもトップクラスの水溶性食物繊維を含みます。腸内の便を吸収するので、便秘解消に薬効があります。
ネギ類なので匂いがありますが(硫化アリル)、血行を良くし、血液をサラサラにします。購入時は丸みを帯び、あまり芽が出ていない新しいものを選んで下さい。
甘酢漬けの作り方です。らっきょう1㎏は茎と根元ギリギリの部分を切り、ボールに入れて流水で薄皮を取るようにこすり洗いする(剥きにくい時は、包丁で切った部分から引っ張るようにします、傷んでいるものがあれば除くか、包丁で剥く)塩大さじ2でもんで20分ほど置き、ざっと水で流す。熱湯で8〜10秒茹でてそのままザルに広げて冷まし、消毒した保存容器に入れ、種を取った赤唐辛子2本と昆布一切れを加えます。小鍋に水160cc、グラニュー糖か氷砂糖(ハチミツやきび砂糖でも)250g入れて溶かし、酢350ccをまぜて冷ましてらっきょうの入った瓶に注ぐ、2週間後から食べられます。
大事なのは芽が成長するので購入したらその日に仕込むこと、後は時間が美味しくしてくれます。