井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

7/7

みそ・手前味噌

お味噌を作るのに、空気の良い畑で枝豆と黒枝豆を育てています。味噌の原料は大豆ですが、実は収穫時期が異なるだけで、大豆と枝豆は同じものです。枝豆は、大豆が熟し切る前の青い状態で収穫したもの。大豆と同様にタンパク質、ビタミB1やB2、鉄分、繊維などを含みますが、枝豆にはアルコールの分解を促進するメチオニンと言う物資が含まれ、肝機能を高める効果が期待できます。ビールのお供に添えられるには意味があるのですね。

中医学では血の巡りをよくし、疲労回復にも効能があるとされています。女性に嬉しいイソフラボン、葉酸もあるので妊婦さんにもお勧めです。手作りの味噌は少し粒の残ったタイプ、仕込んでから夏を2回以上越したものが好きです。熟成させたお味噌は手前味噌でも感激するおいしさです

7/3

梅干し・梅仕事・梅雨のお弁当

梅干し・民間療法・梅しょう番茶

梅干しはお弁当にも大活躍。防腐作用が高いのでこの季節のお弁当にかかせませんね、日の丸にするのではなく、全体に千切って散らしましょう。お米に入れて炊いても良いものです種ごと加えて炊くと旨味がつきます。
梅干しを作ると生まれる白梅酢を手の平に塗ります。水分と塩分が手塩の代わり、にぎったお結びは米の甘みが引き立ち、香りも良いのでお結び作りが楽しくなります。
ふっくらふくよかな香り高い梅は料理にも使いやすいので、私は2日間ほど干した梅を白梅酢に戻して保存します。作り方は、大きめの完熟梅(真っ黄色になるまで追熟させる)を30分ほど水に漬け、竹串で黒いなり口を取り、水気をしっかふきます。丈夫な漬物袋に入れ梅に対して18パーセントの粗塩を入れて馴染ませる。同量の重しをして2日間1日1回上下を返し、20日間そのままおきます。冷暗所か冷蔵庫で保存し、梅雨があけたらザルに広げて好みの状態に2〜5日間天日に干します。
お粥にも梅干しを添えますが、唾液が消化力を上げるからです。下痢や便秘などお腹の調子を整える効果もあります。これらの昔ながらの民間療法は、先人の知恵の結晶ですね。

6/30

パッションフルーツ・果物時計草・リリコイ

パッションフルーツの別名はクダモノトケイソウ。βカロテン、ビタミンCやB6などのビタミン類が多く、貧血予防にもいいと伺いました。
完熟すると皮にシワがよってきて、酸味がやわらぎ甘みが立ってきます。数年前の事ですが、奄美大島で海から上がったばかりの新鮮なもずくと出会いました。パッションフルーツの甘酸っぱい香りと爽やかな酸味と甘みを調味料代わりに使って、もずく酢を作ってみました。少し醤油を加えたらバッチリ、暑い日差しの中の出会いもの、キリッと器ごと冷やしていただきます。
地元の方はこんな食べ方はしないようですが、もずくの食感とパッションフルーツの甘酸っぱさが何とも美味。カラダも脳もリフレッシュします。
奄美大島の農園に遊びに行ったら、パッションフルーツの花に一つ一つ手作業での受粉体験もさせていただきました。大切に育てられた無農薬パッションフルーツは、ひと味もふた味も違います。最近は、黄色いパッションフルーツにハマっています。

6/29

アスパラ・自然農法・草の中のアスパラ

アスパラ・自然農法・疲労回復・薬膳

北海道からアスパラが届きます。道産だからといって全て同じ味ではありません。作り手の農家さんや土、日の当たり方によって変わります、まるでワイン造りの葡萄のようですね。
アスパラの下の方の皮を剥いて、生の状態で口にしてみるとそれがよくわかります。農薬や有機肥料さえも使わない、自然の連鎖だけの栄養分で育った赤井川の貴重なアスパラ。少し細身で穂先はうっすら紫色、元気に育ったアスパラは、とても甘くてみずみずしい、良い香りがします。
アスパラに含まれるアスパラギン酸は滋養強壮に富み、その生命エネルギーが体を奥深く潤すような感覚を覚えます。
一本足の野菜は(椎茸やブロッコリー等)特に体によい野菜だと聞いたことがあります。
アスパラは、美肌にもよく消化器系の働きを促します。体の余分な熱を冷ますので、蒸し蒸ししている日などにもお勧めの野菜です。

6/28

アスパラ・クミン・肌荒れ

アスパラには疲労回復を助けるアスパラギン酸やビタミンB群が豊富。ビタミンC,E、βカロテンを含み、高い抗酸化作用でお肌を守る効能も期待できます。βカロテンは油と一緒に摂取すると身体に吸収されやすくなるので、炒め物やドレッシングを使うサラダがお勧め。アスパラとオクラの豚バラ炒めのクミン風味は少し暑くなってきたこの季節にぴったりの一皿。クミンは防腐効果があり、古代エジプトではミイラにする時に使われていたそう。また、漢方では胃腸薬としても知られ、腸内ガスの排出などを促します。アスパラ、オクラの繊維は便通作用を促すので、胃腸を整える相乗効果のある組み合わせです。食感のコントラストも楽しめますよ。

6/26

なつめ・ナツメ・ナツメ・大棗・生薬・漢方

可愛い・薬膳のプリンセス・健康・美容・井澤由美子・中医学・食養生・薬膳・料理教室・ナツメ・棗・大棗・漢方・薬膳・生薬

今日は雨季の薬膳講習。ナツメ茶を飲みながらの座学と料理教室なのでナツメのお話を少し。
ナツメは9月〜10月頃に実る小粒の実で、色つく前は青りんごのようなかたさと風味がし、赤く完熟すればしっとり甘くなります。
中国ではナツメを日常的に食べいるそうで、1日3個のなつめを食べれば元気でいられると言われることから、秋に実る庭のナツメをポプュラーに楽しむそうです。
ナツメは昔から珍重される五果の一つ(季・杏・栗・桃・棗)で、効能が高いので葛根湯にも入っています。乾燥させたものは、大棗(たいそう)と呼ばれ、中医学では頻繁に使われる生薬です。
気を補い、血流を増やし、精神を安定させる効能があると言われています。
ナツメ茶を作る時にはそのまま加えるより、半分にちぎって煮出しましょう。クコと合わせると効果も高まりふんわり甘い、紅茶と合わせても美味です。料理では、参鶏湯サムゲタンなどによく入っていますね。煮物、ナツメ酒、ジャムなどにしても良いし、薄切りにしてカラカラに干したものもお勧めです。

6/25

さや大根・大根の実

さや大根・大根の実

さや大根は、花が終わった後に出来る実の部分で、今時期だけのお楽しみ。
ルッコラなどのアブラナ科系のものは同じようにさやに種ができ、食べるとルッコラのようは風味がします。畑でポンと口に入れたさや大根は、柔らかくて少し辛味があって大根の味がほんのり。さやはそのまま生でつまんだり、サラダなどにして堪能できます。スープに浮かべたり、さっと茹でたり炒めてもいいですね。気の巡りがよくなるパクチーやフェンネルも小さな花をつけている6月、さや大根をあしらうとふんわりとお皿の上が華やぎます。

6/24

エゴマ・荏胡麻・えごま

シソの葉に似ているエゴマはシソ科、絞ったエゴマ油は近年特に人気です。大変な手作業に加え、デリケートな油なので値段は少々しますが、それだけ高い効能があります。

豊富に含まれるオメガ3脂肪酸、aリノレン酸が体や脳、肌を健康に保ちます。上質なものを購入し、かけるあえるなどの調理法でシンプルに、加熱せずにいただいて下さい。
小さな丸い粒は香ばしく、ゴマのように色々な調理に使えます。乾煎りしてすり鉢ですり、和えごろもに加えたり、焼き物の表面にまぶしてカリカリとしたコントラストをつけても美味しいもの。

エゴマは防腐効果もあるので、採取される産地では、昔から郷土料理や民間療法などに多様されて来ました。韓国料理店では、荏胡麻の葉が無いと寂しいサンチュとの肉巻きや、にんにくの醤油漬けも美味。薬念(ヤンニョム)和えてキムチにして炊きたてのごはんにくるりと巻くとご箸が止まりません。余談ですが、エゴマ油は乾性油なので防水性、昔は油髪や番傘に使われていたそうです

6/22

ハーブ・バジル・ジェノベーゼ

井澤由美子・まいにち直訳養生帖・薬膳・食養生・バジル・スパイス・ハーブ

バジルを目の前にすると深呼吸したくなります。鎮静作用、強壮作用があるスパイシーな香りはイライラも鎮めてくれますね。
今日は綺麗なグリーン色のジェノベーゼペーストの作り方をご紹介します。まず、ハーブの色あせ防止作業をして色をくすみにくくします。バジル、パセリ、イタリアンパセリ等好みで合わせて40gほど使います。硬い部分は落とし、熱湯に塩を加えてさっと茹でる。氷の入った水に放してしっかり冷やして色止めをし、水気を絞る。ボウルに松の実やくるみを30g、潰したにんにく半かけ、粗塩、胡椒、茹で各汁少々、おろしチーズが無ければ粉チーズを半カップ、オリーブオイルを半カップ弱ほどつ加えてハンドミキサーで攪拌し、水気を絞ったバジルを入れてさらに攪拌します。好みでフレッシュ少々を足しても。後は清潔な密封容器で冷蔵保存。
色鮮やかなジェノベーゼは、パスタはもちろん茹で野菜やサンドイッチ、肉や魚の付け合わせなど多様。スープに落とすと、お皿の上がパッと美しく映えてコクのある清涼感が宿ります。今年は、いつものペーストに山椒の実を加えてみましたよ、大人のジェノベーゼ!大正解。
バジルも山椒の実も食欲増進効果があり、胃もたれを防ぐ効能が期待できます。肉料理などの付け合わせとしても良いですね。

6/21

トウモロコシ・玉蜀黍・とうもろこしご飯

井澤由美子・まいにち食薬養生帖・野菜・トウモロコシ・わかもろこし・コーン・食薬・薬膳・食養生

とうもろこしの炊き込みごはん、甘みがあって旬ならではの美味しさですね。ポイントは出来るだけ新鮮な生のとうもろこしを使うことです。とうもろこしは実を包丁でこそげておきます。ごはんを洗い30分水に浸してザルに上げる。鍋か炊飯器に洗った米、同量より少なめの水、酒少々、粗塩3つまみ、昆布一切れ、とうもろこしをこそげた後の芯を加えて普通に炊くきます炊き上がり3〜5分前に芯をとり除き、とうもろこしの実を加えます。炊き立ては格別ですよ、ぜひ堪能して下さい。
暑くて水分をとりすぎた時など、胃が重くなることがありますが、とうもろこしは胃をスッキリとさせ、身体の余分な水分を排出させてむくみをとります。ひげが茶色くなったもの、実の先に丸みがあるものが甘いようです。
皮中のやわらかなヒゲは、ざるに広げて乾燥させ半量になるくらいまで煮詰めると、むくみがとれるヒゲ茶になります。