井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

11/16

蟹・カニ・香箱蟹

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美味しいカニの季節到来。カニ食いの私にとって、待ちにまった本当に嬉しい季節。解禁になって、今シーズン初めていただいた松葉カニは、昆布締めと焼きガニ。香箱は茹でていただきました。冷たい日本酒もスルスルと喉元を通りすぎて至福。いろんな事を頑張った自分へのご褒美は、大人ならではの醍醐味です。

カニは低カロリー高タンパクでヘルシー。加熱すると赤くなるのはアスタキサンチンと言う色素で、強い抗酸化作用があり、体内で過剰に発生した活性酸素を除去する効能があります。
豊富なタウリンはアミノ酸の一種で、血中のコレステロールを抑え、肝機能を上げて眼精疲労にも効果が期待できるようです。缶詰めの場合は汁の部分にこれらの栄養分が溶け出しているので、捨てずに調理します。美味しく栄養価も高いカニですが、カラダを冷やすので、いただく時はおろし生姜や酢をつける、カラダを冷やす柿や梨などとは一緒に食べないようにします。

11/15

柿・かき・薬膳・二日酔い

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柿は富有柿、富士、次郎などその他数種類あり、それぞれ形や味に特徴があって楽しめますね。生産地では干し柿用の柿も沢山出回っていますが、柿の袋の中に縄も一緒に入って販売されていて、気が利いています。名人の農家さんに、吊るした後に一つ一つ手で揉む事が最も大事だと教わりました。渋柿で作る干し柿は先人の知恵の結晶、甘くなり、カロテンも増えるそうです。
柿に含まれる渋みのタンニンは血圧を下げる効果があるとされ、アルコールを分解する酵素は二日酔いにも有効です。柿葉は民間療法のお茶として昔から飲まれています。薬膳では体の余分な熱をとり利尿作用を促すとされ、漢方ではヘタを生薬に使います。

柿のお気に入りの食べ方にレモン果汁をたっぷり絞って冷蔵庫に一晩おき、生ハムといただく気軽な一皿があります。スプーンですくえるくらいに完熟したら、タンパク質のヨーグルトと合わせると、肌荒れ改善にも役立ちます。それからよく冷えた柿といくらをさっくり和えると柿の甘さといくらの塩気が絶妙、出会いものは一瞬です。ジンに柿を沈ませて冷凍庫に一晩、とろんとして美味、クリスマスやお正月のお楽しみです。

11/12

蒟蒻芋・こんにゃく・腸活

サトイモ科の蒟蒻芋は中国から伝わりました。ゴツゴツした芋で、収穫されてからしばらく貯蔵され、初めて調理工程に移ります。精進料理など日本でも古くから調理されており、僧侶の大切な栄養源でもありました。弾力のあるいつもの蒟蒻も美味しいのですが、水分の多い刺身蒟蒻はふるふるとして美味。手でちぎって醤油とおかかで炒めたものもなどオツですね。下処理のアク抜きですが、砂糖少々をまぶしてよくもむと浸透圧で水分が出るので、味が染み込みやすくなります。糸こんにゃくも同じですね。

成分がグルコマンナン(食物繊維の一種)なので、糖尿病の方や便秘気味な方には特にオススメ。

薬膳では利尿作用があると言われていますよ。日常的にお料理に加えると良いですね。その他、腸のホウキの仲間として、ごぼう、ニラ、海藻などがありますが、これらのどれかと合わせると最強です。

11/11

きのこ・菌活・きのこの牛丼

今日のお夕飯は、パパッと作れるきのこを入れた牛丼などいかがでしょうか? きのこの中でも抗がん作用が高い舞茸と、食感の楽しいえのき、大粒のなめこ、細ぎりの生姜を加えて甘辛く煮つけます。鍋にごま油少々、スライスした玉ねぎ半個分と生姜の細切り適宜をさっと炒め、出汁2カップ、しょうゆ大さじ2半〜3、きび砂糖大さじ2、みりん大さじ1、ほぐしたまいたけとえのき各1パック分を加えて全体が馴染むまで煮る。なめこと牛肉150gを加えて煮て、ご飯の上にかける。ぬか漬けとおみそ汁を添えれば、菌活になってさらに腸が喜ぶ献立になります。きのこは9割が水分、ヘルシーですがビタミン、ミネラルが豊富、アミノ酸で元気になります。

11/9

柿・美容薬膳

柿・美容薬膳・杏仁豆腐・美肌・二日酔い

柿が美味しい季節ですね。ビタミンカラーのオレンジ色が目に飛び込んでくるとついつい手が伸びます。よく熟れた柿を見つけたらつぶしてフレッシュピュレにし、フルンとした杏仁豆腐にトッピングすると、見た目も麗しいデザートに。ビタミンCやカロテンが豊富な柿には風邪予防や美肌に効く効能がたっぷりです。咳や痰の痛みなどを抑える杏仁にも美肌効果があるので、合わせて相乗効果を上げます。
柿のキャロットラペもオススめです、みかんの果汁と塩、オリーブオイルで小粋に。酢の物や白和えにも良いですが、シンプルにレモン果汁をたっぷり絞って冷やしたものも美味。生ハムを添えると塩気と相まって白ワインにピッタリです、柿には、アルコールの解毒作用もあるのでお酒のお供にも最適ですが、カラダを冷やす傾向にあるので、温まるものといただいて下さい。ヘタや葉は生薬です、殺菌効果もあるので、渋柿の若い葉は柿の葉寿司などに活用さますね。
乾燥させたお茶も販売されています、ダイエットにも最適だとか。

11/8

納豆・酢納豆・美肌

納豆・発酵食・美容食・なっとう

納豆1パックに昆布酢小さじ2〜3、粗塩2つまみ、付属の辛子を加えた「塩酢納豆」をよく混ぜる。白い泡がもくもくと立ち、喉越しの良いサラサラとした納豆になって胃、体がすっきりします。
じゃこを加えるとカルシウムも酢の効果で摂取しやすくなりますよ。
塩酢納豆に漬物、みょうが、しそ、生姜、大根おろし、トマトなど好みで刻んで加えても。
納豆に黒すりごまを加えると健康効果が高まります、ごま油かオリーブオイルを加えると高い便秘改善効果が生まれる(特に夜お試し下さい)。
納豆をよく混ぜていつもより醤油を少し多めに加え、さらによく混ぜる。八分目によそったご飯にのせ(1人分約半パック)煎茶をかけていただく。かんずりや柚子胡椒、あられ、のりなどお好みでトッピングして。こちらは魯山人さんの好きな納豆茶漬けです。

11/3

柿・かき・食養生

カロテン・風邪予防・簡単おやつ・美肌・養生・美人・綺麗・美味しい・フルーツ・デザート・井澤由美子・薬膳・かき・柿・食養生・二日酔い

種無しの平たい柿が近年のお気に入りです。タネがないので、完熟したものはスプーンですくって食べやすいし、スライスして乾燥させる時もカットを気にせず切れるのもいい。皮が薄く、オレンジ色が柿の中でも鮮やかです。
1個の柿には1日に必要なビタミンCが含まれているそうで、風邪予防にいいですね。アルコールを分解する成分もあり、こちらは木で完熟したものがお勧めです。漢方・薬膳では、体の余分な熱をとり、喉の渇きを止め、葉やヘタは生薬です、
好きな食べ方に、完熟柿にスダチやカボス果汁をたっぷり振りかけて一晩冷蔵庫でマリネする一皿があります。柿のカロテンに柑橘果汁のビタミンCを足すと酸味が甘さを引き立てさらに美味しく疲労回復効果も上がります。
酒粕でほんのりマリネした生ハムで巻くとお酒に合わせる前菜にもピッタリ。柿の中身をくりぬいて器とし、中身といくらを和えて柚子を散らし、美しく盛りつけた柿といくらの小鉢は秋の味覚、一瞬の出会いものを楽しみます。
干し柿になるとビタミンAや食物繊維が倍増し、甘みも凝縮します。

10/31

かぼちゃ・ハロウィン・食養生

南瓜・カボチャ・パンプキン・カボチャケーキ・滋養

ハロウィンなので、歩く先々に鮮やかなオレンジ色が眼に飛び込んできますね。元々は秋の収穫を祝う行事でしたがアメリカでは民間行事となっており、いろいろな趣向があって楽しそうです。
写真の可愛らしいかぼちゃは、私が通うカービング教室の先生の作品。野菜や果物をアッと言う間にスルスルと楽しく美しく仕上げます。
かぼちゃは体を温める野菜で、豊富に含まれるカロテンは粘膜や皮膚を健康に保ち、視力回復にも役立ちます。免疫力を高めるビタミンCも含み、風邪などを予防します。かぼちゃのカロテンは油で炒めると体への吸収が良くなります。柔らかく煮たり蒸したものは離乳食や年配の方の滋養食にもピッタリですね。

かぼちゃの種を干したものは、漢方では生薬として使われ、泌尿トラブルに効果的です。手作りするなら種を洗った後、2、3日干すかレンジにかけて乾燥させます。その後、フライパンで乾煎りしたり油で揚げ焼きにして塩少々をふると出来上がり。

10/29

きな粉・大豆

きな粉を見かけると買わずにはいられません。和三盆やきび砂糖と粗塩を少し混ぜてふるふるの練りたて葛餅やわらび餅などに山盛りにかける、考え出された方天才です。葛粉大さじ5(片栗粉)、きび砂糖大さじ1に水大さじ2を馴染ませる。中弱火にかけて水1カップを入れ木べらで混ぜながら透明感が出るまでよく混ぜる。水の代わりに豆乳で練ると、また違う風味を楽しめます。きなこは、もとが大豆ですからイソフラボンがたっぷり。女性ホルモンと似た働きをする効能があり、更年期障害にも良いですね。そしてカルシウムも豊富なのでイライラを抑え、骨粗しょう予防にも。水溶性と不溶性の食物繊維は便通作用を促進するのでお料理、飲みもの、お菓子類に多用しています。最近のナンバー1きなこは、鳥取県は智頭町にある素晴らしく素敵な山里の山菜料理屋「みたき園」で出会ったきなこ。手作業で音と感触をたよりに、丁寧にうすでひかれたきな粉は少し粒が残っています。しっとりした香ばしい風味がとても豊かで印象的、飛び切りのきな粉でした。こんにゃくもお豆腐もすべて手作り、お庭の風情もとても素敵です。

10/26

いくら・いくらの醤油漬け・南樽市場

食養生・いくら・鮭・親子丼・秋の味覚

小樽の秋冬市場は特に珍味が多くあって楽しい。中でも必ず覗くのは、地元の方でいつも賑わう南樽市場。今は秋鮭やいくらが旬、びっしりと陳列されています。向かいの金物屋さんで見かけたいくら専用の2重構造網を購入したことがあります。最初は半信半疑でしたが、市場内のお魚屋さんのいくらの醤油漬けはこの2重構造網のすごく大きいもので作っているのを見かけて即決。ボウルに塩水を入れ、この網を置き、皮を上にして優しく転がし、2、3度洗うとポロポロと面白いようにきれい落ちました。

いくら醤油漬けの作り方です。小鍋にいくらがかぶるくらいの酒を入れて煮切り、りんごたまり醤油(青森の醤油で、これも市場で入手)少々と普通の醤油適宜を煮立てた合わせ醤油を冷ましたものに、昆布1、2切れ(酒に2日間浸したもの)を入れて、いくらを漬ける。消毒した空き瓶や密封容器にたっぷり保存して楽しむ。焼き鮭との親子丼は美容にも良く、フォトジェニックです。