井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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ヤングコーン・わかもろこし・食養生・食薬・薬膳

井澤由美子・まいにち食薬養生帖・野菜・トウモロコシ・わかもろこし・コーン・食薬・薬膳・食養生

体が重く、だるさを感じる時。
穀雨の雨などが降り、湿気が多くなると体に湿邪(余分な水分・湿気)が溜まりやすくなって、重たさやだるさを感じ、やる気が減退。水分過多の飲食が原因になることもあります。
こんな時は、利尿作用のあるとうもろこしはお勧めです。5月から6月くらいの短い期間だけ楽しめるヤングコーンが、丁度今出回り始めています。
ヤングコーンは外側の皮だけを剥き、内側の皮に水をさっとかけて熱したグリルで焼くと蒸し焼き状態になります。香りと共に粗塩でシンプルにいただく、つい食べ過ぎてしまうほどの美味しさです。お子さんには剥き身にして、バター醤油味でソテーしても喜ばれます。
韓国にはトウモロコシのひげ茶がどこにでも売っていますが、効能があるからですね。ほんのり甘くてノンカフェイン、美容にもよいようです。
ヤングコーンのひげ根なら、甘くて柔らかいので、さっと下茹でしておしたしなどにしても美味しくいただけますよ。
フレッシュなもぎたて、買ってきたら直ぐに調理することも美味しさのポイントです

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新玉ねぎ・消化促進

新玉ねぎ・オニオン・玉ねぎ・胃もたれ・薬膳・血液サラサラ

真っ白で柔らかな新玉ねぎが美味しそうです。辛味が少なく水みずしいので、まずはスライスなどでたっぷりいただきます。産地の農家さんは栄養価も逃げるからと、水にさらしません。調理をする時も火入れ時間を短くするメニューが多いそうですよ。少し厚切りにし、煮えばなのお味噌汁や卵とじにするのもいいですね。玉ねぎの生食は血液サラサラ効果が高いのですが、こちらは通常の玉ねぎの方が含有量が高いようです。しかし、新玉ねぎのシャキシャキとした食感は心地よく、甘味があって美味しいのと、殺菌効果も感じるので旬には山盛りを堪能したくなります。
新玉ねぎは腸内環境を良くし、疲労回復を手伝うなど沢山の効果があります。薬膳では、消化不良を改善し、お腹のはり、ゲップや吐き気などに有効とされています。購入する時は隙間がなく、ずっしりと重ためで球状、先端が細めのものを選びます。新玉ねぎでも匂いや辛味を感じて気になる方は、空気に触れさせて少し置いてからいただくと多少違うようです

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柏餅・子供の日・端午の節句・立夏

柏餅・節句・子供の日・まいにち食薬養生帖・食養生・二十四節気

5月5日は子供の日、端午の節句、菖蒲の日とも呼ばれます。
菖蒲やよもぎを湯に入れてその香気で邪気を払い無病息災を願った薬湯につかる風習がありますね、私も子供の頃に1度だけ入った記憶があって、独特な香りをよく覚えています。
菖蒲は尚武にかけいて、勇ましく健やかな男の子の成長を祈願してのことです。それにちなんだ武者人形や、風に気持ちよさそうにそよぐ鯉のぼりを観ると素敵な風習だなと感じます。
柏餅をいただく由来は、柏の葉が新芽が出るまで古い葉が落ちないので「家系が絶えない・子孫繁栄」縁起をかついで広まりました。店先には柏餅と中国から伝えられたちまきも肩を並べていますが、地域によって包む葉や呼び名が違う事もあるようです。
毎年贔屓の和菓子屋さんで購入し、プロの塩梅を楽しみながら自分でも挑戦しています。
上新粉に白玉粉を少し加え、同量弱の水を少しずつ加えて練り、ちぎって晒しに包んで蒸し器にかけます。後は、よくこねて小分けし、小判形に整えて白餡や粒餡を包んで葉を巻きます。祖母も祖父も好きだった柏餅、お供えして節句を過ごします

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しらす・ちりめんじゃこ・小魚・雑魚

しらす・じゃこ・お弁当・旬

カルシウムたっぷりのしらす、旬ですね。骨を強くし、DHAで脳神経を活発にする効果が期待できます。
しらすとは、イカナゴ、ウナギ、アユ、ニシン、マイワシ、ウルメイワシなど、白や透明無色の稚魚。マイワシやウルメイワシも流通していますが、いわゆるしらすのほとんどは、かたくちいわしの稚魚です。
しらすは釜茹でされたもの、それから更に乾燥させたものがちりめんじゃこですが、地方によって呼び名は多少異なるようです。通年出回りますが、春と秋が産卵のピーク。
新鮮な生しらすが手に入ったらぜひ試していただきたいレシピがあります。バケットに、にんにくの切り口をこすりつけて塩とオイルをふってカリカリにトーストする。生しらすをたっぷりのせ、オイルをふってほうばって下さい、ヨーロッパ風の食べ方で、冷えたワインとピッタリ。
しらすや小魚は、酢と合わせるとカルシウムの吸収がよくなるので、酢の物にもぜひ加えて下さい。
旬の山椒と炊いたちりめんじゃこは保存が聞きますし、おもたせにするといつも大変喜ばれます

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らっきょう・辣韮・韮白・疲労回復

井澤由美子・食養生・まいにち食薬養生帖・疲労回復・らっきょう・ラッキョウ・甘酢漬け・漬物・きび酢

スーパーでらっきょうを見かけるようになりました。今年はどんな割合で漬けようかワクワクします。
らっきょうは中国原産で中薬学では韮白(がいはく)と言う名の生薬、日本では畑の薬と言われるほど豊かな効能を持っています。行気薬(気の巡りをよくする)であり、野菜の中でもトップクラスの水溶性食物繊維を含みます。腸内の便を吸収するので、便秘解消に薬効があります。ネギ類なので匂いがありますが(硫化アリル)、血行を良くし、血液をサラサラに。購入時は丸みを帯び、あまり芽が出ていない新しいものを選んで下さい。
甘酢漬けの作り方です。らっきょう1㎏は茎と根元ギリギリの部分を切り、ボールに入れて流水で薄皮を取るようにこすり洗いする(剥きにくい時は、包丁で切った部分から引っ張るようにします、傷んでいるものがあれば除くか、包丁で剥く)塩大さじ2でもんで20分ほど置き、ざっと水で流す。熱湯で8〜10秒茹でてそのままザルに広げて冷まし、消毒した保存容器に入れ、種を取った赤唐辛子2本と昆布一切れを加えます。小鍋に水160cc、グラニュー糖か氷砂糖(ハチミツやきび砂糖でも)250g入れて溶かし、酢350ccをまぜて冷ましてらっきょうの入った瓶に注ぐ、2週間後から食べられます。
大事なのは芽が成長するので購入したらその日に仕込むこと、後は時間が美味しくしてくれます。

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春キャベツ・乳酸キャベツ・発酵キャベツ・美腸・発酵食

腸活・キャベツ・乳酸キャベツ・発酵食・発酵キャベツ

柔らかな春キャベツが出回っています。
乳酸キャベツは、シュークルートやザワークラウトと同じ発酵キャベツの漬物で、井澤家の呼び名です。
基本材料はキャベツ、粗塩、きび砂糖の3つ。細切りキャベツ1Kg、塩小さじ4、きび砂糖小さじ2を馴染ませ、重石をして常温で2、3日たったら清潔な保存容器に入れて冷蔵庫へ。お好みで唐辛子や粒胡椒、スパイスなどを加えても良いですし、私はたっぷりの山椒の実の塩漬けや針生姜を加えた和風を常備しています。
発酵食は単体で口にしても腸には効きにくく、食物繊維を足すことで整えやすくなります。乳酸キャベツは発酵食でありながら、食物繊維、ビタミン類などと、乳酸菌が豊富。一つで賄える優れたお漬け物で、一番シンプルな発酵食だと思います。
簡単なのでぜひ手作りしてみて下さい。毎日食べると、自分の体が変わるのが実感できます。

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山菜・春の息吹・こごみ・みず・蓬・お浸し

山菜・春・お浸し・山の息吹・こごみ・みず・山菜・お浸し

毎年楽しみにしている春の便り。
わらび、ぜんまい、こごみ、みず、タラの芽、いたどり、うど、よもぎ、天然の行者にんにくなどが東北から届きました、若緑豊かな山の風景が眼に浮かびます。
山菜は春の息吹。デトックス効果が高く、香り豊かで繊維が豊富です(食べ慣れない方は、アクがあるのでほどほどの量で楽しみます)。春野菜の苦味は、虫から身を守るためのアルカノイドに由来する成分で、デトックス効果が高いそうです。食感を楽しめる時期はとても短いので何かしら毎日口にしたい。
タラの芽やこしあぶらの摘みたては香りを食べるもの。天麩羅は、独特の風味を最大限に堪能できる調理法だと思います。
薬効の高い蓬もくせになる風味、お餅にしてもいいですが、汗ばむ日も日には緑茶に柔らかな蓬をポンと浮かべだけで、穏やかな良い香りと緑茶の成分と相まって頭がスッキりします。
こごみやみずは、山菜の中でも下処理が楽で簡単です。さっと熱茹で下茹でしたら、おかあげして水気をしっかりふいて出汁に浸すだけ(色鮮やかにしたい場合は、茹でた後冷水にさらして色止めしても)。
美味しいお出汁にしっかり浸したわらびは、白和えにしても、胡麻和えにしても一味違います

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新じゃが芋・ポテトフライ・ポテトパンケーキ

ホットケーキミックス・じゃが芋・新じゃが・春野菜・パンケーキ・野菜パンケーキ・ポテトフライ・レシピ

じゃが芋は、ビタミンCが豊富。澱粉に守られているのでビタミンCの損失が少なく調理に向いています。
ポテトサラダなどで余った茹でじゃが芋を少し取り置いて、簡単おやつを作ります。
ホットケーキミックスに茹でたじゃが芋とチーズを混ぜて焼くとポテトパンケーキの完成。柔らかく練ったバターをたっぷり添えていただきます、チーズドッグのような味わいですよ、シロップはお好みで。
柔らかい新じゃが芋は、皮付きフライドポテトにも向いています。下ゆでもいらず、60度位の低温ででゆっくり揚げると酵素で甘みが出ます。粗塩にスパイスを混ぜて、揚げたてにしっかり振ると美味しいですね、パプリカ、挽き立ての胡椒、ナツメグなどミックスすると奥深い風味が生まれます。
学生の頃、友達達とよく食べたシェーキーズの皮付き円形ポテトフライ。ソルトペッパーたっぷりが、未だに私の中のポテトフライモデルです。じゃが芋の栄養成分は皮に近い部分なので、ぜひ皮ごといただいて下さい。

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山椒・山椒の花・山椒の実・木の芽・ハーブ・気の巡り

木の芽・和食・Sansho・山椒・山椒の花・山椒の葉・ハーブ・気の巡り・

一年に一度、ほんの一瞬の短い期間だけ楽しめる花山椒(山椒の花)。上品な風味を生かして酢の物、和え物、椀物に入れる、掘りたての筍と炊く、地鶏のスープでいただく、温めた甘辛いつゆにこれでもかと花山椒を入れ、薄切りの牛肉をさっとくぐらせて煮えばなをいただく、佃煮にするなど思う存分堪能したい。葉はつみたてを白味噌と合わせて木の芽味噌にし、山菜やホタルイカ、田楽などと楽しむ。
実は6月頃になり青山椒とも呼ばれ、秋以降完熟乾燥したものを挽くと粉山椒になります。山椒の香りが大好きな私は、毎年そわそわしながら庭の木になる実を心待ちにし、足りない分は市場に行って自分へのご褒美として奮発し、沢山仕込んで1年中料理に多様します。
花、葉、実、皮のすべてが楽しめる山椒。昔はお腹の虫くだしに良いとされていました、身体を温めて胃の調子を整え、気の巡りをよくする日本のハーブです。

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そら豆・蚕豆・空豆・豆板醤・発酵調味料

井澤由美子・食養生・食養生・そら豆・空豆・天豆・おたふく豆・蚕豆

日本では、蚕豆・天豆・一寸豆・お多福豆・がん豆など色々な可愛らしい呼び名があるそら豆。世界で最も古い農作物の一つだそうです。
中国調味料の豆板醤が最初に作られた時は、唐辛子は入っていなかったそうです。現在では辛いものが多く、唐辛子と麹を空豆に加えて熟成させています。毎年そら豆がで始めると豆板醤風を作ります。ソラマメを蒸し、すり鉢に入れて塩麹とほんの少しのごま油を加えて滑らかなペーストにします。えびやホタテのムースと合わせて型取れば、色鮮やかな一品になります。
空豆は、タンパク質、ビタミンB1,B2も豊富、疲労回復によく、胃腸機能を高め、余分な水分を排出する効能が期待できます。
鮮度が落ちやすいので、さや付きを購入して調理する直前にさやから出しましょう。新鮮なものは皮も柔らか、栄養価も高くそのまま食べられます。
サヤに数カ所穴をあけて、酒蒸しにしたり、熱したグリルや炭で皮が黒くなるまで焼くと、蒸し焼き状態になってふっくらとします(穴を開ける場所ですが、豆の無いくびれた部分を狙って刺して下さい)。大人になってから良さがわかったそら豆、見かけるとついつい手が伸びます。