井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

6/17

スイカ・西瓜・スイカ・サマーオレンジ

西瓜・スイカ・すいか・サマーオレンジ・利尿作用・むくみ・ほてり

サマーオレンジと聞くと柑橘類のようですがスイカの名前です。北海道で出逢って感動した食材の一つ。頂いてみたらよくある黄色いスイカとは違い、ちょっとメロンのような甘さと舌触りでクリーミー。色も少しクリームがかった黄色で種が少なく、食べやすいのも特徴です。聞けば、生産方法も変わっていて、夕顔に接木して育ててらっしゃるのだそうです。サマーオレンジは(夕陽色のスイカ)の意味、目の前に広がる水平線に沈む夕日を毎日眺めながら味見をされるそうです。
スイカにはカリウムが豊富なので利尿作用があります、赤いスイカはトマトと同じリコピン、黄色いスカイかはカロチンを含み美肌にも有効。シャリシャリと冷んやり冷えたスイカを食べると、糖分やミネラルを含むので潤いを体に感じます。薬膳では体の余分な熱を取り、むくみを取るとされています。
塩をふって食べると甘さが引き立つだけではなく、スポーツドリンクと似た内容に近づき、熱中症対策にも最適です。

6/16

薬膳酢・酢・ビネガー・発酵調味料・スーパーフード

食養生・薬膳・ビネガー・酢・薬膳酢・発酵調味料・クコ

今日は身体の疲れをとり、心も癒すお酢のお話しです。
酢は世界最古の発酵調味料と言われており、万葉集にも登場します。味噌、醤油と並ぶ日本の食文化を支えてきた伝統的な発酵調味料。いろいろな国で、その土地に根付いたお酒から作られており、名前の由来も判りやすい。例えば日本の酢は酒から作られるので酒編で酢、フランスの vinegar(ビネガー)はvin(ワイン)、イギリスの(malt vinegar)のモルトは麦芽から出来ているというように。
果物や野菜から作られているものには、みかんや玉ねぎ、紅芋など多様にあり、林檎酢は世界中にありますね。私は基本的に米だけで作られている米酢を愛用していますが、赤酢やバルサミコ酢など日々料理やドリンクに使い分けて楽しんでいます。
酢には血液をきれいにし血行をよくする効果や、内臓脂肪を燃焼させる、疲労を回復させるなどの効能が期待できます。スクランブルエッグやチョコレートケーキにひと垂らしすると、しっとり仕上がりますよ。昆布にはカルシウムが含まれていますが、酢に漬けると酢酸カルシウムになって体により摂取しやすくなります。この昆布酢にナチュラルな甘みがでる、クコ(コジベリー)を入れた薬膳酢は使いやすいので重宝しています。スーパーフードでもあるクコは目によく、酸味と合わせると肝の働きをよりケアします。

6/15

甘酒・バナナスムージー・バナナ

スムージーの中で、現場スタッフに1番人気なのは、やっぱり甘酒スムージー。どなたが飲まれても美味しく感じるのと、デイリーに作れてお腹にしっかり効能があり、エネルギーチャージが速やかに出来る。
色々な材料を揃える必要もなく、氷も入れないので薄まらず美味しい。バナナが甘酒をさらに飲みやすくします。発酵食であるブドウ糖とビタミン豊富な甘酒、バナナの水溶性と不溶性の植物繊維と合わせると善玉菌を増やし腸がさらに元気になります。お子さんや高齢者の方にもお勧めですよ。バナナを輪切りにして冷凍し、甘酒とミキサーにかけるだけ(氷代わりに冷凍カットバナナを浮かべるだけでも)、仕上げにふるシナモンは香りとともに、活血(かっけつ)作用があり、身体を温める効能が期待できます。

6/14

あんず・杏・杏仁・薬膳・漢方・デザート

杏・杏仁・あんず・食養生・薬膳・食薬ごはん・漢方

ほんのり甘い香りに気づいて見上げると、杏の実がたわわ。杏のやわらかな色合いを目にすると幸福感が生まれます。完熟杏は香りよく果肉も食べやすい、旬が短いので見かけるたびに堪能します。子供の頃によく食べたクレープは、生クリームやチョコバナナではなく、甘酸っぱいあんずジャムを薄く塗ったものでした。美味しく感じる温かいジャムは、杏の香りが際立って子供心に本当に美味しく感じたものでした。
杏は、ドライフルーツにしてもいいもの。半分に割って種を取り、低温のオーブンか果物乾燥機でセミドライにします。これを、黄色いパプリカとオリーブオイルで蒸し焼きにして冷ませば、お互いの良いところがきわだった鮮やかな冷製サラダになります。
杏はカロテンが非常に豊富で、粘膜をうるおす効能があり、通便作用もあります。種の中身(仁)は漢方薬の原料、杏仁 (きょうにん)。有名な杏仁豆腐の素ですね(生の種では食べられません)。
白きくらげは肺を潤す食材と言われていますが、氷砂糖と1時間半ほどゆっくり煮てトロトロにし、そこへ杏仁の粉を加えると咳や痰を切り、美肌に導く美味しいデザートになります。冷たくても温かくてもおすすめです。気分でレモン風味でさっぱりさせるか、生クリームで滑らかなコクを出すか、毎回悩ましいのです

6/13

国産ライチ・宮崎ライチ・レイシ・茘枝

ライチ・レイシ・楊貴妃・茘枝

楊貴妃が愛したという伝説のレイシ。
皮がグリーン色のプリンセスグリーンライチや、赤皮の黒葉ライチなどが有ります。紅茶やゼリーなどの香り付け、カクテルベースのリキュールなどにもなっていますね。
薬膳では血を養う手伝いをし、肌や髪、爪の乾燥などに潤いを与え、アンチエイジングなど美容に良いとされている果物です。喉の渇きを緩和し、脾胃を補うので食欲不振などにも有効。
そのままで充分美味しいですが、量がある時は、良い香りのスパイスを軽く効かせたシロップに漬けて冷やすと美味しい。
最近では国産も出回り、今が丁度旬です。4Lサイズの梅くらいの大きさがあり、とても立派。とつひとつ手作業で完熟をもいで、丁寧に箱詰めされて郵送されます。みずみずしいフレッシュ感にすっきりとした甘みとバランスの良い酸味が特徴。皮を剥くと美しい半透明の白い果肉が美しく、その滑らかを表しています。時間と手間を惜しまず作られているので、少々値が張るプレミアム、一年に一度のお楽しみです。

6/12

チーズ・コンテチーズ・Comte

熟成コンテが好きで、いつも冷蔵庫に入っています。
コンテはフランスで最も親しまれているチーズ、生産量もフランス1でAOPの20%以上をしめています。
スイスとの国境近く、アルプスにほど近いジュラ山脈一帯のフランシュ・コンテ地方は冬は寒さが厳しく、しいて言えば北海道のような環境です。熟成士によって丹精込めて作られており、添加物は一切使わず、水分を抜くハードタイプなので旨味が凝縮しています。45種あるフランス産AOP(原産地故障保護)チーズの1つです。
ワインの勉強を少しかじると、テロワール(土壌・その土地の気候)について勉強しますが、チーズもその土地土地が反映された美味しさを個々に醸しだすもの、個性が表れます。牛が食べる草や干し草など、時期によっても風味や色が変わる、これはバターも同じですね。若いコンテは調理にも向いていますが、私は結晶化したシャリシャリ感や、芳醇で凝縮した風味が好きなので、熟成期間が長いものを選んで果物などとそのまま楽しんでいます。
合わせるワインは同郷のサバニャンで作られる黄ワイン「ヴァン・ジョーヌ」とのマリアージュを1度お試し頂きたいです。ナッツやハニーの華やかな香りのワインや、樽が効いたシャルドネ、濃密な香りの貴腐ワインもいい、もちろんシャンパーニュもお勧めです。

6/11

じゃが芋・ポテト・新じゃが

新じゃが・じゃが芋・ポテト

じゃが芋はとても生命力が強い野菜、世界中で栽培されています。豊富なビタミンCは、デンプンに守られているので比較的熱に強く、クセがないのでどんなジャンルもすんなり受け入れてくれる頼もしい存在。
薬膳では胃腸を活性化し、便秘やむくみ改善などに薬効があるとされています。ドイツではじゃが芋をすりおろした汁やスープは胃腸症に効くとされる民間療法です。
じゃが芋の芽を見つけたら、ソラニンと言う有害物質なので取り除きます。茹でる時は、3つまみほどの塩を加え、皮ごと水から茹で、低温の60度くらいでゆっくり火を入れると酵素が働いて甘くなります。
北海道で始めて(インカのめざめ)を口にした時は、その栗のような色とほっこりした甘みにじゃが芋の観念が変わったのでした。固めに下茹でし、皮ごと太めのくし切りにして片栗粉をまぶしてカラリと揚げると最高です。
栄養もあり、お腹を満たすアレンジ自在なじゃが芋、フランスでは大地のりんごと呼ばれています

6/10

ドクダミ・どくだみ・漁腥草・十薬・虫刺され

井澤由美子・食薬・食養生・ドクダミ・どくだみ・十薬・魚腥草

あちこちでどくだみの白い花を見かけます。
どくだみは「十薬」という生薬名がつくほど多くの薬効があり、馬にも効くので昔はよく使用されたそうです。
人には便秘、肌荒れ、虫刺され、高血圧、利尿作用、アレルギー症状などに効能があり、生命力のとても強い湿地を好む薬草。
独特の苦味と香りがありますが、身体の老廃物を排出させるデトックス効果があります。
虫刺されにも効きますよ、実際にブヨに刺されて腫れた時にドクダミをホイルに包んでしばらく焼いてから、よく揉んだ葉を患部にこすりつけると痒みと腫れが直ぐに治まりました。花を焼酎に漬けたドクダミチンキも効くそうで、これらは昔ながらの民間療法です。
どくだみ茶の作り方です。茎の部分から刈り取ってよく洗って、束ねて逆さにし、風通しの良いところでしっかり乾燥させます。3、4cmにカットし、お菓子や海苔などについている乾燥剤を入れ(湿気が気になるようなら極弱火で数分間乾煎りしても)保存します。いただく時は、ざっと湯をかけて洗い、水から弱火でゆっくり煎じます。

6/9

スイカ・西瓜・すいか

スイカ・スイカジュース・西瓜

幼少の頃から一番好きな果物(野菜)はスイカ。熊本から素晴らしく大きく、そして完璧な熟れ具合のスイカが届きました。スイカもメロンも熊本産は美味しいですね。
近年ではカットスイカを購入することが多くなりましたが、昔は1個買いが普通でした。八百屋さんに食べ頃を選んで貰って、子供心にその所作さを見るのが楽しみでした。購入する時はヘタの回りがへこんでおり、縞模様がくっきりしているものが良いそうです。
スイカはしゃりしゃりと甘く水分が多いので身体を潤してくれますね、リコピンやカロテンが豊富。利尿作用もあるのでむくみ改善にも。白い部分は薬効があるので浅漬けや糠漬けなどにします。
スイカが少し余ったら、梅干しとジュースにしたり、パンに合わせてきっちりカットし、生クリームとフルーツサンドにして冷やしておくとこの上ないデザートになります

6/8

新じゃが芋・粉ふき芋・ポテトフライ・むくみ・美肌

じゃが芋・新じゃが芋・こなふき芋

水分量が多く、みずみずしい新じゃがは滑らかな舌ざわりで美味しいですね。皮も薄く柔らかいのでまるまるいただいて下さい、栄養価は皮の近くに有ります。
1番のお勧めの食べ方は、シンプルな粉ふき芋。タワシで擦り洗いしたじゃが芋を、水から入れて低めの温度(60度)でゆっくり塩茹でします。酵素が働いて、甘みが増しますよ、火が通ったら余分な湯を捨てて水分を飛ばし、皮がパンと弾けるように粉ふき状態にするとじゃが芋の醍醐味を味わえます。
人気のポテトフライは皮付きで食べやすくカットし、低温の油から入れてある程度火が通ったら温度を高上げ、カリっと仕上げます。半透明になるまで下茹でして水気を拭き、片栗粉をまぶして揚げるのもお勧めです。
それから、じゃが芋をごくごく細切りにして水に放し、さっと茹でて冷水で〆たシャキシャキ新じゃが麺も良いものです。うすい麺つゆ程度のお浸しや酢の物にしてていただく和風の食べ方と、オリーブオイルと柑橘のドレッシングや中華辛味ダレなど気分で。
じゃが芋は体の余分な塩分を排出したり、胃腸が弱った時の救世主的存在。ビタミンCが豊富、コラーゲンが多い食材と一緒に調理すると美肌効果を上げる手助けをします。