井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

7/11

たこ飯・蛸・タコ

大好きな本があります。高田郁さんの『みおつくし料理帖』心許りの「蛸飯」は、江戸時代の小料理屋のお話です。物語が自宅周辺なので地理がよく判って特別面白い。粋な言葉や料理が沢山ちりばめられ、スルスルと読めてしまいます。最終巻末付録にのっていた蛸飯は干し蛸を使っていました。読んでいて食べたくなったので、私なりのアレンジで作ってみましたよ。作り方です①米2カップを洗って水に30分つけ、ザルに上げて鍋か炊飯器に入れる。②生タコの足150g(茹でタコでも)を塩揉みして滑りを取り、薄いそぎ切りにして小鍋に入れ、酒、みりん、薄口醤油各大さじ2とさっと煮てそのまま冷ます。③②の煮汁と水を合わせて2カップにし、①のお米に山椒の実の塩漬けや細切り生姜大さじ1を入れて一混ぜする。焼き上がりにタコをさっくりあえて5分蒸らしたら出来上がりです。
愛媛県、香川県、岡山県など瀬戸内海岸地域ではタコ漁が多く、タコ飯が郷土料理にもなっています。東京駅などの駅弁屋さんを覗くと、タコ壺モチーフの陶器に入ったベストセラー「ひっぱりダコ飯」なども見かけ、その遊び心にワクっとします

7/8

水羊羹(みずようかん)

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羊羹(ようかん)は羊(ひつじ)の羹(あつもの)と書きます。もともとは中国の羊のスープ(冷めると煮こごり状になる)。肉食ができない僧侶の為に、小豆や葛などに精進料理として中身がかわったものが原型です。砂糖や寒天を加えて固形化したものが、時代をへて人気のお菓子となりました。
水ようかんは一般的なようかんより、水の配合が多いのでツルんとしていて喉越しがいい。暑い季節にしっかり冷やしたようかんをいただくのは至福の時、疲れもとれます。進物にもかかせないお菓子ですね、眼にも涼やかな竹に入ったものや、ギリギリの口どけのものまでいろいろ。どちらにしても夏のイメージですが、福井県では丁稚(でっち)ようかんとも言い真冬に食するそう、きっと暖かい部屋でこたつに入っていただくのですね!

7/7

素麺(そうめん)

今日は七夕ですね、「笹の節句」「星祭り」とも呼ばれています。意外に知られていませんが、七夕の日の食事はそうめん。これは千年も前からの行事食で、暑い夏に冷たいそうめんを食べ、無病息災を願う風習でもあるそうです。天の川や織姫の糸なども彷彿させますね。ルーツは「索餅」(さくべい)という中国の小麦粉で出来た繊細なお菓子。日本には奈良時代に伝えられ、索餅がそうめんに変化しました。氷水でしっかり〆るのが、ツルツルしこしこした歯触りのよいそうめんに仕上げるコツ。赤味噌で作った甘酸っぱい酢味噌でいただいてもオツですよ。まだ肌寒い七夕の夜は、ほっとする温かい煮麺(にゅうめん)でも。

7/3

ハトムギ(薏苡仁)

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ハトムギは漢方では薏苡仁(ヨクイニン)と呼ばれ、実の殻を除いたものです。身体の余分な異物を排出する効果があり、イボが取れることで有名(妊婦さんは禁忌ですよ)。美白作用もあるので化粧品などにも使用されています。少しクセのある味がしますが、水につけておいてお米と一緒に炊いたり、スープや煮物に入れたりすれば、そんなに気になりません。セロリや玉ねぎなどお家にある野菜を刻んでオリーブオイルでゆっくり炒め、ハトムギや大豆を加えてチキンスープで味付けした毒出しスープは朝食におすすめ。朝は不要なものを排出し、体を整える浄化の時間帯だとか、お部屋を軽く整理整頓してもいいですね。バタバタしてなかなか難しいですが、心と身体の毒出しをいつも出来たらいいなと思っています。

7/2

グリーントマト

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グリーン色のトマトはまだ未熟な状態で収穫したものと、グリーンゼブラと呼ばれる、熟しているのに赤くならない品種があります。フランスではかつてトマトはポムドール(黄金の林檎)、ポム・ダムール(愛の林檎)とロマンチックな呼び名で通っていました。もちろんこれは真っ赤に熟したトマトの話。
トマトは赤くなって初めて美味しくなるイメージがありますが、ベランダ菜園のトマトをもぎとって試してみたいレシピあります。アメリカの郷土料理で、同名の映画にでてくるカフェの名物料理「フライド・グリーン・トマト」!

6/28

金目鯛(きんめだい)

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金目鯛は主に太平洋側で水揚げされる事が多く、伊豆下田が有名です。旬は冬(12月〜2月)のイメージがありますが、この時期の産卵直前(初夏〜秋)に脂がもっとものると言われています。しかし通年等してパサつく魚ではないので煮付けや、お刺身、脂が多いのでしゃぶしゃぶなどでも楽しめます。

店頭で見かける金目鯛は全体が鮮やかな赤ですが、泳いでいる時は背中の方だけが赤いのも特徴。底釣りを楽しめる遊漁船も下田にはあり、釣れたてとの色の比較も楽しいものですよ。

6/25

砂肝

砂肝・コンフィー・食養生・美味しい・山椒

砂肝の下処理は面倒だと敬遠されがちですが、今日ご紹介するコンフィー(油煮)は日持ちもして簡単。砂肝(350g)の硬い盛り上がった部分からそぎ切りにして3、4等分にする。ポリ袋に入れて粗塩大さじ2をまぶして袋の上から全体をもんで一晩冷蔵庫におく。ザルにあけてざっと流水で洗い、水気を適当にきって厚手の小鍋に入れ、山椒を漬けたオリーブオイルをたっぷりかける(オリーブオイルと赤唐辛子1本でも)。厚手のキッチンペーパーをかぶせてフタをし、極弱火で15分煮てそのまま冷ます。消毒した空き瓶などに入れ、冷蔵庫で保存すると旨味たっぷりの煮汁がジュレ状になって砂肝にまとわりつく。砂肝を柔らかく美味しくしてくれるのは一晩の時間と、塩だけの調味料。ワインが止まらなくなる。

6/19

釜飯(かまめし)・お弁当

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釜飯好きです。釜めしは米に酒、醤油、みりんなどの調味料ときのこや魚介類、鶏肉、海の幸、山の幸の旨味がある食材を釜で炊いた炊き込みご飯。料理屋さんでは羽釜式の鉄釜で供される事が多くご飯も艶やか。高田焼きや、「中仙道を超える旅人が土器で飯を炊いた」という和歌をヒントに作られた益子焼き入りの信州の釜飯弁当は有名ですね。元は関東大震災後の東京上野での炊き出しをヒントに、浅草の料理屋女将が1人用の釜で作り、世に広めたのが大正15年、約80年以上の歴史があるそうです。

6/7

Champagne(シャンパーニュ)

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葡萄が育まれる土地、適した品種、泡が生まれる理由さえも一緒に飲み込めたら、歴史の背景と共にさらに美味しく感じられるハズ。で、ナカナカ覚えられませんが勉強中です。シャンパーニュとはフランス北東部のシャンパーニュ地方で作られた発泡性ワインのみ、名乗る事ができるお酒です。グラスに注がれる繊細な泡からパチパチはじけていく音は(天使のささやき・天使の拍手)と呼ばれ、グラス1杯のシャンパーニュから約1200万粒もの泡が出るらしい。気分が高揚する華やかなシャンパーニュはお祝いやロマンスばかりではなく、頑張った自分へのご褒美にも最適。優雅に一人静かに堪能しても。雨季に入る前の5月から6月、ハーブや薔薇の香りがただよいますね。新緑の香りや気候がこの上なくシャンパーニュに合うと思うのです。例えばディエボル・ヴァロア・ブリュット・プレステージ辺りがピッタリ。青空もキレイ、心地よく吹く風、私にワインの奥深さを教えてくれた恩師も、千の風になって一緒に楽しんでくれているような。

6/5

麦秋至

むぎのときいたる(ばくしゅういたる、むぎあきいたる)と読むそうで、二十四節気、夏の季語の1つです。実際には初夏ですが、麦が熟して一面が黄金色に輝く時節をいい、梅雨前の乾燥した一瞬。麦にとっては収穫の時期となる為「秋」なのですが、二毛作の農家さんにとって麦秋は短いものです。素敵な呼び名があって、稲の穂を吹き渡る風を(麦の秋風)といい、雨が降れば(麦の秋雨)と呼ぶそうです。麦畑に降り立つと、青空に黄金色が映えて、絵画のように美しい一面に見惚れる。