井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

6/25

砂肝

砂肝・コンフィー・食養生・美味しい・山椒

砂肝の下処理は面倒だと敬遠されがちですが、今日ご紹介するコンフィー(油煮)は日持ちもして簡単。砂肝(350g)の硬い盛り上がった部分からそぎ切りにして3、4等分にする。ポリ袋に入れて粗塩大さじ2をまぶして袋の上から全体をもんで一晩冷蔵庫におく。ザルにあけてざっと流水で洗い、水気を適当にきって厚手の小鍋に入れ、山椒を漬けたオリーブオイルをたっぷりかける(オリーブオイルと赤唐辛子1本でも)。厚手のキッチンペーパーをかぶせてフタをし、極弱火で15分煮てそのまま冷ます。消毒した空き瓶などに入れ、冷蔵庫で保存すると旨味たっぷりの煮汁がジュレ状になって砂肝にまとわりつく。砂肝を柔らかく美味しくしてくれるのは一晩の時間と、塩だけの調味料。ワインが止まらなくなる。

6/19

釜飯(かまめし)・お弁当

写真

釜飯好きです。釜めしは米に酒、醤油、みりんなどの調味料ときのこや魚介類、鶏肉、海の幸、山の幸の旨味がある食材を釜で炊いた炊き込みご飯。料理屋さんでは羽釜式の鉄釜で供される事が多くご飯も艶やか。高田焼きや、「中仙道を超える旅人が土器で飯を炊いた」という和歌をヒントに作られた益子焼き入りの信州の釜飯弁当は有名ですね。元は関東大震災後の東京上野での炊き出しをヒントに、浅草の料理屋女将が1人用の釜で作り、世に広めたのが大正15年、約80年以上の歴史があるそうです。

6/7

Champagne(シャンパーニュ)

写真 1

葡萄が育まれる土地、適した品種、泡が生まれる理由さえも一緒に飲み込めたら、歴史の背景と共にさらに美味しく感じられるハズ。で、ナカナカ覚えられませんが勉強中です。シャンパーニュとはフランス北東部のシャンパーニュ地方で作られた発泡性ワインのみ、名乗る事ができるお酒です。グラスに注がれる繊細な泡からパチパチはじけていく音は(天使のささやき・天使の拍手)と呼ばれ、グラス1杯のシャンパーニュから約1200万粒もの泡が出るらしい。気分が高揚する華やかなシャンパーニュはお祝いやロマンスばかりではなく、頑張った自分へのご褒美にも最適。優雅に一人静かに堪能しても。雨季に入る前の5月から6月、ハーブや薔薇の香りがただよいますね。新緑の香りや気候がこの上なくシャンパーニュに合うと思うのです。例えばディエボル・ヴァロア・ブリュット・プレステージ辺りがピッタリ。青空もキレイ、心地よく吹く風、私にワインの奥深さを教えてくれた恩師も、千の風になって一緒に楽しんでくれているような。

6/5

麦秋至

むぎのときいたる(ばくしゅういたる、むぎあきいたる)と読むそうで、二十四節気、夏の季語の1つです。実際には初夏ですが、麦が熟して一面が黄金色に輝く時節をいい、梅雨前の乾燥した一瞬。麦にとっては収穫の時期となる為「秋」なのですが、二毛作の農家さんにとって麦秋は短いものです。素敵な呼び名があって、稲の穂を吹き渡る風を(麦の秋風)といい、雨が降れば(麦の秋雨)と呼ぶそうです。麦畑に降り立つと、青空に黄金色が映えて、絵画のように美しい一面に見惚れる。

6/1

バタートースト

写真 2

私の祖父はハイカラで、キッチンにある冷蔵庫は大きなアメリカ製のもでした。朝食にはこんがり焼いたイギリスパンにバターをカリカリ隅からすみまで塗るのですが、子供心に冷めてしまう様で気になって仕方がありませんでした。祖父はトースターでしたが、私はだいぶ前に京都の金物屋さんで一目ぼれした網で焼いています。外側は香ばしく粋な焼き目がつき、中はふんわりで、パン自身の香りとトースト香が立ち上る。美味しいトーストは、職人さんがプライドを持って作ったこの網でないとダメなんです、もちろんパン専用としています。

5/19

アジアン焼きそば

写真 1

この焼きそばが現地のベトナムでテーブルに出てきた時、楽しくってテンション上がりました。私の勝手な作り方ですが、ご紹介します。小鍋を中火にかけて少なめの湯を沸かし、よくある即席麺と付属の調味料を入れてごま油を少々垂らす。柔らかくなりすぎないように箸でほぐしながら味を含める。フライパンにオイルと潰したニンニクや生姜、赤唐辛子を入れ弱火にかけて香りがでたら中火にし、冷蔵庫にある具材達と炒め合わせる。豚肉や竹輪、さつま揚げ、キャベツ、玉ねぎ、レタス、きのこ類など何と炒めてもOK、野菜はたっぷりが美味しい、戻した麺を加えて全体を絡めるだけ。あとは気持ちのいい風と、たっぷりのザウムイ(パクチー)や三つ葉など香りもの、それから酒飲み友だちが側にいたら、ピリっとエッジの効いた会話とお酒もすすみます。香菜は食欲増進や気の巡りもよくしますが、デトックス効果があり注目されています。

5/15

ハンバーグ・ナツメグ

写真 1

今日の皆んなのリクエストはハンバーグ。お家なら白いごはんが進むフツーのハンバーグで、食べ応えのある大きいのがいいらしい。ソースは凝ったものではなく、ケチャップとウスターソースを同量、それに少しのバターを加えて肉汁と煮詰めたもの。ハンバーグをこねてフライパンで両面をこんがり焼いたら、水をハンバーグの高さの半分までいれ、調味料を加えるだけ。後はフタをしてソースが煮詰まるまで弱火で煮込めば、生焼けなしのコッテリ煮込みハンバーグが出来上がる。種にも加えますが、仕上げにホールのナツメグをガリガリっと削るのが井澤家流、ふわりと香るナツメグは食をそそります。ナツメグは古くからいろいろな国で治療に取り入れられ、薬膳ではニクズクと言います。素敵な香りのナツメグは、身体を温め、デトックスや若返りにも効果があるとか。

5/13

蒟蒻(こんにゃく)

写真 6

そのこんにゃくを初めて食べた時、ジェリー(ゼリー)のような食感に衝撃を受けました。宴会などで友人知人に黙って出すと、皆んな同じように目を丸くするので面白い。千葉で出会った林さんのフルフル蒟蒻を7、8mmの厚さのそぎ切りにしてお皿に並べ、皮付きの生姜を全体にかかるようにたっぷりとおろして、いただく寸前に醤油を回しかける。冷たい蒟蒻とピリッとした生姜に身体がシャンと目覚める感じ。ツルンと喉ごしもよく、最近の私のお気に入りの朝食です。
蒟蒻の効能は特にマンナンによるもので、腸内の老廃物や毒素を体外に排出する上、整腸作用もあるので美肌効果やがん予防に有効。蒟蒻芋の旬は冬ですが、この頃に種芋を植えて秋に収穫し、貯蔵されてその後の工程に移ります。どうしてこんなに美味しいんですか?と林さんに伺ったら「私は粉で作る蒟蒻は嫌い、目の前の畑で自分で育てた芋を使って作る。沢山は作れないけど」とのお答えでした。

5/10

おはぎ

写真 1

今日は母の日、お天気も良く薔薇も満開の日曜日です。家の近所に母の友人で、祝日やお祝い事、記念日があるとお赤飯やおはぎを作って届けて下さる素敵な方がいます。毎回なんでこんなに美味しいのだろうと不思議に思うのですが、料亭や専門店のものより私には美味しく感じます。良質の豆や調味料、鍋を揃えれば生み出せる味というものではなく、豆が豆好き人を選ぶようです。ちなみにお赤飯や和菓子に使われる小豆には母乳の出をよくする他、強い利尿作用や解毒作用があって湿気の多い日本には必要不可欠な食材です、理にかなっていますね。

5/9

ドーナッツ

ドーナツ

中学生の頃、商店街のパン屋さんのお母さんが言いました(うちの子は揚げたてしか食べないの)と。
周りはカリッと香ばしく中はふんわりで、まだ温かいドーナッツにグラニュー糖がたっぷりとまぶされている。冷めて少し硬くなったドーナッツはそれはそれで美味しいけれど、揚げたてはやっぱり格別。自分でドーナッツを作るようになってその意味がよく判ったのでした。
先日、旅先で作り手の優しさが浮き彫りになったドーナッツに出会って感動しました、使う食材、工程などとことん拘っている様子。そしてお店のショーケース、内装、外装、ペンキの色やテーブルの形、取っ手に至るまで全てが可愛く愛に溢れていて、聞けば何から何まで旦那さまのお手製だそう。ドーナッツって幸せの象徴、お菓子の家のような沖縄のシマドーナッツさんのお話