井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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梅・うめ・梅仕事・梅の甘露煮

青梅・うめ・梅・食養生・12ヶ月の手仕事・季節の手仕事・井澤由美子・二十四節気・食薬・まいにち食薬養生帖・小梅

関東も、もう過ぐ梅雨入り。庭の青々した梅もたわわに実っています。
梅は傷がついてないものを選んでよく洗い、ヘタを竹串の先で取って、できるだけ小さく数箇所穴をあけます。梅仕事の手始めは、すぐにいただける甘露煮を作ります。ホーロー鍋に穴をあけた梅を入れてかぶるくらいの水で5〜10分ほど煮ます、必ず極弱火で(強いと皮が弾けてしまいます)。水を新しくかえて氷砂糖を加え、厚手のキッチンペーパーをかぶせ、弱火でさらに10〜15分ほど煮て冷まします。梅を取り出し清潔な保存容器に入れ、煮汁を半量まで煮詰めて注ぐ。甘酸っぱい香りがキッチンに広がって、梅仕事の幸福感が今年もまた始まりました。毎年繰り返す自然との営みに感謝しながら過ごすひと時です。
氷砂糖は肺を潤す効果が期待でき、梅は唾液の分泌を活発にしたり疲れをとります。シロップを炭酸や冷水で割っていただくと汗がひき、心身を癒します。
後少ししたら南高梅が色付きそうです、こちらは虫あみでそっと手繰り寄せて追熟させて梅干しにします。

5/19

蓬・よもぎ・モチグサ・蓬餅・デトックス

デトックス・蓬・ヨモギ・山菜・春の息吹・デトックス

沖縄で、よもぎ(フーチバー)と月桃の蒸し風呂に入ったことがあります、デトックス効果が高いと伺いました。北海道のお気に入りの宿では、薬草風呂として温泉に入っており、アイヌ語でカムイノヤ「神の草」と呼ばれ、さまざまな料理にも使われています。フランスでは、エルブロワイヤル「王の草」、中国では「医草」と言われ、世界中でその効能が認められています。お灸に使われるもぐさもよもぎから作られていますし、虫刺されにも葉を揉んでつけると痒みや腫れが収まります。よもぎには抜群の洗血力があり、止血薬とした生薬で昔から治療薬として使われて来ました。
いつものお茶に摘み立てのよもぎをポンと加えるだけでも香りが立ち、リラックスします。
毎年、飛騨高山の野村農園さんから届く春のよもぎ餅は、摘みたてをたっぷり加えてお餅にしています。冷凍庫に保存して焼いたり煮たり、夜中のおしのぎのあべかわ餅など、しばらくの間楽しんで元気をチャージしています

5/18

アスパラ・昆布締め・天麩羅

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お日様に向かってスクスク育ったアスパラは、太くてみずみずしく美味しそうです!保存する時も、箱などに入れて穂を天に向けて私は保存しています。
いきなりですが、やっぱりアスパラは軽い衣の天婦羅にしたい。揚げたてを口に含むと濃縮した青い香りが鼻を抜け、水分が滴る感じは初夏の醍醐味です。どんな調理法でも美味しいですが、揚げるという調理法以上に旨味を閉じ込める技はないと思います。揚げ物は油で揚げていますが実は蒸し料理。テクニックを食すと言っても過言ではないので、真剣勝負です。油と合わせると、アスパラのカロテンも効率よく摂取できますね。
もう一つ好きな食べ方に、歯ごたえを少し残した塩茹でのアスパラを昆布締めにしたものがあります。昆布のヨードがキーンと冷えたスパークリングや白ワインと季節の風に、とてもよく合うと思うのです。
抗酸化作用のルチンは穂先に多く含まれ、アミノ酸のアスパラギン酸は、疲労回復や美肌効果が期待できるそうです。

5/17

酢・薬膳酢・vinegar・疲労回復   発酵調味料

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雨季の薬膳・今日は身体の疲れをとり、心も癒すお酢のお話しです。
酢は世界最古の発酵調味料と言われており、万葉集にも登場します。味噌、醤油と並ぶ日本の食文化を支えてきた伝統的な発酵調味料。いろいろな国で、その土地に根付いたお酒から作られており、名前の由来も判りやすい。例えば日本の酢は酒から作られるので酒編で酢、フランスの vinegar(ビネガー)はvin(ワイン)、イギリスの(malt vinegar)のモルトは麦芽から出来ているというように。
果物や野菜から作られているものには、みかんや玉ねぎ、紅芋など多様にあり、林檎酢は世界中にありますね。私は基本的に米だけで作られている米酢を愛用していますが、赤酢やバルサミコ酢など日々料理やドリンクに使い分けて楽しんでいます。
酢には血液をきれいにし血行をよくする効果や、内臓脂肪を燃焼させる、疲労を回復させるなどの効能が期待できます。スクランブルエッグやチョコレートケーキにひと垂らしすると、しっとり仕上がりますよ。昆布にはカルシウムが含まれていますが、酢に漬けると酢酸カルシウムになって体により摂取しやすくなります。この昆布酢にナチュラルな甘みがでる、クコ(コジベリー)を入れた薬膳酢は使いやすいので重宝しています。スーパーフードでもあるクコは目によく、酸味と合わせると肝の働きをよりケアします。

5/13

スパイス・生薬・spice・食養生・食薬・むくみ

免疫力・薬味・スパイス・生薬・香辛料・井澤由美子・美肌・腸活・料理家・ハーブ

疲労、倦怠感が溜まった時。
沖縄・奄美などでは梅雨入りし、湿気を帯びる日が増えています。梅雨に入ると不調が起きやすい方は湿がたまりやすいのかも知れません。こんな時はスパイス類も有効活用しましょう。黒胡椒、ホワジャオやカルダモンなどのスパイスは、胃腸の調子を整え体の余分な水分を取り除く効果が期待できます。
スパイスは、薬味・生薬と呼び名は違えど世界中でその薬効は古くから知られ、人々の薬となって様々なカラダや心の不調を治して来ました。何より食欲増進・消化促進効果が高いのですが、食品を傷みから守る抗菌作用や防腐効果にも優れ、食材以外の用途にも役立っています。植物から採集され(果実、根っこ・樹皮・種)料理やお茶などに複雑な香りや辛味、色味をつけ、臭みなどを取る香辛料。スパイスは、それぞれの国の風土に適して育ち、人々の体調を整える大きな役割もはたしています、旬に出回る身近な薬味やスパイスの薬効を感じながら見直してみると楽しいですね。
雨季や夏の不調を防ぐ薬味とスパイス、香辛料を効かせたお料理をいただくとカラダが活性化するのが判ります、免疫力も上げるので日々の食卓に大いに活用して下さい。
体に溜まった余分な湿を取り除く効果が期待できる旬の空豆、インゲン、ヤングコーンなどにプラス、スパイスやカレー粉などで調理すると、その効能と香りで相乗効果が上がり元気を回復する手伝いをします

5/7

ヤングコーン・わかもろこし・食養生・食薬・薬膳

井澤由美子・まいにち食薬養生帖・野菜・トウモロコシ・わかもろこし・コーン・食薬・薬膳・食養生

体が重く、だるさを感じる時。
穀雨の雨などが降り、湿気が多くなると体に湿邪(余分な水分・湿気)が溜まりやすくなって、重たさやだるさを感じ、やる気が減退。水分過多の飲食が原因になることもあります。
こんな時は、利尿作用のあるとうもろこしはお勧めです。5月から6月くらいの短い期間だけ楽しめるヤングコーンが、丁度今出回り始めています。
ヤングコーンは外側の皮だけを剥き、内側の皮に水をさっとかけて熱したグリルで焼くと蒸し焼き状態になります。香りと共に粗塩でシンプルにいただく、つい食べ過ぎてしまうほどの美味しさです。お子さんには剥き身にして、バター醤油味でソテーしても喜ばれます。
韓国にはトウモロコシのひげ茶がどこにでも売っていますが、効能があるからですね。ほんのり甘くてノンカフェイン、美容にもよいようです。
ヤングコーンのひげ根なら、甘くて柔らかいので、さっと下茹でしておしたしなどにしても美味しくいただけますよ。
フレッシュなもぎたて、買ってきたら直ぐに調理することも美味しさのポイントです

5/6

新玉ねぎ・消化促進

新玉ねぎ・オニオン・玉ねぎ・胃もたれ・薬膳・血液サラサラ

真っ白で柔らかな新玉ねぎが美味しそうです。辛味が少なく水みずしいので、まずはスライスなどでたっぷりいただきます。産地の農家さんは栄養価も逃げるからと、水にさらしません。調理をする時も火入れ時間を短くするメニューが多いそうですよ。少し厚切りにし、煮えばなのお味噌汁や卵とじにするのもいいですね。玉ねぎの生食は血液サラサラ効果が高いのですが、こちらは通常の玉ねぎの方が含有量が高いようです。しかし、新玉ねぎのシャキシャキとした食感は心地よく、甘味があって美味しいのと、殺菌効果も感じるので旬には山盛りを堪能したくなります。
新玉ねぎは腸内環境を良くし、疲労回復を手伝うなど沢山の効果があります。薬膳では、消化不良を改善し、お腹のはり、ゲップや吐き気などに有効とされています。購入する時は隙間がなく、ずっしりと重ためで球状、先端が細めのものを選びます。新玉ねぎでも匂いや辛味を感じて気になる方は、空気に触れさせて少し置いてからいただくと多少違うようです

5/5

柏餅・子供の日・端午の節句・立夏

柏餅・節句・子供の日・まいにち食薬養生帖・食養生・二十四節気

5月5日は子供の日、端午の節句、菖蒲の日とも呼ばれます。
菖蒲やよもぎを湯に入れてその香気で邪気を払い無病息災を願った薬湯につかる風習がありますね、私も子供の頃に1度だけ入った記憶があって、独特な香りをよく覚えています。
菖蒲は尚武にかけいて、勇ましく健やかな男の子の成長を祈願してのことです。それにちなんだ武者人形や、風に気持ちよさそうにそよぐ鯉のぼりを観ると素敵な風習だなと感じます。
柏餅をいただく由来は、柏の葉が新芽が出るまで古い葉が落ちないので「家系が絶えない・子孫繁栄」縁起をかついで広まりました。店先には柏餅と中国から伝えられたちまきも肩を並べていますが、地域によって包む葉や呼び名が違う事もあるようです。
毎年贔屓の和菓子屋さんで購入し、プロの塩梅を楽しみながら自分でも挑戦しています。
上新粉に白玉粉を少し加え、同量弱の水を少しずつ加えて練り、ちぎって晒しに包んで蒸し器にかけます。後は、よくこねて小分けし、小判形に整えて白餡や粒餡を包んで葉を巻きます。祖母も祖父も好きだった柏餅、お供えして節句を過ごします

5/3

しらす・ちりめんじゃこ・小魚・雑魚

しらす・じゃこ・お弁当・旬

カルシウムたっぷりのしらす、旬ですね。骨を強くし、DHAで脳神経を活発にする効果が期待できます。
しらすとは、イカナゴ、ウナギ、アユ、ニシン、マイワシ、ウルメイワシなど、白や透明無色の稚魚。マイワシやウルメイワシも流通していますが、いわゆるしらすのほとんどは、かたくちいわしの稚魚です。
しらすは釜茹でされたもの、それから更に乾燥させたものがちりめんじゃこですが、地方によって呼び名は多少異なるようです。通年出回りますが、春と秋が産卵のピーク。
新鮮な生しらすが手に入ったらぜひ試していただきたいレシピがあります。バケットに、にんにくの切り口をこすりつけて塩とオイルをふってカリカリにトーストする。生しらすをたっぷりのせ、オイルをふってほうばって下さい、ヨーロッパ風の食べ方で、冷えたワインとピッタリ。
しらすや小魚は、酢と合わせるとカルシウムの吸収がよくなるので、酢の物にもぜひ加えて下さい。
旬の山椒と炊いたちりめんじゃこは保存が聞きますし、おもたせにするといつも大変喜ばれます

5/2

らっきょう・辣韮・韮白・疲労回復

井澤由美子・食養生・まいにち食薬養生帖・疲労回復・らっきょう・ラッキョウ・甘酢漬け・漬物・きび酢

スーパーでらっきょうを見かけるようになりました。今年はどんな割合で漬けようかワクワクします。
らっきょうは中国原産で中薬学では韮白(がいはく)と言う名の生薬、日本では畑の薬と言われるほど豊かな効能を持っています。行気薬(気の巡りをよくする)であり、野菜の中でもトップクラスの水溶性食物繊維を含みます。腸内の便を吸収するので、便秘解消に薬効があります。ネギ類なので匂いがありますが(硫化アリル)、血行を良くし、血液をサラサラに。購入時は丸みを帯び、あまり芽が出ていない新しいものを選んで下さい。
甘酢漬けの作り方です。らっきょう1㎏は茎と根元ギリギリの部分を切り、ボールに入れて流水で薄皮を取るようにこすり洗いする(剥きにくい時は、包丁で切った部分から引っ張るようにします、傷んでいるものがあれば除くか、包丁で剥く)塩大さじ2でもんで20分ほど置き、ざっと水で流す。熱湯で8〜10秒茹でてそのままザルに広げて冷まし、消毒した保存容器に入れ、種を取った赤唐辛子2本と昆布一切れを加えます。小鍋に水160cc、グラニュー糖か氷砂糖(ハチミツやきび砂糖でも)250g入れて溶かし、酢350ccをまぜて冷ましてらっきょうの入った瓶に注ぐ、2週間後から食べられます。
大事なのは芽が成長するので購入したらその日に仕込むこと、後は時間が美味しくしてくれます。